クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050)) (詳細)
E.L.カニグズバーグ(著), 松永 ふみ子(著), E.L. Konigsburg(著)
「12才に絶対読んで欲しい等身大の冒険物語」「この年頃にしか出来ない冒険ってあるのです」「知的で、オシャレな児童文学」「まず松永訳のこの作品から」「メトロポリタンミュージアム」
三四郎 (新潮文庫) (詳細)
夏目 漱石(著)
「青春の思い出」「2 stray sheep」「絵画的小説」「普通の人々のリアリズム」「私にとって最高の小説の一つ」
星の王子さま (詳細)
アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ(著), Antoine De Saint Exup´ery(著), 池沢 夏樹(著)
「理解しやすかった」「”星の王子さま”にはじめてふれて...」「高級感があっておしゃれな本」「読めた」「うーん。」
奇才ヘンリー・シュガーの物語ロアルド・ダールコレクション(7) (詳細)
ロアルド・ダール(著), Roald Dahl(著), 柳瀬 尚紀(著), 山本 容子(著)
「短編集は採点しながら読むのも手です。」
ピーター・パン イン スカーレット (詳細)
ジェラルディン・マコックラン(著), こだま ともこ(翻訳)
「ピーター・パンを超えられる?」「つまらない… 」
縁切り神社 (幻冬舎文庫) (詳細)
田口 ランディ(著)
「現実的なので弱っているときには読み控えましょう」「夜と月と波」「素朴で大切な想い。」「リアルな想い」「前向きで清々しい短編集」
いちばん初めにあった海 (角川文庫) (詳細)
加納 朋子(著)
「こころ救われる物語」「女は必読!!」「心の彷徨い・・・海に漂う記憶」「ほろりと感動しました」「書き出しだけで美しく悲しい物語が予見できる」
知っておきたい日本の仏教 (角川ソフィア文庫) (詳細)
武光 誠(著)
「最初の1冊としてはまあまあでは」
「美しく悲しい物語」「駒子さんしかいない」「表紙から物語は始まる。」「儚くも美しい大人のための絵本。」「ただものじゃないセンス!」
白いねこ (詳細)
オーノワ夫人(著), こみね ゆら(著), Madame d' (Marie-Catherine) Aulnoy(著)
「猫のお姫様」
アニメ絵本―金色のクジラ (アニメ絵本) (詳細)
岸川 悦子(著)
湖が青く輝くとき (詳細)
ユッタ トライバー(著), Jutta Treiber(原著), 平野 卿子(翻訳)
ピーター・パン (岩波少年文庫) (詳細)
J.M. バリ(著), J.M. Barrie(著), 厨川 圭子(著), James Matthew Barrie(著)
「ディズニー版「ピーター・パン」に毒されている方には是非!」
西の魔女が死んだ (新潮文庫) (詳細)
梨木 香歩(著)
「久々に胸打たれた素晴らしい本です」「大切なことを軽やかに教えてくれる」「14歳からの哲学がすべて織り込まれているようなメルヘン」「私の心に一生残る本です」「オズの魔法使いかと思った」
A2Z (講談社文庫) (詳細)
山田 詠美(著)
「絶対に失いたくない人。」「美学ある大人のワガママ」「心がコトコト」「一番近い小説」「恋愛も、結婚も」
11文字の殺人 (光文社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)
「転換を遂げた5作目」「無人島より殺意をこめて」「深いです」「要求と代償の相対性」「二時間サスペンス風の作品」
ネバーランド (集英社文庫) (詳細)
恩田 陸(著)
「もう一度高校生活がしたくなる一冊」「ちょっと珍しいかも」「面白かった~!!」「高校生に戻りたい!」「読んで考えさせられた、秀作と思う」
パイロットフィッシュ (角川文庫) (詳細)
大崎 善生(著)
「共感し、救われる。」「透明感あふれる小説」「泣けました。」「しみじみとイイ本だぁ!」「一晩の記憶の旅はいかがでしょう。」
精霊の守り人 (新潮文庫) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「とっても面白く味わい深い作品でした」「やっときた日本人によるファンタジー」「おすすめ!」「新たな発見」「すでに3度目の出版になりますが、」
狐笛のかなた (新潮文庫) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「伝奇とファンタジーの中間点」「ラストシーンがとても素晴らしかった!」「哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語」「一途でけなげな愛」「剣と魔法のファンタジーの王道」
三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫) (詳細)
吉川 英治(著)
「不朽の名作の序章!」「三国志を最初に読む本として最適です!!」「日本人の心の琴線に触れる美しい風景描写」「三国志」「ロマンの原点」
なつのひかり (集英社文庫) (詳細)
江國 香織(著)
「この小説について」「思い出の大切さ。」「素晴らしい作品」「大好きです。この作品から江國香織が好きになりました。」「現実と不思議なファンタジーが織りなす物語」
99%の誘拐 (講談社文庫) (詳細)
岡嶋 二人(著)
「岡嶋二人を再評価させる疾走感」「二つの誘拐事件ー20年間の恨みを込めた執念の復讐劇」「面白かった~」「仙台乳児誘拐事件」「久々に面白い本でした」
「スケールが大きく、幻想的なのに描写がリアル」「実話の交じった秀逸の描写力。大戦前の上海を舞台にしたせつなくも逞しい愛の物語」「貴子じゃないよね…」「人の近さと螺旋をつくる営み」「最果てへ」
祖父の戦争 (幻冬舎文庫) (詳細)
早坂 隆(著)
・「12才に絶対読んで欲しい等身大の冒険物語」
作者カニグスバーグさんは12才にこだわっている。その理由は「まだ大人ではない、けれどもう子供ではないことを大人に認めて欲しい年齢」だからだという。だから、精巧に組み立てられた物語に彼らを登場させて、大人顔負けの行動力を発揮させ、少し複雑な胸の内を語らせる。この物語の主人公クローディアも12才。締まり屋の弟ジェイミーを巻き込んで、汚くてみじめではない家出を計画する。彼女の本当の願いは「今までとは違う自分になって家に帰ること」、それは思いがけない方法でかなえられることになる。
30年以上前に書かれた物語だが今読んでも新鮮そのもの、大人が読んでもわくわくするし、こんな結末は誰にも予想できないはずだ。残念なことに、私がこの物語を知ったのは彼らの両親の年齢になってからだが、12才の頃この本を手にしていたら、もっと愉快で自由闊達な10代を過ごせたかもしれないと思う。
12才をめぐるさまざまな事件が社会を騒然とさせている今こそ、彼らにこんな等身大の冒険物語を読んで欲しいと思う。きっと興味を持ってもらえると思うし、2人を応援したくなるだろう。めくるめくファンタジーはもちろん読んで楽しいけれど、魔法や呪文を使わずに自分の願いをかなえる方法を考えるのはもっと楽しいことだから。
・「この年頃にしか出来ない冒険ってあるのです」
1968年ニューベリー賞受賞作品。なんとこの年は、ひとりの著者の2冊の本(もう1冊は「魔女ジェニファとわたし」)が同賞を争ったとのこと。
理屈抜きで大好きです。子供の頃から何度も何度も、それはもう舐めるように(笑)読み返したものです。今は読み終える度に、とても幸せな気分になりつつも
「クローディアと同じ12歳にはもう戻れないんだなあ…」などと、既に大人になってしまった自分を切なくも感じたり。
クローディアとジェイミーは、この物語が終わった後も“あの秘密”をずっと守り続けることが出来たのでしょうか…?
(既にどなたか書いてらっしゃいますが)
NHK「みんなのうた」で、大貫妙子さんが歌う『メトロポリタン美術館』はこの物語をモチーフに作られました。
・「知的で、オシャレな児童文学」
数多くある児童文学の傑作の中でも、この作品は、最も都会的で、知性的で、かつ、オシャレな作品ではないかと思っています。都会のど真ん中でもこんなにも素敵で、わくわくすることが出来る冒険(?)を展開することができるんだという夢(アイディア)を与えてくれた。そのことだけでも、十二分に価値ある作品なのに、この物語はそれだけでは終わりません。この作品には、12歳の少女が持っている特別の輝きと同時に、大人の女性の熟成されたテイストも見事に閉じ込められており、おまけに、もっと素敵なミステリー(秘密)まで読者に与えてくれるのです。E.L.カニグズバーグの作品は日本にもいっぱい紹介されているのですが、どれか1冊だけということなら、間違いなくこの作品だと思います。・・・ 蛇足になるかもしれませんが、『クローディアと貴婦人』というタイトルで映画化もされており、往年の名女優イングリット・バーグマンが素敵に登場してきます。誰の役を演じているのかは、この作品を読まれた方ならばすぐにお分かりになると思います。
・「まず松永訳のこの作品から」
この作品は30年以上も昔のものですが、未だその魅力少しも衰えず。子供にとって秘密を持つことが、日々の暮しをいかに豊かにするか、ということを的確に描いた、児童文学のまさに手本のような物語です。美術館で、天使の像の足の裏を視てしまうのは、まさしく子供ならではの視線。カニグズバーグはデビュー当時から偉大素晴らしかった。
しかし、近年の作品の邦訳は杜撰であり、原書の馥郁とした文章とはほど遠く解釈からして大きく外れているとのこと。 以上の事実をふまえ、岩波書店は、カニグズバーグ作品のうちいくつかを全面改訂にすることにふきったと聞いています。
ですので、カニグズバーグを良いと思われた人は、まず松永ふみ子訳のものを!
・「メトロポリタンミュージアム」
ドキドキワクワク。そんな言葉がまさにピッタリなストーリーです。優等生でしっかり者のクローディアは、長女と言う理由でいつも不当な扱いをされ、毎日の生活にウンザリしてしまいます。そこで「自分を変える」為に思いついたのが「家出」。それも用意周到に、練りに練った「家出」。
その彼女が好奇心旺盛でお金(小遣い)持ちの弟ジェームズを連れて家出した先はNYはメトロポリタンミュージアム。クローディアはバイオリンのケース、ジェームズはトランペットのケースに服を詰め込んで・・・。そしてそこで彼らが出会ったのが一体の天使の像。それは果たしてミケランジェロの作品か否か。
果たしてその像がクローディアを変える事が出来るのか・・・。ここまで書くと「あら?」とお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。トランペットのケースにバイオリンのケース・・・天使の像・・・そして舞台はメトロポリタン美術館・・・そう、NHKのみんなの歌でお馴染みの「メトロポリタンミュージアム」というあの名曲は
この物語が元になっているのです。簡単なストーリーではありますが、読み終わった後に不思議な余韻が残る、そんな一冊です。
・「青春の思い出」
「三四郎」は「こころ」と並ぶ漱石の代表作です。ぜひ、大学生、18歳前後の方に読んでいただきたいと思います。 私は18歳の時に読みました。淡く美しいラブストーリーがメーンですが、大学生・三四郎をめぐって、学問の楽しさが多くの挿話とともに語られていきます。 「吾輩は猫である」とは異なり、プロットは極めて軽妙、下町の情景描写もほとんどの地名が現存することもあり、一級品の史料です。 そして最後の一文は、繰り返し涙を流しました。 三四郎のように強く生きたいものです。
・「2 stray sheep」
Japanese is difficult to understand. Different person has different understanding, particularly for stories. I recently changed my opinion about this book. (Particularly, about Mineko.) I came across the questions. “われは我がとがを知る。わが罪は常にわが前にあり” Did Mineko simply say this for sorry to Sanshiro? Who is stray sheep? Sanshiro? Or Mineko? Sheep is always single. If I think that Soseki used “sheep” on purpose to make it deeper, do I think too much?I know that “われは我が…” and "stray sheep" are from the Bible.
Mineko certainly hurt Sanshiro and felt sorry to him, but also she hurt herself.Stray sheep is both Sanshiro and Mineko. “とが” is both Sanshiro’s and Mineko’s. I thought that Mineko is proud and kind of bad woman, before.However, I changed my mind. Most people take Sanshiro’s side, but I would like to take Mineko’s side as well as Snashiro's.
・「絵画的小説」
三四郎は、東京の大学に入学し、律儀に講義を聞いていたが、どうも物足りない。そこへ、友人から、「下宿屋のまずい飯を一日に十返食ったから物足りるようになるか考えて見ろ」と、どやしつけられ、都内を散策してまわるようになる。そんなおりに出会ったのが、美禰子である。 二人が三四郎池で出会う場面、病院で再会する場面、知り合いの引越しを手伝って仲良くなる場面、団子坂の菊人形を見にいき、人ごみの中から逃げ出す場面、等、有名な美しい場面が多い。文章によって、絵画的世界を構築する漱石の文章力に触れるだけでも、読む価値がある。
・「普通の人々のリアリズム」
夏目漱石の初期三部作といわれる最初の作品、『三四郎』。 主人公、小川三四郎が一人の女性に淡い恋心を抱き、しかしそれは実らぬまま静かに終わる。 それまでの過程は、市井を生きる名もなき人々の様子や情景の淡々とした描写によって綴られる。 物語というより、情景のスクロールを眺めているかのような感覚で読むことが出来る。
日常的に社会は動き、人々の生活の営みがある。三四郎はそういう様子に触れ、特に奇抜な発想をするでもなく、かといって陰鬱さの中に身を拘泥させるわけでもない。淡々と日常の流れに身を任せている。 登場人物もみな取り立てた特徴のある人物ではない。見渡せばどこにでもいそうな人たち。 漱石の作中に登場する人物たちは名もなき市井の人々ばかり。 だからこそ読み手は人間を同じ目線で眺めることが出来る。 偉人や特殊な才能を持つ人々の物語ではないだけに、地味な印象を受けるが、しかしこの地味さこそが人間社会のリアリズムを実感させてくれている。
・「私にとって最高の小説の一つ」
学生時代に初めて読んでから30年ぶりに再読しました。この小説には受け止めるべき人生訓も、なんらの思想や哲学の押しつけもありません。あるのはただ三四郎の淡い恋心です。そして読み終えた後、三四郎の恋心と一緒に心の中にしっとりと残るものがあります。「ああ、いい小説を読んだ。いつかまた読みたい」という幸福感です。真に優れた小説(芸術と言い換えてもいい)の醍醐味はここにあります。ドナルド・キーン(サイデンステッカーだったかも)が司馬遼太郎に、もっとも好きな漱石の小説は何か、と聞いたら、司馬氏は、三四郎と答えたそうです。キーン氏は「自分と同じで嬉しかった」と書いています。
・「理解しやすかった」
内藤 濯さんの訳では分かりにくかったことがクリアになった感じがします。特に、王子さまとバラの関係です。池澤さんの訳では、立派に男女の恋愛関係であると捉えられます。大人を意識した訳だからでしょう。とてもスラスラ読め、理解しやすかったです。
・「”星の王子さま”にはじめてふれて...」
”星の王子さま”を初めて読みました.池澤夏樹さんのサンテックスに対する愛情は書評や彼が構成したNHKの番組で知っていました.今回新たに翻訳された”星の王子さま”は平易な言葉で,また話がテンポよくすすむように文章の長さが調節され,物語がしっとりと時に緊張感を持って心にしみ込むようでした.この小説のメッセージは個々に受ける印象で変わってくるでしょうが,人が生きていく上で何が一番大切かを教えてくれます.それはテロの時代と言われる世界各地で争いの絶えない21世紀に世界中の人が必要としているもの,しかし実は一人一人持っていても社会のシステムが気づかせてくれないものかもしれません.
・「高級感があっておしゃれな本」
この本の表紙は、紺の布張りでタイトル文字は金色です。そしてとてもコンパクトなので持ちやすいです。お話はとても読みやすかったです。
星の王子さまの本はいろいろありますが、私はこの本にはとても愛着を持ちました。帯に印刷されている王子さまのイラストも、とても可愛くて少し浮き彫りになっています。とても高級感があっておしゃれな本なので、大切に手元に置いておきたい本です。
・「読めた」
今まで「星の王子さま」といったら岩波書店のものしか知らなかった・・と思い調べたところ、2005年に著作権がきれたということらしい。自分にとっては、かつて何度も挫折した本だったので、新訳は本当にうれしい。書店でその場にあった数冊を読み比べてこの本に決めた。製本が美しかったのと、池澤夏樹の訳によること、そしてその内容が子ども向けではなかったことからだ。この訳と訳者のあとがきを読み、この童話が大人たちに向けて書かれたものであったことを理解した。
バラと王子さまの別れのくだりは一篇の映画のようで、何度読んでも胸にぐっとくる。そしてキツネの「飼い慣らす」という行為。この意味深な方法は確かに、ただの「仲良しになる方法」ではないな、と思う。男女の愛とすれ違いが、いかにもフランス在住の訳者らしいあか抜けた表現で語られている。しかしながら、このあたりは訳者の解釈が分かれるところだと思うので、いずれは他の訳とも読み比べをしたいと思う。(本当はフランス語が読めたらと思うのだが・・)ともあれ、池澤訳のおかげでようやく「星の王子様」読み通すことができて胸のつかえが取れました。
・「うーん。」
私は星の王子さまが大好きで、子供のときに何回も読みました。
この本は新訳版らしいし、なんとなく表紙がかっこよく見えたので買ったんですけど・・正直この人の翻訳は、あまり好きではありません。たぶん子供用の本をずっと読んできたからなんでしょうけど(-__-*翻訳によってこんなにも本のイメージが変わってしまうのかとビックリしました。
大人の人が読むなら良い本かもしれないけど、私は、難しい言葉や漢字ばかり無理に使わなくてもいいのにな、と思いました。
でも、表紙のカバーはすごく高級そうでキレイでした。少し金ぱくも散ってありました。
●奇才ヘンリー・シュガーの物語ロアルド・ダールコレクション(7)
・「短編集は採点しながら読むのも手です。」
短編集は、採点しながら読むのも手です。1 好き嫌い2 登場人物の魅力3 話の筋のおもしろさ4 共感の具合5 喜怒哀楽総合得点が高いものと、短編集の標題になったものが違うかもしれない。
・「ピーター・パンを超えられる?」
ピーター・パンを読んだすぐあとに読みました。ピーターについてのエピソードだけでなく、男の子たちの性格などまで細かい情報まで引き継がれていて、そういうところをみつけるのが面白かったです。意外なかたちで、死んだはずのフックや、スミーなんかも出てきてびっくり! ただ、やっぱりジェームス・バリーの想像力を喚起する筆力はすごかったんだなぁと思いました。続編としては興味をもてましたが、途中で少し読むのがしんどかったです。
・「つまらない… 」
つまらない上に非常にイライラさせられたので途中で読むのを投げ出しました。まずピーターパンがウザすぎます。あまりにも自分勝手でわがままなので読んでてイライラします。著者は冒険を通してピーターパンが精神的に大人になっていくというのを物語の一つの楽しみとしたかもしれませんが、これは度を越えてます。ウェンディが可哀想です。かく言う私は中学生ですが、自分の周りにもこれほど精神年齢の低い友達はいません。ピーターパンは無邪気であっても勇敢で誠実であってほしいです。小っちゃい頃憧れてたピーターパンがむしろバカになっていたのは読むに耐えられませんでした。裏切られたという気分です。また、物語を半分ちょっと読みましたが全くドキドキする場面がありませんでした。ですから最初は読むのが辛いと思われます。本の装丁が綺麗で引き寄せられるようにして買ったのに残念でなりません。図書館に置いてあるところもあるみたいなので、買うくらいなら借りて読んだほうがいいと思います。
・「現実的なので弱っているときには読み控えましょう」
今までに読んだどの作家の作品より一番現実感があった短編恋愛小説。処女作「コンセント」に共感してしまったというのもあるけれど、田口ランディの小説は肌に合う。中にはリアル過ぎる作品もあるけれど、「島の思い出」「エイプリルフールの女」「真実の死」中でも「恋人たち」には嵌った。
落ち込んだときに、江國香織、唯川恵、山本文緒の小説を数多く読んで癒されたけれど、田口ランディの小説は同じ恋愛小説だけれど、弱っているときには読めないなと感じた。あまりにも現実に近いからだと思う。
・「夜と月と波」
これは男の人が恋焦がれた女性に「愛している」と伝えられぬまま、せつなく恋の炎を消して行かなくてはならぬような状況へたってしまい「愛情」の塊に胸を焦がしてる。・・・そんなお話です。
自分に置き換わるところもあって大変、ジィーンと来ました。
たとえば、こんな方にお勧めです!
『いま、付き合っている!または、
結婚していて亭主が居る!・・・だけど、他に愛してしまった彼が居るのぉ==!』
とおっしゃる女性諸君!!「彼」の気持ちを分るような気分に成れるかもしれません。
少なくともわたしはなってしまいました。
・「素朴で大切な想い。」
田口ランディさんの短編集。もっとも長い話でおよそ30ページぐらい。どの物語も短いながら、素朴な想いをそれぞれの人物を通して描かれてます。
どの話も女の人が中心で、なにかに悩む女の人の心情を巧みに描かれてます。その女の人たちに共通してることは「愛」なんではないかと思う。
男と女の愛、それを田口ランディさん独自の幅で見ていることが、しっかりと伝わってきて、その点は大きく評価できると思う。
しかしながら多少もの足りないと感じるものもあったことは否めない。でもそれは少ない短編形式の構成を取った利点と紙一重なので、そこまで減点はできない。
素朴な想いによって、再生への道のりを描きます。
表題作はじめ、島の思い出などには癒しがあります。素朴な想いを、傷ついた心を、人間らしくリアルに描ききった手法に拍手。活字を普段読まない人にもお勧め。良冊です。
・「リアルな想い」
田口ランディさんの本をはじめて読んだ。恋愛小説短編集。「想い」の表現がリアルだ。心の端っこに、コツンとあたる文章。「島の思い出」は、毎年屋久島の縄文杉を尋ねる女性の話。大自然と、ツアーガイドの男性に癒しを求める。最後に自分自身と向き合う姿が胸にジンと来る。
田口ランディさんの「ひかりのあめふるしま屋久島」も読んでみたいな・・・と思った。
・「前向きで清々しい短編集」
表題作をはじめ、なんとなく、前向きに明るい一歩を踏み出すような作品群。ちょっとお説教くさいんじゃないのぉ~、という印象もありつつ、それでも真っ直ぐに心に迫ってくるのは、やはり著者の筆力か。電車の中で読んでいたら、不覚にも泣いてしまって困りました。素朴で優しい一冊です。
疲れてあまり活字を読みたくないんだけど、でも何か読みたい、という時なんかにもいいかな。
・「こころ救われる物語」
ミステリー、とはいっても犯人を捜すための物語ではなく、二人の女性が、自分の人生を取り戻すまでの切ないミステリーです。
加納朋子さんの作品は、『掌の中の小鳥』『月曜日の水玉模様』を読んで、これで3作品めですが、最初の作品二つはとてもこころがあったまるミステリーだったので、この作品はなんだか”異色”なかんじがしました。とても切ないのです。これほどまでに苦しい人生を生きてきた二人の女性が、どうやって過去を乗り越え、自分を見つめ直せるのか。かといって、重苦しく感じさせないのはさすが加納朋子さんです。
千波がやっと「過去」と「自分」を取り戻したとき、なんだか彼女の周りに光のシャワーが降ってきたように感じました。ああ、もうこれでだいじょうぶ、と。看護士さんの「これ以上なにを望みますか」という言葉が印象的でした。千波はすべてを失ったかのように見えるけど、なにより大事なものが残された。だから、彼女はもうちゃんと一人で生きていける、と読んでいる方が納得できるラストでした。
『化石の樹』も、ラストが素敵。そうそう人生って捨てたもんじゃないよ、と思わせられました。長く人生を生きていると、ときに自分がひとりぼっちのような錯覚を起こすこともあるかもしれません。自分が誰からも必要とされていないような。でも、そんなことはない。自分のことをこころの底から大事にしてくれる人って、必ずいるものなんです。たとえその人が、自分を憎んでいるように感じていたとしても。
前に読んだ作品のように、ほのぼのとした雰囲気のものではなかったけれど、読んだあとになんだか清々しくなるというか、こころがあらわれるような作品でした。
・「女は必読!!」
特に高校を卒業してから3,4年たった女性にはおススメ。 あたしもこういうときがあったなーとか あのときの気持ちを忘れないでいようみたいな気持ちにさせられます。 主題は女の友情だと思います。あたしは。
読んでからのお楽しみ。フフ。
・「心の彷徨い・・・海に漂う記憶」
うつうつと浅い眠りの中で物語が行きつ戻りつする構成に混乱しつつ、主人公・千波の心の咆哮がひしひしと伝わってきた。人の心の弱さと神経の細さと何か薄いヴェールに覆われたような物語の進行。時折現実的な想い出が交錯する。言葉の繊細さと詩的な表現が「海の中にいる」ような錯覚を覚えた。母なる海にどっぷりと浸かったようなフワフワと漂う感覚が最後まで続く。実に不思議な小説。千波の深層心理にあったひとつの幼い命「広海(ひろみ)」との再開で自分を取り戻すくだりに思わず涙。心の中を探りながら彼女の中の8年間の並べ替えが出来たときなぜか安堵する私がいた。
・「ほろりと感動しました」
「ミステリー」ってあったので、探偵物や推理物をだと思って読みはじめました。でも、違いました。確かに「謎」は徐々に明かされていくけれど、違うんです。ふたりの女性の友情に、ほろりと感動しました。初めて、本を読んで涙が出てきました。
・「書き出しだけで美しく悲しい物語が予見できる」
謎の本、そして手紙。記憶の断片を探りながら、そんな謎に迫る。失くした記憶、過去、そして声を取り戻すことは出来るのか…ミステリアスな謎を解き明かすうちにたどり着く大切なもの、大切な記憶…
深い傷を負った女性の心理描写、その再生への過程がとにかく素晴らしい。そして、謎の中核をなす本『いちばん初めにあった海』。
その書き出しを読むだけでも、美しく悲しい物語が予見できそうな気がします。
・「最初の1冊としてはまあまあでは」
私のようなまったくの初心者が「仏教の教えとはどういうものか?」という疑問を持った時に広く浅く知るには便利だと思います。仏教の概要説明は半分程度で、宗派別仏壇の祭り方や葬式、法要等の実用知識の解説がやけに詳しすぎる気もしました、特に各宗派の成り立ち、歴史、教義等は非常に短くサラリと触れているだけですが、割と広範囲に及んでいる為、本書であたりをつけてからもっと詳しい本を探すガイドとはなります。
・「美しく悲しい物語」
小川未明さんの物語全体が、非常に美しい、また人間の業のようなものを鮮やかに書き出していますが、それに酒井駒子さんの絵が非常によくあっていると思います。だんだんとお金に目がくらんでいく育ての親に、この人魚は一人じっと耐えるわけですが、それでも恩返しをしようと必死になる姿には感動を覚えます。酒井駒子さんの絵も、非常に美しく、また悲しさも伴っています。大人の方にぜひおススメしたい一冊です。
・「駒子さんしかいない」
ずっと心に残っていた物語です。多分、一番はじめはNHKで見た映像なんだと思います。暗い影絵のような映像で、幼稚園の頃に見た話なのにいつまでもその物語は頭に残っていました。そして偶然、酒井駒子さんのこの絵本を知って……衝撃でした。もうこの物語には、酒井駒子さんの絵以外にないだろうと感じました。黒地を塗ってから描かれる駒子さんの絵はこの物語になんと相応しいことでしょう。テレビではカットされていたのか、記憶にない最後の一行を読んだ時、鳥肌が立ちました。
・「表紙から物語は始まる。」
物悲しそうな人魚の描かれた表紙。その雰囲気通り、お話は明るいものではありません。人間の美しさの裏にあるみにくさをも描いた「社会風刺的」なお話です。もともと、小川未明さんのおはなしがだいすきで購入しましたが、酒井さんの、北の海の人魚のきもちを、空気ごと伝えてくれるようなすてきな絵の素晴らしさにも、大満足です。
・「儚くも美しい大人のための絵本。」
お子さんなどに読んで頂くにはちょっと難しそう。言い回しがすこし古いので、大人向きかと思われます。語り口が静かで美しく、とても透明な気分になれます。私は悲しい物語が好きですが、この絵本はその欲求を満たしてくれたような。
この小川未明さんの作品、実は大正10年に出来たものみたいです。
じつは、古かったんですね。ちょっと、新鮮さと共に愛着までわいてきますよね。
・「ただものじゃないセンス!」
「赤い蝋燭と人魚」は、この本ではありませんが、大人になってから読みました。“人間とは情が深く決して弱いものを見捨てたりしない・・・”と信じた人魚の母の言葉が、その時、痛いくらい心につき刺さりました。それからしばらくしてこの本を偶然見つけたのですが、和物の話を、その雰囲気や格調をそこなわずに、しかし、見事に洋風なタッチに描き変えた画家のセンスに脱帽しました!酒井駒子さんは「よるくま」の方が有名ですが、私は、この作品の方が、絵としては、本領発揮とさえ思います。
●白いねこ
・「猫のお姫様」
とても素敵な猫のお姫様のお話です。絵がとても細かく、極細の筆で色の一つ一つが丁寧に描かれています。色を塗っているというより、絵の具を点で載せて言ってるという感じです。じつは、この方の絵は絵本での印刷の際に拡大されて印刷されているそうです。
普通、大きく書いた絵を縮小することが多いのですが、この方は、小さな紙に細かい絵をかかれるので、拡大しているそうなのですが、とてもそうは思えません。あまりに絵が細かいので、むしろ縮小しているのだと思ってしまうほどです。
また、登場する人間や、猫たちの着ている衣装が1着1着異なるデザインをしていることも驚きました。
なにしろ、もともと登場する人物(猫)の数が半端じゃないのです。とある1ページは二十数人ものお姫様たちの1枚1枚異なるドレスが見事に描かれていて、本当に素敵です。
ぜひご覧になっていただきたい1冊です。
・「ディズニー版「ピーター・パン」に毒されている方には是非!」
この作品はJ.M.バリーの原作を忠実に訳したものらしく、少し残酷な部分も描かれています。ディズニーの「ピーター・パン」しか知らない人には少し衝撃的かもしれません。子供は無邪気でかわいらしい天使である一方、残酷でもあります。
しかし、ディズニーの無菌状態の「ピーター・パン」よりもわくわくします。さらに、悪役は悪役でしかないディズニー版に比べ、それぞれのキャラクターが悪と善の両面を持っているため、どのキャラクターも愛せます。嫌いだったフックのことも好きになってしまいました。私はこの本を読んでピーターやフックの出生の秘密を知ることができ、とても嬉しく思いました。
そして物語の最後は涙なしでは読めません。大人になった時に無くした何かを見つけたような気がします。
・「久々に胸打たれた素晴らしい本です」
シャーリー・マックレーンの娘さんが西の魔女を演じるとの大きな特集を読売新聞で読み、この本を読んでみることにしました。
児童書でもあるようですが、40台半ばにさしかかった私には、主人公の中学生の気持ちも、その母親の気持ちも、そして主人公の祖母の気持ちも、どれもが手に取るように理解できました。
読みやすく、描写も文体も美しいです。 「おばあちゃん」の一言一言がものすごく大切なことをさらっ、と言っているので、何度も読み返してしまいました。
テーマはとても奥深く、スピリチュアルで、人がなぜ生まれてなぜ苦労をしながらも生きていくのか、本質をついていました。
読みながらも目頭が熱くなりましたが、読み終えた後は、自分でも理解できないぐらいわんわん泣いてしまいました。
心の豊かさがどのようにして育まれるのか、経済的に余裕がなくても、母親として子供にしてあげられることの中で、何が一番大切なのか、あらためて確信した次第です。
物を沢山持つことが、文化ではないことがよくわかる一冊です。
・「大切なことを軽やかに教えてくれる」
不登校になった中学生の女の子「まい」は、喘息の治療を口実に山間のおばあちゃんの家に預けられます。イギリス人のおばあちゃんは今で言うナチュラルでエコな暮らしの実践者で、自分には魔女の血が流れていると言い出します。自分も魔女の子孫であるのなら、雑音の多いこの社会を生き抜いていけるかも知れない。そう考えたまいは、おばあちゃんに魔女修行を申し込む。その日から数週間のおばあちゃんとまいの物語です。
英国の伝統的な暮らしを異国で頑なに守るおばあちゃん、母親に反発して家事より仕事に精を出すママ、流行ってるかどうかが物事の視座のパパ、年頃の女の子が学校で踏む手続きに抵抗を感じる孫娘。なげかけるテーマは私たちの生きる現代を何層にも切り取る大きなものですが、そこには説教臭さもなければ、切実さもない。あるのは爽やかな読後感。そして最後に訪れるカタルシス。
人生に大切なことをこんな軽やかに教えてくれる作品はそうないのではと思います。
私は、梨木さんの英国留学中の下宿屋での日々を描いたエッセイ「春になったら苺を摘みに」がかなり好きなのですが、フィクションもノンフィクションも両方うまい作家に久しぶりに巡り会いました。端正で磨き抜かれた文章を書く方です。
・「14歳からの哲学がすべて織り込まれているようなメルヘン」
現在山梨県の清里で映画化のための撮影が行われているとの記事を見て読んでみた。凄く身近な出来事(不登校、里山、老人、家族)なのだけれど、凄いです。児童文学などという枠の作品ではないと思います。池田晶子さんの「14歳からの哲学」が全部織り込まれているようです。それも非常に分かりやすく。そして心と身体性の問題である心脳問題までも。。生きる事、死とは何か。主人公の「まい」とイギリス人なのだが、より日本人らしいおばあちゃんとの心の交流と自然の中での生活を通して人間全てが良い魔女であるべきただと語りかけているのだと思う。
通勤電車の中では読まない事をお勧めする。
・「私の心に一生残る本です」
普段は読まない感じの本なのですが、感動する、泣けるという評判を聞き、購入してみました。
読んでいる間も「ほんとに泣けるのかよ・・」という気持ちでいましたが、みなさん同様泣きました。電車の中だったのでこらえるのに必死でした。
小さな頃、おじいちゃんおばあちゃんっ子だった私は成長するにつれて、だんだんと離れていきました。
おじいちゃんおばあちゃんを大好きだったことを忘れていた気がします。この本で、やっとそのことに気づいた今でも祖父祖母4人とも健在であることがどれほど幸せなことか・・
何年か先、彼らの死に直面したとしても、この小説を思い返して「死ぬことが悲しいこととは限らない」と自分に言い聞かせたいと思っています。
・「オズの魔法使いかと思った」
タイトルから想像するのは「オズの魔法使い」。本作は少女とそのおばあちゃんとの交流の物語。まずおばあちゃん(西の魔女)の語り口が素晴らしい。そしてイングリッシュガーデンを想像してしまう、おばあちゃんの家も素晴らしい。我々読者の頭にそのお庭が浮かんでくる。そしてそこで作られる、様々な料理。とてもおいしそう。ジャムなんかはもう、涎がたれてくる記述です。そんな中で、少女は死を学んでいく。死を学ぶということはつまり、生きることを学ぶのである。おばあちゃんは少女に生きることを教えたのである。そしてラストシーンでそのことを少女は知るのである。
・「絶対に失いたくない人。」
編集者である夏美はある日、夫・一宏から「ほかの女性に恋している」という事実を告白される。しかし動揺収まらぬなか、夏美も郵便局員の成生と恋に落ちてしまって・・・。
単なる浮気の恋物語でも、新しい夫婦像を描いた物語でもない。夏美と一宏、二人のそれぞれの恋は純粋で、一生懸命だ。決して浮気だと割り切っているわけではない。
だけど、二人は決して別れない。
「小さなラブアフェアで失うにはあまりにも惜しい人」お互いをそう思う二人は、どこかずるい。だけど恋人じゃなくなってしまっても、お互いが「絶対に失いたくない人」であり続ける二人の関係は、とても素敵だ。
どうしようもなく恋に落ちてしまう切なさを知りながら、大事なものを失わないための努力を忘れない、大人の恋愛小説。切なさがこみ上げる山田詠美ワールドは健在だが、いい意味で肩の力が抜けたような小説だった。「ぼくは勉強ができない」の主人公である時田秀美の母親が登場しているのも要チェック!
・「美学ある大人のワガママ」
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・「心がコトコト」
音を立てるような作品でした。 甘くて、苦くて胸が ぎゅっ となります。恋をする、登場人物たちの心がとても丁寧に描かれていて、色々な気持ちが重なっていきます。文字として現されていることが、とても嬉しかった。文章として、自分の感情を知ることが出来る。それが、とても新鮮でした。
恋をしている人も、していない人も何かが心に生まれる本です。何度でも繰り返して読んでしまう、久々の本でした。
大好きな友人にも、読んで感じてほしいと思い会いに行ったら、すでに彼女も手に取っており、私へのプレゼント用に2冊目を購入してきたとのコト(笑)
私が買ったAtoZは、ちょっと離れた大好きな友人へあげることにします。
・「一番近い小説」
山田詠美ファンの私が、やっと出会った最高の小説。編集者の、ごくありふれた日常。そのなかで起きる、恋という名のアクシデント。不倫の話は苦手なのですが、これは違う。「あ、恋に落ちちゃった、どうしよう」という、不倫らしからぬ恋。他のAMY作品に比べると、この話は登場人物の日常がしっかりと書かれていて、会話なんかもリアル。彼女の作品は、「ちょっとカッコ良過ぎて遠い…(だからこそ好き)」と思っていたのだけど、これは「近いな!」と感じました。
一番好きなキャラクターは、新人作家の永山翔平!彼の言動に夏美が揺れるのが面白い。そして前向きなエンディング。何度も読み返したい作品です。
・「恋愛も、結婚も」
詠美フリーク長く続けてきてるけど、一番好きな作品。今まで、ずっと背伸びしながら読んできた彼女の作品の中で、やっと出合えた、等身大の自分のままリアルに読め、ハートににじんじん感じた恋愛小説なのだ。
恋愛ってこうでなくちゃ。そして、結婚ってこうでありたい!
こんな粋でいなせな恋愛小説、世に出してくれた詠美にウインクと投げキッス!
・「転換を遂げた5作目」
1~4作を全て密室トリックで通して来た東野圭吾は、5作目にあたる本作で初めてそこから離れました。密室に代わるものとしてアリバイ・トリックが使われています。しかし、このアリバイ・トリックはさほど気合の入ったものではなく、むしろトリッキーな作風から離れて人間心理のみに焦点を当てる作品を書いたと言うべきでしょう。犯人の動機のみならず、犯人を殺人へと追い込んだ人々の側の事情もうまく描かれています。
たいていの推理小説では悪人は一人しか出て来ません。殺人者が悪人か、殺人者を殺人へと追い込んだ者が唯一の悪人です。中には悪人が一人も出てこない推理小説もあるくらいです。ところが本作では大部分の登場人物がなんらかの意味で“悪”なのです。しかし、読者は彼らを単純に糾弾することはできません。彼らの“悪”は私たち誰もが抱えているような性質のものだからです。その点を突いたこの作品は、非常に読後感が悪く、“ドキリ”とさせられます。
・「無人島より殺意をこめて」
恋人を殺された女流作家は、担当編集者であり、友人でもある萩尾冬子の助力を得ながら、事件の真相解明に乗り出した。女流作家が真相を突き止めようかというときに限って、また新たな殺人が起きてしまう。ポイントは、以前に起きた無人島での出来事なんだろうか。
「無人島より殺意をこめて」という言葉には、犯人の憎しみが詰まった言葉だなという印象だ。自分たちの保身を考えていた人たちに対して、犯人はにくかったなあという感じがこの言葉には表れていたんでしょう。
読んだ感想は、いたって普通の推理小説ですね。まあ、それ以上でもないし、それ以下でもない。
・「深いです」
東野氏の本は犯人が一度分かっても、そこから一転、二転するものが多く、この本もそういう感じだと思います。人を殺すってどういう感じなんだろう?できれば、一生感じたくない気もするのですが、いろんな感情や動機があって行動に移すものなのでしょうか?人を殺すなんて、一切肯定してはいけないのでしょうが、殺すほうにも理由があるんだろうな‥なんて思ってしまいました。
・「要求と代償の相対性」
話の進行のスムーズで読みやすかった。毎回謎が出ては、主人公の持ち前の行動力で解決してく。しかし後半の殺人の動機の部分は、不十分であった。というか、動機として成立していない。あなたねー、いくら憎いからといって簡単に連続殺人しませんよ。まとめ、作品としては不完成ながらも文章力(登場人物の魅力、描写力、展開力)はあり、最後まで読める。まあまあといえる。 引用「なにもしなかったあなた方に何も言う事はできない。彼が無理な要求をしたからといってリスクを承知で行動した彼のどこがいけない」 俺は彼の意見を言うタイプかな。無理な要求をしなくても、代償は求めるかもしれない。ありがとうですむことと、すまないことはあると思う。
・「二時間サスペンス風の作品」
読み終えて思ったのは、「なんだが、二時間サスペンスになりそうな作品だなぁ〜」というものであった。物語のスケールや殺人の動機…etcが、二時間サスペンスを連想させ、少々チープな感があるのは否めない。また、犯人がなんとなく分かったという人が多いのではないだろうか?そういった意味では、代表作にはなりえない作品だと思う。ただ、そういった面を差し引いても、物語に引き込むだけの面白さがあり、中々読ませる作品であったと思う。本作品の良いところは、単に「犯人はこいつ!」というラストにならないところである。様々な人間模様が交錯して、一つの事件があったことが、最後に明らかになる。それが、良く書かれていて、「犯人が誰それだ!」といったものとは別にまた面白い。話の内容も分かりやすく、ページ数も300程度と、気楽に読める。読んで損はない一冊である。
・「もう一度高校生活がしたくなる一冊」
冬休みのそれぞれの理由をもって残った男子生徒4人の7日間の寮生活をする。ドラマ化されたこともあって恩田陸さんの作品とは知らなくても作品としては知っている方が多いと思われる作品です。
恩田陸さんの学園ものというとミステリーホラーが多いですがネバーランドはその雰囲気は後ろに隠れておりはじめて恩田作品を読む人も他の作品を読んだことがある人もこんな学園小説があるんだと感じられます。
そして、ドラマはみていないのですが読んでいてドラマになる作品だなぁ。と感じました。スピード感もあり凄く一日一日に色々なことが凝縮されていって7日間の話を書いているのにもっと長い間の話を書いたかのようです。また、主要な登場人物の4人の性格が違うのでその性格の違いも読んでいて面白いです。読み終わった後高校という限られた時にこの本のような体験をしたい!と、感じさせてくれました。
・「ちょっと珍しいかも」
恩田さんの作品としては、あっさりというか、ライトな感じなこの作品。温かさを感じる。恩田さん本人も言うように、今では書けない作品、実にそんな感じがする。
舞台はとある男子校の寮である松籟館。冬休みに各々の理由を持ち、寮に残る居残り組となった美国、光浩に寛治。そして通学組である統。お互い"嘘"を1つ含めた告白大会。互いに干渉しあうことなく、馴れ合うことなく過ごす術を知っているはずの4人の本音に隠してたこと。町外れの男子校の寮。松籟の音。白い服の人。赤い爪。消えた幽霊。開け放たれた扉。いくつかミステリー要素がちりばめられている、そんな作品。
いくつかミステリー要素があるわりには、ミステリーな感じはしない。心理戦がたくさんあるわけでもない、だけど少年たちの洞察力の良さは恩田作品ならではという感じもする。いつもと違う雰囲気もたまにはいいなって思えた。
完全なるミステリーを求めてる人にはおすすめできないが、そうでないのなら、これからは生まれることのないこの作品の雰囲気、世界観をぜひ味わって欲しい。
・「面白かった~!!」
有名男子校に通う4人の生徒が主人公で、まず4人ともとても魅力的な人物です。4人にはそれぞれ事情があり、他の生徒は帰省する冬休みに寮に残ります・・。徐々にそれぞれの事情や秘密が明かされていくのですが・・それがとてもドキドキして面白い。いつも表面に出してる顔とは別の一面をそれぞれが持っていて、そのギャップにも秘密が関係していてなおさら先が気になるぅ~という感じです。最初は仲は良いけどお互いに一定の距離を置いている4人の間に、最後の方では連帯感が生まれお互いを守りたいという友情が生まれていったところも素敵な物語だなぁと思いました。
・「高校生に戻りたい!」
4人全員に恋をしました。書き方が甘すぎる、という人もいるかもしれないけどやっぱり学園ものはこうでなくちゃ。青くて、とがってて、切なくて、自分は経験してないはずの寮生活がひどく懐かしく思えます。この「郷愁」、他ではちょっと味わえませんよ。
・「読んで考えさせられた、秀作と思う」
日本でも有数の歴史ある進学名門高校とその寮。人里離れた松籟の音が絶えない田舎にあり、築30年以上経った木造2階建ての寮、松籟館を舞台に、クリスマスと正月を挟んだ2週間の冬休みに家に帰らず寮に居残った高校2年17歳の3人の寮生と、一人住まい故毎日3人のところに遊びに来る1人の同級通学生の4人の少年たちの7日間だけの物語。4人皆が過去か現在に何らかの重大なトラウマを抱え、ある者は現在その渦中に居る。彼らはこの7日間の短い間に互いの友情と摩擦、真情のぶつけ合いを通じて急速に成長し、それぞれに、トラウマを乗り越えさらに先へと進んで行ける力と自信を身に着ける。
教育小説というか成長小説というか人生について考えさせ、自分の青春時代を振り返り、それ以降の自分の生きざまを辿り、自分の生をどう収束させるかまでも考えさせる小説。すぐれた作品である。面白いけれど、決して興味本位の作品ではない。この作品で恩田陸さんに出会えたことを幸せに思う。私たちに生の真実の片鱗を示現し、人生の向上に役立てる、それを面白く読ませれば、それこそが優れた文学であるに違いない。
・「共感し、救われる。」
この作品は、一度でも本気の恋をした人にとっては、とても救われる本だと思いました。そして人間は記憶の集合体であるという考え方に、とても共感しました。どんなに傷ついても、私たちはその恋愛から何かを学び、価値観を変え、その恋愛で過ごした大事な時間をいつまでも忘れる事なく「記憶」し、生きていく。シンプルなそんなことが、とても素敵なことであることを思い出させてくれる作品でした。
・「透明感あふれる小説」
週間将棋を編集長を長く務めて突然やめて小説家になったことは、知っていました。聖の青春や将棋の子というドキュメンタリーは、素晴らしい作品ではありましたがその後どんな作品を書くのだろうかと興味を持っていました。
うーん正直いって驚きました。透明感あふれる文章ってこれなんですね。ピュアな気持ちになれるというか、本を読み終えてしばらく一人感慨にふけっていました。
いままでに出会ったことのなかった作品でした。これがきっかけで大崎作品にはまってしまいました。
・「泣けました。」
大崎さんの「小説」を読んだのは初めてでした。「聖の青春」とか将棋界系は読んでました。正直、感動しました。こんなにいい小説を書く人だったとは。
かの先崎学に「文章を自尊心をなだめる道具にするのではなく、身の回りの人たちのいいところだけを書こう」と思わしめて人気エッセイを生み出した編集者としての筆者。たぶん筆者は、悲しいことや理不尽さに満ちたこの世界を、あえて「いいところだけを描こう」としてこの小説を生み出したのではないでしょうか。それは、単なる甘さやカマトト世界ではなく、「人生というがらくた箱の中の、さまざまなものやさまざまな人に対する優しさ」満ちています。
村上春樹の影響を云々する意見があるようですが、彼の小説世界は器としてのスタイルは似ていても、方向性はまるで違っています。閉店後のジャズバーで、全てをそぎ落とした乾いた聖書のようなデビュー作を書き上げた村上春樹と、エロ本、じゃなかった将棋専門誌の編集者から、夭折した天才棋士によって作家に導かれた筆者。
主人公の山崎隆之、じゃなかった山崎隆二はもちろん筆者自身、沢井さんには聖の森信雄師匠が、七海には奥様であるやまとチャンが、五十嵐には編集者T君が、そして筆者の記憶の海のなかに漂う多くの人が、この小説の中にはきっと生きています。
小説家としての彼のこれからを見守って生きたいと思いました。ほかの小説もぜひ読みたい。(なんと10冊近くもあるぞ!)
・「しみじみとイイ本だぁ!」
私は昭和33年生まれ。この物語の主人公は41歳。同世代だからか、どこもかしこも感情移入してしまう。
アダルト雑誌の編集者という一見派手な職業でありながら、とても内向的でエネルギーを外へ向けることをめったにしない彼の性格も、好もしく思える。
ポリスやツェッペリン、R.スチュアートなど背景となる音楽の一つ一つも懐かしい。しかし、このような哀しげな感受性というのは近頃の若い世代にはあまり見られない気がする。いや。本当はいるのだろうけれど、だとしても自分をこういう風には見せない気がする。「軽妙な」自分をコーティングするのが今風なのでは?
主人公はある深夜、突然に学生時代の彼女から電話を受ける。そこから回想と現実が描かれる。
「パイロットフィッシュ」という高級魚に住みよい水槽環境を作るための魚には、ある寓意が込められているわけなのだが…。
このパイロットフィッシュを出すための前段が、また面白く思われた。「水槽が汚れるわけ」。なにか、こんな話をする人って憧れてしまう。役に立たないけど「へぇ~」っていいたくなるような話。雲を掴むような雰囲気は薄井ゆうじを連想させた。
「つかみがあって、山があって落ちがある」そういう話よりも、とりとめのないシミジミとかもやもや。そんなそこはかとない話のほうが聞いていて居心地がいい。つまり、仕組まれた感じがないのが心地良い。
そもそも人生ってそんな風なフェイドアウトっぽいつながりの連続じゃなかろうか。
著者、大崎善生は『聖の青春』という破天荒な棋士をモデルとする小説の著者で、絵に書いたような話か?と思っていたが、いやいや全く違った作風で意外性があった。
「川底から上を見上げるような」という表現が何度か出てくるのだが、とても印象的。この本の雰囲気が、これに凝縮している。半透明の装丁もじつに美しく手元に置いておきたい一冊である。
・「一晩の記憶の旅はいかがでしょう。」
人は、一度めぐり合った人と二度と別れることはできない―。
物語全体に流れる、穏やかなイメージ。そして、「記憶」というメカニズムの織り成す儚く尊い毎日の断片。
忘れたくない記憶。忘れたい記憶。失った日々。記憶の中で生き続ける人、気持ち、言葉・・・。
秋の夜長、久々に夜の読書はいかがですか。
小説の主人公と一緒に、一晩あなた自身の記憶と向き合ってみてはいかがでしょうか。きっと記憶の湖から、愛しい記憶が戻ってきます。
・「とっても面白く味わい深い作品でした」
朝日新聞のヤング向け書評を読んでいたら、大人にこそ読んでもらいたいファンタジーと書いてあった。こういう感じで、小野不由美の十二国記も手にした事を思い出して、ここは50過ぎたおぢちゃんが、等と言う言葉は振り切って、エイって買ってみた。
いやぁ、おもしろい。異世界ファンタジーと言うのは、最初の数ページでこれはちょっと、と思う場合と、そこで引き込まれてあっという間と言う場合の二種類がある気がするけど、本書はもちろん後者の方。ありえなぁいと叫ぶだけのような、そんな浅いファンタジーではなく、とてもとても重厚な、しっかり細部も練り込まれた、実に味わい深い作品でした。主人公の設定が老練な女用心棒と言うのがそもそも面白いが、脇を固める登場人物が、全てとても人間味がある、ドラマチックな人達ばかりで物語に色を添えている。わくわくドキドキのはらはら感もたっぷりで、戦闘シーはなかなかの迫力。
この作品はシリーズとしてあるそうな。嬉しいなぁ。さぁ、次を読もう。
・「やっときた日本人によるファンタジー」
「指輪物語」等、外国産の名作ファンタジーは数あれど、やはりキリスト教的な宗教観やヨーロッパ土着文化といったものが背景にはあること、またどうしても翻訳者の力によってしまうことがあり、しっくり感みたいなところでは違うなぁ、と思うところがあった。しかし、この作品は物語としての面白さはもちろんのこと、日本人が書いただけあって、しっくり感が全然違う。描かれる心理描写も非常に日本人の感性に触れるものとなっている。やっと日本人によるこれだけのファンタジーが読めるのかと思うと、嬉しい作品です。
・「おすすめ!」
10年もの間、愛され続けてきた『守り人シリーズ』。物語は、2007ねんで終わりましたが、とてもファンの方の多い作品です。今まで出ているのは全てが単行本で、少々高いためなかなか買いそろえる事が出来ないという方が多かったのですが、文庫本になって手に取りやすくなってます。〜30歳の女性、用心棒のバルサと新ヨゴ皇国第二皇子チャグムの冒険ファンタジーです。西洋の雰囲気ではなく、アジアンな感じのする、なんとなく私たちとの共通点がありそうな舞台です。ハラハラドキドキが好きな方にはピッタリの作品かもしれません。『精霊』ではバルサが旅立つ所で終わるのですが、読み進めば読み進むほど、続きが気になり、自然とこの守り人の世界に入り込んでいきます。アニメも始まるし、ラジオドラマも、『闇の守り人』が放送されます。この機会に、読んでみませんか?
・「新たな発見」
いわゆる異世界ファンタジーの物語には興味がなかったが、レビューや他の雑誌でもかなり評判がいい、ということで読んでみた。
最初、登場人物や地名などにも馴染みがなく、すんなり読めるか不安だったが、あっというまに物語の世界に引き込まれて一気読みしてしまった。
過去のレビューにもあるとおり、物語に無駄がなく、世界観がしっかりしている。解説で恩田陸が「私達の世界のことだ」と言っているが、まさにその通りだと思う。
また、戦闘シーンなども自分でイメージしながら、読み進める事ができる。
個人的には最後の結末が意外だった。
「ファンタジー」食わず嫌いだった私に、新たな発見をさせてくれた本書に感謝したい。
☆5つ。
・「すでに3度目の出版になりますが、」
文庫版の後書きと解説を読むだけでも、既読の方もこの本をもう一度手に取る価値はあると僕は思います。作者が、文庫化に当たっての思いやこれまで紡いできた物語の重み、そして、その作者の思いをこのような形で手に出来ることの喜び、文庫というものが一つの出版のジャンルとして重要であることを痛感しました。
・「伝奇とファンタジーの中間点」
文庫版が出てから、買おう買おうと思って、書店で平積みされているのを眺めていたのだが、ある日思い出して書店に行ってみるとどこにも売っていない。伝奇・妖怪物は大好きなので、諦めきれず本屋を数件回ってみたがやはりなかった。あんなに沢山これ見よがしに積まれていたのに……とエラい人気なんだと感心してしまったのを覚えている。 あらすじは他人の心の声を聞き取る能力『聞き耳』の能力を持つ少女、小夜と、隣国の呪者の使い魔、野火との恋物語。人間と魔物という従来は考えられないハードルと、野火の使い魔としての宿命、国同士の領地を巡る争いなど、幾重にも重なりあった構成はさすがは人気作家だと思う。情景の描写も鮮やかで細やかで、本の中の世界に無理無く入り込むことができる。交錯した人間関係の中で展開される簡単には予想の出来ない展開もまた大きな魅力だと思う。 昔話などでよく語られる、妖怪と人間との婚姻譚をベースに、戦国チックな群雄割拠な世界観と、上橋氏の作り上げた術者の定めをからませた物語は傑作だと思った。 こういった作品にあまり触れた事のない方にもお勧めしたい。
・「ラストシーンがとても素晴らしかった!」
ラストシーンがとても素晴らしかった! 切なく、あたたかなものがこみ上げてきて、涙がこぼれました。満開の桜の花びらがはらはらと舞い散る中の情景の、例えようもない美しさ。深くしみてくるものがあって、心が震えました。 とまあ、ラストシーンの美しさに問答無用でしびれてしまった次第でしたが、もちろん、そこに至るまでの話の展開がよかったですね。なかでも、情景を眼前にありありと浮かべてみせるイメージの喚起力と、「あわい」や「闇ノ戸」「光の脈」といった舞台背景のアイテムが印象的。後者、この世と、カミガミや霊力のある獣たちが暮らす深い森、その境にあるという「あわい」の空間には、格別、心惹かれるものがありました。 小夜(さよ)と野火(のび)、ふたつの魂のひたむきでまっすぐな想いが、黒い呪いを打ち破り、その向こうへと突き抜けていく物語。目下夢中になっている「守り人(もりびと)」シリーズの作者だから、これも期待できるかなあくらいの、割と軽い気持ちで読み始めたんですけどね。最初に記したように、ラストシーンのあまりの美しさに涙がしばらく止まりませんでした。忘れがたい物語のひとつになりました。 2003年(平成15年)11月、理論社より刊行された作品。新潮文庫の解説文を、宮部みゆきと金原瑞人の両氏が書いているというのもいいですね。
・「哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語」
上橋菜穂子先生の、守り人シリーズ、旅人シリーズにはまり、バルサとチャグムの冒険物語に引き込まれ、とうとうこの本にたどりつきました。感動しました。そして、最後には泣いてしまいました。呪者に「使い魔」にされた霊弧は、支配され、汚い仕事に使われ、支配されたことで穢れ、2度と再び「かの世」にふれることはできない。哀れな霊弧は、この世とかの世の狭間たる「あわい」で暮らし、「あわい」で死んでゆく。主である呪者の命令に背けば、ただちに死が待っている。だから、霊弧の野火がいくら人間の少女に恋焦がれても、遠くから見つめているしかなかった。哀れな霊弧と、人の思いを「聞く」霊力を生まれながらに持った少女、小夜の美しく、悲しい物語。ファンタジーを読んで、今まで、泣いたことはなかったのに、最後に、ずたずたに切られていき絶えた霊弧の命を救うべく、自ら、「あわい」に身を投げる少女のけなげさと一途さに、目頭が熱くなりました。守り人シリーズで、ファンになりましたけど、この一冊を読んで、上橋菜穂子先生の小説がますます好きになりました。お勧めです。手にした方は、きっと、上橋先生の描く、不思議な世界に魅せられることでしょう。そう、私のように。
・「一途でけなげな愛」
本当に読んでよかった、と思える作品です。主人公・小夜と霊狐・野火のお互いを思いやる気持ち。相手に見返りを求めないただひたすらに一途な愛。現代のドロドロした暮らし辛い世の中で、忘れていたものを思い起こさせてくれるような素敵な物語です。
上橋さんの本は本当に文体が美しいんですね。たとえば「満月の光がこうこうとすすきの原を照らしている。風がわたるたびに、すすきの穂が銀色の水のように波うっていく。」美しくてどこか哀しい雰囲気を漂わせた表現。まるで自分がその場にいたかのような懐かしさを感じるから不思議です。
終章「若桜野を」を読んで一気にこの本のファンになってしまいました。たった4ページの短い章にたくさんの思いが詰め込まれています。
一生の宝物になりそうな本です。
・「剣と魔法のファンタジーの王道」
欧米の指輪物語、ハリー・ポッターに類するファンタジーがなかなか我が国にはなかった。大事なことは、基本的に少年少女向けに書かれながら、それが青年から大人へと拡がって行くこと。こういう流れに乗って大人の(オッサンの)私が初めて触れた日本のファンタジーは、小野不由美の十二国記だった。こういう作品が日本にもあることを発見したことは喜びだった。
しかしその後、なかなかそういう作品に出合えなかった。一つには、基本的に「少年少女向け」であることが、なかなか私のような中年男性には出会いが難しかったと言うこともあるだろう。幸いなことに、朝日新聞の書評のおかげ(青少年にはやっているコミックやジュニアノベルを紹介してくれる)で、上橋菜穂子の守り人シリーズに出合え、そしてとうとう本書も手に取ることができた。
人の心が聞こえる小夜と、呪い人の手先になっている霊狐の出会いを発端に、領土争いに翻弄される小国の、跡継ぎの少年をからめ物語が推移、展開する。作者上橋の、細部までしっかりしたプロット作りが、(本来)少年少女向けとして書かれた作品でありながら、少しも手抜きがなく、また大人の醜さ、子供の残酷さも容赦なくあらわにして、まさに大人の鑑賞に堪えるものとなっている。小野不の十二国記はチャイニーズテイスト、上橋の守り人シリーズは無国籍アジアンテイスト、で我が国のファンタジーは日本を舞台にできないのかな、と思っていたけど、本作品は舞台は日本であり、戦国時代風なんだけど、どこか異次元異世界で、おもしろい。ファンタージーの中に、とても土着的な匂いと素朴で淡い恋心が添えられ、独自の世界がせつなく展開した。これぞまさに、大人の皆さんにこそ味わって頂きたい一級のファンタジーである。
・「不朽の名作の序章!」
いわゆる『三国志』のルーツは晋の時代に編史官(国の歴史研究員)であった陳寿がプライベートで書いた『魏書』『呉書』『蜀書』(これらはまとめて『三国志』と呼ばれています)です。因みに、この3つの書はあまりにも出来栄えが良かったので、後に正史(王朝の記録として公式に朝廷から認定された歴史書)として認定されています。 その後、『三国志』は大道芸人や芝居小屋の講釈師によって語り継がれ、大衆好みの英雄伝になっていきます。 そして、その大衆好みの英雄伝を元の末~明の初め頃(14C半ば~後半)に羅貫中が正史を基にして再構成し、長編小説『三国志演義』を完成させました。それは陳寿が3つの書を書き上げてから約1100年もの歳月が流れた後のことでした。 この『三国志演義』こそが今私たちの知っているいわゆる『三国志』です。
吉川『三国志』では全8巻でこの壮大なスケールの古典に挑んでいます。 そして、『三国志』では劉備、張飛、関羽、曹操、孫権、趙雲、呂布、馬超、諸葛亮孔明、周瑜、黄忠、董卓等々、全て挙げようとしたらきりがありませんが、本当に多くの人物が登場します。その中で少なくとも一人は自分と似た人物がいるのではないでしょうか。その人物と自分を照らし合わせながら読むも良し、好きな人物を自分の中で中心に据えながら読むも良しだと思います。 さらにはあくまで客観的に約110年間の乱世に繰り広げられる愛情劇、友情劇、裏切り、駆け引き、戦等々を読むのも良いと思います。『三国志』はいろいろな読み方のできる本だと思いますが、それは人それぞれで良いと思います。
これから始まる約110年の乱世の序章である本書から、読者は『三国志』の世界に引き込まれ、黄河や長江の流れの如く怒濤のように繰り広げられる様々な出来事に胸を躍らせることになるでしょう。
吉川『三国志』全8巻、それぞれの巻のレビューを載せようと思いますので、参考にしていただけると幸いです。
ソレデハ…
・「三国志を最初に読む本として最適です!!」
三国志は、様々な人が書いていますが、最初に三国志を読む場合には、この吉川三国志が最適だと思います。その理由は、以下の通りです。
1)三国志演義をベースに描いていること→正直、「正史」を土台に描いた小説は、ストーリーが面白くありません。また、三国志を語る場合、何だかんだで「三国志演義」がベースとなるため、基礎知識を得る上では、「三国志演義」をベースとする書籍を読むべきでしょう。
2)三国志演義をベースとしつつ、歴史的事実を反映させていること→「三国志演義」と最も記述の異なる箇所は、やはり曹操に関する部分でしょう。「三国志演義」では、悪役として非道ぶりを発揮している曹操ですが、吉川三国志では、曹操のよい側面も取り上げ、なぜ「魏」という大国を作り上げることができたのか、理解できる内容になっています。
3)日本における三国志の原点といえるような書籍であること→吉川氏以前にも、三国志を書いた人はいるかもしれませんが、一般的には、吉川三国志が日本における三国志の歴史的橋頭堡といえる存在でしょう。つまり、吉川氏以降に三国志を書いた日本人は、多かれ少なかれ、吉川三国志の影響を受けているはずです。
・「日本人の心の琴線に触れる美しい風景描写」
黄河の悠久の流れをぼんやり眺めながら、母へ贈るための僅かの茶を買うため、商船の到着を待つ青年劉備。のどかで、暖かく、まるで水墨画のような情景から、この壮大な物語が始まります。今日の朋友、高官、英雄だった者が、明日には宿敵、罪人、逆賊へ入れ替わる、乱世ならではのダイナミックな人間模様。数千年の時を経て語り継がれる、豪傑の武勇、知将の謀略。そうした多くの読者が期待する要素とともに、吉川三国志、とりわけこの第一巻を彩るのは、日本人の心の琴線に触れる美しい風景・人物の描写の数々でしょう。冒頭の黄河や、劉備、関羽、張飛が桃園に誓う楼桑村の寂しげだが情緒豊かな佇まい。そこで浮世から隔離されたかの如くひっそりと暮らしながらも、息子の飛躍を心底で願う年老いた母親の姿。次元は違えど、故郷を離れて仕事や学業に就いている方なら、何がしか心のどこかに響く、そういった美がこの第一巻にはちりばめられています。やがて英雄として名を轟かせる者たちもまだ若く、手痛い敗北を喫する者あれば、いよいよ頭角を現す者もいます。絶体絶命の危地に追い込まれた曹操が、「自害したい」とまで弱音を吐き、家臣に叱責、励まされる場面は特に印象的。後の彼からは想像もできない弱さだが、この乱世の奸雄もやはりまずは一個の人間であったことに気付かされます。第八巻まで続く長い物語ですが、手に取れば、なぜこれほど長きに渡り、多くの日本人に愛される「三国志」であるのか、必ず感じ取れる作品です。
・「三国志」
壮大なロマンと世界を描く三国志、いろいろな作家が三国志を書いていますが、僕の中ではこれぞ最高傑作の三国志です。ゲームで興味を持った人にも、歴史背景だけではなく、登場人物の気持ちを知りたい人でも、読むならはじめから最高の物をおすすめしたいです。
・「ロマンの原点」
大学へ入ってすぐに読んだ本。全8巻の長編ながら、読んでいて一度たりとも退屈さを感じたことがない。そのあと読んだ三国志演義は少々退屈な場面があったが、吉川版三国志は本当に完成度の高い文学作品である。私がこれまで読んだ小説の中で人にすすめるとしたら、本書が筆頭に挙げられる。 劉備、関羽、張飛が義勇軍を結成し、各地に転戦するところから物語は本格的に始まる。どんなに活躍しても、名もない者は歯牙にもかけられないのは今の世も同じ。それでも腐らず、日々の勤めを怠らない折目正しい貴公子然とした劉備に、思慮深い関羽、短慮で乱暴者の張飛。愛すべき3人には波乱万丈の試練が待ち受けており、時には敗戦で命からがら辛くも逃れ、時には人物を認められて太守の後継者に指名されるなど、彼らの生き様は人生の縮図とさえ見え、ページをめくる手には汗がにじんだものであった。 この3人、特に正義の味方関羽に対して大いに感情移入し、いよいよ蜀の国も磐石かと思いきや、関羽が不覚にも呉に囲まれて捕らえられ、あっけなく処刑されてしまう。関羽がもうこのあとは登場しないと思ったとき、すごく空虚で寂しい思いを経験した。張飛も部下に寝首を掻かれ、劉備はいざ関羽、張飛の復讐にと挑んだ呉に大敗し、失意のうちにこの世を去る。本書の7巻は、読んでいてとても切なく、つらかった。吉川調で言えば、人生とはかくあるものかな、と思ったものであった。 その後の諸葛亮の奮闘も切なさをそそるが、劉備、関羽、張飛の死には、染み入るような哀しさを感じた。小説を読んでいてこんな経験をしたのは今に至るまでこのときが最初で最後だった。 以前、映画評論家の水野春郎さんがテレビで言っていた、「三国志にはロマンの原点がある」という言葉に、今でも深い共感を覚える。
・「この小説について」
何かレビューを書くことは難しい。 日常から切り離されたシュールな世界の中で起こる奇妙で唐突な物語。それは気だるいなつのひかりとあたたかな空気の中でひとつの物語として完結し、またどことなく刹那的である。 読み終わってどこかほっとして、心に残る余韻がたまらない。 にしても、文章上手い。読んでいるだけでこうも心地いい文章は、村上春樹と江国香織だけだと思う。
・「思い出の大切さ。」
ただ不思議な世界を紡ぎだしてるだけじゃないんです。いつかは忘れてしまう時間がある、だけどそれを受け入れなきゃいけない。そういう大切な事も沢山教えてくれる本なんです。きっと、人生に疑問を感じてる人ならわかる筈です。
・「素晴らしい作品」
良くない評価がありますが私は今まで読んだ江国さんの作品で一番はまってしまった作品です。どこかほっとするような作品でした。読んでいくうちにどんどん世界にひきこまれていってしまうのです。これも江国さんの文章の描き方のうまさだと思っています。江国さんの才能が光る作品ではないでしょうか。
・「大好きです。この作品から江國香織が好きになりました。」
まず情景が目に浮かぶ作品。明快でシリアスな恋愛小説が好きな人には不向きかもしれません。幻想的なのに、妙にリアルな主人公の感情が息づいている。主人公の全く普通だけどやり切れない日常にふっと入り込んだ非日常。若い女性なら共感出来ると思います。
・「現実と不思議なファンタジーが織りなす物語」
読み終わって、なんだかしばらくぼーっとしてしまう物語でした。
最初、なんでもない日常のひとこまから話が始まって、読み進めていくうちに、これは普通じゃない話なんだと気付いてからは、もう次の展開が楽しみで仕方なくなり、一気に読んでしまいました。
登場人物は、主人公以外皆とても個性的な人たちで、特に主人公の兄は現実感のない不思議な設定でした。この物語の鍵を握る「やどかり」が、まるで人間そのものだったのが、奇妙で面白かったです。
後半、兄や兄の妻、そして主人公が順番に泊まるホテルが、異空間につながっていたのが、とても不思議でますます物語に引き込まれていきました。まさにファンタジーそのものです。
途中、主人公の行動が歯がゆくて、また話の展開が読めなくてドキドキしましたが、最後はまあハッピーエンドという感じで終わりましたので、ほっとしました。「あー面白かった!」というのが、私の感想です。
・「岡嶋二人を再評価させる疾走感」
作品全編を通じる疾走感のすばらしさ。?な部分もあるし、コンピューター関係は古色蒼然となってしまったが、それらを吹き飛ばして余りある疾走感を楽しんで欲しい。一気読み間違いなし。
・「二つの誘拐事件ー20年間の恨みを込めた執念の復讐劇」
そもそも私はミステリーのサブジャンルとしての「誘拐もの」が大好きだ。理由として、
・「面白かった~」
パソコン通信とか今では懐かしい響きだけど昔はこうだったなぁって今になると新鮮な感じです。トリックも良く考えられてて楽しかったです!
・「仙台乳児誘拐事件」
学生時代に読んだ本です。今再度はやっているのですね。懐かしい。
それはともかく、報道によると、2006年1月に起きた仙台乳児誘拐事件でこの小説が手口が似ているとのことです。
関心がある方はどうぞ。
・「久々に面白い本でした」
電車の広告で「文庫1位」というフレーズを見て購入しました。1位というだけあって、最初から物語のテンポが良く、どんどん読み進められました。ある意味でこの物語は復習劇ですが、残酷なシーンもなく(誘拐はもちろん許されない行為ですが)、非常にスピード感を味わえます。時代をまたいで話が流れて行きますが、あっちこっちに話が飛ばず、読者は頭を整理しつつ読み進める必要はありません。慎吾と間宮の船上でのラストシーンもなかなかです。久々に面白い本に出合えたと思います。
・「スケールが大きく、幻想的なのに描写がリアル」
東京で仕事も恋も上手くいかずに上海へ留学する有子、有子の元恋人の松村、有子の大伯父の質、その内縁の妻の浪子、と4人の視点で物語がすすんでゆく。現代に生きる有子の物語と、70年前の広東と上海を舞台にした質と浪子の物語が時を越えて交錯するという、複雑な構成を取っている。スケールの大きい大河ロマンである上、人物の設定や描写がリアルで、読み始めたら止まらなくなった。現代に生きる有子は自己との「神経戦」で敗れ、「壊れていく」が、その壊れ方が非常に痛々しい。それとは対照的に、日中戦争を目前にした内戦の中、結核と戦う浪子の生と死が描かれる。浪子に頼まれ安楽死をその手で実行した質は、その後も苦しみ続け、現代に生きる呼吸器科の医師である松村と不思議な邂逅をし、対話する。そして、上海へ有子を追ってきた松村の前へ現れた有子は、現実だったのか夢だったのか、読者の想像次第で色んな解釈が出来るように作られている。最後は、質の予想外の後半生が描かれる。最後まで展開が読めず、意表をつかれたり、期待を裏切られたりしながら、物語に引き込まれていく。玉蘭のモチーフが幻想的に用いられ、異国情緒にあふれる。男女の心理描写は1級品。
・「実話の交じった秀逸の描写力。大戦前の上海を舞台にしたせつなくも逞しい愛の物語」
舞台は中国、広大な土地に咲いた華やかな上海に集まってきた日本人留学生達の閉塞的な関係に辟易する一方、自分の内面の矛盾に自暴自棄になっていく主人公の有子。そんな彼女の暗い部屋に唐突にあらわれた大叔父の広野質の幽霊が有子をさらに狂わせていく。物語は有子から質(ただし)とその妻、浪子の切なく、日中戦争前夜の混沌とした時代を描く。あまりの描写の素晴らしさに驚くが、実はこの質という人物は桐野夏生の大叔父で、実在の人物だそうだ。この女性達の心の機微の緻密な動きは女性作家ならではのもの。
・「貴子じゃないよね…」
こないだ常盤貴子主演のドラマをうっかり観てしまって以来、気になっていたのですが、上海旅行の旅のお供に読んでみて、すっかりハマッてしまいました。
今まで読んだ桐野作品(といっても「OUT」と「グロテスク」だけですが)のうちでベスト1! だと思う。
自意識過剰の主人公が自分を見失って追い詰められていく感じが、「グロテスク」以上にヤケクソながら誰にでも起こりそうな描写で真に迫っています。かつての恋人との救いの無いすれ違いもリアル。しかもラストにビックリ……のはずだったのに、ドラマで結末を知っていたので、観る前に読んでおきたかったなあ。それが唯一最大の残念!
・「人の近さと螺旋をつくる営み」
上海の湿気と埃混じりの匂いが漂う描写に思わずひき込まれました。恋人と別れ上海に留学した主人公広野有子と、かつて上海で生きた有子の大伯父広野質(ただし)と、有子の恋人松村行生が、異性との近さをどう捉えようとしているのか、描き込んでいます。何度か使われている、どちらが相手としてより良い条件なのかと、相手との距離を「不等号」でしか捉えられないと思われる関係なのか、それらに囚われずに、相手との距離を少しでも縮めることに価値をおいた関係なのか、三者の生き方を、螺旋状にからませながら、書き尽くしています。そして、広野質が有子に伝えた、「新しい場所に足を踏み入れるってことは、良く知っている世界の、実は最果ての地に今いるっていうことなんだ」という言葉は、螺旋を新たに創らんとするメッセージであろうと思います。私は、この書は、ぎりぎりまで、悩み尽くし、落ちる所まで落ち込んだ時に、蘇生するために、まことに有用な書だと読みました。
・「最果てへ」
有子は突然現れた叔父の幽霊に聞く。「あなたも共同体からつまはじきされたことがあるの?」「ある。個人として生き抜こうとすると、ぶつかるものは必ずある。」「話して」簡単な話じゃないよ。どこに行っても自分の世界を引きずって最果ての世界に到着する。新しい世界など存在しない、というのはそういう意味だ」「それはよく分からないけど、わたしは孤独だわ」
『柔らかな頬』と同じように、この作品では現実とも夢とも分からない描写に満ちている。そして主人公はここでも最果てに心を持っていくのである。世界の中心に自分がいたという思い出だけを連れて。
胸が潰れる。だけども、小説とはそういうものだ。謎は提示されるが、謎は必ずしも解決されうるものではないのだろう。