精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「とっても面白く味わい深い作品でした」「やっときた日本人によるファンタジー」「おすすめ!」「新たな発見」「すでに3度目の出版になりますが、」
闇の守り人 (新潮文庫 う 18-3) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「1作目よりもおもしろかったです」「バルサの過去と、未来」「うーん、はまりましたぁ」「涙が出ました。」「この夏一番の収穫でした」
夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「シリーズ3作目だけれども衰えない」「心に響く、命の尊さ。」「心に残る美しいイメージの数々」「現実を生きるということ」「児童書の枠を超えて」
神の守り人 上 来訪編 (1) (偕成社ポッシュ 軽装版) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 二木 真希子(イラスト)
「神の名の下に」
神の守り人 下 帰還編 (3) (偕成社ポッシュ 軽装版) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 二木 真希子(イラスト)
「深く心に染み入るファンタジー」「憎しみの日々を越えて」
虚空の旅人 (偕成社ポッシュ 軽装版) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 佐竹 美保(イラスト)
「チャグムという人物に引き込まれます」「自分の行動を選び取るとはこういうことなんだ!」「不穏な嵐の予感」
蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31)) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 佐竹 美保(イラスト)
「迷いが無い☆5の作品」「魅力的な主人公」「物語の世界を楽しませてくれる。」「それぞれの生きざまに触れて」「シリーズ中、一番好き」
天と地の守り人〈第1部〉 (偕成社ワンダーランド) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「バルサとチャグムの物語 最終章」「!待望の最新作!」「感激です!」「バルサとチャグムの物語がひとつに結ばれる醍醐味」「待ちに待った・・・」
天と地の守り人 第2部 (2) (偕成社ワンダーランド 33) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 二木 真希子(イラスト)
「作者の張った見事な伏線に脱帽」「待ってました」「前著を受けて」「またも傷だらけのバルサ」「駆け引きや思惑が交錯して、バルサ闘うです。」
天と地の守り人 第3部 (3) (偕成社ワンダーランド 34) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 二木 真希子(イラスト)
「長編アジアン・ハイファンタジー、終結。」「信じる道を行く有能な者達の物語」「見事な終幕!」「物語の終結は、登場人物の終わりではない」「とうとう怒涛のフィナーレです」
流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36) (偕成社ワンダーランド 36) (詳細)
上橋 菜穂子(著), 二木真希子(イラスト)
「バルサ13歳、タンダ11歳。「守り人」シリーズの魅力的な番外編、四つの短編集です」「圧倒的な描写力!!」「幼い頃の物語」「1ページめくるともう物語の中に引き込まれてしまいます。」「バルサの子ども時代に触れられます。」
狐笛のかなた (新潮文庫) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「伝奇とファンタジーの中間点」「ラストシーンがとても素晴らしかった!」「哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語」「一途でけなげな愛」「剣と魔法のファンタジーの王道」
月の森に、カミよ眠れ (偕成社文庫) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「もののけ姫で教科書にない歴史に惹かれた人におすすめ」「カミと人の物語」「世界観は好き」「山妣のジュブナイル版」
獣の奏者 I 闘蛇編 (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「期待に違わぬ新作長編ファンタジー」「読む前にやっておくべきこと。」「久々にすごいファンタジーを読みました!!」「近年まれに見る力作」「闘蛇と王獣」
獣の奏者 II 王獣編 (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「安易ではない"希望"を見せてくれた作品。」「野に生きるものは野にあるがごとく」「霧の民」「ラストの出来栄え」「鮮やかに描かれた物語の世界です」
精霊の木 (詳細)
上橋 菜穂子(著), 二木 真希子(イラスト)
「本物!!!」「ある意味稚拙かもしれないが」「「守り人シリーズ」の原点」「処女作は作家の可能性の宝」「人間批判?」
ユリイカ 第39巻第6号―詩と批評 上橋菜穂子〜〈守り人〉がひらく世界 (39) (詳細)
青土社
「特集:上橋菜穂子」「様々な角度からの批評が興味深い」
隣のアボリジニ―小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「はっとさせる本」「上橋ファンタジーの異色さの源」
ダ・ヴィンチ 2007年 10月号 [雑誌] (詳細)
メディアファクトリー
精霊の守り人オフィシャル・ガイド (TJ MOOK) (TJ MOOK) (詳細)
宝島社
「超基礎編入門書」「見辛いです…(T皿T)」
精霊の守り人 第1巻 (初回限定版) (詳細)
神山健治(監督), 麻生我等(俳優)
「映画をみているよう」「NHKのこの気合の入れようは、一体なんなんだ。」「重厚壮大」「最高峰・涙がにじんでテレビ画面が見えない。」「原作を超えた人物描写がすばらしい」
精霊の守り人 音楽篇 1 (詳細)
TVサントラ(アーティスト)
「まさに、日本ならではの作品に音楽も一級品。」「バルサ、どこへ行く?」「HPの選曲は26番目」
精霊の守り人 1巻 (ガンガンコミックス) (詳細)
藤原 カムイ(著), 上橋 菜穂子(原著)
「これももう一つの「守り人」ワールド」「誤解の多い藤原カムイ」「ファンタジーアニメの弱点」「オリジィナリティが出れば・・・」「硬派なファンタジー」
精霊の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ) (詳細)
上橋 菜穂子(著)
「バルサは何を求めているのか」「児童書が説く、プロフェッショナルと言う生き方」「雨が降り、川となり海へながれ、蒸発し雲となり、雨が降る」「コンキチ&ナターシャの絵本ナビ」「思いがけずひきこまれた異世界ファンタジー」
Moribito: Guardian of the Spirit (Moribito) (詳細)
Nahoko Uehashi(著), Yuko Shimizu(イラスト), Cathy Hirano(翻訳)
「精霊の文化を海外へ発信」
・「とっても面白く味わい深い作品でした」
朝日新聞のヤング向け書評を読んでいたら、大人にこそ読んでもらいたいファンタジーと書いてあった。こういう感じで、小野不由美の十二国記も手にした事を思い出して、ここは50過ぎたおぢちゃんが、等と言う言葉は振り切って、エイって買ってみた。
いやぁ、おもしろい。異世界ファンタジーと言うのは、最初の数ページでこれはちょっと、と思う場合と、そこで引き込まれてあっという間と言う場合の二種類がある気がするけど、本書はもちろん後者の方。ありえなぁいと叫ぶだけのような、そんな浅いファンタジーではなく、とてもとても重厚な、しっかり細部も練り込まれた、実に味わい深い作品でした。主人公の設定が老練な女用心棒と言うのがそもそも面白いが、脇を固める登場人物が、全てとても人間味がある、ドラマチックな人達ばかりで物語に色を添えている。わくわくドキドキのはらはら感もたっぷりで、戦闘シーはなかなかの迫力。
この作品はシリーズとしてあるそうな。嬉しいなぁ。さぁ、次を読もう。
・「やっときた日本人によるファンタジー」
「指輪物語」等、外国産の名作ファンタジーは数あれど、やはりキリスト教的な宗教観やヨーロッパ土着文化といったものが背景にはあること、またどうしても翻訳者の力によってしまうことがあり、しっくり感みたいなところでは違うなぁ、と思うところがあった。しかし、この作品は物語としての面白さはもちろんのこと、日本人が書いただけあって、しっくり感が全然違う。描かれる心理描写も非常に日本人の感性に触れるものとなっている。やっと日本人によるこれだけのファンタジーが読めるのかと思うと、嬉しい作品です。
・「おすすめ!」
10年もの間、愛され続けてきた『守り人シリーズ』。物語は、2007ねんで終わりましたが、とてもファンの方の多い作品です。今まで出ているのは全てが単行本で、少々高いためなかなか買いそろえる事が出来ないという方が多かったのですが、文庫本になって手に取りやすくなってます。〜30歳の女性、用心棒のバルサと新ヨゴ皇国第二皇子チャグムの冒険ファンタジーです。西洋の雰囲気ではなく、アジアンな感じのする、なんとなく私たちとの共通点がありそうな舞台です。ハラハラドキドキが好きな方にはピッタリの作品かもしれません。『精霊』ではバルサが旅立つ所で終わるのですが、読み進めば読み進むほど、続きが気になり、自然とこの守り人の世界に入り込んでいきます。アニメも始まるし、ラジオドラマも、『闇の守り人』が放送されます。この機会に、読んでみませんか?
・「新たな発見」
いわゆる異世界ファンタジーの物語には興味がなかったが、レビューや他の雑誌でもかなり評判がいい、ということで読んでみた。
最初、登場人物や地名などにも馴染みがなく、すんなり読めるか不安だったが、あっというまに物語の世界に引き込まれて一気読みしてしまった。
過去のレビューにもあるとおり、物語に無駄がなく、世界観がしっかりしている。解説で恩田陸が「私達の世界のことだ」と言っているが、まさにその通りだと思う。
また、戦闘シーンなども自分でイメージしながら、読み進める事ができる。
個人的には最後の結末が意外だった。
「ファンタジー」食わず嫌いだった私に、新たな発見をさせてくれた本書に感謝したい。
☆5つ。
・「すでに3度目の出版になりますが、」
文庫版の後書きと解説を読むだけでも、既読の方もこの本をもう一度手に取る価値はあると僕は思います。作者が、文庫化に当たっての思いやこれまで紡いできた物語の重み、そして、その作者の思いをこのような形で手に出来ることの喜び、文庫というものが一つの出版のジャンルとして重要であることを痛感しました。
・「1作目よりもおもしろかったです」
最近文庫化されたとのことで読み始めた守り人シリーズ。1作目が面白かったので迷わず手に取った本書でしたが、期待以上のおもしろさを味わうことができ、1作目よりおもしろかった、という印象を受けました。
主人公バルサの過去の生い立ちを元に構成されたストーリーとそこに絡まってくる故郷での新たなる動き・・・緻密に構成された話の展開と完成された世界観に上橋先生の筆力のテンポのよさが相まって、こちらもあっという間に読了してしまいました。
1作目でチャグムを守る中でバルサが感じた思いが、2作目でしっかりと見つめ直されます。
1作目を読んでおもしろいと感じた方は絶対に読んだ方がいい、という感じです。
・「バルサの過去と、未来」
前作、「精霊の守り人」の続編です。今作は、女用心棒として活躍していたバルサの、過去に向き合うお話です。
前作でもふれられていた、彼女の実の父と養父、そして幼い彼女の負った傷と、養父の罪のあがないのために、彼女は故郷に戻ります。しかし、そこでは今でも陰謀が張り巡らされており。まきこまれつつ、傷に向かい合おうとする彼女の養父や実父への思い、未来へのあわい甘い想いと進行する冒険に、途中で本を置くことができませんでした。
最後の戦いは、ほんとうに胸にせまります。
・「うーん、はまりましたぁ」
前作「精霊の守り人」ですっかりフアンになって、大急ぎで買い求めあっという間に読み終えました。おもしろい。
元々が児童向けとか大人にも面白いとか、そんなジャンル分けの必要もなく、これは広い世代、老若男女が楽しめる、素晴らしいファンタジーであり、手に汗握る大活劇です。文化人類学者らしい著者が細部まで気を配った別世界の社会風俗、歴史。しかも、それらがうるさくなく自然に配され、何よりストーリーの展開、テンポのよさ、豊かな着想。
小野不由美の十二国記も、そもそも割合にヤング層を狙った物語であったようだけど、どんどんいわゆる大人がはまっていった。十二国記の多分に伝奇的、亜中国的な香りがそこはかとなく漂うのとは違って、本作品は、全く別の世界を形作っている点が、さらに味わい深い。
文庫本になっているのは、現時点本作まで。うーん、次が待てない。そんな気分です。
・「涙が出ました。」
久しぶりに読書中に泣きました。ラストを自宅で読んでて良かった〜と思ってます。前作・精霊の守り人のラストも泣けたけど、今回は魂の叫びと言いますか、ずっと胸の奥にしまっていた(隠していた)想いに涙が出ました。辛い、でも忘れたくても忘れる事の出来ない過去と向き合うバルサに心を打たれ、読む手が止まりませんでした。バルサだけじゃなく、ムサ氏族の少年カッサの直向さにも感動です。過去を清算するために生まれ故郷に戻ったバルサ。しかし過去の陰謀の闇は消えておらず、さらなる陰謀がバルサとカッサを飲み込んでいく。大人ではなく、でも無垢な子供でもない、15歳のカッサがいたからこそ、この物語を純粋な心で読めたのだと思っています。大人にも、子供にも、多くの方に読んでほしい小説です。
・「この夏一番の収穫でした」
ファンタジー作品は、海外ものも国産も玉石混淆。軽々しく使われる「世界観」という台詞にさえも、もううんざり…と、あきらめて久しかったのですが。これは珠玉ですよ。読書体力の落ちてきた私ですら、一気に読み通してしまったほどですから。トールキンを引き合いに出すまでもなく、学問的素養をもった人が描く物語が、いかに厚みのある構造になるか、あらためて感じました。あとひとつ。学者ゆえ、女性ゆえに、「アクションシーンの弱さには目をつぶろう」と、勝手に決め込んでいた私をお許しください。活字の向こうにそのまま映像が浮かぶほどの、迫真の描写力です。
・「シリーズ3作目だけれども衰えない」
最近文庫化されたことで1作目を読み、好きになった上橋先生の守り人シリーズ。3作目も文庫化されたとのことで早速手に取り、あっという間に読了しました。
偕成社から出ている同作品の軽装版レビューを読んで1作目の「精霊の守り人」、2作目の「闇の守り人」に比べると期待はずれ、という意見を書いている人がいたので恥ずかしながらおそるおそる読んだのですが私にはそんな思いは微塵も感じられませんでした。
たしかに用心棒バルサならではの激しい戦闘シーンや王家の陰謀などのストーリーを期待して読んでいると、この「夢の守り人」は少し趣が違う印象を受けるかも知れません。それでも1作目に出てきた人物たちが再び登場し、今度はタンダを手助けするために動き出すあたりのストーリーには胸躍る感じがしました。ですので個人的にはとてもおもしろい、読んで良かったと思わせる作品でした。
本作からは前作に比べ、登場人物達の生い立ちなどが簡単に触れられる程度になっているので、分からない部分も出てくると思いますので、まだ読んだことの無い方はもちろん1作目の「精霊の守り人」から読まれることを勧めます。そしてすでに1作目も2作目も読み終わってしまった方はこの作品も手にとって損は無いと思います。
・「心に響く、命の尊さ。」
シリーズ1、2作目はラストに泣かされました。それだけ良いストーリーだった。今回は読みながら、今回は泣かずに読めそうだなーと思ってました。実際、涙はでませんでした。しかし心に響くセリフの数々にジーンと心が熱くなりました。今までが生き延びて先(未来)に向かうストーリーならば、今回は過去〜現在といったトコロでしょうか。52年前、1人の年老いた歌い手が人生を終え、彼のまいた種が芽吹き、花が咲く。新ヨゴ皇国に帰ってきた女用心棒バルサは追われていた木霊の想い人を助ける。その頃、眠りから目覚めない姪を救う為、タンダは決断を実行、それがとんでもない事に。皇太子となったチャグムは星読博士シュガがトロガイと密会していると知り、心が揺らぐ。そして彼もまた眠りに囚われてしまう。チャグムやシュガ、狩人達など1作目に登場したキャラの再登場はFANには嬉しい。辛い人生から夢の世界に逃げても、その先に本当の幸福は存在しない。生きる事の難しさ、命の尊さを訴える作品だと思う。
・「心に残る美しいイメージの数々」
魂がぽっかりと抜け落ちて怪物になってしまったタンダの身を、心から気遣う女用心棒バルサ。かつて自分を救ってくれたバルサに、今一度再会したいと強く願う「新ヨゴ皇国」の皇太子チャグム。相手を思う三人三様の気持ちがひしひしと感じられ、胸に迫ってきた物語。バルサやタンダと過ごした日々を、チャグムがなつかしく思い浮かべるシーンをよりよく味わうためにも、本書の前に、『精霊の守り人』は読んでおいたほうがいいと思います。 「夢」と「花」の関係など、本作品に出てくる異世界がいまいち分かりづらかったとは言え、やはりこのシリーズの味わいは格別ですね。いつの間にか、話の中にすーっと引き込まれていきました。 『精霊の守り人』の話からおよそ一年後の夏、青霧山脈の南に広がる新ヨゴ皇国を舞台に繰り広げられる物語。サグとナユグのふたつの世界が重なり合って存在しているイメージや、様々な異世界が寄り集まっては離れていく風景など、大宇宙のパノラマを思わせるイメージも魅力的ですね。眠っている人の額から、はるか高みへとのびている光る糸のイメージも素敵。そうした美しいイメージの数々に、時々、魅惑的なSF小説(オールディスの『地球の長い午後』みたいな作品)を読んでいる気持ちになりましたよ。 作者による文庫あとがき「昼と夜の狭間で」。なるほどなあと、すとんと胸に落ちるところが多かった。物語を読み終えた後に読んで、ひとしお、心に響くものがありました。
・「現実を生きるということ」
シリーズ通して、人が自分の人生を生きるということが描かれてきたが、今回もまた現実とは違う世界(=「夢」の世界)が舞台で描かれる。シリーズ3作目ということで、かなりキャラクタも「生きて」描かれるようになっていて、これまでの作品を読んでいない人は若干物語に入り込みにくいかもしれない。ただ、相変わらずテンポ良く、あっという間に読み終えられてしまうのできちんと最初から読んでも苦にならない面白さだと思う。
・「児童書の枠を超えて」
守り人』シリーズ3作目です。★花の魔力に捕われてしまったタンダ。そして、大呪術師トロガイの過去が!? ★このシリーズは、いつも面白くって今回も一気読みでした。★このシリーズは、児童書なんですが…。児童書の枠を超えて大人でも楽しめてしまう所が凄いです!! ★さてさて…。内容ですが…。ワクワクドキドキの反面でどことなく切なさがやはり残りますね。生きるってことの試練そしてその反面で希望や明るい未来と言ったものが深く交差していて「生きる」とういことの意味が真摯に伝わって来る物語です。
●神の守り人 上 来訪編 (1) (偕成社ポッシュ 軽装版)
・「神の名の下に」
今度の舞台はロタ王国へ。なにかを守る人を、守る人である、バルサ。職業として用心棒だから、というだけではなく、既に生き方として命を守る人なのだと感じた。目の前に、命の危機にあり、しかも自らを守るすべを持たない子どもを目の前にしたとき、守ろうとする心が働き、体が動いてしまう。他方で、人を利用すること、ふみにじること、傷つけることをためらわない人もいる。立場によって物語が変わることは、なかば当然のことであると思うが、言葉が通じ合わぬよりも心が通じ合わぬほうが、よほど始末が悪い。バルサの心は通じるのか。期せずして神を宿してしまった子どもの、生きる希望を守れるのか。続きが気になる一冊。下巻を用意してから読み始めることをお勧めする。
●神の守り人 下 帰還編 (3) (偕成社ポッシュ 軽装版)
・「深く心に染み入るファンタジー」
なんて大きな話
日本にこの様な深く心に染み入るファンタジーがあったことを最近まで知らなかった。
抗い難い力に引きづられながらも、バルサの哀しみを内に秘めた真実の優しさに触れ、少しづつ幼い心が強く自分の意思で決めた行動深いです。
大勢の愛すべき登場人物がでる西洋ファンタジーもいいが、日本にこの本が在ることを誇りに思います。
・「憎しみの日々を越えて」
バルサにも、そして読者にも、ことの全容が明らかになる。入り組んだ物語の、ことの顛末に向けて、読むほどに気が重くなるようだった。大人たちの身勝手が見苦しくてならない。それぞれの言い訳はあるにせよ、自分の言い分だけを振りかざして押し通す者が多い。畏ろしき神タルハマヤを身に宿したアスラはまだ幼い。バルサだけが、アスラを普通の子どもと同じように扱う。
掲げるものが、信仰であれ、正義であれ、復讐であれ、快楽であれ、人殺しは人殺しなのに。バルサの悲しみが、胸にしみる。なぜ、大人は子どもの笑顔を祈ってやるだけのことができないのだろう。期せずして、差別の問題やテロリズムの問題をも考えさせられた物語だった。
・「チャグムという人物に引き込まれます」
本書はハードカバーで発売されているものの軽装版です。児童書としてのハードカバーから漢字の分量がやや増え、巻末には新たに書かれた上橋先生のあとがきが添付されています。そして佐竹先生の挿絵もそのまま掲載されています。また軽装版というだけあって、文庫よりは大きいですがハードカバーよりも軽く持ち運べるサイズです。
内容としてはバルサという主人公ではなく、チャグムの足跡を描く外伝という位置づけとなっていますが、世界観はそのままに作品のおもしろさも保たれています。
この「虚空の旅人」でチャグムは海の見える隣国へ旅しますが、読んでいるとまるで自分が海のそばにいるような描写がすばらしいです。また皇太子としてのチャグムが隣国の王子や王女と知り合う物語はハラハラする部分もありつつ、先が気になってしまうおもしろさです。
シリーズを全て読み終えて、個人的にチャグムという人物に惹かれる部分が多いのはやはりこういった外伝のなかで、苦悩の中にあっても心情や行動でその芯の強さが伝わってくるからなのだと思います。バルサとは違った強さを持つ彼の物語は、読み進めるうちに応援したくなったり共感して涙を流してしまったりすることが多いです。
素敵な作品です。
・「自分の行動を選び取るとはこういうことなんだ!」
「虚空の旅人」は、皇太子チャグムが主人公で、その成長の物語ともいえますが、チャグムの成長振りがすばらしいのです。この本には、王族からラッシャローと呼ばれる海のジプシー?まで、実にさまざな階層の人が登場しますが、チャグムは、王族の命であれ、漁師の子どもの命であれ、その命に徹底して向き合うことで、自分の行動を選びとっていきます。その切実さ・誠実さに泣けてしまいます。これほど真摯な「選択」はない。大帝国タルシュの侵略の足音も聞こえだし、外伝とはいえ、物語は大きくふくらみ、シリーズのラストに向けての伏線が出てきます。是非ラスト3巻「天と地の守り人」まで読み進むことをお勧めします。
・「不穏な嵐の予感」
一作目『精霊の守り人』から3年が経ち、14歳になったチャグムは、星読博士シュガと共に、南方の島嶼部にあるサンガル王国へ向かう。文章を読んでいるだけでも、とても美しい景色が本の中に広がっていくのは、これまでと変わらない。新しい土地サンガルの熱気に満ちた美しさも、もう一つの世界であるナユーグルの幻想的な美しさも。独特の言語を適度に交えるところに異世界情緒を感じてしまうが、描かれる人々は生身の悲しみや痛みや苦しみを抱えている。今回も女の子達がよくがんばっている。そこが私としては嬉しい。また、チャグムの成長が著しく、眩しいほどだ。この先、つらい人生が待ち構えていなければいいのだが。少し心配になってしまった。チャグムも、サンガルや新ヨゴ皇国をも巻き込むような時代のうねりを感じ、物語の続きが非常に気になった。
・「迷いが無い☆5の作品」
~女用心棒が主人公の守り人シリーズも大好きですが、チャグム皇太子が主人公の旅人シリーズもたまらなく面白いです。チャグムは上等の衣を身にまとい、臣下にかしづかれ、世の中を観ずに傲慢に生きる皇太子ではありません。前作より成長し、15歳の成人の議を終えて大人への第一歩を踏み出したばかりだというのに、父である帝やヨゴ皇国を支配下に置こうとす~~る大国の板挟みに合い、待ち受ける罠の中に飛び込まなければならなくなります。大切に思っている人を失い、身動きのできない状況に追い込まれ、それでも国の民を思う、前編を通して切なさに胸を締め付けられる、そんなすばらしい作品です。~
・「魅力的な主人公」
人物がとても魅力的です。ちょっとした仕草や言葉にその人物の人間性がよく表れていてうならされます。
前作『虚空の旅人』では、冷酷無慈悲なサンガル王国の王子や王女との対比をからめて、理想と現実のはざまでもがきながら、自分なりのやり方で皇太子として生きていこうと決意を固めるチャグムが描かれていました。
本作では、さらにそれを推し進め、母国を征服しようと狙う大国タルシュ国の王子との対決が描かれています。理想だけを見つめていればよかった少年時代から、現実との兼ね合いを考えながら民を守り国を守ってしたたかに生きる、チャグムの青年時代の始まりです。
今後、女用心棒バルサを主人公とした<守り人>シリーズとチャグムを主人公とした<旅人>シリーズに分かれて物語は進むようですが、最後には双方のシリーズが融合する雄大な物語になるのでしょうか。とても楽しみです。
・「物語の世界を楽しませてくれる。」
『精霊の守人』でバルサに守られていたチャグムの物語。新ヨゴ皇国の帝である父に疎まれ、暗殺されそうになりながら、15歳になったチャグム皇太子は、英明さと肩入れしたくなるような魅力を持って自分の生きる道を見つけていく・・・。
海賊の頭領である少女セナ。帝の『狩人』であるが、チャグムを守るジン。タルッシュ帝国の手先となってチャグムを誘拐したヨゴ人ヒュウゴ。多彩な登場人物も面白く、チャグム皇太子の心の揺れが丁寧に描かれていて読み応えがあった。
海を泳いでいくチャグム皇太子の前に広がる世界の物語に期待せずにいられない。
・「それぞれの生きざまに触れて」
<守り人>シリーズ、外伝の2冊目。15歳になった皇太子チャグムが主人公ですが、すでに<旅人>としてシリーズ化の様相を呈しています。国の内に一触即発の緊張を抱えたまま、他国からの陰謀の渦にも否応なく巻き込まれていく新ヨゴ皇国。チャグムの成長はうれしいのですが、真の対決(内外共に)は、次作以降を待たなければなりません。 これまで児童書というと、どうしても海外の作品に軍配を挙げてきましたが、このシリーズに出会い、考えを変えました。丁寧な世界観の構築。主人公をはじめとする、魅力ある、愛すべき登場人物たち。最近、妙に軽く会話体の多い作品が目立つ中、みごとな心理描写です。それでいて、設定や小物の描写は、そぎ落とされていて冗長なところがありません。惹き込まれてしまいます。 作者が、人間を、愛すべき存在として肯定し、向き合っているのが感じられます。しばらく余韻をかみしめたあと、さあ、今日一日頑張ろう!と素直に思えてしまう一冊です。
・「シリーズ中、一番好き」
先日、この「蒼路の旅人」に続く「天と地の守り人」を読み終え、守り人シリーズを全て読み終えたのですが、振り返ってみてもこの「蒼路の旅人」が一番好きな作品です。
本作は外伝という位置づけで主人公のバルサではなく、チャグムの足跡をたどる物語となっています。
「精霊の守り人」の頃よりも成長したチャグムが荒波に巻き込まれていくという話の展開なのですが、なによりもチャグムが苦悩しながらも進んでいく中で上橋先生の心情描写の筆力のおかげで、どんどんチャグムという人物の芯の強さに惹かれ、どんどん引き込まれていきました。
バルサの活躍を描く作品も好きですが、やはり成長過程にあるチャグムにも魅力があるからこそ一番好きなのだなと思いました。
本書は最終巻となる「天と地の守り人」へ続く形となっているので、読み終えたら続く天と地〜を読まずにはいられない流れとなっていますがバルサの旅とチャグムの旅、その二つが再会する感動のラストまであっという間に読めてしまうおもしろさです。
・「バルサとチャグムの物語 最終章」
女用心棒バルサと新ヨゴ皇国皇太子チャグムの物語は 三度交差して いよいよ最終章。相変わらず息をもつかせぬ展開で ぐいぐい引き込まれます。
色々な考えを持つ様々な人がいて それぞれに正しいと思うこと 最善と信じることをする。それが争いを生み 戦いとなり 人が傷つく。その中でもがき 解決策を模索する人間・・・
現代社会そのもの・・・というか 古代から繰り返されてきた人間の社会生活 人間の本質を表している気がします。ぜひ 子供たち(以外にも!)読んで欲しい!!続編が待たれます。
このシリーズは単編でも充分面白いのですが 本作に限り ”蒼路の旅人”の後に読むことをオススメします。
・「!待望の最新作!」
守り人の世界が糸を織り始めて10年。いよいよ、『天と地』の3部作で守り人の世界は幕を閉じます。この本は、主人公が若い少年・少女ではなく、30歳の女性。しかも、用心棒という変わった設定からはいっていきます。しかし、何一つ違和感がなく読み進められ、小学生から、大人の方まで楽しむことができるようになっていますので、『神様』や、異世界ファンタジーが好きな方に自信をもってオススメできる一冊です。既に、外伝を含め、5冊出版されていますが、どこから読んでも楽しめる作品です。 隣国、ロタ王国と手を結ぶため、自ら海に飛び込みタルシュ帝国の手から逃れた皇太子チャグム。かつて彼の用心棒をしたバルサが彼を救うべく旅立つ。バルサの前にヒュウゴと名乗る不思議な男が現れるが、敵か味方か・・・。また、幼なじみ薬草師のタンダが兵としてかり出されてしまう。さて、彼らの運命は・・・! この続きである2部作目は、12月後半に発売される予定なので、まとめて読まれてもいいと思います。
・「感激です!」
圧倒されました…迫りくるタルシュの波のなか、それぞれにみな様々な思惑を持って行動するチャグム・バルサ・タンダ・シュガ、そしてヒュウゴ。とても深いストーリーで、本当にドキドキしました!児童書にありがちな牧歌的ファンタジーとは違い、社会情勢や人の心の暗部までしっかりと書き込まれていて、大人でも十分に楽しめる内容でした。というか、むしろ大人に読んで欲しい一冊です。
・「バルサとチャグムの物語がひとつに結ばれる醍醐味」
南の強国、タルシュ帝国の侵攻が迫る新ヨゴ皇国とロタ王国。サグ(こちら側)の世界に戦乱の暗雲がたちこめる一方で、ナユグ(あちら側)の世界にも大きな異変が起きていた。風雲急を告げる動きの中で、皇太子チャグム、女用心棒バルサ、ふたりの物語がぶつかり、ひとつの大きな流れになっていく・・・・・・というのが、本書のあらまし。 チャグムの行方を追い求めるバルサと、以前の巻にも登場した某人物とが出会い、言葉を交わすなど、このシリーズの愛読者にとっては、わくわく、ぞくぞく、はらはらするシーンが目白押しでした。 特に、本書の終盤、「刺客」以降の話の展開が素晴らしかった。まるで映画のフィルムが回っているような描写の、鮮やかで見事だったこと。怒涛の如き話の流れに心揺さぶられながら、ラストまで一気に運ばれたこと。このシーンは、強く印象に残りましたねぇ。この場面の白眉のワンシーンを描いた324頁、二木(ふたき)真希子の挿絵もよかった。 バルサの身を案じる幼なじみのタンダ、チャグムの安否を気遣う星読博士のシュガをはじめ、脇の人物のキャラも立っていて、魅力的なんですよね。同時進行で描き出される彼らの姿が、物語の味わいをさらに彫りの深いものにしている。 物語の中にゆったりと身を任せることのできる本当に面白いシリーズだなあと、本書を読んで改めて実感しました。この「守り人(もりびと)」シリーズと出会えた幸せに、心から感謝します。
・「待ちに待った・・・」
待ちに待った「蒼路の旅人」の続きです。新ヨゴ帝国の未来をかけ、隣国と同盟を結ぼうと必死なチャグム、そして母のような愛でひたすらチャグムの幸せを願うバルサ。国と国、いろいろな派閥の思惑が複雑にからみあい、今までに出てきた国、人々がみな、大きな運命の渦に飲み込まれていく感じです。目が離せません。まだ他の守人シリーズをお読みで無い方は、少なくとも「蒼路の旅人」を読んでからのほうが楽しめると思います。
●天と地の守り人 第2部 (2) (偕成社ワンダーランド 33)
・「作者の張った見事な伏線に脱帽」
2006.11に第一部が出て間なしに第二部です。第一部・ロタ王国編で故国ヨゴとの同盟が無理と悟った皇太子チャグムは、各勢力の放つ刺客や盗賊の攻撃をかいくぐり、女用心棒バルサの故郷・カンバル王国へと、一縷の望みに従って潜入します。 今回の見所は、終盤でチャグムが小心なカンバル王に対し、捨て身の「ホイ」をなす場面でしょう。周到に張られた伏線が、ここに来て初めて見事に結節するのです。やられた、という感じですね。「蒼路の旅人」がチャグムの投身で終わったことも、このシリーズを控えていたからだということで、改めて納得されました。 いよいよ次はチャグムが新ヨゴ皇国へと戻ります。父王との確執、ナユグの春が引き起こす天災、迫るタルシュ帝国ラウル王子との決戦。同様な形で物語が大団円を迎えるのか、楽しみです。
・「待ってました」
カンバル王国編です。バルサとチャグムが一緒に旅してます。戦争やら天の災いやらで大変な感じですが、バルサと一緒のチャグムが嬉しそうで可愛いですね。バルサ大好きーな感じがよく表れているかと。今作は、バルサとチャグム、そしてタンダとトロガイの絆が描かれていますね。今まで登場した懐かしのキャラもぽつぽつと出てきて嬉しいです。…カッサもなんだか大人になってるっぽいし。今から次が楽しみでなりません。
・「前著を受けて」
本書は前著を受けてしっかりとラストスパートにつないだ内容になっています。バルサはチャグムのために戦いに明け暮れ、チャグムは死んだことになっているが、皇太子として大義をしっかりと伝え、人間的な土台を築いていきます。 面白くなってきました。
・「またも傷だらけのバルサ」
しまった、まだあと一冊あるんだった…!三部作だもんね。という訳で一巻で出会えたバルサとチャグムのカンバルへ向けての旅は続きます。ナユグの春による異変や、過去に出てきた「牧童」の登場やら、大きなうねりがひとつの出口に向かっているかのような、勢いを感じます。さて次巻でどうなるのか、ナユグの春を感じるように読んでいるこちらもそわそわします!面白いです。
「ふくれっつらでだだをこねていたチビ」の成長した姿を見ると目頭が熱くなりますね…特にラスト近くの「ホイ」のシーンは流石です。
・「駆け引きや思惑が交錯して、バルサ闘うです。」
新ヨゴ皇国の皇子チャグムは、ロタ王国とカンバル王国の同盟を結ぶために、バルサと共にカンバル王国へ・・・。刺客に追われているチャグム。それを助けるシハナ。と、自国が生き延びるために各国の王や皇子、宰相などの駆け引きや思惑が、交錯して、めまぐるしく舞台はまわっていきます。・・・面白いです。 チャグム皇子も心身共に成長しています。自国を救うために誇りを捨て・・・、騎馬軍団を引き連れてロタへ向かう。夕日の山脈を見て「アラム・ライ・ラ・・・」と、つぶやくチャグム。この言葉にチャグムのバルサへの気持ちが込められているのかもと・・・。 ・・・の部分は是非お読み下さい。
●天と地の守り人 第3部 (3) (偕成社ワンダーランド 34)
・「長編アジアン・ハイファンタジー、終結。」
「精霊の守り人」から十年。女用心棒バルサの長い長い物語が、この「天と地の守り人」でついに終結します。 南の大陸から伸びてくる、強国「タルシュ帝国」の魔手。新ヨゴ皇国は敗戦し、枝国となってしまうのか?草兵として徴用されてしまったタンダは、生きてあの山小屋に戻ってくるのか?皇太子・チャグムは祖国と民を救えるのか?ヒョウゴは?シュガは?トロガイは?そして、バルサは? 第三部であるこの巻では、物語の出発点である「新ヨゴ皇国」が舞台です。
最終章とあって、今まで出てきた人々が「これでもか」というぐらいに、紙面狭しと動き回ります。 今回は三部から構成されていますが、長いながらもすぐに読み終わってしまいました。(もっとも、気づいたら午前二時回ってましたけど)
筆者の巧みな文章力と、それに裏づけされたストーリー展開。かなり「読ませる」作品です。 ただ、クライマックスである戦のところに、もう少し盛り上がりが欲しかったかなーと思いました。でも、そんなことも感じさせないほど、完成された文学作品でした。 とても児童文学とは思えなく、大人が読むに値する作品だと思います。 まとめ方も非常にうまく、最後の一文に目を向けたときには背筋がゾクゾクしました。
どう考えても「精霊の守り人」から外伝である「虚空の旅人」「蒼路の旅人」まで、全てを読んでから購入すべき作品です。 ぜひぜひ、まず「精霊の守り人」を手にとってみてください。
そこには、すばらしい世界が広がっているのだから・・・・・・。
・「信じる道を行く有能な者達の物語」
「蒼路の旅人」からの地続きの物語です。 チャグムを筆頭に、様々な人物が、己の最善を尽くして行く中で、全ての事態が一つに収斂してゆきます。 チャグムの意外な行動に、涙が出ました。正直このシリーズには泣かされっぱなしです。チャグムは成長しましたが、単なる成長物語ではありません。 様々な登場人物が、それぞれに行動する事で、クライマックスは予想しなかった素晴らしいものとなりましたが、結末が合成の誤謬を迎えなかったのは、チャグムの強さと、作者の上橋さんの手腕です。 素晴らしい物語をありがとうございました。
・「見事な終幕!」
本書は圧巻というような見事な終幕であった。上橋氏の構想力には大変驚かされる。 番外編でよいから、バスサ、タンダ、チャグム、トロガイのサブストーリーを書いてほしい。
・「物語の終結は、登場人物の終わりではない」
本書の後半、チャグムはまたもやナユグへ誘われる。そこで彼は、幼い頃に精霊の卵を抱いた理由を思い出す。そして、チャグムはサグとナユグのかかわり方をしり、真の「天意」を知る。 このときのナユグの光景が、私にはたまらなく美しく思えた。
・「とうとう怒涛のフィナーレです」
バルサとチャグムの物語もいよいよ最終章。長年にわたる父帝とチャグム皇子の確執、バルサとタンダの行く末、ナユグの春の引き起こす天災、タルシュ帝国との決戦。怒涛のごとく展開される物語は、一気に読むしかありません。 この巻で完結ということで、すべての登場人物にそれぞれの結末が訪れます。それにしても、見事にどの人も、いかにもその人らしい。中でも、シュガとカリョウの懊悩、ラウル王子とヒュウゴの凄絶な駆け引きは、非常に興味深かったです。 どの人にもスポットライトを当てているという点で、今回はグランドフィナーレと言った印象が強いです。確かに、これで、一応彼らの物語は幕引きと言えます。 10年間、とても楽しませて貰ったシリーズでした。もう少し、読み続けたかったな。個人的にはヒュウゴとラウル王子のサイドストーリーを切望します。今回出番のなかったシハナのその後も知りたいです。
●流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36) (偕成社ワンダーランド 36)
・「バルサ13歳、タンダ11歳。「守り人」シリーズの魅力的な番外編、四つの短編集です」
「守り人」シリーズの番外編となる短編集。 女用心棒のバルサが13歳、薬草師のタンダが11歳の時の四つのエピソード。 「浮き籾(もみ)」「ラフラ<賭事師(かけごとし)>」「流れ行く者」「寒(かん)のふるまい」の四編が収められています。
タンダとバルサが魚釣りして遊ぶシーンが、キラキラと光っていた「浮き籾」。 ラフラの老女の姿が印象に残る「ラフラ<賭事師(かけごとし)>」。 バルサが体験したはじめての命のやり取りを描いて鮮烈な「流れ行く者」。 藤沢周平の短編「鱗雲」(『時雨のあと』所収)をふと思い出したラストの映像が素敵な「寒のふるまい」。
四編とも胸にじんとしみる話で、「守り人」シリーズの懐かしい世界に心行くまで浸った気分。細やかで厚みのある世界設定をはじめ、作者・上橋菜穂子(うえはし なほこ)の筆力は、流石に素晴らしいものでした。 帯に記された作者の、「終わったからこそ書けた物語」という言葉も印象的。
二木真希子(ふたき まきこ)のスケッチ風の挿絵もいいですね。短槍(たんそう)を抱えて床に座り、目を閉じたバルサの絵(「ラフラ<賭事師>」の扉絵)、旅の暮らしを送るジグロとバルサのふたりが並んで歩く絵(「寒のふるまい」の扉絵)の二枚には、特に心を惹かれました。
・「圧倒的な描写力!!」
前半は11歳のタンダの家族に囲まれた平和で健やかな生活と、そんなタンダが心惹かれる孤独な少女、一時的にトロガイ師の小屋で暮らす13歳のバルサとの交流の様子が描かれる。
日々の生活は、まるで昔の日本の農村の姿を見ているような描写で、田畑の土の匂いや草の香りがしてくるような見事な描写が続きます。助け合う村人たち、迷信に囚われる人々のちょっと悲しい姿や、祖先を弔う素朴な心情、もはや日本のどこにも存在しない原風景のような光景に引き込まれます。
後半は・・・予想外の展開!!流浪の旅を続ける定めのジグロとバルサには過酷な日常が。用心棒として日々の糧を得るジグロ。共に働きながら行動を共にする13歳のバルサは様々な人々と出会い、得がたい体験をし、そして・・・用心棒としての過酷な現実に直面する!!
用心棒と言う職業である以上、避けては通れないそれを、考えうる限り最も悲劇的な状況で迎えなければならなかったバルサ。その身に迫る恐怖で身動きの出来ないバルサ、目の前で展開する光景に立ちつくすバルサ・・・そして・・・飛び散る血潮!!全てが終わって反吐を吐き、声を限りと泣き叫ぶバルサ・・・・・・・。
一人の人間にはそれぞれの過去があり未来がある、生活があり家族があり、喜びと悲しみと涙がある・・・。その人間を手にかけることの重みと恐怖に震え、身を震わせて泣き叫ぶ13歳の少女バルサの姿・・・。
多くの物語に血と涙は付き物であるが、自分の行動が人の命を左右する事の恐ろしさを、これほどリアルに生々しく描いた物語を私は知らない。眼前に繰り広げられる光景に、言葉を無くして立ち尽くす思いの私がいる・・・。人を傷つけるという行為を漫然と描く物語が多いけれども、その現実の恐怖から目を背けずに、あえて過酷な描写をする作者の覚悟と決意が伝わってきます・・。
そんな風に描かれる後半ですが、巻末の最終場面は心温まる光景・・・バルサとタンダの絆を象徴するような場面で終わります。この優しさが堪らない・・・。
上橋さんの描き出した「守人シリーズ」は、描かれる世界の圧倒的な現実感と登場人物から感じる温もりが特徴だと思います。また格闘場面の描写もまるで実体験しているような臨場感がありますね。シリーズ10巻ではその特徴は維持されているのですが、最後に近づくにつれて、バルサやチャグムたちを取り巻く政治に翻弄される場面が増えるためか、ファンタジックな要素が薄れていくのは仕方が無い事ですが、ちょっと残念に感じましたね。それが何となく創作力の衰えか?というような気も少ししていたのですが、この短編集を読んでその感覚が間違いだったと分かりました。
前半のタンダの家族の日常やバルサとの交流の様子は、柔らかな情感と暖かさに満たされています。それに対して後半は、殺伐とした用心棒家業の厳しい現実がこれでもかと描き出されます。ジグロの厳しい鍛錬と生来の利発さから、大人顔負けの力を身につけたバルサが、想像もしなかった人間の心の闇と眼前の恐怖に打ちのめされるクライマックスの描写は圧倒的です!!上橋菜穂子・・・恐るべし・・・ですね。
あ〜・・守人シリーズ・・・もう出ないのでしょうか。もっともっと読みたい!!そう思わずにはいられない「守人短編集」です。全ての人にお薦め!!
・「幼い頃の物語」
『守り人』シリーズ番外編…。短編4話から成り立っています。父を王に殺害され養父(父の親友)のジグロに育てられたパルサの13歳の頃とその友達のタンダを中心に描かれています。★『浮き籾』は、タンダの亡き人に対する思いがギュッと詰まっています。亡きおんちゃんの姉への思い。そして、誰も知る事のないおんちゃんの悲しみをキャッチ出来たのは、それだけタンダが温かい子であるからなのでしょうね。★『ラフラ』は、ススットという賭け事のお話。ラフラというのは、専業の賭け事師の事です。名高いラフラのアズナのお話。勝負師だからこその生き方が良かったです。★『流れ行く者』。流れ者の護衛士の生き方。嫁は去り、一人息子を亡くしてしまったスマルだからこそパルサに教えたい生き方があったのでしょう…。女性として家庭を持ち温かい家族に守られ生きる事。それはスマルが、叶える事が出来なかった現実だからこそ説得力がありました。★『寒のふるまい』は、冬の最中、食べ物が乏しい時期に食料を山の獣達にふるまうことである。★全体を通してやっぱり素敵なお話だと思います。まだ、このシリーズは文庫本化されている部分しか読了済みではないので続きが気になる所です。
・「1ページめくるともう物語の中に引き込まれてしまいます。」
この作品には抗いがたい魅力があります。守り人シリーズは「天と地の守り人」で一応完結したと思っていたので、また出会えるとは思ってもいませんでした。ですからすごいプレゼントをもらったような気がします。精霊の守り人ではすでに、養父ジグロは亡くなっていたので、ジグロは主人公バルサの記憶の中で出てくるだけでした。でも、この「流れ行く者」はバルサが子どもの時の話なので、ジグロも生きています。生きて、悩み、苦しみ、慈しむ姿が描かれていて、強く胸を打ちます。この物語は本当に名作だと思います。ハリポタやダレンシャンも素晴らしいですが、読んでいて、これはファンタジーと線をひけます。でも、守り人シリーズはいつのまにか話の中にはいりこんでしまいます。炉端の匂いがし、酒場の喧噪が聞こえてきます。この話こそ、アジアの力を集結し、ハリウッド級の手間暇をかけ、実写映像化して欲しいと思います。「流れ行く者」から「精霊の守り人」のバルサまでさらに十数年の空白がありますが、ぜひこの部分を描いていただきたいと言うのは読者の欲張りでしょうか?何度でも守り人シリーズを読み返してあきらめずその幸運を待ち続けたいと思っています。
・「バルサの子ども時代に触れられます。」
流れ行く者は、守り人シリーズの外伝で、単一で読むよりもシリーズをある程度読んだ方がより楽しむことができるようになっていると思います。時間軸は、第一作「精霊の守り人」より十数年前に位置し、バルサやタンダの思春期に出会うことができます。本編では二人は成人していて、成長する存在はチャグムの役割でしたから、二人の子供らしい感じをのぞかせてもらって、なんだかこそばゆい気持ち。また大人になっても変わらないところを確認させてもらって、過去からの繋がりをいとおしい気持ちで読みはじめましたが、そればかりですむはずがないことにいやおうなく気づかされることになりました。
「浮き籾」はタンダが主役。
「ラフラ<賭事師>」はバルサが主役。
「流れ行く者」は、用心棒として生きるジグロとバルサが主役です。
「寒の振る舞い」はタンダの待ち続ける運命を示唆する(笑)短いものです。
…とそれぞれ二人が登場するのですが、この本のメインはむしろ、各物語に登場する大人たちにあると思います。バルサとタンダの成長していく存在と対比させて、大人たちの老いや病、末路、死の様が生々しく、容赦なく描かれています。それはバルサやタンダがたどる可能性があった姿でもあると思います。児童書というにはかなり激しい場面もありますし、難解な部分もあると思います。中でも「ラフラ<賭事師>」はかなり難しく、ラストを何度も読んでこういうことなのではないか、と予測するのがやっとでした。
・「伝奇とファンタジーの中間点」
文庫版が出てから、買おう買おうと思って、書店で平積みされているのを眺めていたのだが、ある日思い出して書店に行ってみるとどこにも売っていない。伝奇・妖怪物は大好きなので、諦めきれず本屋を数件回ってみたがやはりなかった。あんなに沢山これ見よがしに積まれていたのに……とエラい人気なんだと感心してしまったのを覚えている。 あらすじは他人の心の声を聞き取る能力『聞き耳』の能力を持つ少女、小夜と、隣国の呪者の使い魔、野火との恋物語。人間と魔物という従来は考えられないハードルと、野火の使い魔としての宿命、国同士の領地を巡る争いなど、幾重にも重なりあった構成はさすがは人気作家だと思う。情景の描写も鮮やかで細やかで、本の中の世界に無理無く入り込むことができる。交錯した人間関係の中で展開される簡単には予想の出来ない展開もまた大きな魅力だと思う。 昔話などでよく語られる、妖怪と人間との婚姻譚をベースに、戦国チックな群雄割拠な世界観と、上橋氏の作り上げた術者の定めをからませた物語は傑作だと思った。 こういった作品にあまり触れた事のない方にもお勧めしたい。
・「ラストシーンがとても素晴らしかった!」
ラストシーンがとても素晴らしかった! 切なく、あたたかなものがこみ上げてきて、涙がこぼれました。満開の桜の花びらがはらはらと舞い散る中の情景の、例えようもない美しさ。深くしみてくるものがあって、心が震えました。 とまあ、ラストシーンの美しさに問答無用でしびれてしまった次第でしたが、もちろん、そこに至るまでの話の展開がよかったですね。なかでも、情景を眼前にありありと浮かべてみせるイメージの喚起力と、「あわい」や「闇ノ戸」「光の脈」といった舞台背景のアイテムが印象的。後者、この世と、カミガミや霊力のある獣たちが暮らす深い森、その境にあるという「あわい」の空間には、格別、心惹かれるものがありました。 小夜(さよ)と野火(のび)、ふたつの魂のひたむきでまっすぐな想いが、黒い呪いを打ち破り、その向こうへと突き抜けていく物語。目下夢中になっている「守り人(もりびと)」シリーズの作者だから、これも期待できるかなあくらいの、割と軽い気持ちで読み始めたんですけどね。最初に記したように、ラストシーンのあまりの美しさに涙がしばらく止まりませんでした。忘れがたい物語のひとつになりました。 2003年(平成15年)11月、理論社より刊行された作品。新潮文庫の解説文を、宮部みゆきと金原瑞人の両氏が書いているというのもいいですね。
・「哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語」
上橋菜穂子先生の、守り人シリーズ、旅人シリーズにはまり、バルサとチャグムの冒険物語に引き込まれ、とうとうこの本にたどりつきました。感動しました。そして、最後には泣いてしまいました。呪者に「使い魔」にされた霊弧は、支配され、汚い仕事に使われ、支配されたことで穢れ、2度と再び「かの世」にふれることはできない。哀れな霊弧は、この世とかの世の狭間たる「あわい」で暮らし、「あわい」で死んでゆく。主である呪者の命令に背けば、ただちに死が待っている。だから、霊弧の野火がいくら人間の少女に恋焦がれても、遠くから見つめているしかなかった。哀れな霊弧と、人の思いを「聞く」霊力を生まれながらに持った少女、小夜の美しく、悲しい物語。ファンタジーを読んで、今まで、泣いたことはなかったのに、最後に、ずたずたに切られていき絶えた霊弧の命を救うべく、自ら、「あわい」に身を投げる少女のけなげさと一途さに、目頭が熱くなりました。守り人シリーズで、ファンになりましたけど、この一冊を読んで、上橋菜穂子先生の小説がますます好きになりました。お勧めです。手にした方は、きっと、上橋先生の描く、不思議な世界に魅せられることでしょう。そう、私のように。
・「一途でけなげな愛」
本当に読んでよかった、と思える作品です。主人公・小夜と霊狐・野火のお互いを思いやる気持ち。相手に見返りを求めないただひたすらに一途な愛。現代のドロドロした暮らし辛い世の中で、忘れていたものを思い起こさせてくれるような素敵な物語です。
上橋さんの本は本当に文体が美しいんですね。たとえば「満月の光がこうこうとすすきの原を照らしている。風がわたるたびに、すすきの穂が銀色の水のように波うっていく。」美しくてどこか哀しい雰囲気を漂わせた表現。まるで自分がその場にいたかのような懐かしさを感じるから不思議です。
終章「若桜野を」を読んで一気にこの本のファンになってしまいました。たった4ページの短い章にたくさんの思いが詰め込まれています。
一生の宝物になりそうな本です。
・「剣と魔法のファンタジーの王道」
欧米の指輪物語、ハリー・ポッターに類するファンタジーがなかなか我が国にはなかった。大事なことは、基本的に少年少女向けに書かれながら、それが青年から大人へと拡がって行くこと。こういう流れに乗って大人の(オッサンの)私が初めて触れた日本のファンタジーは、小野不由美の十二国記だった。こういう作品が日本にもあることを発見したことは喜びだった。
しかしその後、なかなかそういう作品に出合えなかった。一つには、基本的に「少年少女向け」であることが、なかなか私のような中年男性には出会いが難しかったと言うこともあるだろう。幸いなことに、朝日新聞の書評のおかげ(青少年にはやっているコミックやジュニアノベルを紹介してくれる)で、上橋菜穂子の守り人シリーズに出合え、そしてとうとう本書も手に取ることができた。
人の心が聞こえる小夜と、呪い人の手先になっている霊狐の出会いを発端に、領土争いに翻弄される小国の、跡継ぎの少年をからめ物語が推移、展開する。作者上橋の、細部までしっかりしたプロット作りが、(本来)少年少女向けとして書かれた作品でありながら、少しも手抜きがなく、また大人の醜さ、子供の残酷さも容赦なくあらわにして、まさに大人の鑑賞に堪えるものとなっている。小野不の十二国記はチャイニーズテイスト、上橋の守り人シリーズは無国籍アジアンテイスト、で我が国のファンタジーは日本を舞台にできないのかな、と思っていたけど、本作品は舞台は日本であり、戦国時代風なんだけど、どこか異次元異世界で、おもしろい。ファンタージーの中に、とても土着的な匂いと素朴で淡い恋心が添えられ、独自の世界がせつなく展開した。これぞまさに、大人の皆さんにこそ味わって頂きたい一級のファンタジーである。
・「もののけ姫で教科書にない歴史に惹かれた人におすすめ」
もののけ姫の名を出してしまったが、この本のほうが初版の出版時期は古い。念の為。 そう、自然はかくも大きく、恐ろしく、敬われた存在だったのだ。 にもかかわらず、都の暮らしに惹かれ、目先の利益に追われ、土着のカミを遠ざけていった人々。 現代に通ずる自然を殺す人の欲、横並び意識、いろいろと考えさせられた本でした。
・「カミと人の物語」
この物語は、人間の文化の変容の中で、切捨てられた土地のカミやそれに象徴される精神へのオマージュであり、かつ切捨てて生きてきた人間の生き様をそのままに描くということをしているのだと思います。上橋さんの本はいつも、世界が人間のためだけにあるのではなく、さまざまな事象や生き物が折り重なって長い時間をかけてできたつながりのある世界であるということを語りかけてきます。わたしたちは人間だけで生きているのではなく、たくさんのもの・ことと関係があり繋がり、相補性があるのだと。けれど人間は、その中に住む人間とは異なる営みをしている存在を畏怖し、自分たちにとって利益ととるか、害ととるかでカミともオニとも名づけ、敬ったり恐れたり・・・自らの価値観に縛られていることも描かれています。しかしそれがいいとか悪いという次元にはありません。そうであること、を描いているのだと思います。キシメの弱さをも容赦なく描いていますが、彼女のこともそのままに受けとめて書かれているのでしょう。そして、それを直面化するもうひとりのカミの息子であるナガタチとの場面は激しく胸を打ちます。物語は最後の最後までどうなるかわからないままで、読み応えがありました。原始的な男性性、女性性の描写も素敵でした。荒削りな中に、今の上橋さんの土台部分がたくさんあって、よりその世界を知ることができたように思います。歴史的な部分では難解でしたが、もののけ姫とか、空色勾玉のイメージで読んでいました。本屋さんにあまり売っていない本ですが、お奨めです。
・「世界観は好き」
守人シリーズが好きで、この本も読んでみました。国や時代の設定はちがいますが、作者の自然を愛する気持ちというか、土のにおいがする懐かしい感じは共通しています。登場人物のキャラクターに違和感があったので、星三つです。はじめ、キシメは村のリーダー的な存在で、若くして人格者なのかと思いましたが、実は幼い現代っ子?でした。ナガタチの役割ももっと大きいと期待して読んでいましたが最後までいまいちでした。ホオズキヒメを主人公にした方が盛り上がったかも…と思いました。でも、神をも恐れず(存在さえ忘れられ)自然破壊を押し進める現代に重ね合わせた物語として書かれたのかなあと思いました。
・「山妣のジュブナイル版」
大和朝廷が近隣の村々を「力」で併呑していった時代くらいの設定でしょうか?焼畑から稲作への転換をめぐっての「カミ殺し」の話ですが、本文のほとんどは「如何にして殺すか」ではなく「カミがどのような存在だったのか」を、一度死んで生まれなおした娘のキシメの昔語りという形式で書かれています。ナガタチの異なる視点での語りもあるのですが、ほとんどはキシメの視点でカミの子であるタヤタが語られているため、あまり「カミ」であるタヤタに魅力を感じません。そのため、「狐笛のかなた」のバッドエンド版のような展開であるにもかかわらず、悲壮感をかんじませんでした。
時代設定こそ違いますし、良い意味でのジュブナイルだから表現が抑えられている部分もありますが、ちょっと坂東 真砂子 が得意とする「新しいモノ」「ヨソモノ」が介在することでおきる「村」社会「旧価値観」のカタストロフを彷彿とさせるところがあります。
・「期待に違わぬ新作長編ファンタジー」
「守り人」シリーズでおなじみの、上橋菜穂子さんの新作長編ファンタジーの第1作目です。
「守り人」シリーズと同じく、まったく架空のファンタジー世界ですが、浮いたところ、軽いところは一つもなく、主人公のエリンををはじめとする物語に関わる人物の一人一人が確実にこの「世界」に生き、理不尽な出来事に直面しながらもたくましさや希望、あらゆる感情を持って、現実の自分たちと同じ先のわからない人生を生きているのだと、どっしりと感じさせられました。
上橋さんの作品は、なんと言っても"血の通った"、いい意味で人間くさくて魅力ある人物たちと、"土の香り"がする、生きた世界観が魅力なのではないかと思うのですが、この作品も期待に違わず、その世界に生きる人物たちの「息吹」を感じさせてくれながら、怒涛のように流れていく物語の展開で息をもつかせず、時にはほっとしながらも、冒頭から終わりまで、駆け抜けるように一気に読ませてくれるものでした。
数奇な運命をたどる主人公、エリンが抱く母への思いや憧れには、読んでいる自分も温かくなり、突然やってきた別れ、大好きだった母を失った悲しみなどは、刺すような気持ちがひしひしと伝わってくるようでした。
少々内気なところもあるけれど、芯は強く、誰よりも向上心と"真っ直ぐな魂"を持ち、大好きで憧れだった母と同じ道を歩もうと決意するエリンが、読んでいてとても好きになりました。
2巻目の購入はもう少し先にしようと思っていたのですが、この1巻目を読み終わった直後、すぐに購入を決めました。これからエリンに関わってくると思われる人物たちの動向や、物語の展開も当然気になるのですが、なにより、"まっすぐに"獣たちと関わっていこうとする、エリンの姿に、また会いたいので。
・「読む前にやっておくべきこと。」
内容は他の方が触れられておりますので、私からはこれだけ。
この本を読み出す前に、守らなければならない諸注意があります。・1&2巻を揃えておくこと。2巻目がないと1巻の「ヒキ」にやられてしまいますよ。慌てて注文しても届くまでの時間、もどかしさにじたばたしてしまいます。「どうして一緒に買っておかなかったんだっ!あたしのばかっ!」と自分を責めることにならないように、2巻とも揃えておきましょう。・読み終わるまでの時間を計算しておくこと。お腹はすいていませんか?喉は乾いていませんか?途中で席を立たなくてもいいように、食べ物と飲み物を準備して下さい。トイレもいっておきましょう。あ、学生さんは宿題済ませておきましょうね。寝る前に読もうっと、なんていうのは寝不足の元ですよ。「さぁ来い!」と準備を済ませてから読み出して下さい。まぁ電車の中で読むサイズではありませんので、乗り過ごす方はいないと思いますが。
準備はよろしいですか?では異世界の扉をどうぞ開けて下さい。夢のような3時間を保証します。
・「久々にすごいファンタジーを読みました!!」
戦いのために飼いならされた凶暴な蛇、闘蛇(とうだ)の世話を任された母と2人暮らしのエリン。母が霧の民(アーリョ)だったため、緑色の瞳をもち、集落からは孤立するが、やさしく、医術の腕を買われる母を誇りに思うエリンだった。しかし、ある日母が世話をしていた闘蛇が、突然全滅してしまう。原因がわからないまま、責任を負わされ、連れて行かれた母を救うべく、夜の闇に飛び出すエリンだったが…
どの時代のどことも限定せず、習慣や生き物なども現実の世界とはかけ離れているのに、すぅーっと物語に入って行けるのは、作者上橋菜穂子さんの、よく練られた世界観なんでしょうね。頑なまでに、自分に厳しい主人公(守り人シリーズのバルサもそうだけど)、そして彼女を取り巻く大人たちの姿勢にもすごく惹かれるものがあります。 次から次へと降りかかってくる苦難に果敢に立ち向かっていくエリンから目が離せず、2冊もあるのに(ごついのに)一息に読んでしまいました。久々にわくわくしたファンタジーに会いました。もちろん文句なしの★5つです。
・「近年まれに見る力作」
1と2は合わせて買っておいた方が絶対にいいですw私は試験中にもかかわらずずっぽりはまってついつい最後まで読んでしまいました・・
日本人はやはり、日本人の書くファンタジーの方がはまりやすい。上橋さんの文章はとても読みやすいし、設定も日本人受けする感がある。世界観が深く、読了後余韻に浸れるのも魅力のひとつ。
とにかく読みやすいからひとまず手にとってみることをおすすめする。
・「闘蛇と王獣」
久しぶりにどっぷり漬かって読んだなあ〜という作品。主人公エリンの凛とした姿がいい。生き物の生態に興味を持ち、やがて王獣の保護場にて王獣の世話をする事をめざすエリン。「王獣」が真王に捧げられる獣という政治的な生き物である以上、謀の渦に飲まれていく。そして、闘蛇や王獣が残忍な生き物である以上、残酷なシーンも多い。特に冒頭のシーンは辛い。真王の若き護衛士「堅き盾」の一人「神速のイアル」の戦闘シーンなぞは「守人」の女用心棒を思い出させる。
ああ、早く続きが読みたい…
・「安易ではない"希望"を見せてくれた作品。」
1巻目の獣の奏者"闘蛇(とうだ)編"を読み終わった直後、いてもたってもいられなくなり、すぐにこの2巻の"王獣編"を購入してしまいました。1巻目と同じく、怒涛のような物語に呑まれながらも、最後には深い、じんわりとした感動(これしか言葉が思い当たりません・・・)に静かに包まれて、読み終わってからもしばらくは呆然としてしまって、気持ちが現実に戻ってきませんでした。
「守り人」シリーズにも共通して言えますが、この「獣の奏者」シリーズも、まったく架空のファンタジー世界でありながら、その異世界に生きる人々や生き物の生き生きとした、"体温"の感じられる血の通った描写は、読み手の心を温かくし、時には(主人公のエリンと一緒になって)泣いたり(泣きそうになったり)怒ったり、感動したり絶望したり・・・と、作者の上橋菜穂子さんの、温かかく、時には厳しい、"人間"や生き物に対するまなざしを、ひしひしと感じることができました。
容赦のない出来事が次々と起こる中で、懸命に獣たちのためを思って生きるエリンが希望だけではどうにもならない「現実」を知って絶望し、むなしさにとりつかれながらも、その果てに見えたものが、一筋の小さな、でも安易ななぐさめではない、真の"希望"となるものだった事に、本当に、何と言うか・・・涙が出る思いでした。
「守り人」も、このシリーズも、上橋さんの描かれる物語と世界、そして人々や生き物たちは、ただの"ファンタジー"の枠を超えた、本当に質の高いものだと思います。
この作品に出会えて、本当に感謝したいです。
・「野に生きるものは野にあるがごとく」
エラゴンのテレビCMが浮かび、そしてジプリのナウーシカを連想した作品。
『精霊の守り人』を超えた作品。
母をそして蜂飼いのおじさんを愛する人を次々となくすエリン。自らが育てた王獣がかつて国を滅ぼした災いを再びよんでしまうのか。権力に屈せず意思を貫くエリン。
最後のエリンを乗せたリランの飛翔がエリンの生き方を肯定する。
是非ご一読を。
・「霧の民」
珍しい野性の王獣の幼獣リランの世話をする事にどんどんのめりこんで行くエリン。決して人に慣れないとされている危険な生き物王獣と、心を通わせてゆくが、その事に不安も感始める…
「霧の民」の扱いかたが新鮮でした。そこでは育っていないが、自分の故郷の民族のような存在の場合、やはり自分はそこの血筋だったのだ!というようなストーリー展開が多いように思うのですが。他のしがらみに惑わされず、自分の考えや判断を信じて生きて行くエリンの姿が良いです。
なんにせよ面白かったです!濃密な時間が味わえました。
・「ラストの出来栄え」
本書を読みながら、ラストシーンの出来栄えを気にしていた。どうなるのであろうか?と。そんなわけで、少しずつ少しずつ読んでいった。 そして本日ラストシーンに出会ってしまった。 えっ?実は最終部分を2・3回読み返した。噛み締めた。
ナルホド、かなり考えてある。 しかしながら、賛否両論はあるような気がする。私はこのラストに○です。
・「鮮やかに描かれた物語の世界です」
一気に物語の世界にひきこまれます。上橋さんの本はいつもそうですね。鮮やかで、目に浮かび、描写がとても上手です。説明口調がないので読みやすいと思います。内容はとにかく、面白いの一言。私は、守り人シリーズの闇の守り人の次に読んだのですが、ストーリーテラーとしての技が一段と磨かれている印象です。
●精霊の木
・「本物!!!」
オーストラリアの原住民であるアボリジニの皆さんは、ずっと差別されて、人間以下の存在とされてきました。強制移住はもちろん、種族の子どもたちは両親から法律により隔離され、本当の親を知らないまま、白人の家庭にひきとられ、下働きや過酷な扱いを受けていました。 その怒りや屈辱を知ってもらいたい、伝えたいと、文化人類学の学生さんが現地でフィールドワークの後、SF仕立てで、出版したものです。 普通の子供たちが自分のアイデンティティについて考えることを訴えてます。感動します。
・「ある意味稚拙かもしれないが」
ある意味稚拙かもしれないが作者の思いがひしひしと身にしみる物語だ。改稿のレベルはいろいろあるかもしれないがやはり最小限にとどめたと言う作者の思いを受け止めるべきだろう。技術は進み書き改めたいという欲求は小さくはなかったろう。
環境問題に関する甘さもあるがそれでもぐいぐい引きずり込む筆力。作者のすべての萌芽がこの一作に秘められている。そんな思いを改めて感じさせる佳作だ。
・「「守り人シリーズ」の原点」
「守り人シリーズ」がとてもおもしろかったので、その流れでこの本を読みました。歴史って一方的な見方(特に先進国サイドで)が多いけど、多角的に知ることの大切さを感じました。だって新大陸発見にしても、学校の歴史ではすごいイイこととして扱ってたのに…。発見された側の悲劇を知らずにきてしまいました。そういう日陰に生きた人々について、小説の中に織り込んで伝えてくる本です。
・「処女作は作家の可能性の宝」
守人シリーズが大好きな人には必読ですよ。上原先生も述べられていますが、創作の種の詰めこみ〜そう、だから作家の処女作には価値がある。この部分が膨らんであの作品になったのかなとアイディアのかけらを再発見する喜びがあります。私は図書館の児童コーナーの15年前の初版本を読み、挿絵も入れ替えた新しいものになったと知って購入しました。サイズも持ち運びしやすくて助かっています。
・「人間批判?」
後半筆力を感じますが冒頭からナイラ星って何?
●ユリイカ 第39巻第6号―詩と批評 上橋菜穂子〜〈守り人〉がひらく世界 (39)
・「特集:上橋菜穂子」
作家:上橋菜穂子先生の特集号です。「精霊の守り人」を中心に色んな方が書評を書かれています。何と言っても「守り人シリーズ」の書き下ろし外伝があります!上橋菜穂子先生と荻原規子先生の対談も見所です。アニメ「精霊の守り人」の監督:神山健治さんのインタビューもあります。一冊まるまるに近いくらい、「精霊の守り人」と上橋菜穂子先生の事が詰まっていてFANにはたまらない一冊です。
・「様々な角度からの批評が興味深い」
NHKのアニメーション版に興味を持ったことがきっかけで、原作も読み始め、見事にはまってしまった私が、「ほかに『守り人』関連の本はないものか」と彷徨っていて見つけたのがこのユリイカ第39巻第6号。
●隣のアボリジニ―小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス)
・「はっとさせる本」
2007年にはアニメ化もされ、07年のベストヒット文庫第1位にもなったファンタジー小説、「精霊の守り人」の著者、上橋菜穂子の作品。この作品は、上橋菜穂子の専門分野であるオーストラリアの先住民、アボリジニについて書いた文化人類学の本。アボリジニ、と言っても、あの近代文明と交わらず、比較的以前の文化を保有している「部族」(tribe)の研究ではない。町に出て、近代文明に取り込まれた(あるいはそのように見える)アボリジニたちの研究です。
この本は先住民をステレオタイプで捉えがちな私たちに警告を発してくれる。絶版になったことは、とても残念です。
・「上橋ファンタジーの異色さの源」
「精霊の守り人」で、30代の女用心棒が主人公という異色のファンタジーを描いた上橋さんの、本業での本。これを読むと、「守り人」をはじめとする上橋作品が、なべて異民族の移入と原住民族との文化摩擦を底テーマにしているのがよくわかります。本当はこちらこそが読んで欲しい、今私達の世界で起きている出来事なんですが・・・。この本、「月の森・・・」、「精霊の木」、「守り人」シリーズと連なって読むと、とても興味深いです。
●精霊の守り人オフィシャル・ガイド (TJ MOOK) (TJ MOOK)
・「超基礎編入門書」
ファンタジーや歴史もののアニメ・ドラマ等では、地名等その作品ならではの名称が出た際、字幕であらわす事が多いと思いますが、このアニメは一切それがなかったので、「新ヨゴ皇国」がシンヨゴ公国なのか、「扇の下」はどう書くのか、ヤクーって何ぞや?など「精霊の守り人」の世界にアニメ版から入って何も分からないには、基礎事項を確認できる丁度良い入門書でした。名所ガイドで「青池」について「シグ・サルアの花揺れる清らかな池にうっとり!」、「結び目」について「常識がひっくり返る!?不思議のワンダーランド」等、およそ守り人の世界にそぐわない表現が目に付く事もある反面、ウサネズミ紹介のコメント等はふっと気の抜ける可笑しさ。全26話物語解説では、DVD全巻持っていてもほほうとうなる一口メモ的解説が面白い。総じて原作を読んでその世界観は網羅済み、という方には全く必要が無いと思いますが、アニメ版から入って全く原作を読んでいない方にはオススメの入門書と言えます。逆に原作から更に奥深い部分に接したい!という方には、ユリィカの特集号の方をオススメします。
ユリイカ 第39巻第6号―詩と批評 上橋菜穂子〜〈守り人〉がひらく世界 (39)
・「見辛いです…(T皿T)」
これ、すんごい見辛いですね…。字も絵も、もの凄く小さい上にぎっしり。TV画面の四角い写真(2cm×3cm程度)をただ、1Pの中に何十枚も均等に貼り付けてある。これがまた、顔とバストアップの画像ばっかりで画面全体がおそろしく単調なことに…。そしてその写真の横に、細かく虫メガネが必要なほどのフォンドサイズで、コメントなどがぎっしりと載っているわけですが、これらのほとんどが雇われライターが一度アニメを見ただけで書いたような、くっだらねぇ内容。ファンにとっては、全く読む価値がない。密度が高いといえば高いんですが、余計なものばっかりてんこもりな上に、それらが何の工夫もなく並べられていて、見る側が何を望んでいるのか、全く考えられていない印象。逆に見たいものは扱いが小さいっていう…。カラーページも少なく、スタッフのコメントも、監督さんのがおなさけ程度にちょっとだけ。他のスタッフや、声優さん、原作者のインタヴューはとってません。私はこの作品の背景や世界観が好きで購入したのですが、見たかったものは全く載ってませんでした…。背景設定画なんかも、このアニメなら相当ありそうなもんなんですが、ほとんどとりあげられてません。アニメ自体を見ていない人にとっての指南書としては、ストーリー解説などがあるのでいいかも知れませんが…。元が非常に優れたアニメだっただけに、非常に残念です。価格が安いのと、監督さんのコメントは面白かったので、★2つ。
・「映画をみているよう」
TVアニメには、もったいないほどのクオリティ。その映像の美しさ、音楽のすばらしさは、映画館の大画面で見たいくらいです。原作を読んだ事はありませんが、アニメを見る限りでは児童文学の枠を超えるほどのファンタジー作品です。作りこまれた世界や物語が、放送で一度流し見するだけでは物足りなくて、DVDを買って何度も隅々まで見尽くしたくなります。最近ではここまで思えるアニメ作品は残念ながらありません。
・「NHKのこの気合の入れようは、一体なんなんだ。」
NHKは、何故この作品を今作ろうと思ったのだろう。神山監督とプロダクションIGということで、攻殻シリーズ(SAC)が好きな自分にはたまらない。以前NHKで放送された特番もしっかり見た。神山監督がスタッフと合宿して話を詰めていくなど、彼の姿勢とこだわりと情熱に、とても感嘆させられたから、それなりに期待はしていた。しかし、NHK製作だしどうせたいしたことないだろうと思っていた。が、それは大間違いだった。オープニングから、すばらしいの一言。なんという鮮やかな色、色、色。また、戦闘シーンの流れの美しさや、普通の人々の息遣いが聞こえてきそうな細かい描写など、作画はもちろん、物語の構成や、キャストの方々、音楽、すべてが想像を超えたものだった。第一話から、息をのむ展開で、ひと時たりとも目が離せない。怒涛の展開だ。バルサとチャグムの行く末が、非常に気になる。毎週土曜日の朝が待ち遠しい。こんなに初めから引込まれるアニメは久しくなかった。全年齢もれなく楽しめると思う。私は毎週追っていくつもりですが、NHK-BS2での放送なので中には見られない方もいるでしょうから、DVDがこんなに早く出ることは非常に嬉しいことです。
・「重厚壮大」
三菱商事が中心となって設立した「日本製アニメ投資ファンド」の最初の投資となったエポックな作品。大資本がビッグビジネスとして展開を始めた記念すべき作品に恥じない、そして現在の日本アニメの正当な実力を示すにふさわしい作品です。どの程度の潤沢な資金が使われたのかはさ定かでありませんが、戦略的な投資が行われたことは確実です。
眼を付けた作品(原作)もまさに今後も安定した続編が期待できるものであり、今後数年にわたってファンをひきつけて離さないものになるでしょう。
一度として作画が乱れることも無く、背景の書き込みやスケール感の壮大さはTVアニメの枠を超えていました。戦闘シーンなどの早い動きの部分は昨今のアニメではややもすると素早さの表現にばかり追い求めてとかく軽くなりがちですが、本作では迫力ある重厚さが存分に伝わってきました。(TYサイズの作品では本当に難しいことだと思います)オリジナルストーリイの部分も人物のより深い描写として機能していて特に違和感はありません。
壮大な物語の序章でありながら、単一の完成された作品としても優れたできばえです。
・「最高峰・涙がにじんでテレビ画面が見えない。」
NHKの放送で第3話を、10歳になる息子と一緒に見ました。なんでこんなに泣けるのでしょうか。ラスト10分からタイナカサチのエンディングにかけて、涙が止まりませんでした。決して流行に乗って仕向けられたお涙頂戴ものの展開や小道具もないのに。それは、やはりまっすぐに生きる人々の愛情や友情が、丁寧にそして深く描かれているから。一言でファンタジーなどと、そこらへんの作品と一緒にすることなかれ。手法がアニメであるというだけで、そこには血の通った、肉体を持ち、私たちと同じ息遣いで、悩み、考え、躓きながらも、確かに人々が生きています。面白い!文句なく面白い!そして感動をありがとう。涙があふれて止まりません。こんな作品に出会えて幸せです。
・「原作を超えた人物描写がすばらしい」
守り人シリーズの1作目のアニメ化ですが、原作全てを丹念に読んで作られていることが良く判ります。原作のすばらしい世界観の上にこの作品ではそれぞれの人物像に広がりを持たせてます。本編に収録されてませんが、後で出てくるジンのエピソード等は本当に泣けます。NHKアニメでここまで面白いのは「未来少年コナン」以来だと思います。 本当にお奨めです。
・「まさに、日本ならではの作品に音楽も一級品。」
一話一話に使われる音楽がとても新鮮なものから斬新なものまで様々。一曲一曲が本当に奥深い作りになっていて、胸に残ります。川井憲次氏は今までに本当に様々な作品を手掛けていて、どれも必ず胸に残る音楽を作られてきています。が、今回の『精霊の守り人』は過去のものとは比べようにも比べられないほど、素晴らしい出来に仕上がっています。
今回の作品は前半部を飾る音楽集になりますが、特に素晴らしい音楽と思えるのが戦闘シーン。3話目の序盤に使われた曲や6話目の敵に追われるシーン等の音楽はまさに日本独特の雰囲気に川井氏の腕が唸ります。作品を観ているこちらは作品を目で追い、音楽を耳で追う感覚になりますが、それほどどちらもクオリティーが高く、気付けばタイナカサチが歌う「愛しい人へ」が流れ始め、一話30分なんてあっという間。
少し残念なのがエンディングの「愛しい人へ」がフルバージョンではないことです。とは言っても、作品自体もすごければ音楽自体でも、それに勝るほどの力量なので十分に満足のいく音楽集になっています。大袈裟だと思うかもしれませんが、聴けば一発で胸を撃ち抜かれます。まずは作品を観賞していただいてからの方がよりリアルに聴こえてくるはずです。
次回作も期待したいです。お薦めします。
・「バルサ、どこへ行く?」
もう川井憲次氏しかいないだろう、と思わせる原作の世界観を本当に見事に音楽と映像をリンクさせて提示させる。この圧倒的な世界は毎回クオリティを全く落ちずに提示される。
十八番の無国籍風メロディと打楽器の織り成す、ある種乾いたメランコリー、そして燃えるバトル・シーンの背景でかかる躍動感溢れるトラック。
悲しみを抱いた主人公バルサに寄り添う、あの美しいトラックはVOL.2にお預けだろうか、と思っていたらその通り。
「定道のバルサ」。美しく強く、そして儚いバルサを具現化する最強トラック。
とはいえ、こちらのVOL.1にも「狩る!」「逃げろ!」「バルサ走る」「英雄、立つ」などの燃えるトラックが目白押し。最強。
しかし、アニメ本編も原作も何れも主人公を含め、脇役の何と魅力的な事か。シュガしかり、狩人のジンしかり。それぞれが出てくるシーンのバックに、そっと切なげなトラックがさりげなく流れるところも素晴らしい。この音楽が無かったら、と想像すると・・・。
サグム王子の臨終の瞬間を演出するあのトラック。「一人逝く君よ」。サグム王子の最後の言葉とともに、飛び立っていく鳥。名シーンの一つ。落涙。本物の天才、川井氏の面目躍如。
・「HPの選曲は26番目」
購入する動機となった曲は、“英雄、立つ”です。精霊の守り人のHPにアクセスすると流れてくるアノ曲です。この曲欲しい! と思ったのはいいけれど、サントラに収録されているかが分からず、しばらく悩みましたが買って聴いてみることにしました。収録されていて嬉しかったです。このサントラでいうと私は静かな曲よりも、戦闘シーンで使われている曲など躍動感のある曲(7狩る!17逃げろ!24バルサ走る)の方が好きです。
・「これももう一つの「守り人」ワールド」
正直、「好きな小説を漫画化」されると大概失望させられ(例外はありますが)、自分のイメージよりもその作家が投影するイメージのほうが強すぎてついていけないケースが多く、期待していませんでした。が、キャラクター設定はアニメのものを踏襲しているものの、原作に忠実な部分がきちんと表現されている。かつ漫画としての味も活かされているので、後半になると安心して読めました。アニメももう一つの「守り人」世界として楽しめていますが、こちらも今後の展開に期待しています。出来れば「闇の守り人」も藤原先生の手で漫画化していただきたい。
・「誤解の多い藤原カムイ」
まず言っておく。カムイ氏の描く漫画にオリジナリティというものはほとんどの作品に無い。氏の魅力は、展開運び、殺陣、演出、それら漫画に必要な技術を高いクォリティーでコンパクトにまとめながらも読者の年齢層にすら気を配る器量を持って原作を大切に扱うという言わば漫画教科書のような物。氏の漫画に不満点をあげたいのであれば勉強不足にも程がある。娯楽という観点から言えば日本人は特に鈍い方にあるが同時に娯楽の発信地の一つでもある、自覚を持て!日本の娯楽は決して低いレベルではないのだ!!
・「ファンタジーアニメの弱点」
ファンタジーは独特の用語が多く、文字ではひと目で理解出来る事でもそれが口語のみになると途端に相手へ伝わらなくなる。
アニメーションからこの作品を知った方は、案外多いだろうと思うのだがそんな人たちへこそ、この作品ではオススメした。文字になった用語は、確実に作品世界への理解を深めてくれる事