ショート・カッツ (詳細)
ロバート・アルトマン(監督), ジュリアン・ムーア.ティム・ロビンス.ジャック・レモン.ロバート・ダウニー・Jr..アンディ・マクダウェル.マシュー・モディーン.マデリーン・ストー.フランシス・マクドーマンド(俳優)
「待ちわびたDVD化、うれしい」「アルトマンに脱帽です」「祝!発売決定」「アルトマンの、大技、小技、荒技連発」「ロバート・アルトマン最高傑作」
カリガリ博士 (詳細)
ロベルト・ヴィーネ(監督), ヴェルナー・クラウス(俳優), コンラート・ファイト(俳優)
「ドイツ語バージョン求む!!!」「恐さを求めるより」「ホラー映画の原点」「元祖カルト!、「メトロポリス」に並ぶドイツ表現主義の金字塔」「ドイツ表現主義の傑作!…ですが、プリントは無残…」
フリッツ・ラング コレクション/クリティカル・エディション ドクトル・マブゼ (詳細)
フリッツ・ラング(監督), ルードルフ・クライン=ロッゲ(俳優), ベルンハルト・ゲッケ(俳優), アルフレート・アーベル(俳優), テア・フォン・ハルボウ(脚本)
「ラング、独時代の傑作にして問題作、素晴らしいプリントでした」
フリッツ・ラング コレクション スピオーネ クリティカル・エディション (詳細)
フリッツ・ラング(監督), ルードルフ・クライン=ロッゲ(俳優), ゲルダ・マウルス(俳優), リエン・ダイヤース(俳優), ルイ・ラルフ(俳優), クレイグホール・シェリー(俳優), テア・フォン・ハルボウ(脚本)
「こっそりとフェイバリット」
カンザス・シティ (詳細)
ロバート・アルトマン(監督), ジェニファー・ジェイソン・リー(俳優), ミランダ・リチャードソン(俳優), ハリー・ベラフォンテ(俳優), ジョシュア・レッドマン(俳優), クレイグ・ハンディ(俳優)
「アルトマンの趣味が暴走」「音楽が熱いです。」
ストローブ=ユイレ コレクション 歌劇 今日から明日へ (詳細)
リチャード・サルター(俳優), ストローブ=ユイレ(俳優), ジャン=マリー・ストローブ(俳優), ダニエル・ユイレ(俳優)
「息つくヒマも無い緊張感」
痴人の愛 (詳細)
増村保造(監督), 安田(大楠)道代.小沢昭一.田村正和.倉石功(俳優)
「健康的で変態的でスタイリッシュな作品」
ゲームの規則 (詳細)
ジャン・ルノワール(俳優), マルセル・ダリオ(俳優), ノラ・グレゴール(俳優)
「大傑作!・・・・しかし・・・・・」「興行は大失敗」「まぁ観てくださいよ。」「何度見ても素晴らしい」「まぁ観てくださいよ。」
フレンチ・カンカン (詳細)
ジャン・ルノワール(監督), ジャン・ギャバン(俳優), フランソワーズ・アルヌール(俳優), マリア・フェリックス(俳優), フィリップ・クレイ(俳優), ミシェル・ピコリ(俳優)
「 乱れ咲くカンカンパワー」「ルノワール、まずはこれを推薦します」「サントラ盤が欲しい」「秩序無き乱痴気騒ぎこそルノワール」
ウディ・アレン コレクションBOX (詳細)
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
「初期アレンを知るための好企画です」
オープニング・ナイト (詳細)
ジョン・カサヴェテス(監督), ジーナ・ローランズ(俳優), ベン・ギャザラ(俳優)
「4000円!」「カサヴェテスの最良の成果だと思います」
シーズ・ソー・ラブリー (詳細)
ニック・カサベテス(監督), ショーン・ペン(俳優), ジョン・トラボルタ(俳優), ロビン・ライト・ペン(俳優), ハリー・ディーン・スタントン(俳優)
「駄目駄目」「ジョンとニックとペン」「トラボルタを好きになっちゃった」
フリッツ・ラング コレクション 月世界の女 クリティカル・エディション (詳細)
フリッツ・ラング(監督), ゲルダ・マウルス(俳優), ヴィリー・フリッチ(俳優), クラウス・ポール(俳優), テア・フォン・ハルボウ(脚本)
「やっぱり独時代のラングはすごいな、観ておいて損はない」「F・ラングが描くSF映画」
フリッツ・ラング コレクション 怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺書) (詳細)
フリッツ・ラング(監督), ルドルフ・クライン=ロッゲ(俳優), オットー・ヴェルニケ(俳優), グスタフ・ディースル(俳優), テア・フォン・ハルボウ(脚本)
「10年の時を越えて、ドクトル・マブゼ、恐怖の再来」
バッド・エデュケーション (詳細)
ペドロ・アルモドバル(俳優), フェレ・マルチネス(俳優), ガエル・ガルシア・ベルナル(俳優)
「買って損はないと思います。」「愛と憎しみが交差する複雑なストーリーです」「美しい。」「素晴らしかった」「衝撃作です。」
トニー滝谷 スタンダード・エディション (詳細)
市川準(監督), イッセー尾形(俳優), 宮沢りえ(俳優)
「村上春樹の空気をつかまえた、透明感あふれる作品です」「優しい雨のような映画。」「小説と音楽に追随・萎縮した映画」
天河伝説殺人事件 (詳細)
市川崑(監督), 榎木孝明(俳優), 財前直見(俳優), 岸田今日子(俳優), 伊東四朗(俳優), 石坂浩二(俳優), 岸恵子(俳優)
「市川ワールド全開の快作」「よかった…再販されて」
F.W.ムルナウ コレクション/クリティカル・エディション 吸血鬼ノスフェラートゥ 恐怖の交響曲 (詳細)
F・W・ムルナウ(監督), マックス・シュレック(俳優), アレクサンダー・グラナッハ(俳優), グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム(俳優), グレータ・シュレーダー(俳優), ヘンリク・ガレーン(脚本)
「プリントの美しさに感激、少々高くてもこのDVDがベターではないでしょうか」「値は張るが」「IVC版ので充分」
グリード (詳細)
エリッヒ・フォン・シュトロハイム(監督), ギブソン・ゴーランド(俳優), ジーン・ハーショルト(俳優), ザス・ピッツ(俳優), フランク・ノリス(原著), ジューン・メイシス(脚本)
「狂気の監督シュトロハイム、あまりに恐ろしすぎる「強欲」」
鍵 (詳細)
市川崑(監督), 中村鴈治郎(二代目).京マチ子.仲代達矢.叶順子(俳優)
「隠微でいて、どこかポップで笑える、大映テイスト炸裂」「すうっと遠ざかって行く霊柩車の演出!」
とらんぷ譚 (詳細)
サシャ・ギトリ(監督), マルグリット・モレノ(俳優), ジャクリーヌ・ドリュバック(俳優), ピエール・アシ(俳優), ジネット・マルトノ(俳優), ポリーヌ・カルトン(俳優), ロジーヌ・ドレアン(俳優), セルジュ・グラーヴ(俳優), エルミール・ヴォーチエ(俳優)
「愛すべきフランス映画、トリュフォーの匂いにクラクラ」「やっと見れる!」
パンドラの箱 クリティカル・エディション (詳細)
G.W.パプスト(監督), ルイーズ・ブルックス(俳優), カール・ゲーツ(俳優), ラディスラオ・ヴァホダ(脚本)
「サイレント映画の極北 世紀のヒロイン、ルル=L.ブルックス」「アメリカから来たファムファタール、ルイーズ・ブルックス」「クリティカル・エディション」
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (詳細)
ウェス・アンダーソン(監督), ジーン・ハックマン. アンジェリカ・ヒューストン. ベン・スティラー. グウィネス・パルトロウ. ルーク・ウィルソン(俳優)
「天才が集まっても、お金持ちであっても、良い家族ができるとは限らない」
青春の殺人者 デラックス版 (詳細)
長谷川和彦(監督), 水谷豊(俳優), 原田美枝子(俳優), 内田良平(俳優), 市原悦子(俳優), 中上健次(原著)
「超寡作家のデビュー作」「やっと見れました‥」「不惑で初めて観る『青春の殺人者』」「あまりに70年代的、『相棒』ではないヒリヒリした水谷豊が鮮烈」「今でも・・・」
さらば夏の光 (詳細)
吉田喜重(監督), 岡田茉莉子(俳優), 横内正(俳優), 山田正弘(脚本), 長谷川竜生(脚本)
「粒子の粗い光が眩い、各国の町並みが美しい、なぜか忘れられない小品」
● 批判は覚悟。独断と偏見で選ぶ「ゴールデン・ラズベリー賞」 たまには酷評リストもいいでしょう?
● 群像劇の劇映画
● 〓★BEST◆感じる映画/考える映画◆〓映画温泉300選より〓
● 印象に残った映像
● Some German film information
・「待ちわびたDVD化、うれしい」
アルトマンの作品の中では一番好きな映画。
プレタポルテやプレイヤーも捨てがたいですが、やっぱり一番はコレ。なぜこれがDVD化されないのか不思議で仕方がなかったです。BS放送を録画したVHSを何度も観て、レンタル落ちのVHSを買って何度も見ました。
グランドホテル形式をスタイリッシュに仕上げる手腕もさることながら、個性派俳優陣をこれほど見事にまとめきるのは見事の一言。最後のオチのサプライズには唖然としました。(ちなみに、グランドホテル形式を踏襲したという意味では、プレタポルテの始まりに注目です。ホテルの名前が「グラントホテル」でした!!「ひまわり」を知っている人ならマストロヤンニとローレンの絡みは映像以上に笑えるのは必定です。個人的には、驚きのオチもふくめて「マグノリア」に同じ匂いを感じます。)
公開当時、低迷期を乗り切って、群像劇の名手として復活したアルトマンに大拍手でした。アメリカきってのインディペンデント監督アルトマンの死は大変悲しかったです。
長い作品ですが、最後までダレずに観ることのできる傑作。ジャズやブルースに造詣の深いアルトマンらしく(そういう意味では「カンザスシティ」は必見。ジャズバトルのシーンはすごい。有名ジャズメンも多数参加していました。)、OSTもなかなかな良くできています。同時に聞いて欲しいです。
ちなみに、この映画は生涯短編しか書かなかったアメリカの小説家レイモンド・カーヴァーの複数の作品をひとつにまとめあげたもの。村上春樹氏が翻訳した全集が出ています。これもまた味わい深い作品集です。映画を観てからでも是非読んでほしいと思います。
・「アルトマンに脱帽です」
アルトマンがすごいと思うのはザ・プレイヤー同様これだけの数を出演させながらも、みんなそれぞれの個性が出ていて3時間ちょっとを全く飽きさせないんですよね。細かいところを観てるといろんな味付けが隠されていて、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と観るたびにはまる映画です。夫婦っていう日常的な関係の中に隠されてる非日常は、きっと男女ともにいろいろと参考になるはずですよ。
・「祝!発売決定」
「ザ・プレイヤー」で復活したロバート・アルトマン監督の次の作品は得意の群像劇で、前作のカメオ出演とは異なり本当のオールスターキャスト(ベテランのジャック・レモン、前作出演組みのティム・ロビンス、ピーター・ギャラガー、フレッド・ウォード、実力派のジュリアン・ムーア、ロバート・ダウニー・Jr、フランシス・マクドーマンド、ミュージシャンのトム・ウエイツ、ヒューイ・ルイスそしてアンディ・マクダウェル、マデリーン・ストー、ジェニファー・ジャエイソン・リーらの人気女優たち)だった。この後の「プレタポルテ」と合わせて復活アルトマンの傑作オールスター3部作といってもいいぐらい3作とも出来が良かった。やはりこれだけの登場人物を描ききれるのはアルトマン以外にはいません。ヴェネツィア映画祭グランプリのこの作品が今までDVDで発売されなかったのが不思議なくらい。どうせなら特典映像も付けてくれると嬉しかった。
・「アルトマンの、大技、小技、荒技連発」
生前はあまり評価されないまま50歳の生涯を閉じたレイモンド・カーヴァーの何編かの短編小説に相関関係をもたせて同時進行させ、一つの物語(群像劇)として再構築した映画。決して難解な作品ではないが、いくつかのエピソードが複雑に絡み合った状態で語られるため、なかなか頭の中で整理できなかった。 カーヴァーの短編小説は何点か読んでいたが、それが理解の助けになったかどうか疑問だ。各作品の大筋は原作に沿っているものの、一つに括るという制約上若干のアレンジがあったからだ。原作と読み比べてその作品世界がこの映画にどれだけ反映されているかを確かめる行為を楽しめれば、こんなに豊潤で素晴らしい作品はない。それだけの価値は十分にある厚みを持った映画だと思う。 ミニマリストとして知られた作家であるため、その作品世界をスクリーン上に再現するのは至難の業だったことだろう。映画化にあたりいくつもの困難に挑戦し、やってのけたアルトマン監督の手腕たるやとても常人の域ではない。こんな映画をつくってしまってエンディングをどうするのだろうと思っていたら、随分と荒っぽくあっさりとまとめてしまった。これもカーヴァー作品への彼なりのオマージュか。 というわけでとても内容にまで踏み込むことはできないが、私の好きな「ささやかだけど、役にたつこと(レンモンド・カーヴァ傑作集:村上春樹氏訳、中公文庫)」は大小のアレンジを加えられたものの原作のテイストを損わずに再現されていたのが好感できた。ブルース・デービソン、アンディ・マクドゥエルに、原作にはない役どころでジャック・レモンが絶妙な絡みを見せた。もっともエンディングはアルトマンの荒技で台無しにされたが、、、。 おそらくアルトマンにしか創り得ない、他の人には発想することさえ出来ない程の途方もない作品であることは間違いない。一度ならず二度、三度と繰り返し見たい作品だ。
・「ロバート・アルトマン最高傑作」
冒頭、ロサンゼルスの真夜中の住宅地で、ヘリコプターで害虫駆除薬が散布され、そこは異様な時空と化した。普通の人々の愛と憎と葛藤と和解と生と死。このことを一組の家族の日常だけに焦点をあて描いていたなら、きびしい日常の作品となっていた。しかし、複数の家族たちの空間がすれ違い、時間が重なり合うことで、この作品では躍動感が巻き起こり、群像劇の最高傑作となった。そして末尾、ロサンゼルスを大地震が襲い、再び普段通りの住宅地に振り戻された。
・「ドイツ語バージョン求む!!!」
他の方も書かれているように、すばらしい古典映画です。淀川長治さんの解説がついているのも良いです。
ただ、残念なのは英語バージョンだということ。以前テレビで見たドイツ語バージョンは、挿入される字幕も同一の世界観を持った手書き文字だったけれど、英語バージョンは普通の活字。
それから音楽も現代音楽的なものが付けられていて世界観にマッチしていた。英語バージョンの音楽はピアノだけだし、チャップリンの映画みたいに軽妙な感じの音楽でちょっと違うと思う。この点は、もともと無声映画なので、音を消せばよいのか。
とはいえ、すばらしい映画であることに変わりはないです。何回見ても新しい感動があるので、ライブラリーの奥にしまっておくのはもったいない。
・「恐さを求めるより」
この作品は、白黒無声そんな時代だからこそ生まれた最高傑作だと思います。 初めてこの映画を観た時、「えっ!これがホラー」と思いましたが、なんのなんの視点を変えて観てみれば、ドイツ表現主義の頂点と言われるだけありました。 回想シーンからなるこの物語は、コントラストの強い歪んだ書き割りの
セットが、不安定な空間と相反するスピーデーな展開に不思議と調和がとれ、写楽をも感じさせる表現豊かな俳優の表情は、観る者を恐怖へと誘います。
ストーリーはもちろんのこと、アートに興味のある方にはおすすめの作品です。温故知新、この作品には素晴らしい発見と感動があると思います。
・「ホラー映画の原点」
この作品は、おおよそ80年前の無声白黒だからこそ生まれた最高傑作だと思います。
初めて観た時は「えっ!これがホラー」と拍子抜けしましたが、なんのなんの、視点が代わればドイツ表現主義の頂点だけありました。
回想シーンからなる映像は、芸術性の強い書き割りのセットが、
見事なまでに不安定な空間と相反するスピーディーなスーリー展開に不思議と素晴らしく調和し、写楽を感じさせる表現豊かな俳優の目は、観る物を引きつけ恐怖へと誘います。
ストーリーもさることながら、アートに興味のある方は是非に観てもらいたいおすすめの作品です。
・「元祖カルト!、「メトロポリス」に並ぶドイツ表現主義の金字塔」
垂直、ときには水平さえ無視した不安定なセット、不気味なカリガリ博士、眠り男、複数の解釈が可能なエンディング、などなど非常にユニークな要素を含有し、後世の作品、とりわけホラー映画に明らかな影響を与えているケタ外れの怪作だ。 白黒の映像は古色蒼然として経年ダメージも大きいが、それを上回って余りあるユニークさは今日に語り継がれた「伝説の映画」の名にふさわしい。おどろおどろしい演技者たちの表情、階段を多用し不思議な立体感をも併せ持った舞台セットのようなスタジオ、100年近くも前にこんなにも豊かな映像世界が創造されていたのは驚きだ。 ロベルト・ヴィーネ監督は、「メトロポリス」を監督したフリッツ・ラングに代わりこの映画のメガホンを撮り、この一作で映画史上にその名をとどめることとなった。当時のドイツ映画界の芸術水準の高さ、層の厚さを窺わせるエピソードである。ただし後で付けられたものらしいピアノ曲はつや消し、作品世界との明らかな乖離が感じられ違和感があった。 [蛇足] 眠り男チェーザレを演じたコンラート・ファイトは後にハリウッドに渡り、後年には「カサブランカ」でドイツ軍将校役を演じている。ナチスの手から逃れて渡米した彼は、どんな思いでこの役を演じたのだろう。
・「ドイツ表現主義の傑作!…ですが、プリントは無残…」
この作品、ドイツ表現主義の理解によって随分と見所の変わる映画だと思います。乱暴ですが、一応自分の理解に基づいて説明を。表現主義は、端的に言って、見たままを描くのではなく、どう感じたかを主観的に描く表現方法です。ですから、いろいろなものがデフォルメされて描かれているのが特徴といえると思います。この作品は精神病患者の語りを映像化したものですから、精神病患者の不安や恐怖や混乱がどう表現されているか(特に美術)を意識して見ると分かりやすいように思います。
監督はロベルト・ヴィーネですが、もともとはフリッツ・ラングが監督をする予定だったようです。また、脚本はカール・マイヤー、他にもムルナウの「F.W.ムルナウ コレクション/クリティカル・エディション 最後の人」「F.W.ムルナウ コレクション フォーゲルエート城 クリティカル・エディション」「サンライズ クリティカル・エディション」「F.W.ムルナウ コレクション/クリティカル・エディション タルチュフ」などがあり、それぞれ紀伊國屋から素晴らしいプリントでDVD化されています。
IVCらしく、映画は最高ですがプリントは悪いです。紀伊國屋がサイレントをあれほど美しくDVD化している今となっては悲しいくらい。興味のある人は必見の映画ですが、ストレスは覚悟が必要です。
この映画、ホラーの原点というように言われていますが、個人的には少し違う印象を受けました。なにか狂気と哀しみが同居するような怖さというか。それは精神病をモチーフにしているところに鍵があるようです。現実と妄想が入り混じり、どこまでが現実なのか分からなくなるような感覚。映像は古いのですが、全体のスタイルは非常にモダン。カール・ドライヤーの「吸血鬼」、フリッツ・ラングの「フリッツ・ラング コレクション/クリティカル・エディション ドクトル・マブゼ」を強く想起させる映画です。興味があればこちらも是非。
●フリッツ・ラング コレクション/クリティカル・エディション ドクトル・マブゼ
・「ラング、独時代の傑作にして問題作、素晴らしいプリントでした」
フリッツ・ラングの作品群の中で、一番というものは選びにくいですが、「ドクトル・マブゼ」は少なくとも3指の中に入る作品ではないでしょうか。個人的にはアメリカ時代のラングよりもドイツ時代のラングの方が好きですが、ドイツ時代の作品の中でも一番好きな作品です。
まず、プリントですが、紀伊國屋さんのクリティカル・エディションということで、ムルナウ財団の修復プリントを使っているとのことです。サイレントの古い作品であるにもかかわらず、モノクロの古典作品が楽しめる方なら、ほとんどストレスを感じないクオリティです。素晴らしいの一言です。
このDVDで楽しかったのは、本編のみならず特典映像です。ラングの「作品ドクトル・マブゼ」を時代背景やラングが参考にした映画などを紹介しながら多角的に分析しています。なるほどこういう背景があったのか、こんな映画を参考にしてたんだと興味深く見ることができました。一見の価値があるように思います。
ドクトル・マブゼを観ると、「羊たちの沈黙」や「ファイト・クラブ」を思い出します。私よりも映画に造詣のある方々なら、さらに多くの映画の「原型」として見ることができるのではないでしょうか。古典の苦手な方にも是非見てもらいたい作品です。
ちなみに、「怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺言)」はこの作品の続編となっていますが、残念ながら完成度はいま少しのような気がします。ですが、さすがラング、部分部分はハッとするようなところもありますので、気に入ったらこちらも是非見てください。
●フリッツ・ラング コレクション スピオーネ クリティカル・エディション
・「こっそりとフェイバリット」
フリッツ・ラングの名作はメトロポリスにはじまり幾多ありますが、個人的に偏愛しているのがこの「スピオーネ」です。始まりの映像からヴィヴィッドで嬉しくなちゃいます。
プリントですが、紀伊国屋さんのクリティカル・エディションですので、ムルナウ財団の良いものを使っているようです。素晴らしいクォリティです。以前、紀伊国屋さんは別のプリントのものをDVD化していました(現在廃盤で、一時期このDVDはプレミア化していました)。そちらでも十分良かったと思いますが、今回のDVD化ではそのプリントよりも2分ほど長くなっており、プリントの程度も向上していますので、私はこちらをおススメします。特典映像も以前のDVDには入っていませんでしたし、伴奏の音楽もこちらの方が良いように思います。
悪の組織に英国情報部が立ち向かうスパイもので、話の筋が非常に入り組んでいます。登場人物もすごく多いのですが、これがサイレントで素晴らしくまとまっているあたりがすごい。ストーリー展開もジェットコースターに乗っているようなスピード感があって、娯楽として十分楽しめます。リメイクしても十分通用するんじゃないかと思うくらい(よほど力のある監督がやらないとクソミソに言われるに決まっていますが)。
それにしても、勉強不足で浅薄な見方かもしれませんが、この映画を観るとヒッチコックの「北北東に進路を取れ」を思い出します。こちらはこちらで名作中の名作なわけですが、どうも話の展開が重なるように思えてならないのですが…すみません。
・「アルトマンの趣味が暴走」
ロバート・アルトマンといえば、かのヒッチコックに見出され、ジャズやブルースへの造詣が深い映画監督として有名です。この映画はまさにアルトマンの趣味が暴走しています。
映画のストーリーやキャスティングはおいておいて、映画のなかで展開されるジャズ・バトルの凄まじさ。30年代はオールドジャズが全盛でしたから、その熱気を再現して映像に封じ込めています。そこに参加したジャズメンはロン・カーター、ジョシュア・レッドマン、ジェームス・カーター、マーク・ホイットフィールド、クリスチャン・マクブライド、ジェリー・アレンなどなど。一流ジャズメンが勢ぞろいで熱いバトルを繰り広げます。中でもサックスの一騎打ち、あれは歴史に残るレスター・ヤングとコールマン・ホーキンスのバトルを再現したものとのこと。最後のベースデュオの演奏も含めて、凄すぎます。OSTも是非。ちなみに、この映画、アルトマンはジャズのシーンだけを集めた別の映画を作っています。「アルトマンのジャズ」という短編。NHKの衛星で放映された覚えがあります。
キャスティングではジェイソン・リーとハリー・ベラフォンテが忘れられません。凄くいい演技をしています。私はジェイソン・リーが大好きなんですが、あの行儀の悪そうで蓮っ葉な口と目つきがバッチリ役がらにあっていて。ベラフォンテはあの渋い声と存在感で裏のボスを好演していました。
内容は、アルトマンらしいアメリカという国のとらえ方をしているなと思います。M☆A☆S☆Hあたりでベトナム戦争を笑い飛ばしたアルトマン、アメリカ人として自家中毒を起こさず、アメリカ民主主義のいかがわしさや人種の問題をリアルに描いているように思えます(アルトマンが今のアメリカを映画に撮ったら、どんな映画をつくるんだろうか)。
このあたりのアルトマンはグランドホテル形式を洗練させた作品群を発表していて、高い完成度を誇りました。この映画もある意味で群像劇だと思いますが、尺のせいか完成度の高さは感じません。ですが、軽妙でテンポの良いジャズの演奏もあいまって、そのぶんだけ良い意味で分かりやすく面白い作品に仕上がっているように思えます。
この映画が廃盤なのは悲しい限り。「アルトマンのジャズ」を特典映像に、早く再発して欲しいと思います。
・「音楽が熱いです。」
筋書き・出演者もかなり良いのですが、何より音楽! ジャズ好きでなくともきっと感動するはず。アルトマンはこの映画の為に最高の演奏家を集め(ジョシュア・レッドマンとか)、最高のセットを組んで、そこで全曲ライヴ・レコーディングを行ったそうです。当然サントラも必聴。
・「息つくヒマも無い緊張感」
ストローブ=ユイレの作品が続々とDVD化されているわけですが、驚きとともに感激もしています。紀伊國屋という会社はすごいなぁって。
それで、プリントですが、これもまた非常に良い。この作品はモノクロですが、すごく滑らかな映像で文句のつけようがありません。ストローブ=ユイレのシリーズは全て満足のいくクォリティのプリントなので、見るたびに感心します。それに、付属するブックレット、これがまた素晴らしい。詳細にデータをまとめあげていて、一冊の本ですよ、これは。一読の価値があります。やっぱり紀伊國屋はすごい…(私は別に紀伊國屋の社員ではありません)。
シェーンベルクの歌劇を映像化したものだそうで。この歌劇自体が上演されることは非常に機会が少ないらしく、なおかつストローブ=ユイレの作品もこれまで映像化されていなかったわけで。当然私はこのDVDで初体験でした。
見てみて驚きました。強靭な映像で。とんでもない緊張感で最初から最後まで一気に見せます。プリントのせいもあるかもしれませんが、すばらしく美しいモノクロ映像。歌劇を「見詰める」視線が息苦しくもあるくらいです。まさに全てに狂いがない感じ。
ストローブ=ユイレは、基本的に(役者的に)素人を使い、徹底的にリハーサルをして撮影に臨むそうです。そこで厳格な画面構成も決まってくるんでしょう。(そういえば、ブレッソンも素人を使いました。ストローブ=ユイレはブレッソンと小津と溝口を敬愛していたそうです。フレーミングは小津の影響が感じられるでしょうか)。当然、カメラの位置から光のあてかたまで、完全に把握して撮影しているに違いありません。
そうです、そうなんです、全てがきっちりと計算されていて、妥協を許さない空気が流れています。見るほうにも何か覚悟を決めることを要求するような空気。
この緊張感あふれる心地よい映像世界、体験してみて欲しいと思います。ただ、普通の映画をリラックスして見る様にはならないので注意が必要ですけど。
ユイレが06年になくなりました。もう新作が見ることができないのですね。残念です。
●痴人の愛
・「健康的で変態的でスタイリッシュな作品」
増村保造監督、「堕ちていく女」を描かせたら右に出るものがいないマエストロ。東大文学部卒で友人には三島由紀夫(何作か出演)、溝口健二・市川崑両監督の助監督をつとめ、イタリアにも映像留学をしていたとか。
・「大傑作!・・・・しかし・・・・・」
ルノワールの大傑作、もちろんそのことに依存はありませんが、このDVD版、大切なワンカットが削除されております。冒頭近く、マルセル・ダリオがガウンを着たまま部屋の中を移動カメラに向かって歩いてくるシーンがあったはずなのですが、そこが丸々削除されております。そのカットは移動するダリオを中心に据えて、女中さんや執事さんや大勢の人が入れ替わり立ち代り入っては出て行く長回しをワンカットで捕らえたとても驚きのシーンなのです。何故そのカットがないのか不思議です。
・「興行は大失敗」
ゲームの規則は真底から悲劇的な映画で、苦しくて予言的な虐殺のゲームです。ここでは友情さえもが神話的に仕立てられており、ラ・シェスネイがジュリューに向かって共通の友人であるオクターブの事に触れながら
「僕はもう殆ど何も信じていない。でもこれからは友情だけは信じようと思う。」
と打ち明けている丁度その時、当のオクターブは彼らから彼らが愛している女を奪い取る準備をしています。
うつろな骸骨とでも形容すべきこの映画の出演者たちは、五感を強く刺激する死の舞踏を選んでいます。
・「まぁ観てくださいよ。」
単なる批評家ウケのつまんねぇ古典作品だろ?・・・なんて偏見は捨てて下さい。しっかり通俗してます。群像劇はどこに注目したらいいのか解んねぇから嫌いだよなどと仰有る人でも大丈夫。個々のキャラクターがきっちり描き分けられているので観客に過度の集中力を強いることもありません。不当に神棚に奉り上げられてしまっているこの作品を、今こそ民衆の手に!
・「何度見ても素晴らしい」
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・「まぁ観てくださいよ。」
単なる批評家ウケのつまんねぇ古典作品だろ?・・・なんて偏見は捨てて下さい。しっかり通俗してます。群像劇はどこに注目したらいいのか解んねぇから嫌いだよなどと仰有る人でも大丈夫。個々のキャラクターがきっちり描き分けられているので観客に過度の集中力を強いることもありません。不当に神棚に奉り上げられてしまっているこの作品を、今こそ民衆の手に!
・「 乱れ咲くカンカンパワー」
1888年、パリ。上流階級向けのクラブを営むダングラールは、たまたま訪れた下町のキャバレー「白い女王」で踊る娘ニニを見て、カンカン踊りをショーにする計画を思いつく。早速「白い女王」を買い取った彼は、「ムーランルージュ」と名を改めた娯楽の殿堂を作るべく、。真っ先にスカウトされたニニは、カンカン踊りのメインという大役を与えられる。しかし、以前ダングラールの店でスター女優だったローラや、ニニの恋人ポーロ、パトロンでローラをめぐる恋敵でもあるヴァルテール、近東から来た王子など、様々な人物の思惑が入り乱れて、なかなかダングラールの計画は順調に進まない。・・・ 「古き良き時代」の類かと思っていたら、人間関係は意外に複雑。ダングラールとローラは同棲する仲らしいけど、ダングラールは平気でニニや若く才能のある娘に手を出してしまう。ローラも愛人がいながら、ダングラールに見初められたニニへの嫉妬心が物凄い。ニニは、彼氏がいながら渋くてダンディなダングラールに夢中になってしまうし、その彼氏のポーロは嫉妬深くて少々ウザいキャラ。私が個人的に好きなのはニニに思いを寄せるアレクサンドル王子。紳士で優しくて、その上ハンサムでニニを見つめる切ない表情といったら!何度「ニニ、彼にしときなさい」と言いたくなったかわかりません。登場人物全員が絵に描いたように完璧でなく、人間関係がドロドロしているのもリアリティがあっていいかもしれません。 そしてクライマックスのカンカン。さっきまでプライベートの問題で苦しんでいたニニが、大輪の花がぱっと咲いたような笑顔でカンカンを踊りまくる、そのパワーに圧倒されました。映画に登場したほとんどのキャラクターが笑顔で見入るのがわかるほど、見てる方もハッピーにさせてくれます。人生の複雑さ、ショービジネスの厳しさ、そして芸に生きる難しさも織り交ぜた、素敵なエンターテイメントです。
・「ルノワール、まずはこれを推薦します」
ルノワールといえば素晴らしい作品が目白押しなわけですが、どれか1本をと言われれば、私は迷わずこれを推薦します。
ルノワールが第二次大戦中に米に亡命し、ハリウッドのシステムに辟易して仏に帰国した直後に作った作品です。だから、これほど過剰に仏的な香りが充満している傑作なのでしょう。仏に戻ってきた喜びが伝わってくるようです。ルノワールは仏を離れて、仏の素晴らしさを再認識し、もっとも仏らしく自由な雰囲気あふれる作品を作りたかったのではないでしょうか。
プリントはまずまずです。素晴らしく良いとは思えませんが、作品の古さから言えば普通に楽しめます。価格も良心的ですので、満足できる程度と思います。
個人的にはこの映画を観て、ロートレックの作品に多大な影響を受けているのではないかと憶測しています。ルノワールの出自や題材から考えれば、絵画にインスパイアされているのは肯けますし。映画の端々にキャバレーのポスターが映し出されます。コントラストが強く原色が重視された映像(色が平塗りのようです)、それに構図など、まるでデカダンな雰囲気漂わせるロートレックの作品が動き出したようです。
この作品、ルノワール×ギャバン(出身階級の違う二人のジャンはグルメ趣味で生涯良き友だったとのこと)が最後にタッグを組んだ作品です。ギャバンが年をとり、すばらしく渋くダンディな演技を披露しています。彼を抜きにしてダングラール役は考えられません。
それにしても、上流階級の生活と対比させながら庶民の生き生きとした生活を描くスタイルはこの作品でも健在です。上流階級出身のルノワールが、下世話で雑然とした庶民や労働者の生活の中にこそ、リアルな「生」を見出していたのではないかと思いました。
・「サントラ盤が欲しい」
映画自体も素晴らしいが、なんと言っても終わり近くに流れる曲「モンマルトルの丘」(La Complainte de la Butte)が言葉にならないくらい素晴らしい。この映画のために監督のジャン・ルノワールが書いた詞に、ジョルジュ・ヴァン・パリスが曲を付け、そしてコラ・ヴォケールが吹き替えで歌っているものだが、ええもう、シャンソンの歴史における名曲中の名曲です。この映画に使われた音源を単独で手に入れたいのだが(録音時期からしてまだモノラルのはず)、サントラ盤出ないですかねえ。
・「秩序無き乱痴気騒ぎこそルノワール」
後期のルノワールの作品で、愛好家からは最も好まれ純粋主義者たちからは最も評価されなかった映画です。何故ならかなりの部分の削除により均衡を失った過渡的な作品であり、主要な俳優たちはプロダクションから押しつけられたものだったからです。興行的には成功を収めました。しかしルノワールはニニ役にレスリー・キャロンをキャスティングしたかったのでしょう。
・「初期アレンを知るための好企画です」
ウディ・アレンといえば、今や米映画界の良心ともいうべき存在。 反ハリウッドの立場で、いまや余裕綽々でハリウッドも羨む良作を発表し続けています。 (米アカデミー賞ノミネート常連ですが、受賞の際も含めて出席したことがないので有名です。授賞式に出席せず常連のバーでジャズを演奏していたとの逸話があります。)
このBOXはアレンの初期の代表作(?)6作品(主に“ダイアン・キートン期”)をパッケージしたものです。 フィルモグラフィーをみると、この時期の作品を機械的にパッケージしたものではありませんので、ある意味でアレンの成長が理解できるように意図されたBOXなのかもしれません。(付属している小冊子は完結したものではありませんが、補足的でなかなか嬉しかったです。)
アレンがベルイマンに傾倒しているのは有名です。 また、マルクス兄弟やチャップリンからの影響も公言しています。 そういう意味で、アレンが先達達の方法論を拝借しながら、どのように自分の自意識と知性を飼いならし、映画作家として成熟して行ったかということが大変良く分かるようにできていると思います。
異質に見える「インテリア」がどのような過程で生み出されたか、そしてどのように「マンハッタン」ができあがったか、「アニー・ホール」がどのようなプロセスであったか、良く分かりました。(私には「アニー・ホール」は「マンハッタン」のプロトタイプに見えました。)
アレンの過去作品に興味がある人、このBOXからスタートするのがいいかもしれません。「アニー・ホール」や「マンハッタン」が入っているので、普通な意味でも損はしない構成になっていますし。 (※最近、各作品が再販で安くなっていますので、BOXに習って単品で買ってみるのでもいいでしょうし、BOXも安く出回っていますのでそちらで入手するのも良いかと思います。)
・「4000円!」
それほど見返す訳ではないことを知っていても、どうしても買わずにはいられないDVDというものがあるのではないでしょうか。「オープニング・ナイト」は、作品を「所持」したい、そんな欲望をかき立てる作品です。派手な見せ場は皆無です。アクションシーンも洒落た台詞もありません。映画の中で時間は、重く、ゆっくりと流れます。それでもやっぱり素晴らしいのです。結局のところ、この映画は劇場で4000円を取られても満足できるだけの質を持っているのだと思います。
「グロリア」を見て監督が好きになり、「マリ・クレール」の記事を見て、監督夫婦に興味を持ちました。旦那は映画作家=役者で、妻は女優。夫は役者としてどんな駄作でもギャラのために出演し、金をためる。自分の映画を撮影する資金が貯まれば、奥さんを主演にして撮る。妻を主演にしたのは彼女の才能を愛していたこともあったでしょうが、ギャラがいらないということもあったはずです。自宅が撮影場所に使われたことも珍しくなかったそうですから。
この映画は、夫妻が即興演劇を体験したことがベースになっていると聞きました。映画の中で主役の大女優はスランプに陥り、地獄のような苦しみを体験した挙げ句、最後は脚本を無視した演技をすることで、役者として再生を果たすことができます。 最初は退屈かもしれません。ですが、ちょっとだけ(といっても長い時間ですが)我慢してもらえば、後はラストに向かって一気呵成です。マンガ「ガラスの仮面」が好きな人なら、つまり演劇が好きな人なら、まず大丈夫でしょう。夫婦が共に舞台俳優だった強みが出ています。
ですが、映画が本当に好きな人なら、たとえ演劇に興味がないにせよ、絶対に裏切られない作品です。ぜひぜひ、「本物の映画」を体験してみてください。
・「カサヴェテスの最良の成果だと思います」
NYインディペンデントの雄として君臨するジョン・カサヴェテス。俳優として幾多の作品に出演していますが、映画を撮るための資金集めだったそうです。カサヴェテスの精神は、マーティン・スコセッシ、最近ではショーン・ペンなどに受け継がれています。(「シーズ・ソー・ラブリー」はペンが映画化のために買い取ったジョンの遺稿、最終的には息子のニック・カサヴェテスが監督、ペンが主演でした。ジーナもチョイ役で出ています。ジョンへのオマージュを感じる作品です。)
カサヴェテスの作品を初期のものから見てみると、インプロヴィゼーション派と呼ばれる所以が良く分かります。初監督作品から荒削りな『即興ともいえる』演技を映画の中に封じ込めています。この方法論を用いつつストーリー展開に重点を置いて作り出した最高到達点がこの作品だと思います。(個人的にはカサヴェテスの作品の中でも最良のものと思っています。)カサヴェテスはこの作品の前作以降、「こわれゆく女」のような過剰にプライベートな作品から、適度に作風を変えていくように思えます。(そして「グロリア」、「ビッグ・トラブル」に。)この作品、話が入れ子状の構造になっており、彼の映画論を踏まえて分析すればするほど見所の多い映画になっていると思います。
蛇足ですが、個人的にはこの作品を見て、アルモドバルの「オール・アバウト・マイ・マザー」を思い出しました。アルモドバルがこれを観ていたのかもしれません。最初のシチュエーションがそっくりなので、何か関係があるのかと気になりました。<作品>1960 アメリカの影1963 愛の奇跡1968 フェイシズ1970 ハズバンズ1971 ミニーとモスコウィッツ1975 こわれゆく女1976 チャイニーズ・ブッキーを殺した男1978 オープニング・ナイト1980 グロリア1984 ラヴ・ストリームス1986 ビッグ・トラブル
・「駄目駄目」
駄目男と駄目女の恋物語。と書けばありきたりだけど、それをキュートに魅せてくれる映画って実はそうないんじゃないかな。ここに出てくる主役の男女は本当に駄目だし(笑)。でも、キュート。駄目だけどキュートって2005年の今、ジャスト!な気がします。だって、「ちょっと問題のある男女が問題を解決しながら愛を育む」なんて映画、見飽きたでしょ。ほ・ん・と・う・に(笑)駄目な男女が、問題は何一つ解決しないままエンディングを向かえる、この映画。貧乏・弱者に鬼のように厳しく冷たい日本でも、この映画に出てくるような駄目駄目男女に対して、「キュート」と思えるようになればいいなー。なんて思ったりもして。
・「ジョンとニックとペン」
オープニングでビョークの曲が流れると、それだけでOKになってしまいます。
この作品は、ジョン・カサヴェテスの遺稿を映画化したものです。まずはその数奇な運命が何とも興味深い。今やNYインディペンデントの血を引く第一人者ともいえるショーン・ペンが、もともと自分が監督をして映画化するためにこの権利を買ったそうです。ですが、結局、映画の監督をジョンの息子のニック・カサヴェテスに委ね、自分は主演として迫真の演技を披露しました。
中身はジョンの作品群を見ているとなんとも微笑ましく思います。ニックの演出やペンの演技、どれをとってもジョンにオマージュを送っているとしか思えない出来上がりです。途中で、ジーナ・ローランズがチョイ役で出演しているのも嬉しいところ。(ジーナはジョンの公私のパートナー、多くの名作を創りました。)
この映画、公開当時はライト・ペンが可愛くないとかなんとかクレームをつけられていたのを覚えています。ですが、私は十分魅力的で、ラブリーな作品に仕上がっていると思っています。
この作品を足がかりに、ジョン・カサヴェテスの監督作品やショーン・ペンの監督作品がもっと観られるようになると更に嬉しいと思っています。
<ニックの作品>1996 ミルドレッド1997 シーズ・ソー・ラブリー(レビュー書きました)2002 ジョンQ 最後の決断2003 きみに読む物語
<ペンの作品>1991 インディアン・ランナー1995 クロッシング・ガード2001 プレッジ2002 セプテンバー11(オムニバス)2007 イントゥ・ザ・ワイルド
・「トラボルタを好きになっちゃった」
それまで嫌いだったトラボルタを大好きになった思い出の映画です。今度公開のトラボルタ主演「ママの残したラブソング」の試写がよかったので記念にコメントします。
トラボルタの父親役をする姿って、サタデーナイトフィーバーやパルプフィクションからは想像できないと思いますが、とてもカッコイイんですよ!子煩悩をやらせたらもうほんとにキュートなとうちゃんです。ロビン・ライトとショーン・ペンとのコラボレーションで類を見ないクールな大人のラブストーリーになりました。なんでしょう、この鑑賞後の爽快感は。文句なしのお奨め!だけどなぜか見てる人が少ない…もったいない。
ショーンと娘のカワイイ会話、悪態をつきながらも見送るトラボルタ、そして母としても女としてもラブリーなロビンの演じる主人公。心に残る名シーンがたくさんあります。
●フリッツ・ラング コレクション 月世界の女 クリティカル・エディション
・「やっぱり独時代のラングはすごいな、観ておいて損はない」
フリッツ・ラングがSF大作「メトロポリス」、そして「スピオーネ」を撮り、次に手がけたSF大作映画です。独ではその年で最もヒットした映画だったそうです。そのわりに、ラングの映画群の中では評価は低いようです。脚本は「ドクトル・マゼブ」「メトロポリス」「スピオーネ」のハルボウ、主演は「スピオーネ」と同様マウルス×フリッチュです。
プリントの状態は良好です。紀伊國屋さんのクリティカル・エディションですので、ムルナウ財団の復元プリントを使用しています。古典映画を見慣れた方には全くストレスがないと思われます。付属の小冊子の解説はまずまずですが、特典映像は他のCEのDVDに比べると少々食い足りなさを感じました。
内容としては、評価がイマイチであることも分かる気がします。なんとなくストーリー展開が短絡的で、ラング監督らしい人間をえぐるような映画ではないように思います。SF的描写も現在の科学的見地から考えればナンセンスな部分も多いので、そこばかり追えば興ざめするかもしれません。ですが、この映画を作る際には物理学者をアドヴァイザーに迎えていたということもあり、説得力のある描写も多々あります。特にロケットの打ち上げから、ロケットの中での描写はなかなか真に迫ったものがあるように思います。(いかに非現実的な描写でも、当時の学説にそったものになっているようです。月に空気があるということも当時は実しやかな学説があったようです。)
とにかく、欠点はあるものの、独時代のラング監督の力量は凄まじい。これほどの大作をサイレントでダレずに見せきるわけですから。150分なんて今の映画でもダレます。そういう意味では、やっぱり☆5、古典ファンはやっぱり観ておく方がいいんだろうと思います。もしはじめてラングの作品を観るのであれば、他にも超有名作品がありますので、そちらを観てから、この作品を観ることをおススメします
・「F・ラングが描くSF映画」
他のラング監督作品の超ど級大作と比較すれば、落ちる。が素直に見た場合、かなり興味深い作品であることは間違いない。前半の地球のドラマは、月ロケットのセット意外は面白みに欠ける。ロケットそのものも先頭部分以外はミニチュアである。しかし特筆すべきは、月世界のセットである。白砂を一体どれだけ、使用したか見等がつかないが、途方もない量である。まさにその点では空前の規模であろう。
●フリッツ・ラング コレクション 怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺書)
・「10年の時を越えて、ドクトル・マブゼ、恐怖の再来」
この映画は、ラング監督の「M」に続く2作目のトーキーです。独時代最後の作品となりました。当時、独はナチ政権、この映画を独国内で上映禁止に、ラング監督はその後すぐに米国に亡命しました。内容よりも「いわくつき」の作品として、この映画は有名です。ヒトラーやナチの隠喩ともとれるような描写もあり、そういう文脈で理解されることが多いようです。
プリントについては極めて良好です。30年代のモノクロ映像ですが、驚くほどクリアー。オリジナルのネガが存在するようですが損傷が激しいため、程度の良いポジを集め、欠落部分を埋めてオリジナルに限りなく近い形にしたとのことです。オリジナルが122分で、このプリントは121分です。特典映像も非常に興味深かったです。存在する独・仏・米の3バージョンを並べながら、詳細に違いを説明しています。付録の冊子も大変充実しており、背景も含めて随分理解の助けになりました。
内容的には、残念ながら「ドクトル・マブゼ」には及ばないと思います。刑事もののような娯楽的側面が強く感じられました。前作のような邪悪で狂気あふれるテイストが全体的に減退している気がします。それはマブゼが話の中心にいつつも、一貫して存在が曖昧だからではないでしょうか。ですが、マブゼ再演のロッゲとバウム教授演じるベレギが出てくると雰囲気が一変します。ふたりの演技が共鳴しあって、えもいわれぬ狂気が生まれているのです。やっぱりすごいなって思います。話も十分面白い作品ですし、ハッとしたところであの狂気が演出されているわけですから。
この作品、ラング監督の超A級作品に比べれば凄みが足りないことは否めません。ラング監督を始めてみるなら他の超A級から、この作品を観るなら「ドクトル・マブゼ」を観てからにしたほうがいいと思います。ラング・ファンはやっぱり必見だと思います。
・「買って損はないと思います。」
監督、俳優にはもちろん申し分ないですし、オープニングとエンディングの演出は面白いです。作品のテーマが、観る人を選びそうですが、それ以上にストーリー、映像、作品自体がエンターテイメントとしてよく出来ているので、映画が好きな人なら楽しめると思います。最初に見た時は、本筋についていくのに必死になり、作品自体を鑑賞する為に2回映画館に足を運びました。なので、DVDでシークエンス分析など、じっくり楽しみたいです。
・「愛と憎しみが交差する複雑なストーリーです」
映画監督エンリケの所に脚本を持ち込んできた元親友イグナシオを名乗る青年。二人の過去をベースにした内容で、俳優志望のイグナシオはサハラという役を得るためにエンリケに取り入ろうとします。彼は本当にイグナシオなのか、そして彼が持ち込んだ脚本「訪れ」に書かれていることは真実なのか、、、?
・「美しい。」
映画監督を主人公にした、彼の半自伝的な面も感じさせる物語…見終わった後知ってドキドキしてしまいました。半自伝的??
パッケージが物凄く派手だし、タブーが盛り込まれていると聞いていたので、話についていけるか心配だったのですが大丈夫でした。引き込まれました。ミステリアスで、美しく、そしてユーモラス。もう一度見たいと思いました。軽い内容ではないですけれどお勧めします。
某レンタルビデオショップでラブストーリーのコーナーに置かれていました…うーん、ラブストーリーとは少し違うような気がしますけど?
・「素晴らしかった」
久々に、胸を鷲掴みにされた作品でした。「男性同士の愛」や「華麗な女装」「激しい情愛」といった表面的なものではなく、「人生とは、愛とは何ぞや」っていう根本的な部分を、切なくも巧みな展開で投げかけてくれました。劇中劇という演出が、過去の実際の出来事をうまい具合にクロスオーバーさせており、かつ、ミステリーで味付けをした内容にグイグイのめり込みました。フェレ・マルチネスの「静」とガエル君の「動」の対称的な演技が見事でした。
ラスト、それぞれのその後が説明的に出たのが少しガクッ…て感じでしたが、それを補って余りある映画でした。
・「衝撃作です。」
TSUTAYAのラブストーリーのランキングで1位にランクインされていたので何の気なしに借りました。まさか同性愛を扱っているとは思わなかったので最初はその表現の生々しさに驚きましたが、それを補って余りある作品の出来の良さは本当に素晴らしいの一言です。ラブストーリーというよりはミステリーか人間のドラマといった感じだとは思うのですが、ストーリーがとてもいいですし構成も見ていてあきません。特に画面の美しさと出演者の演技の凄さには迫力があり最初から最後まで引き込まれるように見入ってしまいます。終盤になると謎だったことが一気に一つにまとまりミステリーとしての出来もなかなかいいのではないかと思います。ラストは言葉を失うほど切ないですがあとで色々と考えさせられ作品の素晴らしさを徐々に実感していきました。一度ではなく何度も見て欲しい作品です。監督の副音声も聞いてみると更に物語への理解も深まり監督自身の考えも伺えてとても面白いので是非副音声も聞いてください。最後に一つだけ惜しいなと思ったことをあげると、同性愛を扱っていることで作品を敬遠してしまう方がいるということです。作品が素晴らしいだけに同性愛といった表面のことで生理的に見ることが出来ない方が居られるのはとても残念で勿体無い事だと思いました。例え苦手でも、見てみる価値は絶対にあると思うので、この作品に興味を持った方は是非見てみて下さい。
・「村上春樹の空気をつかまえた、透明感あふれる作品です」
「トニー滝谷」は村上春樹の短編を映画化したものです。私は世代の例に漏れず、村上春樹の小説を耽読しながら大人になりました。短編よりも長編の方が好きですが、この作品が入っていた小説も大好きでした。不思議ですが、「トニー滝谷」が一番頭に引っかかっていて、忘れられませんでした。
そうこうしているうちに、市川準監督が映画化するという噂を聞き、公開を待って渋谷の旧ユーロスペースに見にいったことを覚えています。市川監督の、あの静謐ともいえるタッチが、自分のイメージとピッタリだったんです。主演はイッセー尾形と宮沢りえということで、宮沢りえについては違和感がなかったんですが、イッセー尾形は大丈夫だろうか?と疑問に思ったものです。結果から言えば、個人的には良いキャスティングだったと思いました。
村上春樹の作品は、過去にも映画化されていますが、自分の思い入れがあるせいか、いま少ししっくりきませんでした。あの空気感をつかまえて映像化しているのは、この映画がはじめてかなぁと。
映画を観て、この生活感のない透明さはいったいどこからくるのか?と不思議でした。それほど透き通るような印象を残す映画でした。それぞれ演技が淡白で静かなだけではなく、セットも音楽も全てが透き通っているのです。DVD化されて、迷わずに買いました。今でも大のお気に入りの作品です。
今回、やっとスタンダードエディションが発売ということで、ここにレビューを書きましたが、私のもっているのは2枚組みのプレミアム・エディションの方です。映画自体が良いと思うので、値段の問題も考慮してこちらを買うのも良いと思います。ですが、この映画を知っている方や、もう少し秘密を知りたい方は是非プレミアム・エディションの方を購入してください。特典ディスクが秀逸です。この映画の「秘密」が明かされています。私はこれを見て、いろいろと納得しました。
・「優しい雨のような映画。」
雨です、、なぜか自然に、、この映画を、、、部屋の大きな窓を開けて、、窓の近くで観ました。
今日はとても湿度が高く、でも涼しく、でも、涼しい中にも夏へ向かう力というか優しさがあり、大粒の雨が沢山降っていて、雨音が庭の木やデッキにあたる音が、この映画のように心地良かったからです。まるで、映画の空気感に包まれたような静かな優しい一日でした。
坂本龍一のピアノも今日の雨音に合い、ほんとに、映画の中に入ってしまったような感覚でした。別にキリスト教徒ではありませんが、、ピアノ曲が、何故かアベマリアと聞こえます。不思議な充実した一日をありがとう。
雨はまだ、やさしく、降り続けています。
今日の雨は、きっと育みの雨ですね、、、きっと、、、トニー滝谷とあの女性も愛情を育みあうのでしょう。
・「小説と音楽に追随・萎縮した映画」
市川準が監督と知り全く見る気の起こらなかった今作。原作は、今『ノルウェイの森』の映画化が物議を醸しておりますが、映画化されたのはこれと『風の歌を聴け』のみという「容易に画が浮かぶのに容易に描かれない/描けない」物語ばかり書く村上春樹。
結論から言えば、落胆。春樹の小説と教授の音楽に追随しただけの、萎縮した映画にしか思えなかった。
清潔で冷静であるがゆえに、「無菌状態の」虚無や孤独や絶望を湛えた主人公――そんな春樹作品の主人公をイッセー尾形は見事に体現しているし、宮沢りえもまた、「服を着るために生まれてきたような」女を見事に体現している。 紛れも無い日常であるのに現実味を幾分欠いた、「あの」空気感を出すために、教授の音楽に饒舌に語らせ、西島秀俊の味気ない語りによって小説の一節を何度も映画に介入させ、挙句劇中の登場人物にもしゃべらせる。そして映画はトニー滝谷の半生の記憶を、早回しのダイジェストのように、時折屋内にいるのに印象的に吹いている風のように、なぞっていく、だけ。
これを実験的手法といえばそれまでだし、監督の原作への愛が凄い伝わってくるといえばそうなんだろうけども、はっきり言えばそれがどんなにつまらないことかをこの作品は証明してしまった。解釈と再現が、あまりにも乖離してしまっているから。
どうしても原作のファンは怒るんだけど、監督には窮屈な再現に縛られることなく解釈にとことんこだわって欲しい。
・「市川ワールド全開の快作」
正直言って、他のレビューの評価がイマイチなので驚きました。
私は特に内田康夫氏のファンではありません。純粋に市川崑監督のファンですので、原作のことには精通していませんし、市川映画の文脈でしか評価はできません。あくまで原作は原作で、映画は映画ですから。
個人的には、この映画、市川監督のカラーの良く出た良い作品だと思っています。「映画は光と影」という信念を持つ市川監督。まさに面目躍如、素晴らしい陰影の世界を描き出しています。ほの暗い日本家屋、鬱蒼とした森林など、自然光を繊細にとらえた映像が素晴らしいです。
また、市川映画の特徴でもある、何ともいえないユーモアが、主人公の浅見に漂っていて、やはり往年の名作:金田一シリーズのニュアンスが思い出されます。話によると、この作品は角川映画が金田一シリーズの後にシリーズ化を狙っていたものだったようです。残念ながら、なぜか「ファイル1」のみで続編が作られることはなかったようです。私個人としては残念です。続編も是非見てみたかった。出演してる俳優人も、市川映画の常連とも言えるような名脇役が顔を揃えており、なんとも微笑ましく感じました。最後に石坂浩二がチョイ役で出てくるあたりも憎いなぁと。
それにしても、この作品に出てくる能のシーン、出色のできです。能の緊張感あふれる舞がその空気感までもとらえられているように感じます。能など見たことがありませんが、是非見てみたくなりました。
市川監督、亡くなってしまいました。これを機会に、過去の作品も多くの皆様に見ていただけると嬉しいと思います。この作品、一押しとは言いませんが、面白いことは間違いないと思います。
<私の大好きな市川映画>1954億万長者1959野火1959鍵1961黒い十人の女1973股旅1976犬神家の一族2000どら平太
・「よかった…再販されて」
マーケットプレイスで高額で売られていて半分諦めかけていたところに再販 さらに廉価版ときて 即買いました 内容は金田一耕助が浅見光彦に代わっただけ というぐらいに 過去の金田一シリーズと雰囲気が変わりませんが 加藤武さんの元気な「ようし わかった!」見れる最後の作品でしょう(八つ墓村と新犬神は元気なかったから…)
●F.W.ムルナウ コレクション/クリティカル・エディション 吸血鬼ノスフェラートゥ 恐怖の交響曲
・「プリントの美しさに感激、少々高くてもこのDVDがベターではないでしょうか」
私は、製作された時代を考慮して、ストレスの強いIVC盤がマシなほうなんだろう思っていました。だけど、暗い画面、狭い視野、激しい雨降り、名作中の名作がこれほど酷い状態とは無念というほかありませんでした。
映画自体については語りつくされているわけで、私のような若輩者が議論する余地もありません。
問題はこのDVDのプリントについてです。プリントについては、違う評価もありますが、個人的にはこれほどストレスがないプリントが存在していたこと自体に驚きました。紀伊國屋のクリティカル・エディションですので、独のムルナウ財団の修復プリントを使ったDVDです。この独ムルナウ財団の所蔵するプリントは、独が国を挙げて文化的遺産を修復した成果といえるようです。最近では、フリッツ・ラング監督の映画もここのプリントを使って続々とDVD化されており、どれもクオリティの高いものになっています。ノスフェラートゥも例に漏れず、IVC盤とはレベルの違ったプリントとなっています。世界から程度の良いプリントを集めて、更にデジタル補正を行ったもの。これほど古い映画ですから、少々の傷が残っているのは当然のことですが、古典を見慣れた人なら全くストレスを感じない素晴らしいプリントになっていると言って良いのではないでしょうか。少なくともIVC盤との比較は意味がないように思います。値段としては当然高価ですので、そこを考慮して他のDVDから入るのもいいと思いますが、古い映画を適当に観ていて、プリントを選ぶ意識がある方なら、このDVDの値段は決して高くないと思います。
今まさに、生まれたばかりの映像を観ているような気もするくらいで。
いくつか個人的な感想を。1)中間字幕は欠損のある部分について違和感があります。2)音楽はプレミアのときのものということですが、素晴らしく美しい。3)特典映像と付録の冊子は充実していて大変嬉しかったです。
・「値は張るが」
¥500程のDVDが発売されている作品だが、デジタル補正された画像は美しく、それらとは全く次元の違うレベル。気になる雨降りも殆ど無く、がたつきも最少に押さえられている更に、公開当時の着色が復刻され、かなり観易くなっている。値は張るが、ノスフェラートゥを買うならこの一枚を奨める。
・「IVC版ので充分」
「メトロポリス」の時と比較すると画質のクリアさは感じなかった。 フィルムの傷も残っている。字幕も気になる点がある。本編に入る前の冒頭の解説字幕、「やけに早い」と思ったら、本線の字幕と字幕の間に、後に入るべき字幕が差し込まれてるようで、解説の最後のカットに字幕がない。 これでこの価格は少し悔いが残る。安いが出回っている時代、高い普通以下もどうかと思う。私ならIVC版を買うだろう。
●グリード
・「狂気の監督シュトロハイム、あまりに恐ろしすぎる「強欲」」
シュトロハイムと言えばサイレント時代から活躍している人物。名作「大いなる幻影」や「サンセット大通り」に出演している俳優として有名です。後半は俳優しかしていないわけで、よほど興味がある人以外は彼が監督をした作品を観ようと思わないのかもしれません。
個人的には、シュトロハイムはサイレント時代屈指の監督だと思っています。当然だ!と叱られるかもしれませんが、他の大監督の作品群が結構DVD化されているのに、シュトロハイムの監督作品は代表作「愚なる妻」と「グリード」のみしかDVD化されていません。シュトロハイムの監督作品はどうやら8本ほどあり、ほとんどが日本でも公開されていたようです。是非どこかでDVD化してもらいたい(紀伊國屋さーん、お願いできませんか?)。
さて、この「グリード」、とんでもない作品です。
だいたい、完成時は9時間あったらしく、映画会社に強制されて100分まで短縮。オリジナルは当然見ることができません。事実上、この作品でシュトロハイムは干されたとのこと。この作品に「狂気の」とか「呪われた」とかいう言葉がつくのはそのせい。
人間の臓腑をえぐるようなテーマ性と描写。最後の砂漠でのシーンは、人間の荒涼とした欲望を、ドライにかつリアルに、そしてシビアに表現しているように思います。これほど救いのない映画、凄まじいまでのリアリズムに貫かれたサイレント映画は、他に知りません。一番好きなサイレントは?と聞かれたら迷いますが、一番凄まじい映画は?と聞かれたら、間違いなくコレを挙げます。
さて、これほどの映画なのですが、やってくれています、IVC。酷すぎるプリント。まさに救いがない。本当は、サイレントのファン以外にも見てもらいたいと推薦したいところなのですが、何しろストレスが大きすぎます。作品自体は最高ですから、観るときには状態を覚悟して観てください。見る価値はあると思います。
●鍵
・「隠微でいて、どこかポップで笑える、大映テイスト炸裂」
この作品は、かの有名な谷崎潤一郎の「鍵」が原作です。これが映画化されるのは59年のこの作品を筆頭に、74年神代辰巳、83年木俣堯喬、84年ジョヴァンニ・ティント・ブラス、97年池田敏春と数えること五度。それぞれDVD化されているので、見比べてみるのも一興かと。
この作品、市川監督の大映時代の代表作の一本と言えるかもしれません。カンヌ映画祭で審査員賞を獲得しています。撮影は宮川一夫氏、素晴らしく陰影に富んだ作品に仕上がっています。
原作が谷崎潤一郎ですから、当然、隠微なお話なわけですが、市川カラーが全然負けていないのが面白いです。同じ谷崎映画でも、増村保蔵の「卍」あたりと比べてみると一目瞭然です。自然光の薄暗いなかで展開される倒錯の世界は隠微極まりないわけですが、大映時代の市川監督のポップさ、それに随所に仕込まれた(ニヤリと笑える)笑いが、独特の感覚を生み出しています。
中村鴈治郎、京マチ子、仲代達也らのとぼけたキャスティング、独特のテンポを持った台詞のやり取り、性交を機関車で例えるセンス、市川テイスト炸裂です。
大映時代の市川監督の作品、私は大好きです。他にも廉価で沢山出ているので、コレを気に入った方は他の作品も観てみて欲しいと思います。
それにしても、市川監督の作品は、どうしてプリントがイマイチなんでしょうか。この作品も酷いとは言えませんが、クリアではないように感じます。他の作品も、音に難があったり、大きなキズあったり。つい先日物故した日本の巨匠に敬意を表して、良いプリントで全て再発を希望します。
<大映時代の市川映画>◎○は私のお気に入り56日本橋〇56処刑の部屋57満員電車◎57穴◎58炎上◎59野火◎59あなたと私の合言葉〇59鍵◎60おとうと◎60ぼんち〇61黒い十人の女◎62私は二歳〇62破戒63雪之丞変化64ど根性物語 銭の踊り
・「すうっと遠ざかって行く霊柩車の演出!」
市川崑監督の映画はとにかく面白い。脚本、カメラ、役者の3本柱がいつもしっかりそろっているからではなかろうか。この映画では、冒頭いきなりカメラに向かって話す、仲代達矢の気のぬけたような、とぼけた演技で始まる。伝統的な佇まいの狭い日本家屋・・光と影のコントラストがくっきり強調された照明・・古画調ながら鮮やかな色彩・・あらゆる角度から対象を捉えるカメラ視線。そして、冷静な打算と愛欲の炎を静かに燃やす、人妻京マチ子の熟した裸体。酒に酔った妻の裸体を密かに撮影して、回春をたくらむ老いた夫。冷笑的で思いつめやすい娘。飄々として小さな野心を抱く医者の卵仲代達矢。「事件」の重要な鍵となる北林安榮のボケ気味の女中。
このようにすべてがそろってるからこそ、音もなくすうっと浮遊していくように遠ざかって行く霊柩車の場面がとても活きてくるのだ。
・「愛すべきフランス映画、トリュフォーの匂いにクラクラ」
話には聞いていましたが、未見だった「とらんぷ譚」が見ることができて嬉しいです。またもや紀伊國屋さんに感謝。
サシャ・ギトリについてはあまり詳しくは知りませんが、生涯で34本の映画を監督したとのことです。フランスでは著名で、とらんぷ譚は大変愛されている作品だそうです。現在、日本で入手可能な作品はこの作品とVHSで「ナポレオン」(廃盤)だけのようです。
プリントについて。作品の性格から言って、クリティカル・エディションに取り上げられても不思議はないように思いますが、そうはなっていません。視聴してみて、クォリティがそこまでではないからかと思いました。全体的な程度は中の上程度でストレスは感じませんが、時々大きなキズがあり、そこは修復困難だろうと感じられました。デジタル処理しているようにも感じないので、普通の古典映画のDVDの範疇を越えない程度です。
個人的な感想からいえば、猛烈にトリュフォーの匂いがしました。というか、トリュフォーがギトリの匂いがしたんでしょうけど。裏の解説にもありましたが、この作品はヌーヴェルヴァーグへの影響が強かったようです。前半の子どもを巡る描写は、トリュフォーそのものと思えるくらい。「大人はわかってくれない」(☆5)や「トリュフォーの思春期」(☆5)あたりを強く想起させます。それと、驚いたのはパトリス・ルコントの「橋の上の娘」(☆5)。途中の元妻とルーレットに関するプロットや建物を見上げる動的なショット、全くこの作品と同じ。とらんぷ譚の影響の大きさを感じました。
特典映像については、サシャ・ギトリという人物自体が分かっていない自分には、大変興味深い内容でした。日本ではあまり紹介されていない監督なので、理解の助けになることは間違いないと思います。
・「やっと見れる!」
夢にまで見たギトリの「とらんぷ譚」。ヌーヴェル・ヴァーグに興味がある方だけでなく、シネフィルは必見です!フランソワ・トリュフォーやジャン・ユスターシュにも影響を与えたナレーションの妙技に酔いしれましょう。日本でソフト化されていたのは「ナポレオン」(シュトロハイムがベートーヴェン役で出ていましたね)ぐらいだったので、これほどうれしいニュースはありません!他のギトリ作品もリリースしてください。ついでにマルセル・パニョルの「パン屋の女房」も。
・「サイレント映画の極北 世紀のヒロイン、ルル=L.ブルックス」
サイレント時代の映画を見る機会は今日ではまずなくなっていますが、歴史に埋もれた傑作・怪作・娯楽作が大量に存在します。その最末期に作られた恐るべき作品がこの『パンドラの匣』です。原作自体有名な戯曲なのだそうですが、主人公のルルに扮したルイーズ・ブルックスが奇蹟とも言うべき絶妙な配役で、全体の印象を大きく変えました。妖婦であるルルに天真爛漫なイメージを持たせたいとパプスト監督が彼女を抜擢。世紀のヒロインはこうして完成したのです。心のままに奔放に行動しているだけなのに周りの男達を零落させていくまさにパンドラ。いまだに「スクリーンの中の美女ベスト10」的なもので彼女が選出されるのもうなずけるのです。 1929年、レンテンマルクが紙くずのようになった世界恐慌下のドイツで作られたこの映画、異様な迫力で我々の感性を鷲づかみにします。賭博に妄執するアルヴァ、レズビアンの女性に言い寄る曲芸師とその殺害、自殺を強要されたルルと背後に歪んで映る祈りの像、等々、ぶちのめされるような強烈な画面が飛び込んできて、そして全く救いようのない結末。ルルの笑顔はどこまでも優しく美しく妖艶で聖母のようです。しかし彼女は…。 映画の始原であったサイレント映画には、映画的表現の極北とも言うべき傑作が数々存在するのです。間違いなくこの『パンドラの匣』はその一角を占めています。何かもの凄いものを見たい人も、これぞ美女という人物を知りたい人も、光と影の芸術である映像表現の一典型を学びたい人も、この映画を是非見て下さい。一生忘れられない体験になることでしょう。〈追伸〉知る人ぞ知る、リバプール出身のバンド、Lotus Eatersの“It Hurts”のビデオクリップにこの映画のルルの映像がフューチャーされています。これが私の『パンドラの匣』初体験でした。華々しく散ったLotus Eatersへの思いも重なって忘れられないのです。
・「アメリカから来たファムファタール、ルイーズ・ブルックス」
この作品が紀伊國屋クリティカル・エディション、それも第一弾と聞いて納得した覚えがあります。サイレントの名画の中でも独特の存在感を放っています。映画の評価は、監督よりもむしろルイーズ・ブルックスに与えられているように思えます。妖艶な風貌と演技に魅惑された男性は古今東西を問わないようです。彼女の作品でDVD化されているのは他2作しかありません。1931民衆の敵1936間奏曲残念ながら、彼女の良いときを収めた作品は、パンドラの箱以外にはソフト化されていないようです。
プリントの状態は良好です。1997年にドイツ国営第二放送が修復し、伴奏はファスビンダー作品で知られるペーア・ラーベンに委嘱されています。DVD化に際して、フランスで更に補正・修復がされています。残念ながら同シリーズのラング監督の映画群に比べると質は落ちる気がしますが、古い映画だと思えば、すばらしい状態であることは違いありません。
この映画の公開された1930年といえば、「嘆きの天使」も公開されています。嘆きの天使といえば、やはりマレーネ・デートリッヒです。デートリッヒが独から米に渡ったのに対して、ルイーズは米から独に渡りました。ふたりとも1930年の役柄はファムファタールそのもの。当時は米よりも独の女性の方が進んでいて、そういう女性が持て囃されたそうです。言わば、デートリッヒもルイーズも、そういう女性像の代表格だったものと思われます。
個人的には、最初にルルが踊る場面が強烈に脳裏に焼きついています。自由奔放に、華麗に踊りまくる彼女の姿は、儚くもあり、美しくもあり。役柄のルル、そしてルイーズ本人の生き様を象徴しているようで。
ちなみに、特典映像「ルルを探して」は大変良くできています。不世出の女優ルイーズの生涯がコンパクトにまとめられていて、無知な私には大変興味深かったです
・「クリティカル・エディション」
ドイツ・サイレント映画末期の傑作がクリティカル・エディションで登場!これからもこのクリティカル・エディションシリーズ、まだ観ぬ傑作をどんどん出して欲しい。
・「天才が集まっても、お金持ちであっても、良い家族ができるとは限らない」
ウェス・アンダーソンはこの作品で天才であることを証明したように思えました。強烈に思い出したのは、ジョン・アーヴィングの「ホテル・ニューハンプシャー」です。個性的な俳優陣、独特の設定とぎこちない話の展開、そして計算された映像。全てがパズルのようにはまって、誰も真似できないアンダーソン印の映画になっています。忘れてならないのは、この映画のサウンド・トラック。一貫して流れ続ける音楽の数々は、アンダーソンの映画、そしてテネンバウムの摩訶不思議さにぴったりで万華鏡のよう。少々ソフトなロックが何とも言えない空気を生み出していました。
テネンバウム家の一族を演じる俳優は個性派ぞろい。ロイヤル演じるハックマンは、ある意味で新境地を感じさせる素晴らしい演技。ただ、個人的には、パルトロウの快(怪?)演には驚かされました。驚いただけではなく、ベスト・アクトと言ってもいいのではないかと。過去の役柄とは違い、味で勝負、そして堂々と演じきっています。ちょうど一番美しいとき。それが、こういう形で俳優として花開くというのは理想的であるようにすら感じました。
当時、少々アングラな若手監督がドンドン出てきて、素晴らしい作品を発表していたことを思い出します。同時期に見たもので思い出すと、トッド・ソロンズ「ハピネス」、ポール・トーマス・アンダーソン「マグノリア」、ファレリー兄弟「メリーに首ったけ」あたり。どれも話題になりましたが、それまでの王道米映画の潮流からは外れているものばかり。個人的に、これからの米映画に随分期待したことを思い出しました。
アンダーソンは「ダージリン急行」が新作で来ています。最高です。<ウェス・アンダーソンの作品>96アンソニーのハッピー・モーテル98天才マックスの世界01ロイヤル・テネンバウム04ライフ・アクアティック05イルカとクジラ07ホテル・シュヴァリエ07ダージリン急行
・「超寡作家のデビュー作」
知る人ぞ知る、超寡作家のモンスター監督長谷川和彦のショッキングなデビュー作です。少し前に再発された「太陽を盗んだ男」が話題になりそちらの方が有名ですが、その「太陽」の後半部のような突き抜けた笑いは一切なく、いかにも70年代なダークな展開、演出で貫かれています。
しかしながら、この監督独特のシュールな味付けが、ダークな激情と渾然一体となり、絶妙ないびつさを醸し出しています。そこに水谷豊というライトなイメージの俳優を主演に当てることで、そのいびつさをさらに増し、この上ない芸術映画(娯楽映画)として成り立たせている傑作です。
・「やっと見れました‥」
30ン年水谷サンのファンですがこの作品だけなかなか見れるチャンスがありませんでした(子供だったし今と違って家庭用ビデオやレンタル店無くTVで放映されなさそうな作品だったもの‥)今回のDVDでやっと念願が叶いました。大好きな作品になり一人で何回も見てしまいます。40代のオバチャンになって初めて見たのが良かったのかも‥それでも衝撃的でキャベツ見ると恐くなり原田サンの「じゅんちゃ〜ぁん」や市原サンの「痛くしないで」の声が数日頭から離れませんでした。水谷豊&市原悦子にシビレます。破滅的な役の水谷サンはたまりません。『杉下右京』が水谷豊とおっしゃる方‥この水谷豊にかつて魅せられた若者がたくさんいたことも知っててもらえたらなぁ‥と思います。
・「不惑で初めて観る『青春の殺人者』」
再販されたDVDで初めて観る。
まだ親が「親らしい」、子が「子らしい」時代に、「子らしい」子である主人公は馬鹿正直にも両親殺しという過剰な形で親離れをしようとする。しかも最後にはその原因となった恋人すらも放棄してしまうのだから、ストーリー的には救いがない暗く鬱な映画。いろいろな意味でリメイクは不可能でしょう(笑)
それでも個々の心理を丹念に捉えようとした田村孟の緻密なシナリオと、それを忠実に再現しようとする長谷川和彦監督のパワフルな演出、不安定な気持ちで揺れ動く青年役を見事に演じきった水谷豊や市原悦子の怪演によって、一見無軌道な主人公の行動や母親の支離滅裂な言動も十分説得力がある、実に丁寧に作られた映画ともいえる。
ラストシーン、バックにゴダイゴの穏やかで優しい名曲『It's good to be home again』が流れる中、主人公を載せたトラックを追いかけていたカメラの視座が段々と遅くなり、やがては止まってその姿を見失ってしまった時、不意に目頭が熱くなった。
それは子として決然と親から離れることもなく、親離れしてゆく子を持つでもない、中途半端に置き去りになった自分そのものに重ね合わせたからなのだろうが。不惑のオヤジが自己憐憫の涙というのも恥ずかしいけれど、この映画はそういう見方もできるということで。
・「あまりに70年代的、『相棒』ではないヒリヒリした水谷豊が鮮烈」
水谷豊は、私の子どもの頃からのヒーローでした。熱中時代の彼の姿が忘れられなくて。あの青臭さ、少しつんのめるような話し方、今では想像できないカッコよさだった。
この映画、原美枝子が新人で大抜擢され、大胆なヌードを披露しつつ体当たりの役柄を演じています。それはそれで話題になるとは思いますが、個人的にはやはり水谷豊の熱演が素晴らしいと思います。何しろ青い。とんがりまくっています。70年代から行き場を失って焦燥感を募らせる若者を象徴するように、全ての欲望を暴発させまくる姿は、あまりに鮮烈です。
長谷川和彦は天才と呼ばれた映画監督。寡作の人として知られますが、寡作というよりも実際にはこの映画と「太陽を盗んだ男」しか作っていません。しかし、この二作を見ただけでも、天才という肩書きは決して偽りではないと感じます。
この映画の後に発生した『金属バット事件』、またその後に顕著になる核家族化と親子関係のいびつな変形(マザコン、ファザコン、子離れできない親)、それら諸々の問題を予見していたという意味でもトンでもない映画のように思います。(個人的には、この映画の後を継いだのは「家族ゲーム」ではないかと感じていますが。)
このDVDが再販されることは、大変意味があると思います。これまで長らく入手困難でした。ATG映画は日本映画の流れの中では避けて通れません。日本の古い映画は、海外の(米の)映画に比べて省みられることが少ないように思います。こういう日本映画を多くの人に観てもらいたい。(ただ、相当ハードな場面ややり取りが出てきますので、万人、特に子どもにはおススメしません。映画の好きな真面目な人に是非観て欲しいと思います。)
<長谷川氏関連作品>74宵待草 脚本(神代辰巳)74青春の蹉跌 脚本(神代辰巳)76青春の殺人者 監督79太陽を盗んだ男 監督84逆噴射家族 製作(石井聰互)91夢二 出演(鈴木清順)
・「今でも・・・」
雰囲気は70年代だが、内容は今でも起こりうるかもしれない傑作だ。とにかく画面に力があるし、若き日の水谷豊、原田美枝子の演技にはびっくりする。是非132分完全版とボカシ無しの本作品を見てみたい。それに原田美枝子が高校生時での度胸と身体には、大女優のかけらが見られた。余談だが、制作で参加している平山監督は、「OUT」で原田美枝子を起用し、ばらばら殺人の風刺コメディーを作っている。
・「粒子の粗い光が眩い、各国の町並みが美しい、なぜか忘れられない小品」
吉田喜重監督といえば松竹ヌーベルバーグ。個人的には、吉田喜重監督が一番好きで、作品の出来不出来の波が少ないように思います。よい意味で、どれを見ても一見して吉田印の緊張感は維持されています。
この作品は、BOXでは「性と政治の季節」と名づけられ、一連の名作群「エロス+虐殺」「煉獄エロイカ」「告白的女優論」に発展していく直前の時期のもの。他が余りに傑作の名をほしいままにしている一方、この作品だけはスルーされている感じです。
製作される経緯は、某有名航空会社が旅行のアピールを目的に、世界各国を移動して回ることを条件に、吉田監督に依頼したのだそうです。クルーも数名、俳優は2名という、極めて小編成で作られています。脚本も、行った先々で吉田監督が即興で考えていたようです。見てみると、作りこまれた完成度の高さは感じません。ですが、いい意味で吉田監督の他の作品にはないリアルさというか、勢いみたいなものが感じられて気に入っています。
吉田監督といえば、グルグル回るカメラ、無機質な映像、熟語重視の台詞、美しい逆光が印象的です。ですが、あのモノクロ映画で極められた映像的な特質を、カラーで再現できている作品があるかといえばちょっと思い出せません。個人的には、この映画の光の粒子の粗さや、世界各国の町並みのとらえ方が唯一うまくいっているものではないかと感じています。
全然見当違いかもしれませんが、吉田監督の醒めた映像を見るたびに、コルビュジエの白の時代とアントニオーニ監督の愛の不毛の時期を思い出します。この映画もアントニオーニ監督の映画のように男女が彷徨うんですが。
この作品、有名作品ではありませんが、なんとなく忘れられない小品です。肩肘を張って「煉獄エロイ