あかんべえ〈上〉 (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「安心してお薦めできる優良作品」「ほぅっとします」「いろいろな要素がたくさん詰まっていてすばらしい。」「おどろおどろしく、ほんわか。」「宮部みゆきの代表作になり得る傑作」
龍は眠る (新潮文庫) (詳細)
宮部 みゆき(著)
「サイドストーリーである恋愛ネタが好き」「視線が優しい」「超能力を持つということ。」「苦悩する少年の描写」「久しぶりに読んで、、、止まらなくなってしまった」
白夜行 (集英社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)
「なんとも形容しがたい」「あなたにとって生きる意味はと問いかけたい」「じっくりと読ませる悲劇」「読み取ることが大切。」「活字でこそ深く味わえる物語」
イナイ×イナイ (講談社ノベルス) (詳細)
森 博嗣(著)
「自分次第」「背景を知れば、おもしろさが増します」「シリーズ題一作。」「欠点のない作品、しかし…」「次回作に期待 キャラ紹介篇」
・「安心してお薦めできる優良作品」
おりんの喜怒哀楽が読み手に十二分に伝わる表現力、文章力はさすが。彼女の素直な感性を通して描かれるお化けさんたちも魅力充分で、否が応でも物語の謎への興味を掻き立てられる。おかげさまで感情移入を妨げられることなく、一気に読み終えることができた。
ただ、ミステリー要素だけに限れば、物語の結末はもうひとひねり欲しかった気がする。あくまで「限れば」、「強いて言えば」の話。作者の書きたかったことはそれまでにほぼ書ききれているだろうから、物語としてマイナス評価にするほどでもないコトだけど。
というわけで、人にお薦めする上で特に躊躇する理由は見つからない。☆5つ。
・「ほぅっとします」
宮部みゆきはたまに読後にひんやりとする小説を書きます。特に現代モノの短編でしょうか。
・「いろいろな要素がたくさん詰まっていてすばらしい。」
上・下巻共に、それほど時間を空けることなく読み終えました。宮部みゆきさんの作品を読むのはこれが初めてですが、純粋に「面白い」と感じました。文章を読んでいくうちに、おりんの心情にずいずいと引き込まれていって、すごく感情移入しやすかったです。おみつさん、玄之介、…など、ふね屋にいた五人の亡者たちとおりんが触れ合っていく様子は、とても温かくて大好きです。
・「おどろおどろしく、ほんわか。」
宮部みゆき作品の入口となった思い出の作品です。少女のけなげさに最初はただのお化けだった幽霊たちが感化されていく様子が温かく描かれています。平易でなおかつ深みのある文章表現は素晴らしく、いつまでも本棚に飾っておきたい本です。
・「宮部みゆきの代表作になり得る傑作」
上・下巻、一気に読み進めてしまいました。突然幽霊が見えるようになったおりん、そしておりんを見守る幽霊達やふな屋の人々。心情描写や情景描写が秀逸で、どんどん世界に引き込まれてしまいます。人情あり、ミステリあり、ファンタジーあり、同時に描ききった宮部みゆきの手腕にはただただ感嘆するばかりです。
宮部みゆきの代表作となり得る傑作です。
・「サイドストーリーである恋愛ネタが好き」
主人公・慎司のサイキックであることのつらさ、切なさはそのままクロスファイアの主人公につながります。自分のもつ独特な力の意味を、そして自分の存在意義を必死で追求していくんですよね。切ないです。
私はサイドネタですが、高坂と七恵の恋のお話が好きです。巡り会うべくして出会った二人。人の心の痛みがわかる優しい人たちですよね。
幸せになって欲しいです。
・「視線が優しい」
宮部みゆきの作品の中でも、一番好きな作品の1つです。超能力という題材をとてもうまく描いていて、信じる人も信じない人も、違和感無く引き込まれるんじゃないででしょうか。綿密に構築されたストーリーは、飽きることなく一気に最後まで読ませてくれます。
そして、これは彼女の他の作品にも言えることだけれど、とても優しい視線で物語が描かれていて、ちょっと切なくてでも暖かい読後感が何とも心地良くて好きです。ミステリー好きな人は勿論、そうでない人にもお薦め。
・「超能力を持つということ。」
たぶん、今まで読んだ宮部作品の中で、二番目に好きな作品かもしれません(一番は『ステップファザー・ステップ』)。この作品の中で繰り広げられる事件は、良く考えたら、そんなに難しいトリックを使っているわけでもありません。だけど、その事件の真相を、どのように世間に理解させれば良いのか……。普通の人にはない力を持った少年たちが、自分の存在をかけて事件に向き合う。その姿勢に、私はハッとさせられました。彼らの力の前には、普通の人間はこうまでも醜く映るのか……。そう思わずにはいられない作品です。人の中に潜む、利己に彩られた悪。それに、ぜひ向き合ってください。
・「苦悩する少年の描写」
時代劇ものも素晴らしいですが、この人の書く『少年』の描写は特筆すべきものがあると思います。自分の能力に苦悩しながら、生きていく少年と青年2人の苦しみを『大人の』目線で見る男性の対比。大好きな作品のひとつです。
・「久しぶりに読んで、、、止まらなくなってしまった」
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・「なんとも形容しがたい」
桐原亮司と西本雪穂。二人が小学生から大人になる十九年間の物語。高度成長末期からバブル経済の時代まで。彼らが歩む人生の周囲では、次々に不幸になる人々がいる。人々を絶望の泥沼に蹴落としながら、雪穂は睡蓮のように美しく咲き誇っていくのだ。 二人の主人公と読者の間には、レースのカーテンのような物が揺らめいていて、その姿ははっきり見えない。 特異な小説である。主人公二人の心だけが、一切描写されていないのだ。その周辺でもがく人々の主観を介してしか、亮司と雪穂に辿りつけない。
テレビドラマに引き込まれて、一気に読破した。過去にドラマ化不可能などという形容の小説は幾多もあった。しかし、本当に不可能な小説に出会ったのは初めてであった。 亮司と雪穂という主人公の人生には、殺人事件、レイプ、失踪、ハッカー犯罪などの事件が溢れている。最後のピースがはまった時、それらが純粋な魂から溢れ出た「果てしない悪意」だと読者は知る。 この小説と、放送が開始されたTVドラマとは、全てが違う作品になっていくだろう。小説だけの読者は、雪穂たちから、究極の悪意の快感を覚える。TVドラマだけの視聴者は、絶対的な純愛に感動するだろうからだ。そして両方を知った者は、鏡のように全てが正反対の、原作とTVドラマの特異なコントラストにくらくらと酔う。 小説とTVドラマが意図的に乖離せざるおえない作品。 昔、映画の「風と共に去りぬ」観た。その後に原作を読み、映画版のできの悪い模造品に感じた。これとは対照的に、百夜行は原作と映像作品が別個に独立した作品となっていた。両方とも鑑賞される事を強くお勧めします。
・「あなたにとって生きる意味はと問いかけたい」
たぶん主人公というべきなのであろう雪穂の人生。その雪穂の人生の要所要所で怒る奇怪な事件。そのほとんどは謎のままになっていくが,必ず残る雪穂への奇妙な疑念。その疑念を追い続けるベテラン刑事。雪穂が階段を駆け上がるように見事に人生の成功者になっていく陰で,もう1人の主人公とあえて言わせてもらう桐原亮司の影。影は決して表には出てこない。長い人生を影のままで生き続けようとする亮司の心を縛り付けている強いものはいったいなんなのか。誰もがもっている心の中の小さく暗い渦を,ずっと回し続けている雪穂と,その渦にまったく手を触れないよう生き続けている亮司。雪穂の光と亮司の影が実に対象的に描かれている。その雪穂に最後まで迫ろうとした刑事とその雪穂を最後まで守ろうとした亮司の最後。かわいそうな被害者からやがて重要参考人として刑事にマークされるまで,少しづつ謎がとけていくかのように進む内容は,長編なのに一気に最後まで読み続けさせられる作品。ただ一言言わせてもらえば,そこまで読まさせておいて終わり方はこれでいいの?それともやはりこれで終わりでなく,今回はここで終わりということ??
・「じっくりと読ませる悲劇」
仕事の合間を縫って、2日間ほどで読み終えました。最近この本を手にした多くの方と同様、私もドラマを見て、関心を持った一人です。 (売り切れの書店ばかりで大変でした)
読み終えて、真っ先に思ったのは、「ドラマを見る前に読めばよかった」という後悔でした。
ドラマの最初のシーンが本のラストにあたり、更に徐々に浮かび上がってくる二人の関係が、ドラマの初回で既に描かれてしまい、読みながら考えていく楽しみが減ってしまいました。また、読みながら俳優さんたちの顔が浮かんできて…(苦笑)
雪穂と亮司のふたりを決して同じ場面に出さず、出来事と周囲の人間の発言だけでつながりを浮かび出させていく…笹垣の口を通して描かれる解釈すら真実なのか?
あくまで最後は読者それぞれで彼らの人生を考えろ、というのが作者の狙いなのでしょうか。
確かに雪穂には人間の「情」というものが微塵も感じられません。心を失った彼女が、分身である亮司まで失ってしまった。美しいただの抜け殻であり、これから先の彼女の人生は、延々と続く悲劇でしかないでしょう。
全く救いがない物語ではありますが、救いのない悲劇をここまで描ききったことは見事としか言いようがないと思います。
最後に、この本とドラマは、全く別物として、それぞれ楽しんだほうがいいと思います。
・「読み取ることが大切。」
書評を読んでから小説を購入し、読みました。主人公の二人からの細かな視点は、この小説に必要では無い、と私は感じました。
なぜなら、たくさんの登場人物たちの複雑に絡み合った関係。過去の事件の真相を探る上で知りえる情報。二人の台詞。事細かに描かれており、たくさんの章があって大変だとは思いますがそれらをしっかり読み取ることで、二人の関係や想いを感じることは、できるからです。
この小説に、「雪穂はこう思った」「亮司は雪穂に対してこうこうこういう気持ちだった。」なんて視点があったら、野暮だしおもしろくはありません。
それから、ネタバレになるので詳しくは書けないけれど、二人がそれぞれ違うシチュエーションで、違う相手に向かって言う、同じ意味の言葉があります。それが唯一、二人の関係を示すものとなるのではないでしょうか。
この小説を読み終わったとき、私は村上龍氏の「コインロッカー・ベイビーズ」を読んだときと同じような気持ちになりました。生きるため、自分を守るため、誰かを守るためのエネルギー。様々な策略が感じさせるダークな部分。そういう点が共通してるのではないでしょうか。
素晴らしい小説だと思います。
小説の内容とは無関係だけど、文庫本は上下に分けて欲しかった。。。あのページ数の文庫本は手に持って読むのに向いてません。
・「活字でこそ深く味わえる物語」
文庫版を解説している馳星周氏は本書をこう評している。「人間の暗い側面、邪な断面、人間のそうした性質を助長する矛盾した世界。それを描くのがノワールだと定義したならば、『白夜行』はもはや、ノワール以外の何ものでもない」そう、「白夜行」は紛れもなく上質のノワールなのである。暗黒街やマフィアが登場する作品ばかりがノワールではないのだ。
20年にもおよぶ亮司と雪穂のダークで沈鬱な物語。2人の人生には常に不気味な犯罪が見え隠れする。しかし、読者は2人の心の闇、心の傷をうかがい知る事はできない。小説には2人の内面はいっさい描かれていないのだ。冷たく、重い物語だ。出口がなく、救いのない物語だ。読後の爽快感はない。だが間違いなく後をひく傑作だ。
この名作がドラマ化されるという。小説では2人の内面描写がなく、余計な説明もないからこそ、深い読後感を味わえる構造になっているのだ。陳腐な純愛ドラマに貶められないか、非常に心配である。
この重い世界観は活字だからこそ味わえるものではないだろうか?表現手段が違うのだから、ベストセラー小説を何でも映像化するのは反対だ。活字だからこそ表現できるものもあれば、映像にしか表現できないものもある。「白夜行」は活字でこそ生きる物語だと思う。
・「自分次第」
結末の無い結末。明確な回答の無い問題。極力無駄を省き、最適化するとこうなるのか、と感じた。突き抜ける感覚はないが、読了後もずっと思考し続ける。考え続ける余韻がある。 このシリーズのこれからが楽しみだ。
・「背景を知れば、おもしろさが増します」
謎に満ちた助手。気になった人もいるかもしれません。そんな小川と椙田の出会いが書かれているのが、メフィスト2007年5月号。ここでのエピソードを読めば、小川が「音」にこだわる理由が分かると思います。そして、探偵事務所に来たきっかけも。
相変わらず会話がおもしろいので、楽しい時間を過ごすことができました。新シリーズの続編に期待です。
・「シリーズ題一作。」
肉を落として骨にした純白なミステリィ、という感じです。今回のトリックは簡単かもしれません。これまでの通り、他作品に出た方も登場します。
・「欠点のない作品、しかし…」
谷崎潤一郎をエピグラフにもってきているように、今作(今シリーズ?)は理系の理の字も見当たらない正に文系のミステリィだろうか。設定は美しい双子の姉妹、座敷牢、探偵、主を失った巨大な日本屋敷と遺産…と拍子抜けするほどオーソドックスである。そしてこの作品には欠点がない。物語は淀みなく進み、必要最低限の謎は解き明かされる。ただこの作者はいつも”新しい”オーソドックスな作品を作り続けてきた、私は今作の新しさを考え続けたが結局よくわからなかった。まだまだ読み込みが足りないようだ
・「次回作に期待 キャラ紹介篇」
今日紹介するのは森博嗣さんの新しいシリーズです。新しいシリーズといっても、西之園萌絵と犀川創平から始まるシリーズ、そこに繋がる保呂草潤平や紅子さんのシリーズ、そしてそこから更に続くシリーズの、さらにその次の、、、あぁややこしい。つまりは、初期のS&Mシリーズから繋がっている新しい×シリーズの最初の一冊目です。 主人公は現時点では、椙田探偵事務所の助手の小川令子と、椙田事務所の電話番の真鍋瞬市。別の探偵の鷹知や椙田本人がどれくらい出てくるかは分からないものの、この二人がレギュラーで西之園萌絵が絡んでくるような形になりそうです。 さて。物語は、二人の登場篇ということでオーソドックスなミステリが用意されています。豪邸に住む浮世離れした美人の双子の片方の千鶴に、死んだ事になっているが実は生きている姉を探してくれと頼まれた二人、しかし家を訪ねると家族の一人が死んでしまうという孤島物のような密室殺人事件が起こります。とはいえ、森ミステリを読み慣れた読者には、わりと簡単にネタがわれてしまうので、今作はミステリとしてのレベルでいえば、わりと低め。登場人物紹介篇として割り切ったほうがいい出来です。森ファンだけに心苦しい評価ではありますが、次作に予定されているキラレ×キラレに期待ということにしたいと思います。 あと、ここからは若干森作品をある程度読んでいる方にしかわからなくなりますが、椙田と名乗る別作品の主人公が正体を隠したままで今後どのように動くのかも次回に期待です。
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