「「夜市」もいいですが・・・」「哀愁に満ちた幻想」「その才能に感服!」「美しいダークファンタジー」「もっと読みたい」
「絵が浮かんでくる」「先が読めない」「力がある」「実力があるからこその作品」「隠れ里『穏』」
「銅版画満喫」「かなしいけれど、うつくしい」「月と光の物語」
「京都+怪奇」「ぬるりとした感触」「幻想とは、若者が誰かと出会い、夢のように時間が過ぎることだ」「張り巡らされた糸が囁く」「好き嫌いわかれるだろうけど」
末枯れの花守り (角川文庫) (詳細)
菅 浩江(著)
「だらだら続くラノベとは一線を画す作品」「幻想と美+現実」「飴玉の力」「永遠と滅びとの狭間」「傑作」
沈黙の惑星を離れて―マラカンドラ 火星編 (別世界物語) (詳細)
C.S. ルイス(著), Clive Staples Lewis(原著), 中村 妙子(翻訳)
「C.S.ルイスのSFファンタジー 三部作の第一巻」「悪のない世界があったら?」
夢みる惑星 (1) (小学館文庫) (詳細)
佐藤 史生(著)
「自我という器」「至福の時をどうぞ」
アタゴオル外伝―ギルドマ (MF文庫) (詳細)
ますむら ひろし(著)
「支配者-植物女王・ピレアとの戦い」「アタゴオルとは一味違う『ギルドマ』ジャングル」
アイルランド幻想 (光文社文庫) (詳細)
ピーター トレメイン(著), Peter Tremayne(原著), 甲斐 万里江(翻訳)
「美しく物悲しいアイルランドの怪談集」「アイリッシュ・ホラー」「アイリッシュ ウイスキーはお好き?」「お買い得の短編集。」「アイルランドっぽさ満載」
イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639)) (詳細)
水樹 和佳子(著)
「感動の名作」「日本の漫画の神髄に触れる」「完成度の高い作品。」「人は善のみにて生きるにあらず」「全巻買って読んでください!」
再生ボタン (幻冬舎文庫) (詳細)
福澤 徹三(著)
「「幻日」の甘美な幻想」「文章力」「作者の手腕に脱帽。」
天と地の守り人〈第1部〉 (偕成社ワンダーランド) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「バルサとチャグムの物語 最終章」「!待望の最新作!」「感激です!」「バルサとチャグムの物語がひとつに結ばれる醍醐味」「待ちに待った・・・」
狐笛のかなた (新潮文庫) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「伝奇とファンタジーの中間点」「ラストシーンがとても素晴らしかった!」「哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語」「一途でけなげな愛」「剣と魔法のファンタジーの王道」
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) (詳細)
津原 泰水(著)
「珠玉の名作」「面白い!」「不思議な魅力」「不思議なのは当たり前だ。フィクションなんだから。」「極上の酒のような味わい」
しゃばけ (新潮文庫) (詳細)
畠中 恵(著)
「ダサかっこいい(愛らしい)登場人物がたまらない!」「考え(推理)ながら読もう」「妖や殺人事件なのになぜかほんわかでした」「過保護ッッ!!」「ほのぼのスラスラ」
「戯言シリーズ+封神演義?の面白さ」「五色の雲に乗って」「かわいいじゃんじゃん」「歴史、冒険、恋愛の見事なコラボ」「面白いじゃないか。これがデビュー作!?スゴイ…。」
「おもしろかった!」「使い古された感動の物語に飽きている、新鮮な物語を読みたい人は必読。」「男はこうありたいね」「壮大さが魅力」「人の強さとは、弱さとは」
「歴史のはざまのファンタジー」「読んで損なし!」「笛吹きと少女と鳥の王と」「荻原さんのファンタジーの虜です」「荻原規子"らしさ"の結晶」
ソングス・フロム・ア・シークレット・ガーデン (詳細)
シークレット・ガーデン(アーティスト), ピーター・スカフラン(その他), デビッド・アニュー(その他), ロルフ・ロブランド(その他)
「癒し」「心に満ちてくる音楽」「歌のないソング・ブック」「懐古浪漫、シークレット・ガーデン」
「夢幻」「そこらへんのBL小説よりよっぽどエロいよ…」「蛇と魂。」「予想どおり、期待以上。」「心地良い妖艶な現代和風の幻想世界」
闇の底のシルキー (詳細)
デイヴィッド・アーモンド(著), 山田 順子(著), David Almond(著)
「シルキーがいる」「デイヴィッド・アーモンドが作り上げる感動の世界!」「生と死の葛藤」「生と死、そして光と闇」
バルバラ異界 (1) (flowers comics) (詳細)
萩尾 望都(著)
「ファンタジーあり、スプラッターあり。」「予想を覆す強度」「未来、火星、絶望する少年」「高密度!」「キーワードは「バルバラ」」
「心優しい百鬼夜行」「新作だぁ~」「狸・河童・人魚...。最高ですね」「ゆっくり読みたい気分」「泉鏡花、波津彬子、宮沢賢治、漆原友紀…が好きな方は必読です!」
影のオンブリア (ハヤカワFT) (詳細)
パトリシア・A・マキリップ(著), 井辻 朱美(翻訳)
「文章で読ませるファンタジー」「久々に出たマキリップの秀作」「吟遊詩人は出てこないが......」
世界の涯の物語 (河出文庫) (詳細)
ロード・ダンセイニ(著), 中野 善夫(翻訳), 中村 融(翻訳), 安野 玲(翻訳), 吉村 満美子(翻訳)
「ファン待望の一冊。そして、ダンセイニの復活」「訳者と役者」「続編も欲しくなりました。」「訳が酷すぎ」
●夜市
・「「夜市」もいいですが・・・」
本のタイトル作品である「夜市」ももちろん良い作品なのですが、私は「風の古道」に読み応えを感じました。たまたま舞台設定が自分が住んでいる小金井公園付近であると言うこともあるとは思いますが、ついついその古道を探してみたくなります。まあ、もしあったとしても入りたいとは思いませんが。いずれの作品も文章はシンプルでありながら、深みのある世界がうまく描かれていて、余韻の残る作品になっていると思います。「夜市」は日本ホラー小説大賞受賞作品とのことですが、いわゆる「ホラー」とは一線を画し、日本古来の伝承を小説としてよみがえらせた「ファンタジー」といった方が適切かもしれません。すごく楽しみな作家がでてきたと思います。次回作が待ち遠しい。できれば長編でどっぷりと「恒川ファンタジー」の世界に浸りたい。
・「哀愁に満ちた幻想」
絶賛する。物悲しい幻想に強く惹き付けられた。こんなに哀愁の漂う、凄味のある幻想が他にあろうか?文章は美しく、まるで詩だ。
しかし、内容は残酷だし、空虚感にも満ちている。物語の組み立てが度肝を抜く。
同時収録されている「風の古道」も秀逸な幻想だ。ただ、それぞれの作品は、約80ページ程度のもので、もっと長編であればなお面白いのにとも思う。この種の内容の長編は、全体の構成が難しいのかも知れない。
この程度のページ数で、この価格は一般的には少し高い。しかし、この素晴らしい幻想に接する事が出来るのなら、値段など問題ではない。
・「その才能に感服!」
個人的には、「風の古道」が超好み。「夜市」に関しては、他の方が言っていたように、もうちょっと長編の方が良かったかな?という印象。感想は他の方が言っているのと大差ないので、ここでは控え、作者の恒川光太郎氏について述べたいと思う。 この「夜市」は平成17年10月30日に発売されたが、平成18年9月20日に「ヤシ(夜市)」として韓国でも発売されている。日本版では恒川光太郎を「1973年東京生まれ。大学卒業後、様々な職業を経て、現在沖縄県在住。2005年、「夜市」で第12回日本ホラー大賞を受賞。本書がデビュー作」とだけ紹介しているが、韓国版はもっと詳しい。「1973年東京で生まれ、大東文化大学経済学部卒業。卒業後、定職には就かず、アルバイトをして小説を書き(フリーターとして過ごす)、1996年から約1年間、オートバイでオーストラリアを旅する。帰国後、しばらくの間オートバイの店でアルバイトし、その間、沖縄、北海道などをオートバイで訪れた。この旅行中に、妖怪、怪物が出てくるイメージが浮かび「夜市」を書いた。現在は、オーストラリア旅行中に知り合った妻と一緒に旅行を楽しみ、沖縄で暮らしている・・・・・」 日本版の「夜市」は表紙が3匹の金魚で表現され、いかにも古風な作りであるが、韓国版は真っ赤な表紙に、頭が植物で出来ている少年の絵となっていて、実にインパクトがある。見比べると「陰」(日本版)と「陽」(韓国版)といった趣である。中身も韓国版では、「風の古道」が「風の都市」となっていて、順番が「風の都市(風の古道)」「夜市」となっているのに対し、日本版では「夜市」「風の古道」の順となっている。 日本版の「夜市」では「老紳士」に哀愁や、せつなさを感じるが、韓国版にはいくつかイラストがあり、この「老紳士」が「たくましく、したたか」に見える(?)ので、ある意味ほっとしている(この意味は日本版を読んで感じてもらいたい)。
・「美しいダークファンタジー」
中篇2本からなるこの本はとても幻想的で美しい文体と、かつ斬新な内容の物語です。読みやすく、情景描写が巧みでイメージが容易に浮かび上がります。最後まで飽きずに一気に読んでしまいました。ホラーというよりも上質なダークファンタジーという感じです。
・「もっと読みたい」
素直に面白い。 夜市に登場する妖怪達や商品を詳細に書き込んで、1000枚くらいの大長編として仕上げてもあきないと思う。読み終わった後で、短くてもったいないと感じる作品はそうそうないが、この夜市はそういう満足感があった。 同時に収録された「風の古道」もよい。 設定がしっかりしているので安定感がある。これも短くまとめてあるのが残念な感じがする。
もっと長い作品を期待したい。
・「絵が浮かんでくる」
完成度が高く、最後まで目が離せない作品です。伏線も見事で、うまくまとめられています。(姉の失踪、賢也の夢など)作者の得意とする(と思われる)「ちょっと怖いけど、幻想的で美しく、どこか懐かしい世界観」は今回も健在。所々ある少しグロいシーンも、この世界観のおかげで中和され、過剰に不快とならずに読めます。個人的には風わいわいのマイペースで少しおとぼけなキャラがすごくお気に入りです。読んでいてすごく綺麗に絵が浮かんでくる作品なので、映画化されたら見てみたいな、と思いました。
・「先が読めない」
読みやすくて、情景が浮かびやすく、独特の世界観にどっぷりとはまりました。前作よりも残酷なシーンがありますが、作者独特の幻想的で美しい文章のおかげで、よい読後感を満喫しました。最後の展開まで目が離せなかったです。
・「力がある」
作者が今、沖縄に住まれてると書いてあり、イメージがぱぁーっと広がりました。石垣の感じとか、うんうんわかるかも。風わいわいと言う生きもの、闇番という職業、ホント、魅力的な作品です。夜市がおもしろかったから、手に取った作品なんですが、期待を裏切りません。もっと読みたい、次作も必ず読みます。
・「実力があるからこその作品」
前作を高く評価しましたが、飽くまでも作品をであって、作者を気に入ったからの評価ではなかったつもりだった。今作が店頭に並んだ時に思わず手が延びたのは、やっぱり作者の作風が凄く気に入ったからなんだと今にしては思う。さて、作品については触れないが、本当に実力が無くては、受賞後第一作で、ここまでの完成度は、無理だと思える世界観を見事に作り上げている。とだけは言いたい。後半がはしょっている感じがしないでもないが、長編として上手く纏めている。既に数百の作品を書いた事があるかのような、こなれた感が漂っている筆致には感心するばかり。基本的に文庫しか購入しない私だが、この作品も前作と同じ単行本で、本棚に並んでいる。単行本の値段が高いと感じたら、文庫になるまで待って良いのではないだろうか。とは言え、是非読んで貰いたい、お勧めの作品である。
・「隠れ里『穏』」
ミステリーの構造を借りた、異世界伝奇小説である。ストーリーの整合性が高く、ストンと腑に落ちる。「風の古道」の世界観を、精密に練り上げた感じである。この世とは違う条理で、幸せとか因習とか地縁などをひもといているように思える。 「穂高」や「遼雲」などの人名や、「風わいわい」「獅子野」「鬼衆」など、一風変わった名詞群が『穏』の世界を形作っている。隠れ里『穏』の素朴さが、不思議と懐かしい。
・「銅版画満喫」
小浦さんのファンならぜひ持っていたい一冊。初期の作品からlunetion2(表紙~裏表紙)まで、色々な作品に詩がついてます。版画は高くて買えないぞ~という方でも手の出るお値段です(でも、多分版画も欲しくなるでしょうが…(笑))。
・「かなしいけれど、うつくしい」
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・「月と光の物語」
絵に惹かれて買いました。とても心が静かで、真夜中にひとり、街にたたずんでいるような気持ちになりました。月が好きな人、青い世界が好きな人にはたまらない1冊だと思います。
・「京都+怪奇」
京都好きの方にはたまらない小説です。京都という街がもつ不思議な雰囲気が存分に出ています。どの話も少しずつリンクしているようで、していないような…。同じ世界の話だけれど、どこかちょっとずつずれているような…。というような構成です。森見さんの他の話よりも少し笑い出してしまうような文体は少ないですが。
レビューのタイトルにも書いたとおり、京都という趣のある舞台+少し背筋がヒヤッとする奇妙な話、といった感じです。
京都好きにも、ちょっと不思議な話が好きな人にも、読みやすい小説だと思います。
・「ぬるりとした感触」
本を読むと時々「感触」のある本に出会うことがある。「感触」は読んでいる途中に文章が視覚以外の感覚を通して、体に入ってくるという感じでしょうか。単純な「ホラー」ではなく「するり」というか「ぬるり」というか、ページを通して、肌にそんな感覚を残していく本でした。特に描写に関しては、そんな感覚が強かったように思います。雨の描写では、鼻につんとくる雨の香りが漂い、起こるであろう恐怖を予感させる。そんな文章を超えた感覚が、この本にはあるように僕は感じました。
・「幻想とは、若者が誰かと出会い、夢のように時間が過ぎることだ」
ホラーではありません。恐怖を正面に据えて、「ほら怖いでしょ?」と作者が語りかけてくるような作品ではありません。キング以降のモダンホラーとは、対極にあるのでしょう。伏線、登場人物の内面描写、謎解き、クライマックスといった約束事がないので、肩すかしにあう読者もいると思います。ところが、なかなか面白いのです。本作は幻想を語っています。たくさんの謎も提示されますが、どれも未解決のまま、放っておかれます。京都の夜、さびれた古道具屋、血縁の謎、ミステリアスな女、竹薮に囲まれた屋敷、琵琶湖疎水。想像力をかき立てる小道具は揃っています。連作ですが直接の関連はなく、次章を読む度「この古道具屋って?」と、物語の背景を想像させられます。本書は、とにかく半分だけ出して、あとは想像しなさいという小説です。
本作は、若者が道に迷い、誰かと出会い、夢のように時間が過ぎたエピソードを描いています。幻想として描かれてはいますが、描かれている感情って、結構普遍的なので、本作は面白いのだと思います。って、ことは幻想小説でもありますが、青春小説でもありますね。(随分屈折した方のです・・・)
・「張り巡らされた糸が囁く」
京都という舞台といくつかのキーワードを軸にして、時代や設定、人物を変えながらも巧みにリンクしていく四篇は、果実の中の龍で先輩が言っていた“神秘的な糸”が張り巡らされているよう。深読みしすぎたのか、伏線かと思っていたら以後全く触れられない箇所もありましたが、逆に意外なところが結び付いていたり、先へ先へ読みたくなる作品です。読後感はまさしくきつねにつままれたよう。恐怖と言うよりもう少し毒気の無い、奇妙とか不可思議と言ったほうがしっくりくるような、月夜にひっそり読みたくなるような一冊です。
・「好き嫌いわかれるだろうけど」
好き嫌いわかれるだろうけど私は好きです。怪しいなって感じがすごい出てて。見えるようで見えない感じとか、ああいう感じが私のドツボでした。おおっぴろげーなホラーは好きじゃないんで。
・「だらだら続くラノベとは一線を画す作品」
短編5編からなる小品ですが、紛れも無く傑作です。ちょい褒めすぎですが、三島由紀夫の「現代能楽集」や渋沢龍彦の「唐草物語」が好きな人ならば、是非手に取って欲しい作品です。スニーカ文庫で出ていましたが、そういった偏見は的外れです。小品ながらきちんと完結しています。(本当は残念)この機会を逃すと2度と手にできないかも知れません。お早めに。
・「幻想と美+現実」
最初は表紙買いでしたが、この作品では大正解。挿絵と内容が異様に合っています。両者が引き立てあう感じ。文章は表現が最高に綺麗で、人物・世界の双方の幻想と美を支えています。ただしそれだけではなく、各話で現代の人間がでてくるし、花の意味する内容が少々痛い場面もあります。印象に残る場面・文章・人物が必ず見つかるので、とてもお奨めです。文庫版の解説で夢枕獏さんが書いていたように、泉鏡花と似た所があります。(天守物語とか?)鏡花の好きな人なんかにもいいですね。個人的なお奨めの話は「曼珠沙華」。
・「飴玉の力」
「老松」に出てくるフサばあちゃんは豪の者で 全ての登場人物の中でも特に好きです。 主人公の青葉の鬼も永遠に性根の曲がった姫様方も たじたじになるくらいなんですから。 そのばあちゃんから飴玉もらえる彼らが うらやましく思えました。 おばあちゃん、那智黒おくれ〜。
・「永遠と滅びとの狭間」
幻想的な映像美で、良くも悪しくも欲深い人の心の機微を描く一冊。小説であるが、映像を感じる。何度、読み返してみても、物語の中の舞台設定、状況説明が、歌舞伎の演出を見るようである。衣装や色彩についての言葉を知らないと、せっかくの情景が薄れる。
自分以外の人を大事に思う。それは、その人との幸せな一瞬を永遠を留めおきたいと願う気持ちと、時が過ぎて滅びることを受け容れて限りある幸せ祈る気持ちと、その狭間で心が引き裂かれるような心持ちを伴う。幸せを失いたくないと願うとき、あでやかな花をまとう姫君たちが耽美で頽廃的な空気をかもして、永久へ久遠へと誘惑する。そこを、涼やかに爽やかに健やかに青葉が払う。滅びの帝に従い、なるがままに任せて、花心を守る。現世は、永遠と滅びとのあわいである。
・「傑作」
この本をよんだのは随分前で表紙の絵に惹かれ手にとったが値段以上のものを得ました。なんの知識もなくても充分楽しめるが歌舞伎の知識があると倍増する。一定のレベルを求められているのか?と感じてしまい歌舞伎の勉強にハマッてしまった。ほんとに読み手の感性を刺激する。映像が浮かぶのは元より読書とはこうあるものかと思わせる。
・「C.S.ルイスのSFファンタジー 三部作の第一巻」
ナルニア国物語の作者が描く大人のファンタジー。舞台は火星。言語学者の主人公ランサムがいろいろな生物とコミュケートしながら火星をさまよう設定はさすが。ことばの大家C.S.ルイスらしい。もちろんC.S.ルイスの持ち味である、空気の色や匂いさえも感じさせる優れた情景描写と、人物(?)の心のひだをも描きだす心理描写は健在。
深遠なテーマをエンターティメントの形をかりて読ませる、良質のSFファンタジー。
・「悪のない世界があったら?」
キリスト教擁護論者のルイスが神学をSFで描いて見せたものです。
●マラカンドラ:神から地球を任されていた天使が堕落したために、地球と他の惑星と断絶したことが主人公の冒険を通して説明されます。アダムとイヴの堕落による人間の悲惨、未だ堕落を知らず「罪の存在しない火星種族」と人間の違いが描かれます。
ついでに(^^;) 神学的SF三部作を一気に紹介!●ペレカンドラ:金星のイヴを堕落させようとする地球の堕天使のもくろみと阻止しようとする主人公の肉体的精神的な戦いが描かれます。実際に創世記のイヴはこのような誘惑を受けたと実感できますし、キリストの死の現場(贖いの十字架)にいたと絶叫する堕天使はのセリフは本当にこわーいしリアルでした。
●サルカンドラ:惑星から帰還した!主人公と、<科学的な立場を利用した>地上の悪の勢力との戦いは主人公側の勝利に終わります。(悪はどこまでも卑しく、ただ魂を滅ぼす存在となっています。)それぞれの惑星の責任者?の天使と神、宇宙と天国の関係などが面白いです。背景にアバロン神話(キリスト教以前のケルト神話)も盛り込まれていますが、矛盾なくまとまっています。 ルイスは、神からの「サイン」を古代神話や伝説の中にも見い出していたのかもしれません。
・「自我という器」
高校時代、最も夢中になった作品です。独特な絵柄、人生への洞察にみちた哲学的なせりふ。友人にも読ませまくったあまり、当時の本はぼろぼろになって2冊目を買いました。「自我」という器を、人間はどこまであけわたせるか、あけわたした後にそれでも残るのは何か、そんなことも考えたりしつつ、全て読み終えた後に快いポジティブな感覚が残ります。
・「至福の時をどうぞ」
世界観がたまらない。建物も暮らしもそこに息づく人々も、その、割り当てられたそれぞれの役割や運命も。一つの完成した世界は、触れるだけで至福の時を味わえる。あなたも神官イリスとともに、作者の創った壮大な世界に触れてみてはどうだろう。ちょっぴり小難しい本気のファンタジーが好きな人にオススメ。
・「支配者-植物女王・ピレアとの戦い」
ご存じ「アタゴオル」の外伝。舞台はいつものアタゴオルを離れた、ギルドマ・ジャングル。アタゴオルのテンプラ、パンツたちは登場せず、この話ではタクマ、ギルバルス、そしておなじみ”名物猫”ヒデヨシらが活躍します。
一冊、10編を通して、ヒデヨシが封印を解いたため復活した、「植物女王ピレア」との戦いの物語となっています。女王の”規律(あるいは秩序)による支配”に対して、どれだけそれに飲まれず、自分でいられるかの戦いの物語ともいえるでしょう。
強力に”自分”を持つヒデヨシや、孤高の存在のギルバルスは彼女の勢力に抵抗しますが、多くの人々(猫々)は、いとも簡単に彼女の”規律”に飲まれ、「草猫」になっていきます。その恐怖。
そして、そんな人々に対するギルバルスの冷たさ。死者はでるし、敵の戦いぶりにも容赦はないし、いままでのアタゴオルではあまり見ることのなかったものがこの作品にはあります。そのなかで、相も変わらずただ食い、どろぼう、やりたい放題のヒデヨシがいっそう光ります。
おすすめです。アタゴオルのファンはもとより、自分の心の弱さに答えを出したい方にもぜひ。
・「アタゴオルとは一味違う『ギルドマ』ジャングル」
現在連載中の『アタゴオルは猫の森』も好きですが、この『ギルドマ』も好きです。いつもの「イエー!」なアタゴオルとはちょっと違ったギルドマ・ジャングルが舞台。 一番の違いは、ヒデヨシよりも誰よりも、ギルバルスが出ずっぱりって事です。月がある限り不死身で血は銀色、不純な動機には一切かかわってこない眼帯の猫人ギルバルスが、最初から最後まで出てきます。彼らしい一匹狼の考え方や、アタゴオル以上の不思議な能力を垣間見ることができます。
『ギルバルス』や『冬をこの手に前・後編』『テルウテ』などのギルバルスファンにはオススメの一冊です。
・「美しく物悲しいアイルランドの怪談集」
ヨーロッパの童話や昔話、あるいはギリシャ神話などは本や映像でよく紹介されるが、アイルランドの民話・伝説をまとめた本に出会ったのはこれが初めてだ。読んでいくとバン・シイ(死の泣き声を上げる女)やプーカ(邪悪な小悪魔)、ドゥルイド(智者)、邪眼のバラー(片目の死の神)など、どこかで聞いたことのあるような名前がずらりと並び、アイルランド民話が元だったのか・・・と気付かされる。幽霊や呪いなど、背筋がゾクっとするような怖い短編を読むうちに、アイルランドの神々や妖精が息づく世界に徐々に引き込まれてしまった。怪談とともにくりかえし語られる、イギリスの残酷な植民地政策についてのくだりも、作品に現実味と物悲しい雰囲気を加えている。
「怪談」でラフカディオハーンが日本の伝統的な文化の一部を世界に紹介したように、「アイルランド幻想」はアイルランドの歴史と文化を垣間見せてくれた。
・「アイリッシュ・ホラー」
アイルランドの民話・伝承に基づいたゴシック・ホラーです。日本のホラーとは一味違う、幻想的でそれでいて、侵略の歴史を物語るかのように深い悲哀に満ちた作品に仕上がっています。本書には11話の短編が収まっていますが、好みは「石柱」「髪白きもの」。「石柱」古代遺跡の名残とされる石柱から夜ごとに聞こえてくる奇妙な声…石柱の謎が解けたとき、本当に背筋が寒くなりました。「髪白きもの」かなり怖いです。イギリスによるアイルランドの支配が根底にありますが、先住民の怒りや深い悲しみがこのような恐ろしい物語を生み出したのでしょうね。他の作品についてもホラーというだけあって、空恐ろしくなるような不気味な余韻を残した結末が多いです。文章のところどころに訳注がついているので、全体的にとても読みやすく、恐ろしさと同時に心に教訓を残してくれた一冊でした。
・「アイリッシュ ウイスキーはお好き?」
素晴らしい物語。アイルランド民話の世界に引き込まれます。なぜ今まで日本で紹介されて来なかったのか。 被征服者の怨念の長さを、イングランド人も日本人もアメリカ人も、もう一度確認した方が良いでしょう。 秀作です。 恐怖で震えながら、知っているアイルランドの地名を探す楽しみもあります。
・「お買い得の短編集。」
本書はケルトの伝承や伝説をもとに描かれたゴシック・ホラー短編集。で、不思議だったのが現代を舞台にしてて何故にゴシック・ホラーなのかってことだったんですが、読み進めていくにつれてその疑問は消えさりました。最初の数編はまさしく現代を舞台にしたものだったんですが、その後に続く短編では、過去のアイルランドを舞台にしたもの、現代でありながら過去の出来事が主軸にすえられているもの等がありました。これらの短編は、まさしくゴシック・ホラー。霧深い幻想の国アイルランドの悲哀に満ちた歴史がくり返し語られ、おぼろげにしか知らなかったゲール民族の歩んできた悲惨な過去が見事に再現されています。ホラーとしても本書はなかなかの成果をあげています。特に背筋が寒かったのが「髪白きもの」。この作品は怖い。ビジュアル的にも因縁的にもパーフェクトな作品でした。というわけで、アイルランドの歴史を知る上でも最適の一冊であり、ホラーとしても最上の短編集でありました。
・「アイルランドっぽさ満載」
~アイルランドの伝承に基づいた、奇怪な話が繰り広げられており、非常に臨場感あふれる文章で、どんどん引き込まれる。ついでにアイルランドの土地、歴史、言葉にも触れることができ、そちらの意味でも非常に興味深い。著者は高名な研究者だそうだが、その知識が魅力いっぱいにちりばめられている。~~ バリィヴォーニー(地名)、ティンカー(鋳掛け屋)、ケーリィ(ダンスのお祭り)など、伝統音楽の曲名やダンスとして出てくる言葉も多く、親しみが持てる。
後書きには、アイルランド人作家の名前が列挙してあり、これをとっかかりにアイルランド文学に踏み込んでみてもいいかなと思った。~
・「感動の名作」
読み終わった後、涙が止まらず、しばらくこの作品の世界から抜け出せなかった。現代の日本が失ってしまったものに対する哀しみ、そして八百万の神が存在する日本という国をもっと大切にしたいという想い、深い感動、そういったものが混沌として頭の中をかけめぐり、文字通り放心状態だった。命とは何か、善悪とは何かといったことを
深く考えさせてくれる素晴らしい作品。透明感のある絵も美しい。このような作品を描いてくれた著者に感謝したい。
・「日本の漫画の神髄に触れる」
ハードカバーで全巻持ってます。画のすばらしさ、ストーリーの壮大さ、人の命をかけた深く熱い想いなど、作品としてのすばらしさは、他の方々のレビューの通りです。 ですが、この作品は、日本の漫画の神髄に触れる、或いは日本でしか生まれ得なかった作品ではないかと思います。 善と悪。明快な二元論は美しく、私たちを魅了します。事実、中東で生まれた三つ子の宗教は、その二元論と(なるべく)明快な論理の上に、壮麗な文明、文化を花開かせています。それは私たちの生の美しさにとって、より素晴らしい美しさの福音であるとともに、私たちの魂の牢獄でもあったのかもしれません。 どちらかを選ぶのではなく、選ばない強さ。その向こうに、とても明快な人間主義があるように思えます。「百億の昼と千億の夜」、「デビルマン」にも繋がる、けれども未来に希望を見つけようとする、明るい人間賛歌を、是非読んでみてください。「世界を統べる神」がいないこの国だからこそのストーリーだと思います。
・「完成度の高い作品。」
人は何処から来て何処へ行くのか。そして神々とはどういう存在なのか...。
舞台は一万年以上前の古代日本。善なる亞神(あしん)と悪なる威神(いしん)らが目に見える神々として存在していた時代。目に見えぬ神々を信奉する部族の少年・鷹野は兄のような存在で師でもある青年・青比古との修行中、川に流され捨てられていた赤ん坊を拾う。トオコと名付けられたその赤ん坊は、家族のいない鷹野の強い希望により妹として育てられることになる。平和に時が過ぎトオコが7歳になったある日、自分たちの邑(むら)が邪悪な威神・鬼幽の一派によって襲われてしまう。生き残ったのは用があり外出していたトオコ、鷹野、青比古のみ。彼らは邑を離れ、威神と対立する亞神の信徒たちと行動を共にすることになる...。
イティハーサは十数年かけて描かれた作品なのですが、ストーリーの壮大さや絵の安定した美しさなど全体的に完成度が高く、作者の並々ならぬ才能と表現力を感じさせられます。神々のことが描かれていますが宗教色が濃いわけではなく、どちらかといえば善悪だけでは区別し切れない人間の複雑さが描かれているように思います。
「おすすめの本は?」と聞かれたら、間違いなくこの作品をすすめると思います。ハヤカワ書房から出ているイティハーサは全7巻。文庫本サイズなので場所も取らないですし持ち運びにもいいと思います。
・「人は善のみにて生きるにあらず」
なんという物語なのだろう。 まだ、余韻が消えない。きっと一生、消えることはないだろう。 この物語の語ることは、生きるということの根源に関わることだから。
人とは何か? 神とは何か? そうして、神とは必要なものなのか?
善とは何か? 悪とは何か? そうして、悪とは排除されねばならぬものなのか?
人は、善のみで生きていくものではない。
そしてまた、救いは一つではない。 それぞれに、それぞれの生き方があり、それぞれの救いがある。
こんな壮大な物語を、こんなにも美しく描ききる力。 そう、小説でも映画でもない、「マンガ」というメディアで あればこそ表現できた物語。 私は「マンガ」のある国に生まれたことを本当に幸せに思う。
この作品に出逢えて、本当に良かった。
・「全巻買って読んでください!」
私は重たい重たいハードカバーで全巻所持しています。
作りが丁寧なのは勿論のこと(何と言っても「職人気質」だそうですから)、作品からものすごい気が伝わってきます。これは「祈り」の心から発せられてるのかもしれません。
『水は流れて水となり』『風は吹いて風となる』『人はゆらいで人となる』
「持ってる世界が広いほど”自分”が希薄になっていく」などなど挙げればキリがないほど宝石のような言葉が散りばめられていて、自分が浄化されていくような気持ちになります。作者の水樹氏はどんなに深くて澄んだ眼を世界に向けているのでしょう?想像できません。ただただ尊敬してしまう。
青比古と桂が幸せに幸せに、ちりと消えるまで暮らしていきますように。
・「「幻日」の甘美な幻想」
短編集。特に、夢の様な甘美な幻想と厳しい現実を描いた「幻日」に興味を持った。この幻想は夜にのみ成り立つが、白昼に突きつけられた現実は、予想どうり苛酷だった。「骨」も面白い。僧侶ですら幽霊や霊魂を信じてはいないが、因縁めいたものは強く信じている。この下りは、著者の幽霊哲学を代弁している様で、興味深い。結末も秀逸だ。「お迎え」は、10年期限付の生命を手に入れるという筋書きが面白いし、目まいのする様な結末だ。
全体に、短編ながら、物語性も凝縮されたホラーだ。その物語性と幻想性に酔える。
・「文章力」
リアリティのある文章に頭でイメージする風景が簡潔かつ妖気に創られる。また話もただただ起承転結なのではなく最初に空白を作ることで物語の面白みをラストに凝縮している。なので何度読んでも新たな発見があって面白い。またそれぞれ短編なので読みやすく気兼ねしなくてすむ。これからの活躍に期待してしまう力をもった作者だと思う。
・「作者の手腕に脱帽。」
「幻日」の文庫化だそうだが、全面的に書き直されてるのでまったく違う感触なのだそうだ。ぼくは、本書しか読んでないがこれは確かに怖い。何が怖いといって、作者が集めたというエピソードの数々がなかなか生々しくて良い。この人はその場でしか味わえない、言いかえれば当事者しか味わえないその場の恐怖を的確に伝えていて秀逸なのである。本書中では「怪の再生」と「釘」がその部類。で、作者の創作で良かったのが「廃憶」である。これは夢の不気味さとその謎解きがゾクゾクするほどおもしろかった。よく出来た話だ。
・「バルサとチャグムの物語 最終章」
女用心棒バルサと新ヨゴ皇国皇太子チャグムの物語は 三度交差して いよいよ最終章。相変わらず息をもつかせぬ展開で ぐいぐい引き込まれます。
色々な考えを持つ様々な人がいて それぞれに正しいと思うこと 最善と信じることをする。それが争いを生み 戦いとなり 人が傷つく。その中でもがき 解決策を模索する人間・・・
現代社会そのもの・・・というか 古代から繰り返されてきた人間の社会生活 人間の本質を表している気がします。ぜひ 子供たち(以外にも!)読んで欲しい!!続編が待たれます。
このシリーズは単編でも充分面白いのですが 本作に限り ”蒼路の旅人”の後に読むことをオススメします。
・「!待望の最新作!」
守り人の世界が糸を織り始めて10年。いよいよ、『天と地』の3部作で守り人の世界は幕を閉じます。この本は、主人公が若い少年・少女ではなく、30歳の女性。しかも、用心棒という変わった設定からはいっていきます。しかし、何一つ違和感がなく読み進められ、小学生から、大人の方まで楽しむことができるようになっていますので、『神様』や、異世界ファンタジーが好きな方に自信をもってオススメできる一冊です。既に、外伝を含め、5冊出版されていますが、どこから読んでも楽しめる作品です。 隣国、ロタ王国と手を結ぶため、自ら海に飛び込みタルシュ帝国の手から逃れた皇太子チャグム。かつて彼の用心棒をしたバルサが彼を救うべく旅立つ。バルサの前にヒュウゴと名乗る不思議な男が現れるが、敵か味方か・・・。また、幼なじみ薬草師のタンダが兵としてかり出されてしまう。さて、彼らの運命は・・・! この続きである2部作目は、12月後半に発売される予定なので、まとめて読まれてもいいと思います。
・「感激です!」
圧倒されました…迫りくるタルシュの波のなか、それぞれにみな様々な思惑を持って行動するチャグム・バルサ・タンダ・シュガ、そしてヒュウゴ。とても深いストーリーで、本当にドキドキしました!児童書にありがちな牧歌的ファンタジーとは違い、社会情勢や人の心の暗部までしっかりと書き込まれていて、大人でも十分に楽しめる内容でした。というか、むしろ大人に読んで欲しい一冊です。
・「バルサとチャグムの物語がひとつに結ばれる醍醐味」
南の強国、タルシュ帝国の侵攻が迫る新ヨゴ皇国とロタ王国。サグ(こちら側)の世界に戦乱の暗雲がたちこめる一方で、ナユグ(あちら側)の世界にも大きな異変が起きていた。風雲急を告げる動きの中で、皇太子チャグム、女用心棒バルサ、ふたりの物語がぶつかり、ひとつの大きな流れになっていく・・・・・・というのが、本書のあらまし。 チャグムの行方を追い求めるバルサと、以前の巻にも登場した某人物とが出会い、言葉を交わすなど、このシリーズの愛読者にとっては、わくわく、ぞくぞく、はらはらするシーンが目白押しでした。 特に、本書の終盤、「刺客」以降の話の展開が素晴らしかった。まるで映画のフィルムが回っているような描写の、鮮やかで見事だったこと。怒涛の如き話の流れに心揺さぶられながら、ラストまで一気に運ばれたこと。このシーンは、強く印象に残りましたねぇ。この場面の白眉のワンシーンを描いた324頁、二木(ふたき)真希子の挿絵もよかった。 バルサの身を案じる幼なじみのタンダ、チャグムの安否を気遣う星読博士のシュガをはじめ、脇の人物のキャラも立っていて、魅力的なんですよね。同時進行で描き出される彼らの姿が、物語の味わいをさらに彫りの深いものにしている。 物語の中にゆったりと身を任せることのできる本当に面白いシリーズだなあと、本書を読んで改めて実感しました。この「守り人(もりびと)」シリーズと出会えた幸せに、心から感謝します。
・「待ちに待った・・・」
待ちに待った「蒼路の旅人」の続きです。新ヨゴ帝国の未来をかけ、隣国と同盟を結ぼうと必死なチャグム、そして母のような愛でひたすらチャグムの幸せを願うバルサ。国と国、いろいろな派閥の思惑が複雑にからみあい、今までに出てきた国、人々がみな、大きな運命の渦に飲み込まれていく感じです。目が離せません。まだ他の守人シリーズをお読みで無い方は、少なくとも「蒼路の旅人」を読んでからのほうが楽しめると思います。
・「伝奇とファンタジーの中間点」
文庫版が出てから、買おう買おうと思って、書店で平積みされているのを眺めていたのだが、ある日思い出して書店に行ってみるとどこにも売っていない。伝奇・妖怪物は大好きなので、諦めきれず本屋を数件回ってみたがやはりなかった。あんなに沢山これ見よがしに積まれていたのに……とエラい人気なんだと感心してしまったのを覚えている。 あらすじは他人の心の声を聞き取る能力『聞き耳』の能力を持つ少女、小夜と、隣国の呪者の使い魔、野火との恋物語。人間と魔物という従来は考えられないハードルと、野火の使い魔としての宿命、国同士の領地を巡る争いなど、幾重にも重なりあった構成はさすがは人気作家だと思う。情景の描写も鮮やかで細やかで、本の中の世界に無理無く入り込むことができる。交錯した人間関係の中で展開される簡単には予想の出来ない展開もまた大きな魅力だと思う。 昔話などでよく語られる、妖怪と人間との婚姻譚をベースに、戦国チックな群雄割拠な世界観と、上橋氏の作り上げた術者の定めをからませた物語は傑作だと思った。 こういった作品にあまり触れた事のない方にもお勧めしたい。
・「ラストシーンがとても素晴らしかった!」
ラストシーンがとても素晴らしかった! 切なく、あたたかなものがこみ上げてきて、涙がこぼれました。満開の桜の花びらがはらはらと舞い散る中の情景の、例えようもない美しさ。深くしみてくるものがあって、心が震えました。 とまあ、ラストシーンの美しさに問答無用でしびれてしまった次第でしたが、もちろん、そこに至るまでの話の展開がよかったですね。なかでも、情景を眼前にありありと浮かべてみせるイメージの喚起力と、「あわい」や「闇ノ戸」「光の脈」といった舞台背景のアイテムが印象的。後者、この世と、カミガミや霊力のある獣たちが暮らす深い森、その境にあるという「あわい」の空間には、格別、心惹かれるものがありました。 小夜(さよ)と野火(のび)、ふたつの魂のひたむきでまっすぐな想いが、黒い呪いを打ち破り、その向こうへと突き抜けていく物語。目下夢中になっている「守り人(もりびと)」シリーズの作者だから、これも期待できるかなあくらいの、割と軽い気持ちで読み始めたんですけどね。最初に記したように、ラストシーンのあまりの美しさに涙がしばらく止まりませんでした。忘れがたい物語のひとつになりました。 2003年(平成15年)11月、理論社より刊行された作品。新潮文庫の解説文を、宮部みゆきと金原瑞人の両氏が書いているというのもいいですね。
・「哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語」
上橋菜穂子先生の、守り人シリーズ、旅人シリーズにはまり、バルサとチャグムの冒険物語に引き込まれ、とうとうこの本にたどりつきました。感動しました。そして、最後には泣いてしまいました。呪者に「使い魔」にされた霊弧は、支配され、汚い仕事に使われ、支配されたことで穢れ、2度と再び「かの世」にふれることはできない。哀れな霊弧は、この世とかの世の狭間たる「あわい」で暮らし、「あわい」で死んでゆく。主である呪者の命令に背けば、ただちに死が待っている。だから、霊弧の野火がいくら人間の少女に恋焦がれても、遠くから見つめているしかなかった。哀れな霊弧と、人の思いを「聞く」霊力を生まれながらに持った少女、小夜の美しく、悲しい物語。ファンタジーを読んで、今まで、泣いたことはなかったのに、最後に、ずたずたに切られていき絶えた霊弧の命を救うべく、自ら、「あわい」に身を投げる少女のけなげさと一途さに、目頭が熱くなりました。守り人シリーズで、ファンになりましたけど、この一冊を読んで、上橋菜穂子先生の小説がますます好きになりました。お勧めです。手にした方は、きっと、上橋先生の描く、不思議な世界に魅せられることでしょう。そう、私のように。
・「一途でけなげな愛」
本当に読んでよかった、と思える作品です。主人公・小夜と霊狐・野火のお互いを思いやる気持ち。相手に見返りを求めないただひたすらに一途な愛。現代のドロドロした暮らし辛い世の中で、忘れていたものを思い起こさせてくれるような素敵な物語です。
上橋さんの本は本当に文体が美しいんですね。たとえば「満月の光がこうこうとすすきの原を照らしている。風がわたるたびに、すすきの穂が銀色の水のように波うっていく。」美しくてどこか哀しい雰囲気を漂わせた表現。まるで自分がその場にいたかのような懐かしさを感じるから不思議です。
終章「若桜野を」を読んで一気にこの本のファンになってしまいました。たった4ページの短い章にたくさんの思いが詰め込まれています。
一生の宝物になりそうな本です。
・「剣と魔法のファンタジーの王道」
欧米の指輪物語、ハリー・ポッターに類するファンタジーがなかなか我が国にはなかった。大事なことは、基本的に少年少女向けに書かれながら、それが青年から大人へと拡がって行くこと。こういう流れに乗って大人の(オッサンの)私が初めて触れた日本のファンタジーは、小野不由美の十二国記だった。こういう作品が日本にもあることを発見したことは喜びだった。
しかしその後、なかなかそういう作品に出合えなかった。一つには、基本的に「少年少女向け」であることが、なかなか私のような中年男性には出会いが難しかったと言うこともあるだろう。幸いなことに、朝日新聞の書評のおかげ(青少年にはやっているコミックやジュニアノベルを紹介してくれる)で、上橋菜穂子の守り人シリーズに出合え、そしてとうとう本書も手に取ることができた。
人の心が聞こえる小夜と、呪い人の手先になっている霊狐の出会いを発端に、領土争いに翻弄される小国の、跡継ぎの少年をからめ物語が推移、展開する。作者上橋の、細部までしっかりしたプロット作りが、(本来)少年少女向けとして書かれた作品でありながら、少しも手抜きがなく、また大人の醜さ、子供の残酷さも容赦なくあらわにして、まさに大人の鑑賞に堪えるものとなっている。小野不の十二国記はチャイニーズテイスト、上橋の守り人シリーズは無国籍アジアンテイスト、で我が国のファンタジーは日本を舞台にできないのかな、と思っていたけど、本作品は舞台は日本であり、戦国時代風なんだけど、どこか異次元異世界で、おもしろい。ファンタージーの中に、とても土着的な匂いと素朴で淡い恋心が添えられ、独自の世界がせつなく展開した。これぞまさに、大人の皆さんにこそ味わって頂きたい一級のファンタジーである。
・「珠玉の名作」
全部で七編からなるホラーミステリー。話によっては幻想小説といった方が相応しいものもありますが、そのどれもが珠玉の出来映えです。これだけのレベルの高さを誇った短編集など、そうはないでしょう。作家の見識の深さと、主人公・猿渡の軽妙な語り口にはとにかく魅了されます。鳥肌が立つ程に。
キャラクターも実に魅力的。
怪異を愛する伯爵と、怪異に日常的に関わってしまう猿渡。伯爵が隣にいてくれると、ふらふらとあっち側に行ってしまいかける猿渡をちゃんと呼び戻してくれるので読んでいる側も非常に安心です。まさにベストコンビ。
リアルな人物造形でありつつも、変な生々しさがないのもまた良いです。世界観とのバランスが非常によく取れています。
「水牛群」でストーリーはキレイに終わっているかのように思えますが、このコンビの活躍はまだまだ見たいところです。
文庫も出ていますが、装幀の美しさと作者の後書きでこちらの方を私はお勧めします。
・「面白い!」
重苦しいようで軽い文章の中にとぼけた味わいがあってまずそれが魅力。 内容はホラー。一見リアルっぽい描写なのに、何気に非現実的要素をたくみに取り寄せている。 感心したのは、現実と非現実とのバランスの取り方がめちゃくしゃ上手いこと。リアルの中にありえないだろ、と思われる話が入ってくるんだけど、これが全然違和感がなくて素直に引き込まれていく。 キャラクタ造形も抜群である。蟹の話が個人的に馬鹿馬鹿しくて好き
・「不思議な魅力」
ホラーだと思って手にしたけれどそれだけでは無くて新鮮だった。思わず笑わされる軽妙なユーモアと、気味の悪さやおぞましさがしっかり同居している。可笑しいのに気持ち悪いという複雑な読後感。作者のほかの作品も読んでみたくなりました。
・「不思議なのは当たり前だ。フィクションなんだから。」
まあオカルトだと言ってしまっても間違いではないとは思うが、そう簡単にラベルを貼ってしまいたくない内容になっている。 別にリアリティがある、とかいうわけじゃなくて、「そんなばかな」というオチばっかりなのだが、これがいける。
いける。
読後感は、「恐怖」ではなく「不思議な話だなぁ」に近い。「めちゃくちゃ非現実的だよな」と思ってるにも関わらず、である。そしてその「不思議」に乗せて、やりきれなさや恐ろしさ、安堵などが連れてこられる。
文体が特に特殊であるというわけではなく、ただムダがない。推理小説やホラーにありがちな、情景説明的なムダのなさではなく、読む者のイメージを喚起するのに過不足がない、ということだと言っておきたい。
人間の心の奥に眠る狂気が、だとかそんな小難しいことを考えさせられるわけではない。ただ勝手な幻想世界を設定しておいて、そこに文章力だとかキャラクターだとか情景描写だとかで読者を納得させる。
小説の世界に飲み込まれて、巻末でピュッと吐き出された感じだ。こんな体験はなかなかない。
・「極上の酒のような味わい」
著者は、すばらしい音楽をよく「極上の酒」と表現している。私にとって、この文体の心地よさこそが極上の酒である。ストーリーの巧みさや展開の小気味よさは精密な機械を思わせる。これらの作品を仕上げるのにどれだけの言葉を選び、推敲を重ねたのか、その苦労に思いを馳せてしまう。漢字の使われ方ひとつにも筆者の並々ならぬ美意識が窺える。わずか半日で読了してしまい申し訳ない。しかし、その時間で読めてしまうのも、創作段階でよく練られているからだと思う。至福のときをありがとう。
・「ダサかっこいい(愛らしい)登場人物がたまらない!」
多少世間知らずだが、やさしく思慮深くお金持ち(大店のお坊ちゃま)なのに謙虚・・・と人間的にすばらしい一太郎。でも彼の一番の魅力は、“尋常ではないほど強烈な虚弱体質”(笑)にあると思われる。いざ!というときに、ひ弱すぎてカッコよくきまらないから面白い。どんなときも身を挺して守ってくれる手代2人(妖怪)があまりにも優秀すぎて、食べ物から寝る時間、外出先まで四六時中見張られ、仕切られ、管理され続けながらしぶとく事件を解決する姿が最高に可笑しい!
・「考え(推理)ながら読もう」
おもしろいです。本屋で見つけて買ってみたのですが、読者を飽きさせない勢いのある展開と、著者の巧みな文章力・・・内容の濃いものとなっています。江戸を舞台に、体は弱いが頭脳明晰な大店の若旦那が妖怪達と事件を解決する・・・お話です。オススメですよ。
・「妖や殺人事件なのになぜかほんわかでした」
本屋でこのシリーズの最新刊?を見てなかなかいいぞと思ったら、前に三巻もでている!なら、最初から読んだほうが分かりやすいかな・・・と手にしたのがこの本です。たくさんの妖怪が出てきますが、怪奇物でもなくなぜか可笑しくてほほが緩むような感じがしました。何でも持っている大店の若旦那が唯一持ってないのは健康な体というなんだか羨ましいような、可哀想なような主人公が解いていく殺人事件も、妖がかかわっているからか、不思議な感じで進んでいきます。
あんまり真剣にならずにゆるゆると本を読みたい時にオススメです。
・「過保護ッッ!!」
若だんなの虚弱っぷりと、手代2人の過保護っぷりが笑えちゃいます。
・「ほのぼのスラスラ」
妖怪・殺人事件と、メインテーマはとても暗いもののはずなのに、良い意味で軽くてページがどんどん進んでいく。 あんまり軽い感じのノリの小説は好きではないのに、これはすごく面白かった。
ただ、後半までどんどん謎が深まるばかりで、眼に見えてページ数が減っていってるのになかなか解決せず、「こんなんでちゃんと最後まで事件は解決できるんかな?」と思っていたところ、案の定最後の方に行くと力が抜けた感じ。 もっとお供の妖怪をうまいこと使ったら面白くなってたはず。
にしても、「あーあ、終わってしまった」と続きを読みたくなってしまったのも事実なので、妖怪がお好きな人はどうぞ。可愛らしいキャラの妖怪が出てきます。
●僕僕先生
・「戯言シリーズ+封神演義?の面白さ」
畠中恵の「しゃばけ」シリーズを思わせる魅力的な装幀の本書は西暦700年ころの中国を舞台にした仙人もののファンタジーで、少女の姿をした仙人「僕僕先生」に弟子入りした覇気のない青年王弁の冒険物語である。
凡庸な主人公が飛び込んだアンビリーバブルな世界での危機・成長・手を出しにくい恋愛対象・一癖ある脇役、といった面白い物語の要素がほとんど全て含まれているので、退屈しない。次々出てくる中国の人名地名にはちょっと忍耐が必要だが最後まで読むとしっかりカタルシスが味わえる。
作者はこれがデビュー作だが、短い物語の中で登場人物の多面性を控えめに描いてキャラクターを立体的にすることに成功している。一方で、僕僕先生の出自や仙人になった理由は明確には描かれない。この辺の、主人公王弁に通ずる「しつこくない」さじ加減は作者の持ち味と言える。
読み終えたら、ちょっと検索して本書の元になった中国の昔話「僕僕先生」を探してみてほしい。原典と比較することで、改めて作者のイマジネーションの豊かさに驚愕するだろう。
・「五色の雲に乗って」
玄宗皇帝が楊貴妃に惚れ込む直前、仙人が飛び交い、人々が祈りによって自然と折り合いをつけていた素朴な時代。中国の古典の世界に、すんなりと引き込まれる。近代化して、人間は蝗を恐れる必要はなくなったかもしれないが、こんな混沌として曖昧としながらも絢爛で芳醇な世界での遊び方を失ったと思うと寂しくはないだろうか。
主人公王弁は、見事な若旦那である。育ちが良くて、欲が無くて、意欲も無い。こだわりのなさも無為自然の域に達することができたら、立派なもんだ。一方、僕僕先生もきわめて魅力的だ。この主人公ら二人の淡い愛慕が、清潔感があって、これまたよい。面白くて、最後は少し切なくて、でも最高にハッピーな小説だった。
・「かわいいじゃんじゃん」
イラストに味があって、中身を引き立てていると思います。仙人って、中国の歴史的背景のなかでは違和感なく溶け込むと思うんですけど、少女の仙人って意表つかれる。さらに弟子が仙人に恋心抱くなんて…でも二人とも、とってもかわいいです。弟子王弁の成長もみどころ。いろんな仙人や超現実的生き物の登場にも、わくわくしながらページをめくりました。ファンタジーの醍醐味ですね♪
・「歴史、冒険、恋愛の見事なコラボ」
めちゃくちゃおもしろいです。日本にもハリーポッターばりのファンタジーを書ける人がいるなんて!!日本ではなく背景は中国の話しではありますが、日本にも伝わる昔話も織り込まれ、遙か中国大陸に日本のルーツを十分過ぎるほど感じてしまいます。「歴史」と「冒険」、そして「恋い心」。しかも淡ーい「初恋」の何とも言えない場面にどきどきしながら、あっという間に僕僕先生と王弁の虜になってしまいました。いつまでも二人に浸っていたい。読み終わってしまったのがとっても惜しいです。
・「面白いじゃないか。これがデビュー作!?スゴイ…。」
まず。あっさり風味の歴史ファンタジーとして、抵抗感なく読ませる作品だなと感じました。日本ファンタジー大賞受賞作品とのことで、正直、たいして面白くないんだろうなあ。けど、書評でべた褒めだったしなあ。と疑念を感じながら購入・放置していました。
休日の朝、何気なく手にとって読み始めたら、昼までに全部読み通してしまった。凄いんだな。日本ファンタジー大賞。今までなめてました。ご免なさい。
仙人の僕僕先生が可憐(しかもツンデレ)で、主人公の青年がすごくフツーで、けど中国史のバックボーンはかなりしっかりしていて、全体として適当にゆるくて肩肘張らずに読める。爽やかな佳品です。
しかし、著者はこれがデビュー作って、大型新人にも程があるだろ。素晴らしいね。素直に拍手です。
(個人的な願望として、ヒロインの僕僕先生を川澄綾子さんのキャスティングで是非、アニメ化ないしドラマCD化希望。絶対売れますよ。これだけ面白いお話なんだから。)
・「おもしろかった!」
この著者の書かれた他の本(「黄金の王 白銀の王」)を読んで、とても気に入ったため、購入しました。読むと引き込まれ、一息に読み切ってしまうであろう事が予想され、勿体ない感じがして、購入した後も1ヶ月間くらい本棚に大切にしまっておきました。けれども、ゆっくり時間がとれた昨日、とうとう読み始めてしまい、ついにはとまらなくなり、読了してしまいました。次はこの方の現代物にも挑戦してみたいです。とてもお勧の1冊ですよ!
・「使い古された感動の物語に飽きている、新鮮な物語を読みたい人は必読。」
漢字の地名はあるがインド・イスラム系ぽい架空の王国の内戦の物語。導入部のメインキャラ3人の登場の仕方が巧く、イッキに物語に引き込まれました。一人は主人公で、残りは、未来の部下と上司と予測されたが、任務遂行に邁進するカタブツの新任少尉が主人公で、楽して生きる事しか考えてない海千山千の古参兵はすぐ出会うが、たった一日で主人公の小隊は壊滅!普通の物語なら主人公と様々なエピソードを演じるべき古参兵も呆気なく死んでしまう。そして、上司(未来の国王)は最後まで、主人公と対面しないという、パターン外しがデラ面白かったです。少尉が大佐に出世して反乱軍となる波乱万丈の人生を描くが、読み飽きた感動のパターンがないのがいい。主人公は国家国民の為に戦うので、恋人や息子とも敵対する場面があるのがたまりませんわ。自身が反乱軍の汚名をかぶろうとも、国家国民の為に理想の社会を築くために生き抜いた主人公がデラかっちょええ。理想の為に力強く生きる主人公を魅力的に描いたが、それが出来ない弱い人間にも作者の愛は注がれているのが更に素晴らしい。使い古された感動の物語に飽きている、新鮮な物語を読みたい人は必読。
・「男はこうありたいね」
治安の悪い国に住んだことのある著者ならではの活劇が面白く、一気に読んだ。デビュー作「ヤンのいた島」で消化し切れなかったゲリラやらクーデターやらの材料が、本作ではよく生きている。ファンタジーと呼ぶのはどうだかなーと思うが、じゃあ何に区分する?と問われると困ってしまう。舞台は架空の国なのだが、題名どおり素直に大河小説として(いや、お話の中で「大河」は重要な役目を果たすのだけど)読むのが正しいのではないか。 小難しい話は置いといて、アマヨク・テミズはいい男だ。最後も実に彼らしくて、ニヤリとしてしまう。身内だったらたまらないだろうが、お話の中なら、男はこうありたいね。
・「壮大さが魅力」
面白い「物語」だった。ファンタジーを読む喜びを十分に与えてくれた一冊だ。できるだけ一気に読んで、物語の流れに身を任せることをおすすめしたい。主人公を含めたすべての登場人物から距離を置いた、筆者の視点が心地よい。
登場人物の心理が描写されず、その行動に納得がいかないように見える部分も多い。が、それがかえってリアリティを高めているようだ。あれこれとその心中を想像する楽しみもある。人によって、登場人物の心中の解釈は分かれるだろう。 「強い」主人公の一生を軸にしながら、それに関わる人々の弱さや醜さ、愛情を描いているのが印象的だった。
・「人の強さとは、弱さとは」
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●風神秘抄
・「歴史のはざまのファンタジー」
勾玉シリーズの続きではないけれども、あちこちに、その後の物語が感じられる。
平安時代の終わり、院政がとられ、平氏と源氏の争いと武家社会への変換期のはざまの物語で、主人公の草十郎は源氏側についた坂東武者として保元の乱に参戦する。その後落ち延び、後の源頼朝を救い、一度は武士としての生き方を失い、自分自身を見失う。
天からの花を降らす舞を舞う糸世と出会い、運命さえも変えることが出来る笛の音を鳴らす草十郎。自分の笛の音の力に気づかず、無心無欲で吹き続け、ついに人の寿命を変えてしまったとき、入れ違いに糸世を失ってしまう。今までは生死などどうでもいいと思っていた草十郎が、糸世と出会って生きる苦しみと喜びに気づき、糸世を取り戻すために運命を切り拓く。
待望の日本を舞台にしたファンタジーで、読み応えも読後感も十分満足できる。後白河上皇の熊野御幸や八咫烏などとも繋がって、熊野古道や吉野、京都を歩いてみたい気分になった。
・「読んで損なし!」
今までの勾玉三部作を知らなくても読めます。(でも知っていれば鳥彦王が現れたときの喜びなどなどが倍増すると思います。)手に取ったときの厚さにはじめは「うおっ!」と思いましたが、読んでいるうちにそんなこと気にならなくなりました。さすが荻原さんです!
・「笛吹きと少女と鳥の王と」
びっくりがいっぱい!まずこれ、児童文学だったんですね。あまりの分厚さと価格に尻込みしてました。けれども、子供向け(?)の為、小難しそうな歴史の絡んだ導入部分も、意外とすんなり読めました。主人公は17歳の少年、草十郎。生い立ちやその気性から、人付き合いの苦手な彼が、戦や人の欲望に巻き込まれ、次第に変わってゆく。彼の吹く笛の音は、人には理解しづらい。けれども、鳥や動物達は、その響きに誘われ、捕食も逃亡も忘れてしまう。そんな彼が出会うのは、鳥の王となる烏(からす)の鳥彦王と、魂鎮めの舞を舞う糸世(いとせ)。迷い、絶望し、涙を流しそれでも大切なものを取り戻す為、奔走する草十郎と鳥彦王の姿が、とても生き生きと描かれています。この作者の代表作品である、勾玉三部作はまだ読んでいませんが、この話は、独立した別のものなので、これだけでも楽しく読めると思います。子供、だけでなく、大人の人にも読んでもらいたい!!お勧めです。
・「荻原さんのファンタジーの虜です」
久々に荻原さんの新刊が既に出ていると知り、すぐに貪るように読みました。
この作品は勾玉三部作の流れを汲んでいるとは言え、独立した一つの物語でもあります。勾玉三部作を知らない人でも、それとはまた違った…萩原さんの素晴らしい世界へとのめり込んでしまうはず。
舞うために生まれてきたような少女・糸世と、どこか人とは違う雰囲気を持つ鳥のような少年・草十郎。二人は出会うべくして出会い、互いにその存在をかけがえのないものであると思うようになります。萩原作品では、こういった男女を中心にストーリーが描かれていることが多いです。
いつも感じることですが、萩原さんは必要以上の言葉を用いずに、人そのものであったり季節の移ろいであったり、そういうものを魅力的に表現されるんだなということです。だから500ページの厚みなんて感じずに、気づけば読みふけっていること間違いなし。
・「荻原規子"らしさ"の結晶」
荻原さんの作品が他のファンタジーと違うのは「ぐいぐい引っ張って読ませる物語」という賛辞が似合わないこと。時間をかけてゆっくり読んでいきたいと思わせるものを、この作品は持っています。勾玉三部作へのつながりは生きているし、モチーフもやっぱり似ている。そういう意味では新境地と呼べるものではないのかもしれないけれど、今まの荻原さんの作品にあった全ての要素をこの作品は含んでいるような気がしました。そして何より鳥彦王、素敵・・・。
・「癒し」
ちょっと幻想的でかわいらしいジャケットに惹かれて購入しました。3曲目の「nocturne」はヨーロッパでNO1に輝いたという曲。哀愁を漂わせたメロディーは文句なしに素敵です。4曲目の「the rap」は『時の旅人クレア』に出てくるような広い草原を思わせます。6曲目の「song from a secret garden」が一番印象的。切なく美しく懐かしい。思わず涙がこぼれそうになりました。曲すべてが物語のようで、目を閉じるとアイルランドの草原や深い森の中にいるような心地がします。夜に小さい明かりを灯してゆったりと聴いていると本当に癒されます。secret gardenはこのアルバムで初めて知りましたが、とても素敵な音楽に出合えたことに感謝しています。
・「心に満ちてくる音楽」
セレナーデ トゥ スプリングを聞いて泣いてしまいました。インストを聞いて泣いたのは初めてです。
今 巷ににあふれる いわゆるヒットチャートは私の耳には馴染みません。美しいメロディーとハーモニーという音楽の根幹が無い楽曲があまりに多いからです。シークレットガーデンの楽曲は、音楽にとってメロディーとハーモニーがいかに大事であるかを教えてくれます。
・「歌のないソング・ブック」
シークレット・ガーデンの記念すべきファースト・アルバムです。
ヴァイオリンは、よく人の声と対比されます。なぜインストゥルメンタルのアルバムのタイトルに「ソング」という言葉が入っているのかと云えば、やはり、フィンヌーラ・シェリーさんのヴァイオリンがまるで物語を紡ぐようにわたしたちの心に話しかけてくれるからでしょう。
昨今「癒し系」ブームによって、インストゥルメンタルが注目されています。おそらくは、シークレット・ガーデンもまた「癒し系」に分類されるのかもしれません。けれども、シークレット・ガーデンの音楽はあくまでもシークレット・ガーデンの音楽であり、ノルウェーとアイルランドからエッセンスを受けつつも、決してそれを主張し過ぎることなく、繊細に紡がれる旋!!律は、ほかにはないように思います。
シークレット・ガーデンの音楽は、ときにあまりにも当たり障りなさ過ぎて「あれ」と思うときもあります。そして、本作においてはそれが顕著です。けれども、何度聴いても飽きることのない旋律だからこそ、何年経っても新鮮に味わうことのできる芸術作品なのかもしれません。
・「懐古浪漫、シークレット・ガーデン」
ユーロ・ヴィジョン・コンテストでNocturneという曲で一躍有名になった二人組み。ヴァイオリニストのフィオンヌアナ・シェリーとキーボードのロルフ・ロヴランド。3枚ほどアルバムが出てるみたいだけど、これがデビューアルバム、そのNoctuneが入っている。いわゆる癒し系・・・。で、癒し系って何? ヒーリング・ミュージックとも言うわね。気がめいっている時に慰めてくれる曲、優しく温かい曲、元気にさせるまでには行かないけど心を平穏にする曲。そんなこと言うと、私なんか、ジャズやプログレや、果ては日本のフォークまで、みんなヒーリング・ミュージックになっちゃう。もちろん、そのジャンルの全ての曲がそうだ、というわけじゃなく、癒し系といわれてるものの中でも、全然癒してくれないものもある。私を癒してくれる曲って、へこんでいる自分をただ「いい子いい子」してくれるのはダメで、「あんたは間違ってないよ。ほら、あんたと同じなのが、ここにいるじゃない」と共感させてくれちゃうのよね。この秘密の庭さんなんか、私は絶対にディーリアスだと思う。フレデリック・ディーリアス、イギリスの作曲家。クラシックだよ。へんな言い方だけど、人生の前を見ても、そういい時代がこれから来るなんてこともなかろうということが分かっちゃって人生を振り返る方が多い、そんな人に感動を与える。ほら、秘密の庭だよ。覗いちゃいけない庭を覗いちゃう世代に贈る、懐古浪漫だね。実際に振り返ったって何になるとしか言えないだろうけど、振り返ったそこにしかないものもあるのであって、それをやっちゃうのが懐古浪漫。なんか、ニヒリズムに近いなあ。でも、虚無主義が納得できる人には、絶対お勧めのアルバム。
・「夢幻」
あらかじめ断っておくと、私は「美少年モノ」はむしろダメな人間です。したがって「長野まゆみ=ジュネ系」という認識で、これまでは彼女の著作は敬遠してきたクチ。
ところがひょんなことからこの本を読むことになり、自分の先入観を恥じました。何とも美しいfantasyです。時間も空間も軽々と飛び越えて繰り広げられる物語。ここで描かれている人間模様、性愛、恋愛は全て夢か現か幻かが曖昧で、めくるめくような陶酔に身を任せながらページをめくってゆくうちに一気に最後まで読んでしまいます。何よりも最終章「雨宿り」の切ないことといったら…。鳥肌が立つような、読了後も数日間ふわふわとタマシイが半分物語の世界へ行っちゃったまんま帰ってこなくなるような、そんな魔力のある物語。
相当に濃厚な内容が、つつましやかな文体でオブラートにくるまれているため非常に格調高い文章として昇華されているところにも瞠目しました。すごい筆力だと思います。どこか、倉橋由美子さんの【交歓】を彷彿とさせられる作風でした。
これまでの私と同じように敬遠されていた方がいらしたとしたら、もったいないのでぜひ読んでいただきたい。傑作ですよ。
ところで私が現在悩んでいるのは、これが良かったからといって長野まゆみさんの他の作品にまで手を出すかどうか、ということです。まだ決めかねています…。
・「そこらへんのBL小説よりよっぽどエロいよ…」
なんて妖艶な物語。最近の長野さんは、男性同士の恋愛にまっこうからとりくんでいますね!!あからさまな描写はないものの、そこらへんのBL小説よりも、よっぽど雰囲気があってエロいです…
前世などがからまって、人物関係がかなり複雑なので、腰をすえてじっくりと読んでもらいたい小説です。人物相関図を書きながら読んだほうがいいかも。
惜しむらくは、設定が何故だか「現代」であること。大正とか、そこへんの時代設定にしたほうがしっくりきたかな、と思うのですが。
・「蛇と魂。」
一話完結のオムニバス…といっていいのかな? キーワードは蛇と魂。うーん、なんとも象徴的でしょう? 蛇といえばユングの象徴学では…アレですから。 主人公は市村岬くん…でいいのかな? なにもかもご承知の橘河=「あめふらし」と、彼と不思議な養子縁組をしている仲村に、毎回毎回振り回されている彼ですが。時系列で言えば、最後の短編「雨宿」→最初の短編「空蝉」→以下順…という感じなのでしょうが。
話はといえば…ううん、掴みどころがないというか…「わかった!」と思った瞬間、次の章でやっぱり訳がわからなくなったり。どうも人外のモノたちや、魂を飛ばした人たちがさすらい…あめふらしの元にやってくる、という話なんですが。 この人たち、実は「よろず春夏冬中」(文芸春秋)の中にも出てきますよね? 「雨師」という短編の中に。 こちらの短編集も一話完結の話ですが、それぞれの話は独立していますし、幻想色も薄いですから…読みやすいかな? ただ、ボーイズ色は強いので、ご注意を(笑)。
・「予想どおり、期待以上。」
梅雨時にいい感じの読後感です。
・「心地良い妖艶な現代和風の幻想世界」
読み進めるごとに、実写化したら面白そうだな!とは思いながらも…。原作の独特な世界観が空回りして、ちゃちな映像になりそうな予想もつく。現代版日本むかし話のようなレトロで妖艶な世界観がゆらりと醸し出されていて引き込まれます。
・「シルキーがいる」
何度でも読みたくなる本です。何度読んでも涙が出てきます。癒されたいという想いと一緒に、手探りで進む現実を超えた世界。そこにはシルキーがいます。
・「デイヴィッド・アーモンドが作り上げる感動の世界!」
「肩胛骨は翼のなごり」に続き、デイヴィッド・アーモンドが作り上げた素晴らしい作品です!デイヴィッドさんが書き上げる親子愛と友情にはいつも涙させられています!(><)1章1章が2,3ページだけで綴られ、その中に思わず涙する一言、場面が組み込まれ、知らず知らずの内にデイヴィッドさんの世界に飲み込まれてしまいます。今回は特に、学校の問題児ジョン・アスキューに胸打たれました。現代にもこういった子は何人もいるんじゃないかなぁ・・・と思わず考えさせられる子でした。そのアスキューを救おうとする主人公との友情には涙なしでは読めません!山田順子さんの翻訳も素晴らしいです☆子供から大人まで幅広く読まれている本です。皆さんもいかがでしょうか?
・「生と死の葛藤」
祖母を亡くした祖父は、廃坑の村に住む。ときどき妖精に連れ去られる、死の旅路を歩き出した祖父が語る過去。闇が満ちる廃坑へと潜れば死へと還る…。
日常に潜む生と死の間を揺れ動く少年たちを、素晴らしい筆力で書きあげていると思います。生と死、過去と未来、夢と現、冬と春、地下と地上、少年と少女、こどもと大人。物語の中で繰り返される対比がどれも無駄なく生かされている。読後は深い余韻に浸りました。いつまでも記憶に残る忘れがたい作品です。筆者の今後に期待!
・「生と死、そして光と闇」
主人公は13歳の少年です。この街へは、祖母を亡くしてひとりぼっちになってしまった祖父の為に、家族と共に帰って来ました。ここは祖先の眠る土地でした。
何の先入観も無く読めた事が幸せでした。13歳の少年の繊細さ、闇の深さ、豊かな想像力。祖父と少年の姿。とても豊かな気持ちになれました。
・「ファンタジーあり、スプラッターあり。」
「待ってました!」のSF。期待は裏切られませんでした。作中の「火星」「赤い星」というコトバは『スター・レッド』を思い起こさせます。そしてこの最新作進化形では、これまで作者が興味を持ち探究し集積した知識がいつものことながら縦横無尽に炸裂。前作『残酷な神が支配する』とはまた別なタイプの、底知れぬパワーを感じました。
先が読めないストーリー展開。少女が心臓を食らうというショッキングな事件にまつわる謎解きが鍵となります。時は2052年。1巻で死人がはや数人。ちょっとテンポが速すぎる? 渦巻く人間関係が最後に見せてくれる終局はなにか。これもまた先が長いのかもしれませんが、早く知りたい、読みたい、たまらない。
おすすめ参考図書は『魂の伴侶』(ブライアン・L・ワイス)。前世療法について少し知っておいたほうがより楽しめるのではないかと。
・「予想を覆す強度」
久々に2度読みをしてしまった。
1巻目にして既に様々なイメージが交錯中。火星は、カニバリズムは、どうストーリに関連していくのか?秋葉原が出てくるがバルバラと関係あるのだろうか。エズラ、ヨハネ、キリヤ、彼らの過去は?そして、家族の惨劇の真相は?
前作「残酷な神が支配する」も込み入ってけれど、
今度はきっと「銀の三角」の込み入り方に近いかも。希望的観測でしょうか。
オカルトなところは「リング」を思い出してしまった。お父さんは人の夢に入り込めるある意味超能力者だし、夢を映像化したバルバラ異界は、怖くはないけれど、「リング」のあのビデオ映像がちらつく。
いずれにせよ期待も謎も膨らむ一方です。
・「未来、火星、絶望する少年」
夢を渡る、心臓を食べて眠りつづける少女、絶望しつづける少年。
どれもが興味を惹かれるガジェットで、収束できるのか心配になるほど謎が次々と広がっていきます。しかし、一番の見所は主人公キリヤの絶望ではないかと。常に自分が正しいと思っているヒステリー症の母(まじ怖い)に、幼い頃別れた父、時夫。時夫は個人としてみれば少々頼りないところもあるけど好もしい人物。だけど父親とするとあまりにコドモっぽい。当然キリヤはまともな人間関係は気付けず、一匹狼で絶望している。
また、ヒロイン青羽の祖母である十条菜々美もかなり際立っている。最愛の夫は叔母と駆け落ち、最愛の娘は孫に食べられて死亡。頭が良く、気力もあるけれどどうしようもない怒りと諦めの中で生きている。老境の女の哀しみがリアルです。
メインの謎も勿論、それに絡む人物たちの心理劇にも目が離せません。
登場人物の名前もあまりに意味深い。緻密に練られた物語に是非嵌って欲しいと思います。
・「高密度!」
ヘヴィな『残酷な神が支配する』の後の気楽な作品かと思ったら、密度高い高い。両親が惨殺された事件以来、眠りつづける少女、青羽。彼女の夢に侵入する青年。彼女の夢の中に出てくるバルバラ(ぴょんぴょんと飛び跳ねられるこの世界がファンタジックで素敵だ)は、彼の息子が空想する架空の場所とシンクロしている。世界に捨てられた自分が、どうやって世界へもどっていくのか?いまにもパタンパタンとドミノ倒しのように繋がりそうなたくさんの謎が次々とあらわれて、あまりの密度に眩暈がしそうな作品のスタート。続きがはやく読みたいです!
・「キーワードは「バルバラ」」
舞台は21世紀半ばの日本。人の夢を映像化する装置や、人の夢の中に入れる”夢先案内人”なる特殊能力を持つ職業が存在する時代です。
製薬会社の孫娘青羽が9歳のとき、両親が心臓をえぐられて殺される事件が起こりますが、実は妻が夫を殺し、妻も自殺、その心臓を青羽が食べたらしい。それ以後、青羽は意識不明の状態で眠ったまま6年が経ちます。”夢先案内人”時夫が彼女の夢の中に入ると、そこはバルバラと呼ばれる楽園のような島で、彼女は幸せに暮らしていました。しかし、その島は時夫の息子(息子が2歳のときに離婚し、時夫は息子の事をほとんど知りません。)が創造で作った島でもあったのです。青羽の祖父にあたる男の研究、時夫の別れた妻の恋人の孤児救済計画、それぞれが「バルバラ」というキーワードで繋がっていきます。 夢を題材にしたSFという形をとっていますが、本当のテーマは親と子の関係のようです。
今後の展開が見逃せません。
●家守綺譚
・「心優しい百鬼夜行」
このところ絵本づいていた梨木香歩の久々の小説です。
定職を持たずにのんびりと季節の中で時間を送る主人公と彼岸から訪れる行方不明になった親友のさりげないやりとりが秀逸です。
坂田靖子の「村野」などの短篇や、今市子の「百鬼夜行抄」などを彷彿させる優しい物の怪たちと時間におきざりにされたような男たちの関わりが心に残ります。
ひとつひとつの章の終わりが、静かに後を引く読後感でページが終わるのを残念に思いながら、ゆっくりと読みたい本です。
・「新作だぁ~」
去年は絵本が3冊で、早くなが~い文章が読みたいと思っていたらなんだか不思議な本が出た。本の帯には「庭池電燈付二階建・汽車駅近接・四季折々草花鳥獣河童小鬼人魚亡友等々豊富」とある。 主人公は亡き友の家の守を引き受けるのだが、いろいろ起こる話が集まったうちのひとつがその庭の百日紅の木にほれられる話。
それを教えてもらう状況もさることながら、すんなり受け入れるのはいいのかと突っ込みを入れたくなるがそこはそれ、許してしまえる雰囲気があるのだ。 表紙もなんとなく古い和書のようで手元においてながめたい。
・「狸・河童・人魚...。最高ですね」
またもや、梨木さんにしか描けないであろう素敵な作品が出ましたね!現実と神秘の世界が絡み合った、ちょっと奇妙だが温かで静謐とした物語です。今を遡ること100年ほど前の話ということで、ちょこっと昔話っぽい雰囲気が漂っています。主人公は夏目漱石の物語に出てきそうな趣深い様子。登場人物には、色々な奇怪な生き物が目白押しです☆
梨木さんの吟味された優美な文章で狸とか河童とか人魚とか描かれると、もう参っちゃいます!うつくしぃ~
そしていつものように装丁も美しい。
・「ゆっくり読みたい気分」
本屋大賞ノミネート作品にはいっていたので、手にとりました。登場人物(河童や植物なども含む)達の不思議なやりとり、それこそが、すごく自然なことであるように描かれています。
知らない漢字や慣用句、言い回し、植物の名前等をその都度辞書で調べ、ゆっくりと読み進めていきました。普段なら決してしないだろうというこんなことを、やりたくさせる魅力がこのお話にはあると思います。
夏の夕暮れに、早めのお風呂からでて、ゆっくりビールを飲みながら、この本を読みたかったな。次回、読むときにはそうします。
・「泉鏡花、波津彬子、宮沢賢治、漆原友紀…が好きな方は必読です!」
この作品は日本がどれだけ美しい国であったかを示す記録であり、また日本が美しさを取り戻すための指南書でもある。まだあらゆる情報が人づてと書物で成り立っていたいた時代に、なんだか足早に文明を吸収していこうという日本。そんな流れに何となく足踏みしている物書き綿貫氏と四季折々の生命との交歓が鮮やかに描かれている。亡き友人の家に家守として入居した氏は、草木を愛で、愛ですぎて百日紅に懸想され、近所のおばちゃんと話し、自分の手にしているのが河童の衣だと知ったり、犬と連れだって散歩に出て、あらゆる魂魄を背負い込んで苦しんでる尼僧姿の狸を助けたり、小鬼のふきのとう摘みを手伝ったり、床の間の掛け軸から前触れなしに現れる亡友にからかわれたり…と、とにかく日々盛りだくさんの珍事を経験する。でも決して慌てず、騒がず、その出来事を美しい日本語で綴る。鮮やかな色彩をもって綴る。なんと心洗われる事か…こんなに豊かな記録を私は他にしらない。異界との扉が少しだけ開いていた時代の日本は、こんなにも、エキセントリックだったのだ。
・「文章で読ませるファンタジー」
繁栄を続ける美しい公国オ