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▼読書放浪記―現実逃避型 Part2:セレクト商品

幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫)幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫) (詳細)
澁澤龍彦(著)

「濃厚な世界観」


兄弟 上 《文革篇》兄弟 上 《文革篇》 (詳細)
余 華(著), 泉 京鹿(翻訳)

「恋愛あり悲劇あり笑いあり感動あり。立派なお父さんに感動」「残酷な現実に顔をゆがめながらも一気に読んでしまった」「藤山寛美か文学か」「中国的兄弟関係」


兄弟 下 《開放経済篇》兄弟 下 《開放経済篇》 (詳細)
余 華(著), 泉 京鹿(翻訳)

「絶賛します。」「中国のことが理解でき、人の人生について考えさせられます」「痛烈な現代資本主義社会批判。そして優れたブラック・コメディー♪」


族譜,李朝残影 (岩波現代文庫 文芸 123)族譜,李朝残影 (岩波現代文庫 文芸 123) (詳細)
梶山 季之(著)

「同情から贖罪へ」


365日のカクテルとカクテル言葉 The 365days Cocktail & Cocktail Words (カクテル・ダイアリー帳)365日のカクテルとカクテル言葉 The 365days Cocktail & Cocktail Words (カクテル・ダイアリー帳) (詳細)
牧野琢弥(著)

「なかなかオシャレじゃん」「残念」


思い出トランプ (新潮文庫)思い出トランプ (新潮文庫) (詳細)
向田 邦子(著)

「たった14ページの、恐怖」「人生の鮮やかさ。」「そこいらの作家とはランクが桁違いです!」「短編小説の見本」「51歳で受賞された直木賞作品。」


ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) (詳細)
ダン シモンズ(著), Dan Simmons(原著), 酒井 昭伸(翻訳)

「究極の傑作」「未来のカンタベリ物語みたい」「異境を旅しているという感覚」「Multiple」「今世紀最高の傑作4部作」


ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) (詳細)
ダン シモンズ(著), Dan Simmons(原著), 酒井 昭伸(翻訳)

「究極の傑作」「未来のカンタベリ物語みたい」「異境を旅しているという感覚」「Multiple」「今世紀最高の傑作4部作」


林芙美子紀行集下駄で歩いた巴里 (岩波文庫)林芙美子紀行集下駄で歩いた巴里 (岩波文庫) (詳細)
立松 和平(編集)

「自然に歩く」「素足で歩いた...」「意外な楽しみが待っていた」「この危うい時代に!」「まるで古くない。」


林芙美子 [ちくま日本文学020] (ちくま日本文学 20)林芙美子 [ちくま日本文学020] (ちくま日本文学 20) (詳細)
林 芙美子(著)


林芙美子随筆集 (岩波文庫)林芙美子随筆集 (岩波文庫) (詳細)
林 芙美子(著), 武藤 康史(編集)


櫂 (新潮文庫)櫂 (新潮文庫) (詳細)
宮尾 登美子(著)

「宮尾登美子ワールドを見ました。」「文学は芸術」「客観的に綴られた女の歴史」


日本近代文学の名作 (新潮文庫 よ 20-3)日本近代文学の名作 (新潮文庫 よ 20-3) (詳細)
吉本 隆明(著)

「やはり吉本は深い」「最良の読書入門」


十五少年漂流記 (新潮文庫)十五少年漂流記 (新潮文庫) (詳細)
ジュール・ヴェルヌ(著)

「冒険ものの好きな人に」「数十年後にまた読み返してみたい。」「懐かしい作品ですね」「抜群に面白い」「夏休みの読書にお勧め!」


「十五少年漂流記」への旅 (新潮選書)「十五少年漂流記」への旅 (新潮選書) (詳細)
椎名 誠(著)

「シーナ流思索に耽る旅行記」


ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫) (詳細)
伊丹 十三(著)

「待望の、待望の復刻版!」「かっこいい生き方を学ぶ」「あとがきに曰く「高校生で読んでほしい」」「「ジャガー」を「ジャギュア」と表記するこだわり」「若い人に読んで欲しい」


妖精と妖怪のあいだ―平林たい子伝 (文春文庫 む 4-13)妖精と妖怪のあいだ―平林たい子伝 (文春文庫 む 4-13) (詳細)
群 ようこ(著)

「豪傑!」「先駆的な女性の苦悩と葛藤」「タイトルの素晴らしさと内容のひどさ」


室生犀星詩集 (ハルキ文庫 む 3-1)室生犀星詩集 (ハルキ文庫 む 3-1) (詳細)
室生 犀星(著)


さよなら、スナフキン (新潮文庫)さよなら、スナフキン (新潮文庫) (詳細)
山崎 マキコ(著)

「そうだ、明日は来る!!」「軽やかなタイトルから「こんにちは、スナフキン!」と思いきや…」「愛を欲してやまない、強い執着の行き着いたところ」


オフィシャル・スコア・ブック 椎名林檎/私と放電 デビュー10周年記念スコア (オフィシャル・スコア・ブック)オフィシャル・スコア・ブック 椎名林檎/私と放電 デビュー10周年記念スコア (オフィシャル・スコア・ブック) (詳細)
リットーミュージック


酒と肴と旅の空 (知恵の森文庫 t い 4-1)酒と肴と旅の空 (知恵の森文庫 t い 4-1) (詳細)
池波正太郎(著)


青春の門〈第1部 筑豊篇〉 (講談社文庫)青春の門〈第1部 筑豊篇〉 (講談社文庫) (詳細)
五木 寛之(著)

「我が思い出の一冊」「絶対に読むべし!!」「麻薬のような内容」「完結するのかな?」「傑作です」


宣教師ニコライと明治日本 (岩波新書)宣教師ニコライと明治日本 (岩波新書) (詳細)
中村 健之介(著)

「忘れられやすい日本近代の発掘」


さあ、気ちがいになりなさい (異色作家短編集)さあ、気ちがいになりなさい (異色作家短編集) (詳細)
フレドリック・ブラウン(著), 星 新一(翻訳)

「職人芸」「異色作家短編集②」「古いファンから一言」


▼クチコミ情報

幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫)

・「濃厚な世界観
タイトルに衝撃を受けました。女性は長い歴史の中で迫害されてきた存在。それを簡単に「幸福」と言ってのける著者の言葉が気になり、読むことにしました。(ただ、その項目に行き着くまでに、かなりの時間がかかりましたが…) 幸福云々に触れているのはほんの少しで、あとは全く関係のない内容であった為、少々拍子抜け。ですが、内容は極めて濃厚です。たまにお茶目な面を覗かせ、扱う内容とは裏腹に少年らしさも見られました。項目により文章の書き方が変化しているのにも、違和感を覚えつつ、興味をそそられます。きっと、男性には受け入れやすいのではないでしょうか。

幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫) (詳細)

兄弟 上 《文革篇》

・「恋愛あり悲劇あり笑いあり感動あり。立派なお父さんに感動
外国文学、中国文学は読みづらいかなと思いましたがすらすら読めました。文革編ではまだ幼い兄弟たちの物を知らない純粋な行動が映画「三丁目の夕日」のように流れていきます。登場人物たちの気持ちがすごく伝わってきます。

上巻では一部開放経済篇が終わりのほうに少し入っています。値段は高いですが相応の価値はあると思います。

お父さん最高「ライフ・イズ・ビューティフル」「ホテル・ルワンダ」のお父さんたちを俺の中では上回っちまったよ。

・「残酷な現実に顔をゆがめながらも一気に読んでしまった
≪文革編≫恥ずかしながら、文化大革命について無知だった私には衝撃的な内容でした。しかしこれが中国の過去の現実であり、その中で様々な経験をするにはまだ幼すぎる兄弟の日々の暮らし、どんな気持ちで生きてきたのだろうかと想像して涙をこらえきれません。父・母・兄弟のそれぞれの立場の気持ちがひしひしと伝わり、残酷な現実に顔をゆがめながらも、一気に読んでしまいました。

・「藤山寛美か文学か
上下二巻、楽しく読み通しました。中国の公衆トイレの話で始まるのですがこれが強烈で、私は上巻が終わるあたりまでトイレのイメージが抜けませんでした。笑

この物語は、喜びあり、悲しみありで、藤山寛美の芝居みたいにも思えます。「よっ、大統領!」みたいな場面があるのです。泣けて、笑えて、笑えて泣けて、という具合なのです。でも反面、これは文学だと思うのです。そのへんのバランスがひじょ〜に微妙で、この小説はおもしろいです。文章も素晴らしいと思います。映像的です。

他の人間たちは全員、俗な人間です。どこにでもいる、欲望を持った人間なのですが宋鋼と言う人物が居て、彼だけは俗人ではないのです。「兄弟」の兄なのですがいったい、こんな人間が本当にいるものかな。何のために一人だけ、こんな人物を作者は、描いたのかな。妻を愛していて、その妻のために働いて働いて、体を壊してもなお働いて、大金持ちになった弟に頼れば良いのに、それだけは頑なに拒否して、ついには漂泊して、長距離電話で妻が「帰って、帰って、」というのに帰らず、なおお金を稼ごうと彷徨う。自滅型の聖人と言おうか。こんな人物が本当に居るとは、思えない。ただ、この小説は、真ん中にこの自滅型聖人が居ます。彼を巡る人間模様なんだ。

・「中国的兄弟関係
文化大革命から改革解放後めざましい経済発展を遂げる現在までの中国のある田舎(おそらく浙江省のどこか)を舞台に、血の繋がらない兄弟である李光頭と宋鋼の波乱万丈の人生を描いています。「極端から極端の現代中国四十年の悲喜劇」と紹介されているように、文革篇と経済開放篇ではトーンが変わります。極端と言えば本書の中国国内での評価もそうで、一方では絶賛され、一方では下品なゴミ小説と叩かれたという背景があり、なるほど特に経済開放篇はこれでもかという低俗度で著者の並々ならぬエネルギーを感じます。大規模な美処女コンテストや、それに乗じたインスタント処女膜の販売。豊胸クリームのサギ行商などなど…。乱暴に、また滑稽に性描写も織り込まれます。弟は失恋のショックからパイプカットするし絶倫だし、兄は豊胸クリームを売り上げるために豊胸手術するし。泉京鹿さんの訳も丁寧で読みやすかったです。というように本書は超B級エンターテイメント小説であり、激動の四十年間を生きた中国人をブラックユーモアで描ききった歴史的大作です。

兄弟 上 《文革篇》 (詳細)

兄弟 下 《開放経済篇》

・「絶賛します。
北京五輪の最終日に前編の「文革篇」に続いて「開放経済篇」を読み終えました。 北京五輪の開会式、閉会式の演出はくしくもこの作品の作者ユイホアの「活きる」を映画化したチャンイーモウ監督の演出でした。 とてもくどくて、しつこくて、いい加減にしてくれと思いながらも次の展開がどうなるのかと結局は最後まで見てしまいました。 この作品も同じような感じで2巻の大作ですがあっという間に読んでしまいました。 作者が後書で述べているような「西洋が400年かけてきた中世から現代までの変化を中国はたった40年で経験した」激動の時代が、兄弟の幼いころの悲惨を極めた貧困生活と文革下の暴力、成長してからの後篇のドタバタ悲喜劇を通じて見事に描き出されています。 文学作品としてすばらしいと思います。おまけですが下手な中国解説書よりよほど中国のことがよく分かります。 

・「中国のことが理解でき、人の人生について考えさせられます
≪開放経済編≫では、中国経済の発展がめざましいと言われる背景が理解できます。そして、人の人生とは誰にも予測ができないし、自分の判断力・選択ひとつで道が大きく変わっていくものだと実感させられます。分厚い上下巻なので、読み終えるのに何日かかるんだろう・・と思っていましたが、グイグイ引き込まれて一気に読み終えました。眠くても、目がかすんできても、それでも続きが読みたくなる作品です。

明日から半年上海に留学します。ちょうど今日読み終わり、いまだ作品の興奮冷めやらぬまま生の中国を感じてこようと思います。すばらしい作品に出会えました。きっと上海でも何度も読み返したくなると思います。

・「痛烈な現代資本主義社会批判。そして優れたブラック・コメディー♪
前作「活きる」は読んでいません。ただ映画化されており、唯一観ていなかった純正中国時代のチャン・イーモウ監督の作品だっため、劇場まで観に行きました。映画について言えば、個人的には最初の15分で「間違えた」と感じ退場しそうになりました。が、頑張って最後まで観たら、完全にはまりました。その原作者であり、上巻「文化革命」の方に興味があったので読みました。それと比べると、下巻はますます破天荒に走り「何だこりゃぁ!」でしたが、上・下巻でひとつの作品として考えると、共産主義国家の「文革」からまた一転した「市場開放」の悲劇を物語っており、痛烈な現代資本主義批判であることが判りました。しかも、作家独自の素朴ながらも辛辣なユーモアのセンスが光っており、下巻だけについて言えば、単純に荒唐無稽な実験小説として楽しめます。一冊の本としては、中国の作家にしか書けない内容を、かつ当・作者にしか書けない表現で勝負したことが「一本!」だと評価します。それも小手先の技ではなく、豪快な大技、そして圧倒的なパワーで。しかも、したたかに日本批判を「お笑い」で忍び込ませて。既にわかっていましたが、改めて「中国人のバイタリティー」には勝てないと思いました。

兄弟 下 《開放経済篇》 (詳細)

族譜,李朝残影 (岩波現代文庫 文芸 123)

・「同情から贖罪へ
朝鮮半島は京城に生を受けた梶山ならではの佳品三篇。相手(朝鮮人)よりも優位又は高みに立つことにより生じていた主人公の日本人としての「同情」心が、様々な事件を経て「贖罪」心にまで昇華する様が見事に捉えられている。1950〜60年代に書かれたとは思えない瑞々しさと今日性を有する作品群である。(また、朝鮮の古俗や慣習に関する一種の情報小説としても読める。)一読をお勧めします。

族譜,李朝残影 (岩波現代文庫 文芸 123) (詳細)

365日のカクテルとカクテル言葉 The 365days Cocktail & Cocktail Words (カクテル・ダイアリー帳)

・「なかなかオシャレじゃん
こないだ久しぶりに全国的にも有名な某バーテンダーの店に行ったら、カウンターのところに置いてありました。マスターが「結構面白いよ」というので、見せてもらいました。本というよりはダイアリー手帳風のシンプルな作り。お客さんの誕生日のところにマスターが名前を書き込んでいました。花言葉のように、カクテルにもカクテル言葉があるのはなんだかオシャレじゃん!そういえば今までありそうでなかったよなあ〜とそのノートを読みながら、隣に座っていたお客さんと会話が盛り上がったので、早速購入。多分、それぞれのカクテル言葉は筆者がオリジナルに決めてイメージした言葉だと思うけど、なんか言葉のイメージは各々のカクテルにピッタリな気がしてくるから不思議(マスター曰く「イメージは合ってる」らしい)。ちなみにレシピ漏れ?と誤字を5か所発見!!あとカクテル写真が載っていたら、もっといいのになぁ〜。まあ、他のカクテル本でそのあたりはカバーできるし、良しとするか・・・しばらく、カクテルを飲みながら暇つぶしできそう。ちなみに、その日、隣のお客さんは自分の誕生日のカクテルを頼んでました。次回は自分の誕生カクテルを頼んでみようと思います。

・「残念
「365日のカクテルとカクテル言葉」というタイトルに興味を持ち購入。 しかし、満足出来る内容ではありませんでした。 カレンダーのような構成で、1ページにつき7つのカクテルが紹介されています。 カクテルレシピも載っていますが、写真は無く、使用するグラスの表記も無いため、イメージが掴みづらいです。 一番の問題は、あまりにも間違いが多い事です。 例えば、ソルティ・ドッグに塩のスノースタイルの説明が無かったり、ロングアイランド・アイスティのレシピにコーラが無かったり、ハバナ・ビーチというカクテルがバナナ・ビーチとなっていたり、というのが数多く見つかります。 そして本書の特徴である「カクテル言葉」。 カクテル言葉として特に有名なのが、ブルー・ムーンの「できない相談」。 しかし、本書のブルー・ムーンでは「奇跡の予感」となっています。 このカクテル言葉は全て筆者が創造したものなのでしょうか。 筆者も、名前こそ載っているものの、プロフィール等は一切ありません。 バーテンダーではありませんよね?

365日のカクテルとカクテル言葉 The 365days Cocktail & Cocktail Words (カクテル・ダイアリー帳) (詳細)

思い出トランプ (新潮文庫)

・「たった14ページの、恐怖
冒頭の一篇、「かわうそ」を読んで、圧倒された。ほとんど気分が悪くなるほど、おそろしい。

定年をひかえた男が、連れ添った妻の裏面を垣間見る。いままで知らなかった一面。いや、うすうす気づいてはいたが、あえてふれなかった一面。たわわに実る蜜柑の女。機転の利く、というほどにウソのつける女。

男の立場で読むと、もう、どうしようもなく救いがない。ひたすら気分が悪くなる。女の立場で読むと、やはりリアリティーがあるのかなあ?信じていたことと、裏切り。それを追究するほど強くない男。けっきょくのところ、女は強いのか・・。

といった、とりとめのない感想を抱きつつ、妻にも読んでみてー、とすすめてみた。

・「人生の鮮やかさ。
短編と言うこともあって、非常に読みやすいです。そして読むと気付くのですが、どの話もちょうど良い分量です。そこに描かれる、市井の人々の人生の断面。短いながらも印象に残るエピソードの積み重ねが、どこか心に無理無く染み渡っていきます。どの話も2行も読めば、向田ワールドへすんなりとトリップさせられてしまいます。ケータイもメールも、現代的なものはまったく出てこないけど、古さを感じさせない、むしろすんなりと気持ちがわかるところ、人間の本質を鋭く描いている気がします。良く言われるように、一番恐いのは人間かも?と思わせるような、読めば読むほど深読みできるし、味も出てくる言葉の数々。宝箱を開けたような、短編集です。

・「そこいらの作家とはランクが桁違いです!
十数年ぶりに読みました。初めて読んだのは中学の夏休みの読書感想文のためでしたが、今思えばよくこの本で感想文が書けたモンだと恥ずかしさでいっぱいです。あれから年月を重ねTV関係の仕事につきましたが、なんとそこは向田作品をいくつか手がけていたところだったんです。あと十数年早く入っていれば生前の向田さんに逢えたかと思うと残念でたまりません。ドラマの現場では、台詞の変更は一切認めなかったそうですが、それだけ脚本が完成されたものだったんですね。年齢を重ねるごとに行間に垣間見える“わび・さび”が変化すると思うのでまた何年かして読むとまた全然違った作品に映るかも知れませんね。

・「短編小説の見本
普通に暮らしている人々の中にひそむ恐怖、人間としての弱さを感じます。短編の傑作ではないでしょうか。

どなたか忘れましたが、短編小説を書くなら、「思い出トランプ」の1,2編をそのまま書き写してみなさい、というようなことを書いていた作家の方がいらっしゃいました。

 まさにお手本のような短編です。物語の展開だけでなく、作家の息遣いが感じられます。亡くなった作家を必要以上に評価するのは嫌いですが、向田作品はもっと読んでみたかったです。

・「51歳で受賞された直木賞作品。
昨年、20年ぶりにこの作品を読み返しました。鮮明に記憶に残っていたのは、‘大根の月’。当時、TVで萬田久子さんが主人公を演じて、強烈なインパクトがありました。以来、包丁を持つのが恐かったりしました。今回感じたのは、向田作品は、読み終わっても完結していない。。。

クライマックスに、‘うっ’というような衝撃があり、それを最後まで持ち越さず、余韻を残しつつも、これから先は。。。と読者に想像力を働かせる。向田邦子という作家の力量を、存分と堪能できる一冊だと思います。

思い出トランプ (新潮文庫) (詳細)

ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

・「究極の傑作
SFが好きでない人も、本の分厚さにためらう人も、本代がもったいない人も絶対にはまる作品です。作者の圧倒的な筆力に驚嘆。長大な抒情詩でありながら各人物が語る物語は傑作短編小説を凝縮したよう。蟻地獄のように引きずり込まれ、謎が解明されないまま続きは、次作へと、、。始めから下巻も頼まなければ後悔します。本当は「ハイペリオンの没落」も、ついでに頼んだほうが、、、。充実感まちがいなし。

・「未来のカンタベリ物語みたい
2003å¹'現在SFはあまりはやっているとは思えないのだã'れど、SFの枠組みにとらわれず、もっと読まれてもいいのにと思う一冊でã-た。

ä»-のレãƒ'ューワーのæ-¹ã‚‚ç'¹ä»‹ã-ているように、ã"の一冊はまるã"と人物ç'¹ä»‹ã«å½"てられているといってもおかã-くありませã‚"。ã-かã-、まるでとうもろã"ã-の皮ã‚'はぐように一人一人の話から、物語の壮大なä¸-界観が大きい枠組みからã"のä¸-界のç'°ã‹ãªå¸¸è­˜ã¾ã§æ˜Žã‚‰ã‹ã«ãªã‚‹éŽç¨‹ãŒæ¥½ã-めると思います。

また、一話一話の趣å'がå...¨ãé•っていて飽きさせませã‚"。そのばらばらなãƒ"ースが一点ã‚'目指ã-て収束ã-ていくとã"ろは鮮やかの一言でã-た。一人一人が自分の話ã‚'語るなã‚"て、未来のカンタベリ物語みたいです。ã-かもその語り終えた後にさらに大きな話がå¾...っているなã‚"てï!¼

長い物語はまるで大切な時é-"ã‚'投資するようで(失æ•-だったらショック!時é-"ã‚'è¿"ã-て!!)敬遠されがちですが、時é-"のあるæ-¹ã¯æœ¬ã¨æœ¬ã®é-"のæƒ...感も楽ã-めると思います。そういう意å'³ã§ã¯ä½•冊かに分かれているã"ともç' æ•µã ã¨æ€ã„まã-た。ã"の一冊ではほとã‚"どの謎ã‚'のã"ã-たまま、次冊へと続くので、上下巻ã‚'一ç·'に買わなかったã"とã‚'大後æ‚"ã-まã-た。

・「異境を旅しているという感覚
「Hyperion」と「The Fall of Hyperion」はふたつでひとつの物語です。例えて言えば、映画「七人の侍」の前半(侍探し)と後半(野武士との戦い)と言えるでしょうか。#「Hyperion」と「The Fall of Hyperion」では、トーンがまったく違います。

小説としての出来は「Hyperion」のほうが断然よく、休憩後の「The Fall of Hyperion」は多少出来が落ちます。とは言っても、「The Fall of Hyperion」も傑作と言っていい作品です。(特に、政治をあつかった小説としては出色の出来だとおもいます)

「Hyperion」は起承転結の「起」にあたります。それもこれほど素晴らしい「起」はないと言う「起」です。

「Hyperion」では、七人の侍ならぬ七人の訳ありの巡礼たち(Pilgrims)がハイペリオンをめざすところから始まり、巡礼たちが旅の途中に彼ら自身の物語を語っていくと言う、六つの小説内小説が手紙形式などさまざまなスタイルで書かれてあって、ある種実験小説の趣もあります。六つの小説内小説では、ジョセフ・コンラッドの「闇の奥」をおもわせる第一話の「神父の物語」と親子の愛情を切々と語った第四話の「学者の物語」が出色の出来です。

この作品は映画「七人の侍」での大きな見所だった、前半の侍探しのエピソードを思い起こさせました。ただし、「七人の侍」とはまったく別のベクトルから光をあていて、流石ダン・シモンズとおもいました。

さて、巡礼たちの物語もよいのですが、その背景に流れる旅の描写がまた素晴らしい。異国を、異境を旅しているという感覚を肌で感じさせてくれます。

・「Multiple
I've read this book many times over the years. It's always fascinated me because it accomplishes the story from many characters, a feat I haven't seen so effectively done in any other book. They're a likable lot as well. The story itself is nifty, with SF treats here and there, and the feel of the Shrike is unlike other alien lifeforms I've read about (though, I must say that in the later works development of this creature really detracts from it).

・「今世紀最高の傑作4部作
最高のsfロマンスです。sf小道具も何でもあり。原作で最低5回は読みました。ようやく翻訳の文庫本を手に入れ、ほかのsfを読むのが億劫になりそうです。覚悟してしっかり最後のエンディミオンの覚醒まで読み通してください。決して後悔はしません。

ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) (詳細)

ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

・「究極の傑作
SFが好きでない人も、本の分厚さにためらう人も、本代がもったいない人も絶対にはまる作品です。作者の圧倒的な筆力に驚嘆。長大な抒情詩でありながら各人物が語る物語は傑作短編小説を凝縮したよう。蟻地獄のように引きずり込まれ、謎が解明されないまま続きは、次作へと、、。始めから下巻も頼まなければ後悔します。本当は「ハイペリオンの没落」も、ついでに頼んだほうが、、、。充実感まちがいなし。

・「未来のカンタベリ物語みたい
2003å¹'現在SFはあまりはやっているとは思えないのだã'れど、SFの枠組みにとらわれず、もっと読まれてもいいのにと思う一冊でã-た。

ä»-のレãƒ'ューワーのæ-¹ã‚‚ç'¹ä»‹ã-ているように、ã"の一冊はまるã"と人物ç'¹ä»‹ã«å½"てられているといってもおかã-くありませã‚"。ã-かã-、まるでとうもろã"ã-の皮ã‚'はぐように一人一人の話から、物語の壮大なä¸-界観が大きい枠組みからã"のä¸-界のç'°ã‹ãªå¸¸è­˜ã¾ã§æ˜Žã‚‰ã‹ã«ãªã‚‹éŽç¨‹ãŒæ¥½ã-めると思います。

また、一話一話の趣å'がå...¨ãé•っていて飽きさせませã‚"。そのばらばらなãƒ"ースが一点ã‚'目指ã-て収束ã-ていくとã"ろは鮮やかの一言でã-た。一人一人が自分の話ã‚'語るなã‚"て、未来のカンタベリ物語みたいです。ã-かもその語り終えた後にさらに大きな話がå¾...っているなã‚"てï!¼

長い物語はまるで大切な時é-"ã‚'投資するようで(失æ•-だったらショック!時é-"ã‚'è¿"ã-て!!)敬遠されがちですが、時é-"のあるæ-¹ã¯æœ¬ã¨æœ¬ã®é-"のæƒ...感も楽ã-めると思います。そういう意å'³ã§ã¯ä½•冊かに分かれているã"ともç' æ•µã ã¨æ€ã„まã-た。ã"の一冊ではほとã‚"どの謎ã‚'のã"ã-たまま、次冊へと続くので、上下巻ã‚'一ç·'に買わなかったã"とã‚'大後æ‚"ã-まã-た。

・「異境を旅しているという感覚
「Hyperion」と「The Fall of Hyperion」はふたつでひとつの物語です。例えて言えば、映画「七人の侍」の前半(侍探し)と後半(野武士との戦い)と言えるでしょうか。#「Hyperion」と「The Fall of Hyperion」では、トーンがまったく違います。

小説としての出来は「Hyperion」のほうが断然よく、休憩後の「The Fall of Hyperion」は多少出来が落ちます。とは言っても、「The Fall of Hyperion」も傑作と言っていい作品です。(特に、政治をあつかった小説としては出色の出来だとおもいます)

「Hyperion」は起承転結の「起」にあたります。それもこれほど素晴らしい「起」はないと言う「起」です。

「Hyperion」では、七人の侍ならぬ七人の訳ありの巡礼たち(Pilgrims)がハイペリオンをめざすところから始まり、巡礼たちが旅の途中に彼ら自身の物語を語っていくと言う、六つの小説内小説が手紙形式などさまざまなスタイルで書かれてあって、ある種実験小説の趣もあります。六つの小説内小説では、ジョセフ・コンラッドの「闇の奥」をおもわせる第一話の「神父の物語」と親子の愛情を切々と語った第四話の「学者の物語」が出色の出来です。

この作品は映画「七人の侍」での大きな見所だった、前半の侍探しのエピソードを思い起こさせました。ただし、「七人の侍」とはまったく別のベクトルから光をあていて、流石ダン・シモンズとおもいました。

さて、巡礼たちの物語もよいのですが、その背景に流れる旅の描写がまた素晴らしい。異国を、異境を旅しているという感覚を肌で感じさせてくれます。

・「Multiple
I've read this book many times over the years. It's always fascinated me because it accomplishes the story from many characters, a feat I haven't seen so effectively done in any other book. They're a likable lot as well. The story itself is nifty, with SF treats here and there, and the feel of the Shrike is unlike other alien lifeforms I've read about (though, I must say that in the later works development of this creature really detracts from it).

・「今世紀最高の傑作4部作
最高のsfロマンスです。sf小道具も何でもあり。原作で最低5回は読みました。ようやく翻訳の文庫本を手に入れ、ほかのsfを読むのが億劫になりそうです。覚悟してしっかり最後のエンディミオンの覚醒まで読み通してください。決して後悔はしません。

ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) (詳細)

林芙美子紀行集下駄で歩いた巴里 (岩波文庫)

・「自然に歩く
1931年、『放浪記』の原稿料を得て、シベリア鉄道に乗ってパリに出発した林芙美子。まず、当時の中国、満州、ロシア途中の模様がいきいきと描かれる。視点にはぶれがない。『放浪記』のときと同じく、林芙美子の個人としての気持ちがしっかりとした土台になっている。だからこそ、時代を経ても新鮮に感じられる。林芙美子にはどこへ行っても自分であり続ける強さがある。驚くほどの楽天主義。解説の立松和平氏が言うように、これが林芙美子の魅力である。視点はパリでもロンドンでも変わらない。林芙美子はコスモポリタンである。西洋を旅した日本の知識人の多くが感じたあこがれもコンプレックスも、林芙美子には無縁である。大阪の町、尾道の町を歩くのと同じように、自然に歩く。わからないものをわかっ!たふりをしない確かさ。これも魅力である。

・「素足で歩いた...
林芙美子はどこを歩いても下駄で、いや素足で歩いている。いつもそんな地べたを感じさせる文章だ。パリにいても貧乏だが、だからこそ生活者のパリを感じさせてくれる。

・「意外な楽しみが待っていた
彼女の文章など読むことになろうとは思ってもいなかったので、「何と」という感じの選択であった。お昼の散策で本屋に寄ってのこと。これは私がフランスに目覚めたことと旅が取り持った縁だろう。

・「この危うい時代に!
 林芙美子は、1951年(昭和26年)に死亡したということであるから決して古い時代の女流作家ではない。ほんの少し前の女性であるが、やることなすこと、書くこと話すこと当時の時代の最先端を行っていたのではないか。年齢的には20代後半から30台前半、時代的には盧溝橋事件が起こる直前の昭和初期のこの危うい時代に満州〜シベリア〜ヨーロッパへと、基本的に一人で旅をしたというのだからなかなか凄い活発な女性である。

 思ったこと、感じたことをストレートに飾ることなく書いているので、読み手にとってはとてもすがすがしく感じられる。

 五輪ピックが北京で開幕するという2008年のこの時期に、本書のうち彼女が歩いた中国関連の3箇所、すなわち北京、白河(ハクガ)、ハルビンの章をもう一度読み返してみる。 この時代の支那は日本を含む列強の租界地になって分割統治されており、民衆は極端に貧しい。彼女は余りそういうことには感情的にならず、とても冷めた文章で迫ってくるが、日本人がこのように元気に海外を旅行ができるのもあと少しなのである。日中戦争と太平洋戦争はもうすぐである。 

・「まるで古くない。
この時代にこんなにも自由、奔放に一人で旅をした事に驚くばかりです。文章も古臭くなく、素直で飾り気の無い言葉は時代を軽々と越え、ストレートにこちらへ届きます。それでいて世の中を一人の独立した女性として正確に描写する。だからこそこのエッセイは本当に価値あるものになっているように思います。

林芙美子紀行集下駄で歩いた巴里 (岩波文庫) (詳細)

櫂 (新潮文庫)

・「宮尾登美子ワールドを見ました。
女性作家が好きでたまたま選んで読んだこの「櫂」。最初の数行読んだだけで、その文体から宮尾さんの世界へ引きずり込まれたような気がします。土佐という土地を舞台に主人公「喜和」と、夫「岩伍」そして娘「綾子」を軸に繰り広げられる、こんなにも激しく、だけどどこか美しく優しい物語を久しぶりに読んだ気がします。

女である主人公が時に弱く哀しい人でありながら、時に強く正しい人であり、読み進めるうちに、自分の母を想い、祖母を想い、自分を想い、この作家の宮尾さんという人を想ったりしました。四部作の「春燈」「朱夏」「岩伍覚え書」も是非読もうと思います!

・「文学は芸術
今年(平成20年)1から3月に20冊読んだ小説の中でナンバーワン。これほど人の感情を色濃く描いた作品があるのだろうか!と叫びたくなる。ラストシーンでは泣けて泣けて。(号泣してしました)

昭和初期、南国土佐の地で、芸者置屋の女将さんの半生を描いている。そこには、喜び、悲しみ、疑心暗鬼、あせり、思いやり、愛情など様々な喜怒哀楽が、夫、実子、養子など沢山の人達との交流の中で、見事に表現されているのだ。

売れればいい!という軽薄な本が多い昨今、文学は芸術=文芸という言葉を改めて認識できる素晴しい本です。

・「客観的に綴られた女の歴史
櫂をはじめて読んだのは中学生のころである。当時は、仕事かたぎで家庭を顧みない岩吾に強い反発を感じた。しかし15年以上たって読み返してみると、お嬢さん育ちの喜和に対する描写も、非常に客観的に描写されていることが感じ取れる。

櫂 (新潮文庫) (詳細)

日本近代文学の名作 (新潮文庫 よ 20-3)

・「やはり吉本は深い
日本の近代文学について、作家ごとにコンパクトに、しかも鋭くまとめられている。吉本さんは、目もあまり見えなくなり、足腰もかなり厳しいが、アタマの中は相変わらずすばらしい。いや、肉体的な衰えが逆に精神に反作用しているのかもしれない。

内容から一人、宮沢賢治を紹介しよう。彼が国柱会に所属し熱烈な日蓮主義者だったことが取り上げられ、にもかかわらず作品は宗教的なプロパガンダになっていない。その意味ではプロレタリア文学が政治的プロパガンダになっていることと比べて、賢治のすばらしさであると書いている。然り、である。作家の写真も載っているのだが、印象的だったのが川端が映画「伊豆の踊り子」のロケ中に吉永小百合を遠くから見ている感じの写真だ。自死した川端のことを思うと、なんとなく、とどかない「美」にあこがれている感じがした。吉本さんの長文はかなり難解だが、語りおろしで、かつ短いので、要点がピシッと決まっている。これを機会に、もう一度各作家の作品にあたってみたくなった。

・「最良の読書入門
多くの読書論、読書術の類が出回っているが、いずれも読書を直接的に自らの出世やサバイバルの手段の一環として役立てようとするものだ。教養などとは最早言うまい。本書は、少しでもものを考えよう、人間とは何かを考えようとする者にとって、参照できる格好の読書論であり、名著ガイドの役割を果たす。日本語で書かれた最良の文章による作物24篇が、その作者の解説ともに紹介、味読ポイントが取り上げられている。日本語を母語とする者で、ここに出てくる作品を一つも読んでいないなどというのは、文系・理系を問わずおよそ読書家とはいえないし、まずこのような作品が書かれてあることを知ることが重要だ。人間を考える一番の近道は文学を読むことだ。吉本は一貫して文芸評論家としての仕事を大切にしてきた思想家だと思う。そして、これはまた吉本隆明という戦後思想界の大物を知る格好の入門書でもある。

今年の4月に入社し、試用期間を無事に終えた新入社員君(文学部の文芸創作学科で学んだというが、本書に登場する作品はほとんど読んでいないと思われる。一体どういう文芸学科か?)には、本書を第一にオススメしようと思う。本書は勿論、所謂小説好きの一般社会人にも勧めることが出来る。平易に作家とその作品の内奥に迫る、吉本ならではの開かれた批評である。語り下ろしだそうだが、安直なものではない。編集者も優秀なのだろう。

日本近代文学の名作 (新潮文庫 よ 20-3) (詳細)

十五少年漂流記 (新潮文庫)

・「冒険ものの好きな人に
その名のとおり、十五人の少年達が、島へ流れ着いて生活していく物語。その中で、少年たちがコミュニティーを形成し、反発したり助け合ったりしながら、また悩みを抱えたりしながら、成長していくさまに好感が持てます。登場人物たちはみなしっかりしていて、強く正しく生きていくという感じがします。読みやすく面白い作品です。

・「数十年後にまた読み返してみたい。
この本は、小学生時代にもっとも繰り返して読んだ本だが、二十数年たって中年になって読み返した。

どうしてどうして、依然としてわくわく、どきどきしながら読むことができた。今日的にいうと、自然の中でたくましく生きていく姿には、アウトドア的なものを、自分達で大統領を選出したり、学校を開くところには、自治やコミュニティ的なものを感じ、一種の理想郷を描いているからであろう。また、昔漂流した人の跡を発見したり、凶悪な犯罪者が襲ってくるところなど、スリリングである。翻訳も悪くない。

他方、人種的偏見や女性観は、露骨なまでに明らかだ。フランス人は、思慮深いヒーロー(作者のヴェルヌはフランス人なのだ)イギリス人は頭はいいのだが嫌われ者に、そして最後にはフランス人にひれ伏す意外にもアメリカ人はしっかり者に好意的な評価黒人は、人がいいコック。当然のように、選挙権はない。そして、少年だけで女子は登場しない。

この辺は、時代的なものだろう。また、少年達が、動物をぶち殺して捕獲し、それを料理にして食べたり、襲ってくる犯罪者を撃ち殺したり、自分達の作った凧に乗って空に舞い上がる・・・たくましいといえばたくましいが、今はこんな少年は、いや大人だっていないだろう。

この辺が気にならないことはないものの、やはり不朽の冒険小説。数十年後にまた読み返してみたい。

・「懐かしい作品ですね
この本は私の子供時代に出会いました。この本を子供時代に読んだという人は多いでしょう。ジュール・ヴェルヌの本は女はほとんど出てこなくて、男の世界の話なのです。でもこういう冒険に憧れ、想像力が豊かになりました。もし私に子供がいたら(女でも)ジュール・ヴェルヌの本を読ませたいですね。

・「抜群に面白い
H.G.ウェルズと並んで、SFの祖と言われている、ヴェルヌの本を、今回初めて手にとった。読むのを開始して数分。僕は本の世界にひきこまれた。何故100年以上昔の、あんなに科学が遅れていた時代に、こういうものを書けるのか。途中テンポがだれるし、文章は荒々しいが、そんなことは気にならないほど、面白すぎる。

僕は、こういった冒険小説が、いつまでも楽しめるような子供心を、大人になっても無くしたくない。

・「夏休みの読書にお勧め!
この本の締めくくりに「勤勉・勇気・思慮・熱心 の四つがあれば少年たちでも、必ず困難に打ち勝つ事が出来る」という旨のくだりがあります。

これは、この物語を通して原作者が心から訴えかけている言葉だと思いました。 その意味でも、少年少女に、是非とも読んでもらいたい1冊です。

原作者は、『海底二万里』『月世界旅行』等でお馴染みの

「空想化学小説の祖」ジュール・ヴェルヌ。この『十五少年漂流記』は、なんと1888年に書かれたもの。

百年以上たっている古典だけに、ちょと時代錯誤な部分もありますが、そんな所も含めて楽しめる痛快冒険小説です。

物語は、十五人の少年達だけが船で流され、無人島に難破し、そこで、2年間もの期間を自力で過ごす様子を描いたもの。

(これぞ、難破ものの原点)

少年達が無人島でどのように生き長らえたか...そして、その島で何を見、何ものに出会うのか...『早く続きを読みたい』という気分をかきたてられる。

半ば、ちょっとダラダラとした書き方の部分もあるがそれが逆に、実際の事故で綴られた日記帳をもとに書かれたようで『ノンフィクションかしら?』と思えてくる。

読み終わった後は、自分も一回り たくましくなったような気分にさせてくれました。お子さんの、夏休みの読書には最適ですよ。

十五少年漂流記 (新潮文庫) (詳細)

「十五少年漂流記」への旅 (新潮選書)

・「シーナ流思索に耽る旅行記
ジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記」(あるいは「二年間のバカンス」)の舞台となる島にはモデルがあった。しかも最近その定説に異を唱える(「別の島こそ・・・!」)日本人学者が現れた。浅学な私はそんなこと露知らなかったが、今回椎名誠はそのふたつの島に実際に行って真偽を確かめてこようと旅立つ。それが本書の縦軸。そこに「旅は私たちの思考を深めてくれるのではないか」という観点に立って数々の興味深いエピソードを横軸として織り交ぜていく(「漂流記」モノのブックガイドというパッチワークも有)。季刊誌「考える人」に連載されたとあって、抑制された筆致で身辺雑記風なテイストからも解放され、椎名誠の昭和軽薄体に食傷気味な私には大満足の一冊でした。岩波新書から出た椎名誠の本2冊を彷彿とさせる浪漫的好奇心を心地よくくすぐってくれる好著だと思う。この路線を支持致します。

「十五少年漂流記」への旅 (新潮選書) (詳細)

ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

・「待望の、待望の復刻版!
 待望の、本当に待望の復刻版である。おそらく昨年末に創刊された雑誌「Gentry」で特集されたことが、復刻の契機になったのではないかと想像する。

 1960年代に出版されたものとは思えないような内容で、今読んでも古くささを全く感じない。私は俳優および映画監督としての伊丹氏をとくに好きではないが、エッセイストとしての氏の大ファンである。ちなみに改めて読んでみて、英国車のジャガーを「ジャギュア」とよぶのは徳大寺有恒氏のオリジナルではなく、伊丹氏が言い始めたことかと感慨深かった。

・「かっこいい生き方を学ぶ
この本では、多才な伊丹十三を再認識するでしょう。カット図まで描いています。この本は、「随筆をエッセイに変えた本」とうたい文句があります。目の付け所や、観察眼は、作者独自で、それゆえに引き込まれてゆきます。文章は断定的ですが、といっても押し付けがましくないし、嫌味でもない。むしろさわやかでかっこいいですし、1960年代の文章であるにもかかわらず、まったく色あせず、文章は輝いています。文句なく名作だと思います。

・「あとがきに曰く「高校生で読んでほしい」
20年以上前に読んだ「女たちよ!」が忘れられず、どれほど探したことでしょうか。絶版のため通常ルートではどうしても見つからず、やむを得ず妥協してオークションで古本を手に入れたのでした。伊丹十三氏は物故者となってしまいましたが、作品は色褪せることなく、ヨーロッパのガイドブックとして読んでもその価値は依然として高く、懐かしい「女たちよ!」を再び読む喜びはひとしおでした。最近、伊丹作品が復刻され、本当に嬉しいです。この「ヨーロッパ退屈日記」は初めて読みましたが、「女たちよ!」を凌ぐと思っています。だいたい、パリでドライブ用の手袋を買う、イタリーで「これしかない」というシューズを買う、オーディションに合格した喜びでジャギュアを買う、カクテルについて語る、なんてのがキザでなくてなんでしょう。でもそう思って読んでいると突然、私は全く無能の人間である、みたいな記述があって、妙に納得させられて。決して身近な人ではあり得ないのですが、卓抜な文章も手伝って、身近に思えるのだから不思議ですね。山口瞳氏があとがきに「この本が中学生・高校生に読まれることを希望する」と記される、その心意気に賛成です。世に言う「ホンモノの世界」を、実際に目にすることは大切ですが、それがありありと目に浮かぶような、優れた文章で知ることも、とても大切に思えます。それもできれば、高校生くらいで。

・「「ジャガー」を「ジャギュア」と表記するこだわり
  友人にデイムラーMrUを持っている人間がいる。一般にジャガーマークUと呼ばれることもあるが、彼は、頑なに「デイムラー」というし、仮にジャガーと呼ぶなら「ジャギュア」と言ってほしいといい続ける。私もキャブレター使用のローバー=ミニを新車で買って20年近く維持している。  こうしたこだわりはどこから来るのか分からないが、そういう人生はいいと思う。  この本を読んだ時には、伊丹十三は、我師「山口瞳」さんが時々取り上げる以外は、大した活動をしていなかったと思う。その中で、極めてディレッタントなこの本を出した彼の真意は何であったのだろうか?  正直に言うと、最初にこの本を読んだ時に「何、突っ張ってんだよ」と思ったものである。  しかし、それからしばらくして、彼が日本の映画に極めて重要な影響を与える多くの作品を「妻と」制作し、そして、不可解であるが、「男の矜持」のような死を選択したことは、全てこの本の中に、答えがあるような気がする。

・「若い人に読んで欲しい
はじめてこの本を読んだのは26年前、高校生のときでした。それから、何十回と読み返しました。あきらかに私の人生を変えてしまった本です。自分が定まらず、不安を持っている若者にじっくりと読んでもらいたい本です。物事の本質を見る目を養う基礎を作ってくれる本です。それから、しんどいからと背伸びをやめては、いつまでたっても伸びません。日ごろの背伸びの大切さもこの本は教えてくれました。

ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫) (詳細)

妖精と妖怪のあいだ―平林たい子伝 (文春文庫 む 4-13)

・「豪傑!
一気に読みました。あの時代では生きにくかった、しかし、あの時代だからこそ活きた、女性だったんだな〜。友達にはなれそうもないが、一種、あこがれもある…常人には体験できない人生ですな。群さんの、伝記物、もっと読みたくなりました。

・「先駆的な女性の苦悩と葛藤
タイトルが絶妙です。 少女のような性格を一方で持ち(妖精)、その一方でえげつないまでものエゴイズム(妖怪)が滲み出ています。 そんな彼女を佐藤愛子が解説で、「生きることへの情熱と背中合せに冷酷さよエゴイズム」を「世間の通念や常識によって識らず識らずのうちに溶解されていく」のが普通なのだが彼女は「最後まで自我を溶解させ」なかったとします。そのために「苦しみ悶えつつ情念に身を委せて妖怪になってしまう。」としています。 まさに、この本は「平林たい子」と言う女流作家が、先駆的に「女性」の生き方を求め、それでいながら旧い体質が垣間見せながら生きてゆきます。 その一人の女性の苦悩と葛藤が実に良く書かれています。 素晴らしい評伝だと思います。

・「タイトルの素晴らしさと内容のひどさ
絶妙なタイトルにひかれて買ってみたものの、あまりの内容のひどさに耐えられず、1/3ほど読んだところで投げ出してしまいました。私が群ようこを手に取ったのは初めて。よく目にする名前なので、これほど文章がつたないことに驚きました。他の方のレビューにあるように、平林たい子という人物がいかにはちゃめちゃだったのか、というのはよくわかります。また、当時の常識にとらわれまいとしつつもからみとられていく様子もよくわかります。でも、それは著者(群ようこ)の筆力によるものではなく、平林たい子の生き方を自伝小説などからひっぱってきたから。小学生の絵日記レベルで「たい子はアレをしました。悲しかったです。たい子はコレをしました。嬉しかったです。」という記述が延々続くだけ。「それでも彼女はこんなにチャーミングだった」というところも伝わってきません。

妖精と妖怪のあいだ―平林たい子伝 (文春文庫 む 4-13) (詳細)

さよなら、スナフキン (新潮文庫)

・「そうだ、明日は来る!!
読みやすいです。読みやすい、一見ノリがよくわかりやすい小説というのが、いかに奥が深いか、面白くて泣けるか、最近、痛感してます。その中でも、この小説は最強です。タイトルもサブタイトルもいい!主人公のネガティブさがとてつもなく愉快(良い意味で)なのです。そう、誰にも襲うマイナス思考モード、あるあるあるー!!とうなづきつつ泣いたり笑ったり、うううううーん・・・なんと、爽快な読後感!こんな気持ち久しぶりです。「リセットする勇気すらなく」の第一章から、「物事に立ち向かわなくても、明日は来る」という第三章まで、いっきに読めて、主人公も自分も好きになんか好きになれますよ!

・「軽やかなタイトルから「こんにちは、スナフキン!」と思いきや…
ちょっぴり疲れた心で、柔らかい本が読みたいと思っていた折、『さよなら、スナフキン』というかわいらしいタイトルに惹かれて手に取りました。ところがどっこい、内容はへヴィーです。でも、文体はあくまで柔らかく穏やか。だからこそ、かえって、主人公の(著者の?)鋭い言葉が、心の柔らかいところに響きます。

主人公は、一度大学を中退し、再び他大に入学し直したために、年齢的に三浪相当の女性、大瀬崎。人から認めてもらいたい、居場所のある立派な人間になりたいと編集プロダクションでバイトを始めるところからお話はスタート。

成長物語と呼んで間違いはないのかもしれないが、この本の凄いところは、衆目に依拠する自立と、自律的な自立が、絡み合いながらも、大瀬崎の中で分けられて膨らんでいくところではないだろうか。だから、タイトルの「さよなら、スナフキン」という言葉の重みが最後に効いてくる。冒頭の大瀬崎に共感していた身としては、最後に置いてきぼりにされたようで、大瀬崎を心の底から羨んでしまいます。それが、実はつらい。ただ、それくらい、すごいパワーを秘めた本です。

どきっとする言葉にもたくさん出会えて、山崎マキコさんの他の著作も読んでみたくなりました。

・「愛を欲してやまない、強い執着の行き着いたところ
文章がテンポよく、主人公・大瀬崎の、すっとこどっこいな視点ともあいまって、おもしろく読みやすい。

一人称で細かい心情までよく描かれているので、主人公と同じ世代・境遇(学生。だけど学校には行ってない。自分に何一つ価値を見出せず、友だちもなく、将来の展望もない。なのに(だから?)誰かに庇護され愛されることを人一倍強くのぞんでいる、そんなコ)にある人はかなり共感するのでは、と思う。または、そんな時代を経てきた多くの人も。

どう生きれば他人に必要とされるのか、居場所を見つけられるのか、愛してもらえるのか、じたばたと葛藤する大瀬崎。

彼女は「ものを書く才能」を秘めながら、それを認めることさえできない。卑小だと思い込んでる自分自身を、どうしても評価できない。彼女にとって重要なのは、誰かのために粉骨砕身して、頭をなでてもらうこと、ただひたすらにそれだけだからだ。

だから「何のとりえもなかった一学生が、物書きになり自信を得るまでの物語」などという、単純なサクセスストーリーにならない。

才能を活かして上手く立ち回ることのできない不器用な人間。だらだらと無駄に苦悩するダメ人間。そんな彼女が、愛を欲して懊悩しさまよう生き方よりも、愛を与えられる行き方をしようと決意する。それは人生の捉え方の根本的な変容であり、まちがいなく幸福へと向かう一歩となるはずだ。彼女の幸福を、自分自身への思いとも重ねて、祈りたい。

さよなら、スナフキン (新潮文庫) (詳細)

青春の門〈第1部 筑豊篇〉 (講談社文庫)

・「我が思い出の一冊
始めてこの本を読んだのはもう10年以上も昔。自分の生き方について悩んでいた学生の頃だった。友人に薦められたのがきっかけだったが、1週間とかからずに、当時発刊されていた第6部まで一気に読み切ったのを今でもよく覚えている。そしてその後の自分の生き方に、少なからず影響を与えたように思う。

主人公、伊吹信介のような熱く、そして不器用な生き方は、今はもう流行らない、時代遅れの物語なのかもしれない。だが、この小説の舞台となった60年代と同様に、今もまた先が見えない激動の時代。そんな時代の青年達にこそ、この本は読んでみてほしいと思う。

・「絶対に読むべし!!
 私はこの本を大学1年生の時に読みました。主人公の伊吹信介の不器用な生き方に感動しました。自分がこれからやりたい事を見つけるために大学に入った信介は、いろんな事に疑問を持ち始め社会と対抗していく。その過程には、ヤクザとの喧嘩、人間関係、裏の社会などいろいろな事がありそれを乗り越えていくことによって人間として成長していく信介がうまく描かれています。 第1部 筑豊篇では、幼いころの信介が鮮明に書かれている。

 この本を読んで本当に良かったと思う。この本は作者の実体験も含まれているのではないかと思われる。自分の子供にも読ませたい本ベスト3に入る傑作!

・「麻薬のような内容
本書を初めて読んだのは中学生時代。

伊吹信介の熱くやや不器用な生き方を自分と照らし合わせ賞賛したり批判したりしながら読んだ記憶がある。当時は受験勉強をする時期だったが筑豊篇の後に自立篇、放浪篇…と続くので途中で読むことを中断することが出来ず、徹夜して読んだ。

5年後、10年後も本屋で本書を見つけると懐かしく思い出され、繰返して読んでいる。五木寛之の中では最も面白い小説であろう。

・「完結するのかな?
筑豊篇の巻頭に、香春岳について述べている、全体のモチーフとなるような短い序文がある。思えば、この序文は、伊吹信介のような昔気質の若者への挽歌だったのだろうか。この作品には、恐らく著者の個人的体験も数多く織り込まれているため、青春時代の自分への惜別の情も感じられる。読んだのは20年前だが、この序文はまだ鮮明に記憶している。五木寛之は最近はあまり読んでいないが、中学時代に「青年は荒野をめざす」と共に、心を熱くして読んだ、青春の一冊と呼べる本である。

・「傑作です
五木寛之さんの小説はかなり読みましたが、この本が一番面白かった。初めて筑豊を訪れたとき、香春岳を見て、感動がよみがえった

青春の門〈第1部 筑豊篇〉 (講談社文庫) (詳細)

宣教師ニコライと明治日本 (岩波新書)

・「忘れられやすい日本近代の発掘
東京御茶ノ水のニコライ堂を訪ねる前提として本書を読んでみて、期待は裏切られなかった。骨子となっているのは、サンクト・ペテルブルグの国立中央歴史古文書館に保管されていた、ニコライ自身の40年間に渡る日記であり(著者がそれを79年に発見したのはなんという僥倖だろう)、その重要な部分が、ドストエフスキー研究者にふさわしい良質な日本語で紹介されているのだから嬉しい。明治後期に日本人の正教会信者数は、カトリックに次いでプロテスタントを凌いでいたという貴重な事実を本書から知ることができたが、その理由の一端もまた興味深い。戊辰戦争で敗れ「古い権威の崩壊を体験」した仙台藩士たちが、「新しい日本にふさわしい新しい統一原理としての宗教」を求めて最初期の信者になったというのだ。ロシア正教はまさしく新興宗教として我が国に到来したのであり、「薩長藩閥の政府を以って不倶戴天の仇敵」となす政治的意味合いをも併せ持っていたのである。江戸時代から日本人が潜在的に感じ続けてきたロシアの脅威、そして日露戦争。歴史の歯車はロシア正教にとって不利な方向にばかり進んでしまった(日英同盟を結んだ相手イギリスがプロテスタント国であったことも忘れてはならない)。日清戦争に勝って中国を、ひいてはアジアを見下すようになった日本は、日露戦争に勝利したのちロシアまでも「黄色い白人」として劣等視するようになった。その後の歴史は誰もが知っている。教会関係者の手になる本でないだけに、ロシア正教への正当でまっとうな批判を読みうるところも良い。ギリシャ正教の教義とビザンチンの芸術様式を唯一の権威として無批判に崇敬したことはともかく、国教として安泰を保障されたその保守的な体質は日本の仏教界にも共通している。小冊子ながら日記以外の資料も存分に引用されており、新書の値段でこうした良書が読めることを感謝すべきだ。

宣教師ニコライと明治日本 (岩波新書) (詳細)

さあ、気ちがいになりなさい (異色作家短編集)

・「職人芸
ブラウン本は本当に少なくなっています。本書も絶版で入手困難でしたがようやく新装版で帰ってきた。本書を契機にブラウンの作品がまた再刊されることを願っています。SF、ショートショート、サスペンス…全部ブラウンから教えてもらいました。いろんな作品を書いたよろず職人という感じです。どの作品も読みやすい、わかりやすい。底が浅いのではなく、人間心理に通じていないとこういう面白いものはなかなか書けないものです。読者を常に考えている職人芸です。淡白な文章を読み終えた後の余韻がいい。本当にいい書き手に出会ったという実感が残ります。ブラウンは初めてだし本書は値が高い、と思われる方はまず「未来世界から来た男」(創元SF文庫)を読まれるといいでしょう。

・「異色作家短編集②
1962年10月に異色作家短編集として刊行され、永らく絶版になっていたものの同・新装版第一回配本の②です(①はロアルド・ダール著のキス・キス)。全12編が収録されていますが、どれも重い、深刻な内容ではなく、著者お得意のおバカSFあり、ブラックユーモアあり、予想も出来ないようなオチありと、人を喰ったようなストーリーをテンポ良く読ませてくれます。一話読むと、もう一話と、途中で止まりませんでした。訳者も変わっていないそうです。私は以前出版された方は未読なのですが、星新一さんの訳、いい感じです。解説は坂田靖子さんが書かれています。異色作家短編集シリーズは全20巻刊行されるそうなので、全巻揃える予定の身としては、値段が若干高い気がします。フレデリック・ブラウン氏の作品を初めて読もうと思っている方にもオススメします。異色作家という括りには、あと誰が入っているんでしょうか?次回配本予定を見るのが楽しいです。

・「古いファンから一言
 著者について多くを語る必要はないでしょう。知っている人には説明は不要ですし、知らない人は……読んで損のない作家です、とひとことだけ(『スポンサーから一言』を真似ているわけではありませんが)。

 フレデリック・ブラウンも名作だけを書くわけではありません。これはちょっと、という出来のものも混じっています。でも、私は小さな声で言いたい。フレデリック・ブラウンを知らない人は人生の何%かを損している、と。一度だけ読んでわかった気になっている人も人生の何%かを損している、と。読みましょう。しばらく経ったら再読しましょう。その時その時でとっても良い味がしますよ。

さあ、気ちがいになりなさい (異色作家短編集) (詳細)
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