「この清々しさは何だ?」「どの様なジャンルでも面白い作品にしあげてしまう」「面白い小説ここにあります だそうです」「年間ベスト級の傑作、労作、力作」「読後、すかっとしました!」
「青年は荒野をめざす近代編」「みずみずしい作品」「80年代に東京で独り暮らしを始めた方に」「80年代青春小説の佳作」「ツボを押さえた作品」
イン・ザ・プール (文春文庫) (詳細)
奥田 英朗(著)
「まさに怪作」「伊良部総合病院の神経科はなぜ空いているんだろうか?」「これで筒井康隆の後継者は決まり。」「面白すぎる!!もっと早く読めばよかった…」「私にもあなたにも」
「人間臭さがいい。」「本気の淋しさ」「悪人は本当に悪人だろうか」「クライムノベル」「非常に考えさせられた本でした・・・」
ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫) (詳細)
垣根 涼介(著)
「圧倒的なスケールとリアリティとスピード感」「まだまだ出だし、下巻はスピード四倍速」「この躍動感はすごい!」「最高!」「胸が熱いです。」
虚貌〈上〉 (幻冬舎文庫) (詳細)
雫井 脩介(著)
「「火の粉」同様、徹夜本」「天才」「面白いです」「出会えてよかった一冊」「さすが」
カシオペアの丘で(上) (詳細)
重松 清(著)
「許し、成長そして浄化 澄んだ心を取り戻すために」「これは恋愛小説ですね。」「同世代の人達には特に薦めたい一冊」「自分を許せるか」「素晴らしい!」
神様からひと言 (光文社文庫) (詳細)
荻原 浩(著)
「本当におもしろい!」「逃げていないのに幸せ」「おでん鍋」「すべての会社人間に!」「元気が出ますよ」
OUT 上 講談社文庫 き 32-3 (詳細)
桐野 夏生(著)
「すごい!すごすぎる!!」「ミステリーという枠組みを超えた傑作」「凄惨なかっこいいおばさんが、バラバラ殺人をやって解き放れる」「推薦図書(20歳以上に)」「圧倒的なリアリティー!」
ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫) (詳細)
中島 らも(著)
「「ヒト」を知り尽くしている中島らも」「努力する天才逝く-バナナのキジーツ」「鬼才らもさんの遺した神秘ミステリー長編」「渾身の大作!」「中島らもは天才だった!!」
ゴールデンスランバー (詳細)
伊坂 幸太郎(著)
「伊坂ミステリーの妙を堪能しました」「過去を称えるやさしさにあふれている傑作」「新作は大作。伊坂幸太郎氏の作家人生における注目すべき一書!」「事実は角度が360度あるのです。」「あとからじわじわと」
・「この清々しさは何だ?」
何故かモップス(吉田拓郎)の「たどり着いたらいつも雨降り」(子供バンドがカバー)を思い出した。決してハッピーエンドではない。決して大団円ではない。レジスタンスは成されなかった。資本により自然は破壊される。でもこの清々しさは何だ?
「心の中に傘をさして裸足で歩いてる自分が見える。」
少年は少年なりに素直で、恥ずかしがりで、母親に頼り、妹を想い、気になる女子がいて、友が好きで、父を煙たがる。妹はロマンチックに憧れ、母に甘え、兄の後を追いかけ、父を煙たがる。姉は父を煙たがるが、父を大人として理解する。弟妹を大人として愛する。母は父を理解する。徹底的に愛する。父は誰にも媚びない。そして自分を最も理解する。息子に向けて「俺のようにはなるな。少し極端だからな。」だが自分の立つべき位置は決して変えない。そしてその位置を家族全員が理解した時、家族の持つ美しさが立ち上がってくる。
家族をとりまく人達も生々しい。どこにでもいそうで、いなさそうな愛すべき人達。
例えこの世が土砂降りでも、心の中に傘をさして歩いていく。周りから見ればびしょ濡れでみすぼらしいのかもしれない。しかしその心の中が見えた時、彼の姿はあくまでも誇り高く、気高い。
・「どの様なジャンルでも面白い作品にしあげてしまう」
一言で言えば、面白い作品であった。534ページという大作であるが、長さを感じることなく、スラスラと読むことができた。第一部は主人公二郎の家族が元過激派の父親に翻弄され中野から転居せざるを得なくなるまで、第二部は沖縄の西表島に転居後の生活が描かれている。小学生から見た大人の世界、そして子供同士の世界がうまく書けている。なんと言っても主人公の一郎の人物像が強烈で、自分の身の回りにいたら確実に関わりを持ちたくないタイプの人物であるが、彼の発言・行動は、一見めちゃくちゃでありながら、現代日本の問題点を的確に捉えて筋が通っており、読んでいて面白かった。作者の全ての作品に共通するところであるが、泣かせどころ、笑わせどころを作るのが本当にうまく、楽しめる作品であった。
「最悪」「空中ブランコ」「泳いで帰れ」そして本作と、どの様なジャンルでも面白い作品にしあげてしまう作者は本当にすごい!
・「面白い小説ここにあります だそうです」
おもしれ〜!奥田英朗最高、何でこの人はこんな強烈なキャラをここまで面白おかしく書ききることができるんだろう。一度本人に会って詳しく話を聞きたくなる、そんな気にさせてくれる傑作です。なかなか分厚い本ですが一日で一気読みですよ。これを読んだら迷わず買い!損はさせないと断言します、「面白い小説ここにあります」の文句に偽りなし(趣味が合わない人は申し訳ありません)。そして共に奥田英朗にはまりましょう。
・「年間ベスト級の傑作、労作、力作」
新聞各紙が年末に評論家に選んでもらう年間小説ベスト5。たくさん顔を出すに違いない傑作。そして労作であり、力作だと思う。私はこの人が、今日本でもっとも力ある物書きの、3本の指に入ると思う。「インザプール」「空中ブランコ」(直木賞受賞作)そして本作しか読んでいないけれど。この作品への著者の思い入れも相当あると思う。純文学の人ではないから、各ページに染み渡るような情感や知性が横溢しているわけではないけれど、構成力、人物造詣、ユーモア、間合い、全てが相当高い水準で備わっている。「今、乗ってる人」であり、筆に勢いがあって、グイグイ大胆に、飛ぶように小説が命を持って行く。正直、前半3分の1くらいのカツ、黒木の不良の所業はすこし読みたくなかったし、前半後半でやや「中編2つ感」もあったが、対比は良く、また二郎の成長物語としても、しっかり読めた。男も爽快、女も可愛くずるく魅力的に書ける人。さくらも桃子もGOOD。最後までテンションは落ちない。後半3分の2の方が良いくらいと、私は感じた。全共闘世代のことは分からないけれど、非常に素晴らしい文学作品だと断言したい、とてもオススメ、見逃すこと無かれ!
・「読後、すかっとしました!」
人間は「欲」を持った時点で政治が必要になり、争いが絶えない社会に成る。作者のひとつのメッセージはしっかり伝わりました。西表島での生活は、人間の生き方の原点を教えてくれたと思います。
元過激派の父ははちゃめちゃではありますが、よくよく考えれば彼の生き方は筋がしっかり通っています。東京での生活の中ではよくわからなかった母の姿勢も、西表島ではすっきりとしていて、父に従う彼女の姿に夫婦のあるべき姿を見たような気もしました。そして、家族のあり方も。
父の姿は「空中ブランコ」「インザプール」に登場する伊良部先生にも相通じるキャラクターですが、もっと凄みがあって、この物語の中で、いきいきと動いています。奥田氏特有のユーモアもいたるところに散りばめられていて、時に笑い、時にしんみりして500ページ余を読み終えました。私的には、2部で登場する外人のベニーさん、好きですね。
とにかく、ラストが希望が持てて、読後感がすごくいいです!
●東京物語
・「青年は荒野をめざす近代編」
大都会に自ら飛び込んでいった主人公が、けものみちを行くがごとくの中で、無意識に取捨選択していったときに見えてきたもの。その芯なるものを、露悪的に、スカトロジックやノスタルジックで、照れ隠しのように、蔦で覆うがごとく隠しているようであるが、読む側に、そこはかとなく伝わってきて、実は、とても品位のある本だった。なかなかの骨太小説である。
・「みずみずしい作品」
この作品を一言で表現するとするならば、「みずみずしい」という言葉になるのではないだろうか。80年代の若者の、等身大の姿がイキイキと描かれ、青春時代の甘酸っぱさやほろ苦さが色鮮やかに蘇ってくる。
プランナー、コピーライターを経た作者自身の体験だろうか、仕事の場面でのディテールがしっかりしている。
さらに登場人物同士の小気味いい掛け合いが絶品で、先へ先へとテンポ良くページをめくらせる。
とにかくおもしろい。お薦めの作品である。
・「80年代に東京で独り暮らしを始めた方に」
奥田氏は1959年生まれ。私はその3年後に生まれ、81年に東京の大学に進学し、独り暮らしを始めた。同時代を生きた人たちにとっては、まるで20数年前にタイムスリップしたかのように、甘酸っぱい気持ちを思い起こさせてくれる一冊。思い出のスナップ写真といっしょに、自分の子どもが18歳になるころにもう一度、読み返してみようと思う。
・「80年代青春小説の佳作」
手錬れのミステリ作家が、80年代を活写した青春小説。とはいっても、決して青臭くはない。「青春が終わり、人生が始まる」までのトホホながらも輝ける日々を、肩の力を抜いて描ききった。
「ウォークマン」「ルービック・キューブ」「ファンシーケース」といった、時代を感じさせる固有名詞がさりげなくちりばめられ、あの頃の空気を吸った者としては、ちょっぴりセンチな気持ちにさせられてしまう。
「誰にも許しを得るでもなく自由に外泊できることに気づき、心が弾んだ。今日、本当に自分の一人暮らしが始まったんだ」。
読んでいると、意気込んで都会に出た者ならきっと経験したであろう、微妙にくすぐったい解放感が甦ってくるはずだ。
もちろん、ミステリ作家としての技量もいかんな!く!!発揮されている。ストーリーの冒頭、ネガティブな事象をぶつけてストーリーを転がしていく、一流の映画的クリシェを堪能したいところ。
・「ツボを押さえた作品」
80年代の時代を背景に、名古屋から上京した田村久雄の20代を描く連作短編集。他の作品同様「笑い」「しみじみ」「泣かせ」のツボを押さえた作品である。
作者自身は岐阜県の出身であるが、その後のコピーライター、雑誌編集者という職歴をみると、半自伝的な部分はあるのかもしれない。
作者の作品は、「最悪」「邪魔」の路線と、「マドンナ」「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に代表される路線に大別されると思うが、本作品集は、後者のカテゴリーに入る。
・「まさに怪作」
まさに怪作である。この作品は、すごく好きな人と、全く受け付けない人の二通りにわかれるとおもうが、私にとっては「ハマッタ」作品である。とにかく、主人公の精神科医・伊良部のキャラクターがよい。ひたすら笑わせる小説でありながら、泣かせる(?)ツボをおさえている。作者の代表作「最悪」「邪魔」とは、全く違った路線の作品でありながら、文章展開のうまさは両群の作品に通じるものであり、本作品ではあらためて作者の才能を痛感させられた。
この作品では惜しくも受賞は逃したが、続編の「空中ブランコ」で見事直木賞を獲得した。
・「伊良部総合病院の神経科はなぜ空いているんだろうか?」
まさに「患者さん、いらっしゃーい!」の世界だ。本書は、第2弾『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞した奥田氏の「伊良部シリーズ」の第1弾。順序を逆にして読んだせいか、こころなしか伊良部一郎神経科医の奇形な言動ぶりにはまだ「抑制」が効いているような印象である。それにしても、本書で扱われている神経的・精神的症状に悩んでいる人は多いのか、「なるほど、そういう症状もありそうだ」と思えるものばかりであった。
精神科医は患者の症状を丹念に聴きそれに応じた処置を講じるのであろうが、この伊良部医師はカウンセリングを全く信用しておらず、患者には想像もつかないきわめて大胆な治療法を自ら実践してゆく。そこに「迷い」や「躊躇」の念は皆無である。「伊良部の精神科医も天職だ。人を深刻にさせない天性のキャラクターだから」(278頁)という文章にはまったく同意する。この医師と付き合っているうちに、自分が抱え込んでいると思っている症状や悩みそれ自体が、もしかしたら「馬鹿らしい」とみなせるようになるかもしれない。それを伊良部医師が「計算」しているとはとても思えないのだが。
さて本書も第2弾と同様に計5作品が所収され、多様な症状をもった患者が「地下1階」の神経科を訪問する。総合病院であり外装はそこそこ綺麗なのだから、本来は患者でごった返す状況が予想できるはずだが、この神経科を訪問する患者数はきわめて少ないようだ。訪問患者もあらかじめ選抜されているかもしれない。伊良部医師と対等に付き合うだけのエネルギーと覚悟が要求されているように思うからだ。ここを訪問した時点で症状はすでに治っているんだろうか。本書では伊良部一郎医師の素性や性格が克明に描かれており、かえって「逆読み」効果によって彼により多くの親近感を抱くことができた。伊良部医師を生み出した奥田英朗氏の作家という仕事もおそらくは天職なのだろう。注目の1冊である。
・「これで筒井康隆の後継者は決まり。」
筒井康隆先生も齢を重ねられ、往年のパワーがなくなった現在、ああいう小説を書ける作家を探していたが、やっと見つけた。筒井康隆ほどのパワーはまだないが、いずれ筒井康隆をしのぐであろうことは奥田英朗のほかの作品を見ると、想像に難くないところである。
「インザプール」映画は見ていないが、TVでアベちゃんがやっているのを少しみた。そのイメージで読んでいたら、伊良部の体型がまったく違うではないか。それを知ってからというもの、伊良部が出てくるたびに米米クラブのジェームス小野田がちびになった姿が脳裏に浮かび続けている。私の中で、伊良部がジェームス小野田のような格好で「ぐふふ」と笑うのだ。もう声まで聞こえてきた。あぁ、私も伊良部総合病院へ急がねば。
注意点:本書は電車などで読まないように。
・「面白すぎる!!もっと早く読めばよかった…」
気にはなっていたが著者の作品は読んだことがなかった。書店で精神科医伊良部一郎を描いた新作である「町長選挙」と一緒に、「イン・ザ・プール」が平積みになっていたのを見かけた際、やっぱりデビュー作から読んだほうがいいのだろうなと単純に考え、この作品を手に取った。
もう爆笑である。面白すぎる。滅多にないことなのだが、読み終わった後、すぐにもう一度最初から読み直した。この作品で、日本人の抱える精神的な問題を、ああだこうだと論じるのはばかげたことなのかもしれない。とにかく楽しんで読むのが一番である。
再読し終わった後に、ふと思ったのだが、この作品を2回も続けて読んだ私は、伊良部医師の治療にはまってしまったということなのだろうか。うーん…。
・「私にもあなたにも」
神経症の医師、伊良部一郎を訪ねる患者たちの物語。出てくる病状はそんなに深刻ではないですが、その分人と競争したり(自分では気付いていなくても)、仲良くしていかなければいけない社会のなかで誰もが少しだけ持っているストレスを認識します。
●悪人
・「人間臭さがいい。」
久しぶりに泣けた作品。年齢を重ねたから感じる事なのか、登場人物皆がとても人間臭くていい。登場人物皆悪人なのか、そうさせる環境で生きて来たのか・・・綺麗事の多い小説の中で人間味のある人々の心にふと足を止めてみたい作品。「生まれて初めて人の匂いがしたっていうか・・」と始まる少年の言葉が今の世の中に重なるような気がした。
・「本気の淋しさ」
吉田修一の集大成のようだと思いました。今までの小説のいろんな要素がいい具合に盛り込まれています。
嫌な役でも嫌な事でもなんでも引き受けてしまうのが当たり前になっている祐一の、底なしの優しさが切なかったです。自分が犠牲になることの苦痛なんかより、おいてきぼりにされることの恐怖がずっと大きい。祐一の優しさと淋しさが見事に表現されているラブシーンがとてもよかったです。祐一も光代も、ほんとうに淋しかったのです。
・「悪人は本当に悪人だろうか」
吉田修一作品が好きで、ミステリーも好きなら、これはちょっと興奮してしまう一冊です。
この作品を前半・中盤・後半と分けると、前半あたりですでに犯人が分かり、後に残ったこの大量のページにはいったい何が書かれているんだろうと、訝しく思いました。犯行までの詳細が、ちょっと退屈になるくらい丁寧に書き込まれているくらいかなと思いながら期待せず読んでいたのですが、逆にどんどん引き込まれていきました。
生きていると「知人」と呼ばれるひとが周りにたくさんできてくるけど、自分はそのひとたちをどれだけ知っているんだろう、とちょっと考えさせられました。また、メディアが一方的に発信する情報をただそのまま受け取る怖さにも改めて気づきました。多面的で複雑な要素で成り立っている人間性を果たして他人が断じることができるのか、断じていいものか、とても深いところが書かれていると思います。
おすすめです。
・「クライムノベル」
これまでの吉田修一とは、明らかに違う。峠。殺人。ハイウェイ。灯台。逃避行。驚くほど面白くて一気に読んだ。凡百のミステリーよりもドキドキさせられたのは、作者が「事件」ではなく「人間」を描き切っているからか。失意の中での勇気。殺された娘を憶う父親の台詞が哀しく、そして強い。読後、ガツンとくる傑作。
・「非常に考えさせられた本でした・・・」
朝日新聞を読んでいないため、新聞に連載されていた小説ということは本を手にとって初めて知ったのですが、作者が「ようやく代表作(?自信作?)といえるものが書けた」というだけあって、非常に楽しめました。
関係者の供述が其処此処に入るという組み立てられ方をしていることもあり、小気味よい展開と相俟って、あっというまに読んでしまいましたが、読み終わって、そのタイトルの意味するところ、非常に考えさせられました。読んだ方と内容について語りあいたくなる本です。
・「圧倒的なスケールとリアリティとスピード感」
大藪春彦賞、吉川英治文学賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞した作品ということでかなり期待値が高かったのだが、その期待をさらに上回る出来で、次のページをめくるワクワク感を与えてくれる本に久しぶりに出会った。自分の不勉強で知らなかったのだが、戦後のブラジルへの移住政策というのが日本政府の完全な失策であり、著者は、この移住者の多くにかなり過酷な結果をもたらした事実を現地まで赴いて克明に取材し、かなりのリアリティをもって書き起こしている。実際の過去の出来事の上に、悲劇の日系ブラジル人たちを主人公に据え、おもに日本とブラジルの両国を舞台にフィクションを重ねて描くスタイルで、そのスケールとリアリティと展開の速さには圧倒させられた。ハードボイルド系を好む男性にお薦めの1冊である。
・「まだまだ出だし、下巻はスピード四倍速」
この人はほんとにブラジルとかコロンビアとか南米が好きなんだなぁ…って思いますね。どの作品を読んでも南米とコカの話に絡ませてきます。その作者の興味なんかも垣間見えたりなんかしちゃったりして面白いんですが、話の骨子はそこにはなくて…
クソまみれの唾棄すべき反吐の出るような戦後日本の外務省の姿勢、苦渋を味わわされた日系一世、二世の怒り、話の根元はそこ。読みながら怒りを覚えることでしょう。これは良く調べて作品を練り上げていると思います。
た〜だ、この作品はそれだけじゃないすよ。ヒートアイランドとか、サウダージ、午前三時のルースター等他の作品では見られない、ただのバイオレンスだけじゃなく、主人公たちだけがカッチョイイわけでもなく、登場人物一人ひとり、立場の違う人間とその景色、珍しく女性の成長と強さまで描き出す。
それぞれの思惑と、そこまで考慮された完璧な計画とトラップ、めまぐるしい頭の回転。これはすべての作品に共通することですが…、リアルな人物描写にこれまでにない人物たちの独自な、あるいは地味な格好良さと強さを見てください。ほんのチョイ役の登場人物までいい味がにじみ出てる、これはい〜い作品だ。
下巻まで読まないとわかんないかもしんないです俺のこのレビュー。申し訳ない。
・「この躍動感はすごい!」
理想郷だと信じ込まされやってきたアマゾンの地。しかしそこはまさに地獄の様な世界だった。日本政府・外務省が行った「棄民政策」。次々に死んでゆく仲間たちを見ながら、日本政府への復讐を誓う男がいた。やがて時はたち、その復讐の担い手となった青年たちは、テレビ局の記者をも巻き込み外務省へ復讐を開始する。
・「最高!」
おもしろい、これはオススメ度No.1!移民政策がこんなにも惨いこととは恥ずかしながら知らんかった。この小説にでてくる、何も考えてない日本人は自分の事だろうと思う。泣けるし、興奮するし、爽快だし、カッコイイし、励まされるし、最高ですよ!
・「胸が熱いです。」
現実に行われた「戦後最悪の愚政」である棄民政策という重いテーマを土台にしているだけあって、非常に骨太で、しかも骨格のしっかりした傑作エンターテイメントです。まず作品を通して始めて知る事実が多く、ぐいぐいと引っ張られるようにして読みました。一点だけ、ケイと貴子のやり取りの中で作者のミスではと気になるところがあったのですが、大変楽しめました。同作家の「午前三時のルースター」や「ヒートアイランド」でもそうでしたが、呪われた過去を持つ主人公たちがラストでそれらから解き放たれる姿にはやはり胸を熱くさせられます。
・「「火の粉」同様、徹夜本」
「火の粉」で、話題を集める作者の2001年に発行された単行本の文庫化。
本作品は、21年前に起こった放火殺人事件に端を発した復讐劇である。作品を通じてのキーワードは「復讐」と「顔貌」。
21年前に美濃加茂でおきた放火殺人事件。共犯者に騙され、主犯として懲役を務めた荒が出所したことをきっかけに、相次いで当時の共犯者が殺害される。21年前から荒は主犯ではないと疑っていた刑事滝中は、荒を重要参考人として追いかける。というのが上巻のストーリーである。作品は、滝中の娘・朱音、最後に残った共犯者・湯本をからめ、テンポよく進み、とにかくすすめられる。「火の粉」同様、徹夜本である。本作品は、文春の2001年度のベスト10で24位にランキングされた。発売が9月でなければ、もっと高い評価が得られたのでは、と思うと残念である。文庫化をきっかけに、多くの方々にこの作品に触れて頂きたいと思う。
・「天才」
雫井氏を知ったのは「火の粉」からであったが、そのときから警察小説系にはまりつつあり、横山秀夫などを好んで読んでいた私にはまさに求めていたものを兼ね備えている読み物を提供してくれる人物だった。この後、犯人に告ぐを読み、舌を巻いていたのもつかの間、この虚貌である。彼は人物描写や掘り下げがとても丁寧だ。その点は宮部みゆきの「理由」や「模倣犯」などに通じるところがある。ひとりひとりに多くのページ数を割く。そのページが後のストーリー展開に大きな影響をもたらすのだ。読む私たちは感情移入も深くなる。そのあたりが彼の狙いなのだろうか。この本も、いろんな人間が複雑に絡み合っている。少し難を言えば、この惨殺事件の犯人一味が、事件を追う、余命いくばくもない中高年刑事の娘とつきあっているところだろうか。そこまで世間は狭くない気がするのだが。。しかしながらそれを差し引いても一読に値する読み応えのある本である。惨殺事件の犯人を、24年経ってからまた惨殺したものは一体誰か、命を賭けて犯人を捕らえようとする刑事の思いは叶うのか。どの登場人物のいろんな側面から見ても常に先を読み進めたくさせる手腕には天才と言う他ない。
・「面白いです」
上下巻あるけど面白いから飽きずに読めます。ただ、最初にある、小説の発端となった事件の話は、かなりグロテスクというか気持ち悪くなってしまいました。凶悪事件って架空の小説で読んでもやっぱり正直キツイ( >Д<;)かも。でもそれ以外はかなり読み応えはあります。小説とはいえ人間を殺人の鬼にするのってやっぱり憎しみというか、限界を超えた悲しみとか心の傷なのかもしれないなって思いました。辛い過去を乗り越えて人の心の痛みを和らげていても、どんなに時間が経っても、家族を奪われてしまった憎悪というものは消えないものなのかもしれないと読みながら思いました。
・「出会えてよかった一冊」
読み終えたあとため息とともに出た感想です。上下、2巻に渡る長編ですが一気に読めます。気がついたらラスト・・・と言うくらい読者を引き込むスピード感に加え人物の心理描写の見事さには脱帽です。従来のいわゆる推理小説の定義をくつがえすような作品だと思います。奇をてらったかのようにとられがちなトリックをよくぞここまで深みのあるものに・・・と心から思いました。
・「さすが」
やはりこの人の作品は、後味が良い。「火の粉」でも、そうあって欲しい形で各キャラに決着がついた。「虚貌」もやっぱり、そういう意味できれいにまとまった話だと思った。前半感情移入させるだけさせたキャラが・・・!と言うのは思ったけど(^o^;まぁ逆にあれだけ同情を煽っておきながらバッサリいくからこそ、安心して読めるんだよね。推理小説のトリックとしてそれはありなのか?という感想も当然だけど、物語としては「これでいいのだ」というところだと思う。そして、良くも悪くも彼はすご過ぎ。解説に「ファンタジー」って言葉も出るよね(^_^;
とりあえず絶対誰が読んでも、真ん中あたりで作品に対するイメージがガラっと変わる。それだけは確か。変わった後に面白くなるか、興ざめするか・・・それは読み手次第。
・「許し、成長そして浄化 澄んだ心を取り戻すために」
真綿で包まれるよな、やさしい空気を持った文章で淡々と語られる。ある事件が元で故郷を離れてしまった男性。東京で出会ってしまい、ともに人生の何分の1かを共有した女性家族のすべてを失ってしまった男性。自分の不注意で間接的に人の人生を奪ってしまった女性。
大きな十字架を背負ってしまった人々が丘に集まり、許しと癒し、再生と成熟の日々を共有する。
重松氏の作品を手に取るとき、私は無意識のうちに癒しを求めていると思う。死を真正面から取り組み、人生の負の部分ともいえる背負ってしまった十字架を題材にした決して軽い作品ではないにもかかわらず、私は癒されている。
一人の男の死に向かう心の変化、死への準備ともいえる行動が登場人物の十字架を取り払ってゆき、癒しと成長を周りの人々にもたらす。
読む人がどの登場人物に感情移入するかによって、いろいろな感想が生まれると思う。しかしながら、どんな人もなぜか読後は、なにかを背中からおろしたような開放感を感じると思う。
涙が心を浄化してくれる。そんな作品です
・「これは恋愛小説ですね。」
一年の約半分は雪のせいで予定が狂いっぱなし。隣の町までは何キロもあって、交流の機会はほとんどない。幼稚園から高校までまわりのメンバーは同じ。友達のお父さんが担任の先生だし、その奥さんは音楽の先生だったり。これがごく普通の北海道の田舎町です。
・「同世代の人達には特に薦めたい一冊」
子供の頃仲のよかった男の子と女の子がやがて大人になり故郷を離れて今はそれぞれの人生を生きている。そして何かのきっかけで何十年ぶりに出会い、物語は過去と現在を行き来しながら主人公たちの新たなドラマが動き始める…。確かにこのパターンで最初から最後まで淡々と綴られるのですが、この物語は冒頭でいきなり主人公の一人に死が宣告されます。読み進むうちに病状はどんどん進行していきます。登場人物のいろんな過去の贖罪が明るみにでてくるのですが、私は40歳のシュンが妻と小学生の子供と再会した友達とともに必死で生きながら人生を終えていく姿に胸をうたれました。これは間違いなく映像化されるでしょうね。オーソドックスな物語ですが、特に同世代の人達には読んでみる価値があると思います。
・「自分を許せるか」
余命わずかとなった父親が、子供と、妻と、かつての恋人と、兄と、祖父と、どう対峙していくか、読む者の涙を誘いながら、描いている。相手を許せるか、自分を許せるか、その過程の葛藤は、共感を呼ぶ。これは、スパイダーマンシリーズのテーマと共通するものがある。
・「素晴らしい!」
いいですよ、簡単な内容は他のレビューを見ていただければわかるかと思います。テレビドラマ向きな感じがしますね、少年/少女時代−学生時代−40歳 と心の動きを重松さんらしく上手に表現して、読者のこころに触れ合います。許されること、許すこと…、人間は生きていくうえで皆色々なものを背負って、そして死んでいくんだな。
・「本当におもしろい!」
読み終えて「おもしろかった〜」が感想です。場面の設定がとある食品会社で普通のサラリーマンの話なのですが、よくありそうで、実はほとんど無い、そんなお話です。
とにかく一人一人のキャラクターが最高です。個性豊かなキャラクターが個性的な行動で物語がテンポ良く進んでいく様は、他の小説では見たことがありません。
何がおもしろかったのか自分でも分からないくらい、普通のサラリーマンのお話なのですが、やっぱりおもしろかったです。
・「逃げていないのに幸せ」
とにかく読んでいて幸せだった。冒頭のわずかな部分を除いてはこの作品を読んでいる間はとてつもなく幸せだった。
「書店員さんが大絶賛!」という帯。少し前に「担当さんが大絶賛!」のような帯の作品にがっかりさせられた。それだけに期待はさほどしなかったのだけれど。こいつはすごい、確かに面白い、それに「元気をくれる」「帯に偽りなし」という稀有な作品だった。
タイトルと皮肉ではなく素敵な装丁ではもしかしたら損をしているのかもしれない。本来この本を手にとってそして抱腹絶倒ほろり、捨てたもんじゃないよね、やるぞぉ〜となる人たちはもしかしたらもっと違うタイトルデザインのほうが惹きつけることができたかも。
ユーモアも文体も確かに素敵だけれど一番素敵だったのは逃げていないこと。この種の作品の主人公ってえらそうなこと言っても実はただ逃げてるだけだったり人の気持ちの大切さを説きつつ実は全うな人間の地道な努力を踏みにじっていたりするんだけれどそういうのが一切ない。これはなかなかないことだと思う。
弱くても不器用でもとにかく真っ向から対峙して逃げてないからこんなに潔く気持ちいい作品になるんだろうなあ。
それにつけても作者の作品はもっともっと売れていいと思う。作者はもっと評価されてしかるべしだと思う。
と心配していたらなあんだ今年の初夏に『明日の記憶』映画化だって。よかったよかった。
ご都合主義の部分がないわけじゃないけれど名作マンガ『悪女』を思い出したりもするけれど。
そんなの気にならなかったりする。
ただタイトルに関連する伏線やくだりはもしかしてなかったほうがすっきりするかなとも思うけれどそれもいいんだ、作者が書きたいと思ったのだから。そう思えるだけの素敵な作品でした。
追記実はこの作品下手な心理ノウハウ本やクレーム処理のハウツー本よりずっと参考になったりもする。
・「おでん鍋」
「会社とはおでん鍋だ」と主人公涼平の先輩が言う。しょせん狭い鍋の中でぐつぐつ煮詰まっているだけ。牛スジはおでん鍋を出たら使い物にならない、(上司みたいに)こんにゃくは鍋の中では安物だけど、田楽みそになったら堂々のエリート。ちくわぶはよそには行けないかわりに存在感があるから専門職。ちくわは転職可能。じゃがいもは平社員だけど、肉じゃがになったら共同経営者。じゃがバタなら社員が塩とバターだけだとしても押しも押されもしない社長だ。
涼平は飛ばされた先のお客様相談室で、くる日もくる日もクレーム処理に追われている。リストラ寸前候補者の溜まり場にいる社員は変人ばかり。破裂しそうになる涼平がおでん鍋の中で奮闘するさまが物哀しくもあり、面白くもある。おでん鍋をひっかき回して涼平は肉じゃがになれるのか?それともじゃがバタ?
涼平にとっての神様がときどき現れて、進むべき方向へそっと肩を押してくれる。読むと元気が出てきます。特に後半は痛快。頑張れ!サラリーマン!
・「すべての会社人間に!」
「明日の記憶」がとてもよかったので、荻原氏の作品をもっと読みたいとおもい、手に取りました。会社に勤める人間は何かを人質に取られていると言う発想は新鮮でした。お客様相談室での展開は爆笑もの。競艇場が大好きで、お金が入ると姿を消す、「謝罪の天才」篠崎、声を発することなく、巨体を縮めて自己啓発本をひたすら書き写す神保、お酒よりもネットのほうが酔わせてくれるという、敬語を知らない羽沢、フェロモンの分泌を操る紅一点穴戸、篠崎の天敵で、室長という肩書きにすがって威厳を振りかざす本間、すべてのキャラがとってもいいのです。笑いながら読み進めるうちに、わかってくる会社の恥部。そして会社勤めの不条理さ。「明日の記憶」とは全く違った角度から、社会を見つめ、核心に寄っていく荻原氏の手腕はさすがです。おでん鍋をつつきながら、篠崎がおでんの具を自分たち会社人間に例えて話すくだりは、お惚けのようでいて、実はとても深いメタファーです。最後はスカッと明るい読後感。会社の人間関係に悩み、ストレスを抱えているすべての人に、絶対お勧めです。私もこの本に出会ったとき、ちょうどお客様からのクレームを処理して胃を痛くしていたのですが、読んだらすっきり、元気になりましたから。
・「元気が出ますよ」
ごくごく普通の主人公とその周りの環境。イベントはありますが"特別なこと"は起こらない本です。
この作品には喜怒哀楽を思いっきり引き出されました。
「これが面白い」と言うのは難しい本です。登場人物のやり取りとか話の流れとかも面白いんですが、それぞれ一つ一つはやっぱり"普通"のこと。全部積み重なって、感情をころころと変えさせられる。その「自分の心の動き」が面白かったです。
元気の出る本です。本の中には幾つもの元気の出るフレーズがあります。それが神様からの一言なのかなと思いました。
・「すごい!すごすぎる!!」
98年度版 このミス 1位1997文春ベスト10 2位文春二十世紀傑作ミステリーベスト10 国内部門 18位日本推理作家協会賞エドガー賞最優秀長編賞にノミネート
作者のブレークのきっかけとなった代表作。パート仲間の殺した夫をバラバラにした4人を描くクライムノベル。
それぞれが様々な家庭事情をかかえており、その「閉塞感」からの「OUT」を描ききったのが本作品であり、ミステリーという枠組みを超えた傑作である。特に、終盤の息もつかせぬ展開は、これまでに類を見ないものであり、作者にしか描けないすばらしいものである。
・「ミステリーという枠組みを超えた傑作」
98年度版 このミス 1位1997文春ベスト10 2位文春二十世紀傑作ミステリーベスト10 国内部門 18位日本推理作家協会賞エドガー賞最優秀長編賞にノミネート
作者のブレークのきっかけとなった代表作。パート仲間の殺した夫をバラバラにした4人を描くクライムノベル。
それぞれが様々な家庭事情をかかえており、その「閉塞感」からの「OUT」を描ききったのが本作品であり、ミステリーという枠組みを超えた傑作である。特に、終盤の息もつかせぬ展開は、これまでに類を見ないものであり、作者にしか描けないすばらしいものである。
・「凄惨なかっこいいおばさんが、バラバラ殺人をやって解き放れる」
あまりにもおもしろくて、数時間で一気に読んでしまった。
低学歴の持ち主はかなり努力しないと上昇できない階級社会としての現代日本、そこで突破口を求めてあえぐ人々にスポットを当てているという意味では、高村薫の傑作、「レディジョーカー」を思わせる。
しかしこの作品の主人公は、男ばかり活躍する高村小説と異なり、夜間に弁当仕出し工場で働くパートのおばさん四人。彼女らがバラバラ殺人事件に手を染めていくまで過程、それぞれの生活の背景と心理的動機付けが、舌を巻くような力強い筆致で描かれている。
この小説の特徴となっているもう一つの軸は、主婦たちの犯罪の結果、誤って容疑者に上げられてしまうバカラ博打場のオーナー佐竹と、彼のほとんど求道的ともいえる性的歪みだ。佐竹は以前に女を拷問の上に殺して以来、正常な性交渉は営めなくなっている。自分に無関係な犯罪に巻き込まれ、築き上げたものをすべて失った彼の視線は、当然ながら主婦たちへの復讐に向かう。しかし、彼が真に望むのは、自分が以前に殺した女に酷似した主婦の雅子を強姦しながら切り刻むこと、快楽の中で彼女の死を共有すること。この辺りは一見、強引で難しい展開と思われるが、人物描写の見事さと、佐竹の深層心理のおもしろさで一気に読ませてしまう。
また、やはり弁当屋で働く日系ブラジル人宮森の孤独など、現代日本の暗い側面にスポットを当てているので、主人公雅子が最後にすべてを捨てて脱出【OUT】に成功するエンディングにも関わらず、読後感は重い。しかしすばらしく緻密な小説を堪能できた充実感は残る。
最後になるが、桐野夏生は、自分の頭で考え、足で立とうとあがくふつうの女を、尊厳ある存在としてかっこよく描く、ほとんど唯一の日本人作家のような気がする。同じ女として、拍手喝采を送らずにはいられない。
・「推薦図書(20歳以上に)」
映像で見るのは怖そうなので、本をチョイスしました。有名な本だけあって、買って大正解でした。これだけの長い話を最後まで上手くまとめられるのが凄いなぁ…っとただただ関心。
ただ…下の佐竹と主人公の展開は、あまり好きじゃない。
・「圧倒的なリアリティー!」
深夜の弁当工場で働く4人の家庭を抱える女性達。弁当工場というのは、オートメーション化されていて、楽な仕事ではない。深夜に働く女性には、何らかの理由がある。時給の高さ、昼の勤めが出来ない等。求めて職を得ているのではなく、深夜に働かなくてはならない事情が優先している。
4人の幸せとはいえない家庭のうち、一つが暴発し、殺人事件が起きる。その時、仲間達は思いもよらない方法で事件を納めようとし、そのことが別の事件を呼び起こしてゆく。4人のそれぞれの家庭。そして4人が働く弁当工場。家庭と職場での微妙なズレや食い違いを丹念に描いて、4本の色違いの糸が縺れ合ったり、解けたりしながら物語が進んでゆく。
非常に構成のしっかりしたドラマだと思う。弁当工場、登場人物のリアリティーが圧倒的で、ぐいぐいと引き込まれてしまった。非常に面白い(?)・・・怖い!
・「「ヒト」を知り尽くしている中島らも」
酒に溺れる。新興宗教にのめり込む…と聞くと、暗い暗い悲惨な状況なのだが、まるで喜劇のように描かれているのがこの本。次々登場してくる奇術師、セラピストなどなど、怪しげで興味をそそる人々ばかり。 底なし沼のような人の心の闇を、老若男女問わず楽に読める物語に仕立てる中島らもは、奇才だとしか言いようがない。おそらく人の弱さやもろさをとことん知り尽くしてしまったのだろう。その病的な鋭敏さゆえ、現世では長く生きられなかったのかもしれない。 もっともらしくの給う評論家や学者より、人間を深く理解している。アフリカについて、呪術についての知識も半端でない。 自称中島らもファン、ますますファン度を増しました。
・「努力する天才逝く-バナナのキジーツ」
後世に残る名作である。多くの人に読まれたい本である。中島らもは天才である。努力家である。シャイである。優しい人である。単なるエンタテインメントの域を超え、怪し気なものにひっかからないハウトゥー本でもあり、昭和30-40年代の日本の市井を伝える記録本でもあり、アフリカの生態を伝える本であり、宗教・哲学の入門書でもある。この本を読んだ人は「しりとりえっせい」を改めて読んでみるといい。中島らもの素敵で泥臭い人間像が見えてくる。
・「鬼才らもさんの遺した神秘ミステリー長編」
鬼才中島らもが僕等に遺した長編ミステリー小説。主人公・大生部教授は専門の文化人類学のフィールドワークの費用捻出のため、矜持を捨て、タレント教授の役割を超能力番組のコメンテーターの日々を送る。番組の中で共演するマジシャン、ミラクルは超能力者のトリック性を次々と明かしていく。番組の演出の描写が構成作家が書いた台本のようにリアルだ。一方主人公の妻はなくした娘の傷が癒えぬ事がトラウマとなっていて、友人に誘われた事を契機に自己開発セミナーと超能力を売り物にした新興宗教団体にはまっていく。セミナーの描写もリアリティがあって読みふけってしまう。大生部はミラクルの助けを得て、宗教団体教祖の超能力のいんちきをあばいて、妻の救出を図る。前編は”魔術はない”という一貫した論理でスト-リーが展開するが、後編はそれが一転。逆の論理で急展開していく。さて、その続きは後編で。
・「渾身の大作!」
中島らもはアル中や薬中のネタばかり繰っていると思っていたら、大間違い。「ガダラの豚」は大エンタテインメントです。ジャンルとしては、私は冒険小説だと思いますが、冒険小説は現実離れしていて今更読めないという人も、読み始めたら止まらなくなること請け合いです。題材に使っているアフリカの呪術師や新興宗教に関する取材もバッチリで、今やヨレヨレとなってしまった感もある中島らもさんの姿から考えると、この小説をきちんと仕上げてくれた事は奇跡的なことであったように思います。非常に才能のある人なので、またアル中からも躁鬱病からも立ち直って、この本くらい面白い小説を是非書いて欲しい。中島らもが復活する日のことを考えて、みなさんせめてこの本だけは読みましょう。
・「中島らもは天才だった!!」
生前の中島らも氏のこと、なんか、うさんくさい人だなあと思ってました。無知も甚だしかった、天国のらもさん、ゴメンナサイっ!あなたはほんとの天才でした。であるがゆえに、お酒やクスリの力を借りないと、この世を渡っていくことができなかったのですね。。。この「ガダラの豚」は空前絶後の面白さであること請け合います。小説の愉しみ=この本といってもいいぐらい、ハラハラ、ドキドキ、クスクス、ニヤリ、ホロリ、ジーン、ワクワク、のすべてが詰まってます。宗教的・民俗学的知識もすごい。小説が好きっていう人なら、これを「読まずに死ねるか!」ぐらいな本だと思います。読者に迎合した、中味なしのカッコだけのかるーい小説を書く「エセ作家」が多い中、らもさんこそ本当の「小説家」だった。本当に本当に惜しい人を早くなくしました。。。
・「伊坂ミステリーの妙を堪能しました」
杜の都・仙台を舞台に、仕組まれた首相暗殺事件の犯人に仕立てられた男が、必死の逃亡者として逃げ切り、生き抜こうとするストーリー。
謀略者や警察、マスコミによって作り出された男のにせの姿が、男をよく知る親友たちと主人公が関わっていくなかで、真実の姿へと変わっていく。最初のうちは、虚像として映っていた絵をばらばらにして、あるべき場所にパズルのピースをはめこんでいくと、最初の像とは全く違う青柳雅春の実像が浮かび上がってくる、そんな感じ。ぱたり、ぱたりと、主人公・青柳雅春の虚像が引っくり返されていく展開が小気味よく、絶妙でしたね。
暗殺事件の真相は、事件当時のものとは違っていたことを明らかにした上で(事件から20年後の話を描いた後に)、黒い霧の中に葬られた事件を、カットバックを巧く使いながら描き出していく話の展開、伏線の生かし方も見事だったな。 殊に、青柳雅春の必死の逃避行を描いていく中に、彼と親友、恋人との思い出の光景が差し挟まれるところがよかった。容赦のない、冷酷無惨な謀略事件と比べると一層、彼らの脳裏に浮かぶ思い出の風景が、あたたかく輝いているように見えました。
久しぶりに読んだ伊坂ミステリー。これは面白かった!
・「過去を称えるやさしさにあふれている傑作」
伊坂幸太郎の小説のすごさは、構成力だと思う。点と点がいつしか線となり、大きなうねりを持って迫ってくる。そんな文章力が、一番の魅力だと思っていた。でも、今回の作品は、そんなことがちっぽけになるくらいに愛に満ちあふれていた。くだらない時間を一緒に過ごした学生時代の友人、そして一度別れてしまえば最も遠い存在になってしまう“元カノ”が登場するわけだが、時を経てもなお彼らの間に流れる“信頼感”は、目の前のとんでもない状況を凌駕するくらいに深い。自分の軸の所在をきちんとわかっているというか、自分の中の優先順位にきちんとケリをつけられているというか、そういう潔さに胸が熱くなる。変わっていっても、同じように大事なもの――その深さに胸を打たれた。話の軸は首相暗殺事件なのに、変わっていくことや、過ぎてしまった時間を称えるような優しさにあふれている大傑作です。
・「新作は大作。伊坂幸太郎氏の作家人生における注目すべき一書!」
伊坂幸太郎氏の最新作だ。帯には「伊坂的娯楽小説突抜頂点」と明記されているが、たしかに彼自身の持ち味が十分に活かされた読み応えある作品だった。個人的にジョン・F・ケネディ暗殺事件には関心があったので、それをモチーフにした本作品の展開構成には最初から惹かれるものがあった。さまざまなシーン・会話が見事に繋がり、立派なオーケストラの演奏を味わっているような感覚に浸ることができるのは伊坂氏の筆力である。タイトルも印象的だった。
首相暗殺の濡れ衣を着せられたある男と彼を偶発的に応援するかつての友人達らとの触れ合いに多くのことを考えさせられた。しかも500頁を超える大作であるため、読了するまでに意外と時間がかかった。一気に読み終えた読者もいるかもしれないが、私には大変だった。興味深い作風・内容であるとは思いつつも、途中で頓挫してしまうのではないかと幾度も危惧した。今こうしたレビューを書いているのは、きちんと最後まで読み終えたからである。当然のことではあるが、今回ばかりはそれが何より嬉しい。
「第四部:事件」がとにかく長い。自分が「逃亡者」にでもなったスリリングな気分になるが、関心事は「最終的にはどうなるんだ?」という一点だ。十二分に読者を引っ張っておいて、「第五部:事件から三ヵ月後」のコンパクトな締めくくりがかえって心地よかったりする。最後にもらった「たいへんよくできました」というスタンプは一体どんな意味を持っているのか。このエンディングに私は安堵した。そして伊坂氏の人間らしさを何となく垣間見たように思うのである。伊坂的娯楽小説の貫徹ともいうべき本書のメッセージとは何か。本書を通じて作者は読者に何を感じ取ってほしかったのか。「娯楽=エンターテイメント」という単純な話ではないだろう。「現時点の集大成」というから、今度も彼の作品は進化を遂げてゆくということだろう。私なりに注目していきたい。
・「事実は角度が360度あるのです。」
先ほど読み終えました。全米が興奮!首相殺害の無実の罪を被せられた男が、巨大な陰謀からいかにして逃げ切るか!!
・・・という見出しがたいていはつくのでしょう。帯もそんな感じでした(最悪・・・笑)
ですがこの作品が本当に警告している恐怖はそんな陳腐な言葉ではなく、人ではない、なにか大きな巨大な、個人をいとも簡単につぶす黒いものです。そして足下に忍び寄る監視社会と、報道によっていとも簡単に歪む事実、私たちが情報に踊らされている現状です。
自分の中の先入観とか、疑わない悪い意味での純粋さとか単純さを、明確に自覚させられる恐ろしい、でもものすごく面白い小説。もちろん娯楽物としても面白いですが、是非とも単なる娯楽に終らない読み方をしてください。
たまに、ニュースを鵜呑みにする単純な人に呆れる時があって、是非ともこの小説をぶつけてあげたいです笑。
今までの伊坂さんの作品と比べ、誰もおちゃらけてなくてちょっと異質。「魔王」が好きな方にはおすすめ。ホントどんな小説もかけるな〜伊坂さん!凄い!
・「あとからじわじわと」
伊坂氏の他の作品同様、ストーリー展開は抜群。あとは愛すべきサブキャラの多さも本作品の魅力。読み終えた直後は、他の作品のような爽快感や切ない感動が薄いように感じられたが、「おもしろかったなぁ」という感覚があとからじわじわとにじみ出てきた。
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