ミスト コレクターズ・エディション (詳細)
フランク・ダラボン(監督), トーマス・ジェーン(俳優), マーシャ・ゲイ・ハーデン(俳優), ローリー・ホールデン(俳優), アンドレ・ブラウアー(俳優), トビー・ジョーンズ(俳優)
「カラー・モノクロ どちらも捨て難い・・・。」「キング小説の“恐怖の本質”を見事に映像化した作品」「レビュー見ないほうが良い。」「フランク・ダラボン万歳!」「ラスト15分」
ミスト (詳細)
トーマス・ジェーン(俳優), マーシャ・ゲイ・ハーデン(俳優), ローリー・ホールデン(俳優), アンドレ・ブラウアー(俳優), トビー・ジョーンズ(俳優)
「おぞましき多数論理。」「まさにキング作品の映画化」「問題作」「最高のヒューマン・ホラー」「この作品について」
・「カラー・モノクロ どちらも捨て難い・・・。」
クリーチャーが描けてて、人間が描けてて、絶望や哀しみが描いてあって、皮肉がきいている。最高です。しかしカラーとモノクロで本当に雰囲気が変わるものですね!カラーで公開された時に噂のモノクロ版はこんなイメージかなぁと勝手に想像していた画とは、この素晴らしい特典映像全く違いました。50年〜60年の頃のあの匂いがぷんぷんしてくるような・・・。モノクロにすることによってこんなに作品のカラーが変わるとは!洒落ではありません!本当にこの映画にはこのトーンがあっているような気がしました。ただ、スーパーマーケットの中のカラフルでポップな色づかいと、真っ白な霧の中に浮かび上がる黒いクリーチャーの影との対比が素晴らしい劇場公開版も捨て難い・・・。コレクターズ・エディションをお勧めします。ただ、削除シーンにはうぉおおお!というようなものは入っておりませんでしたけど。
・「キング小説の“恐怖の本質”を見事に映像化した作品」
これはまぎれもなくキングの“クリーチャー系ホラー小説”の映画化の最高傑作。そして、キングのホラー小説の“雰囲気”や“本質”を忠実に再現したと個人的には思っている、TV版「死霊伝説」、「ナイト・フライヤー」よりも、さらに“キング小説の恐怖の本質”を掘り下げ、見事に映像化した作品。
「ショーシャンクの空に」と「グリーンマイル」という非ホラー系傑作を生み出したダラボン監督、原作本と異なる結末をキングに納得させて、ホラー映画でもこんなにすごい実力を出すとは・・・。しかし、本物のキングファンである彼の作り出したこの結末が、本国アメリカでは賛否両論となったせいか興行的にはあまり成功したと言えないのは、個人的にはとても残念(R指定とはいえども)。
俳優陣、目立つのはアカデミー受賞女優のマーシャ・ゲイ・ハーデン、狂信的な宗教信者カーマディーを熱演。最初は誰からも相手にされないが、次第に狂気の度合いを強めていく演技そのものがホラー。また、カーマディーに起きるある出来事がきっかけとなり、次第に彼女を預言者とあがめるようになり、その終末論に洗脳されていく人々の表情や行動は、まるでゾンビ。主役のトーマス・ジェーンとネイサン・ギャンブル(「バベル」でブラビの子役)の父子の描き方は自然だし、「X-ファイル」ファンにはコバルビアス役でお馴染みのローリー・ホールデンが絡んだ“擬似家族”がストーリーのコアになる、ここにもキング作品らしさが。
撮影は、即興的なドキュメンタリー風ショットと、計算されたアングルショットが巧みに編集され、不安から混乱に変貌していくスーパー店内の様子を巧みに描くことに成功している。肝心のクリーチャーだが、CGと造形物との抜群の融合技術で、“大小様々な”連中の質感はとても高く、本当に不気味でゾッとすること請け合い。最近のホラー映画では、こういう“creep”な恐怖描写がめっきり少なくなっただけに、どこか懐かしさも。
映画が終わってから、恐怖とは何なのかをつくづく考えさせられる、そんな作品。そして、これこそがキングが「キャリー」以来ずっと読者に問いかけ続けていることなのだ。
・「レビュー見ないほうが良い。」
映画の感想ですが、ほとんど前知識なしで見ました。パニックもの大好きなんですが、全部見終わった感想は80点位ですかね。娯楽映画ではなく、終わった後に考えさせられる映画です。途中ですっきりするシーンもあるのですが、やりきれなさが残ります。でも、もしこんな状態に陥ったならあり得そうなので笑えないですね。できれば別エンディングもついてたらうれしかった。
レビューでネタばれしてる人いるので見てない人は気をつけてください。
・「フランク・ダラボン万歳!」
個人的にはあのラストは好きではありません。しかし現在のところ、スティーブン・キングの小説の映画化をさせたらこの人以外に右に出る人はいないのは間違いありません。今回も期待通りでした。もう少し怪物の登場シーンを増やしてくれたらもっと嬉しかったですが・・・。しかし、やっぱり(笑)DVDは買いますよ!
・「ラスト15分」
真実を見極め、選択する事の難しさを痛感する映画でした。暗中模索、正しい選択をしているつもりでも裏目に出てしまう、「霧」のタイトルに相応しい内容です。クリーチャーも出し惜しみが無く、純粋にモンスター映画としても十分に楽しめると思います。2枚組コレクターズエディションに入っている、本編の白黒バージョンがとても新鮮に感じました。それからDVDソフトに有りがちですが、メニューのアイコンが解り難かったです。ラストの展開に賛否両論あると思いますが、この映画の原作が「クトゥルー神話」に影響を受けているようですので、最後に登場したデカい怪物を見た瞬間に「生きる事に絶望してしまった」と、解釈する事も出来るのではないでしょうか。
●ミスト
・「おぞましき多数論理。」
人間の本質を訴えた作品だと私は思う。ある人は言った。人間の本質は善あると。ある人は言った。これは贖罪なのだと。またある人は言った。人は同じ部屋に二人以上いれば争いを起こすと。現実を否定する者、神を信じる者、抗う者、理性に従う者、従事する者、懺悔する者、利用する者。それぞれがそれぞれの真実を、正義を翳した。この映画を観たあなた方は誰に共感し、誰を正しいと思っただろうか。一人の人間の教養や価値観、偏見で、正義や道徳を作りあげ、それを信じて行動する者達の姿は正に圧巻であった。多数論理が少数論理を締め上げていく姿は実におぞましい。文明的な生活を手に入れ科学技術を振りかざしていても、人間の本質はいかにシンプルなものか良く表現されていた。皆に助けを求めた女性を貴方なら助けただろうか?無理やりにでも外へ出て行こうと考えるものを貴方なら止めただろうか?瀕死の人を貴方なら助けただろうか? 聖職者に咎められた軍人を貴方なら助けただろうか?果たして貴方はこの映画の中でおよそ何回人を見殺しにしただろう?何回残忍な事を考えただろう? およその人は思ったのではないか?あの夫人は死ぬべきだったと。重火傷の人はもう助からないと。化け物に刺された女性はもう人間ではないと。子供を愛する父親のすることだから全て正しいのだと。私もラスト15分までは主人公のしてきた行動が正しいと思っていた。あの拳銃を取ったことも正しいことだと思っていた。勿論あの夫人が死んだこともだ。 だがどうだった。ラスト15分に突入するとだんだと見えてくるオチに私はまさかこれはないだろうと、物語の結末を拒絶した。
「有り得ない」と。そして、ふと気がついた。
いつしか自分も物語の主人公に成っていたと。
やってくれたぜ、スティーヴン・キング。
・「まさにキング作品の映画化」
霧の正体はラブクラクトを読んでいただければ分かります。賛否両論の救いようのない結末ですが、これは「クジョー」の映画化の時に変えられてしまった、安易で予定調和的な結末に対するキングの無念さに対してダラボン監督が真摯に答えた結果でしょう。この監督が、スティーブン・キングを良く理解しているからこその映画です。結末に納得のいかないかたは、初期のキング作品を2−3冊読まれてみてはいかがでしょうか。ラストの主人公の咆哮は、グリーン・マイルのラストにも通じています。キングの永遠のテーマ=「死よりも怖いものがある」という言葉が良く伝わってくるラストです。
・「問題作」
普段なら普通にB級でいいか、悪いかですませるところを、この映画に関しては、嫌悪感むき出して全否定する人がいる。つまり、それくらい人によっては衝撃的とゆーことだ。本当にどーしよーもない映画は、別にどーでもいーので、誰も何も言わない。無視できる。この映画は一部の人には無視できないものがあるのだ。もう撮らないでとまで言わせる、問題作なのだ。よって別に誰が好きで嫌いでも、売れても売れなくても、レビューするエネルギーを使うのももったいないといった、そこらじゅうにある単なるB級作品でない。少なくとも一部の人間において、嫌いな人はとことん嫌いにさせるパワーがこの作品にはあると思う。そして、好きな人が絶賛するパワーもある。問題作とはそーゆうものだ。
・「最高のヒューマン・ホラー」
決してクオリティが高いとはいえないCGを含むクリーチャーのために、B級映画的な感触のする映画ではあるが、そもそもそのようなところに力点を置いた映画ではない。ジャンルを問わず、「脚本の出来の良さ」に楽しみを見いだせる人にならば、遠慮なくオススメできる。
大筋では、常に最善を期して努力する主人公らが、それを圧倒する「敵」と自身らの選択ミスによって、最悪の展開に追い込まれて行く、という定型に完全に沿った、王道のホラーと言える。しかしその「敵」に、感情の齟齬や、集団心理の暴走を織り交ぜていく匙加減が秀逸で、じわじわと胸を圧迫する恐怖がある。主人公は、外敵を追い払い、また歪んだ形の社会の縮図となったスーパー内の人々からも、息子を守らねばならなくなる。息子との「約束」を心の支えにした、主人公の冷静な強さが、観客にとっても唯一の救いに映る。
そんな「怪物も恐いけど、人間もね」的な展開で進んで行く本作だが、問題のラスト15分には、そのどちらもが軽く吹き飛ぶほどの恐怖が待ち受けている。それは「後悔」である。
脚本・監督を務めたフランク・ダラボンの表現力が、ひとたびホラーに向けられると、これほどまで観客(と主人公)を地獄のどん底に突き落とす作品が生まれるのかと、驚愕した次第である。この徹底ぶりは、完璧な爽快感を実現した名作「ショーシャンクの空に」に、ある意味で通じていると思う。「希望」を描くか「絶望」を描くかの違いだけで、きっとやってることは同じなのだ。
---もう余りに徹底的に怖すぎて、観終わってしばらくすると、今の自分の幸せな境遇への感謝の気持ちが止めどなく溢れ出てきます。というかそうでもしないと、落ち込みすぎて日常に復帰できないくらい怖い。誰になんの恨みがあってこんな映画作るんだってくらい怖い。
・「この作品について」
この作品は良くも悪くも何かしら考えさせられる映画です。基本的に宗教色が強く、旧約、新約聖書からの引用が多く見られ、『最後の黙示録』(アバドン、黙示録の獣など多数登場)を再現した世界が展開されます。
内容についてはスーパーマーケットに避難した主人公達が如何にして生き残るかというサバイバルホラーですがそのスーパーマーケットの中でも外の直接的地獄とは違う集団心理の精神的な地獄が徐々に広がっていく様がリアルに描かれています。
集団の中の個という個人個人の選択はまさに見ている観客一人一人が自分に当てはめる事が出来る程、鮮明に描かれています。その選択は作品のラストにダイレクトに帰結するわけですが...
見終わった後、人生の選択や分岐は一度きりだと言う当たり前の事を思い出させ、考えさせられる映画です。
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