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▼本嫌いに薦める取っ掛かりとなる一冊:セレクト商品

ラッシュライフ (新潮文庫)ラッシュライフ (新潮文庫) (詳細)
伊坂 幸太郎(著)

「誰かは誰かと端っこでつながっている」「楽しめる」「無限ループからの脱出」「個人的、伊坂作品NO.1お勧め。」「あまりにも見事」


重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫) (詳細)
伊坂 幸太郎(著)

「シンプル」「自分の中の正義を信じるのなら」「最後の父のせりふが効いた」「放火と落書き、それから家族の話、でもレベルがすごく高いぞ!」「伊坂さんらしい作品」


疾走 上 (角川文庫)疾走 上 (角川文庫) (詳細)
重松 清(著)

「心にたくさんのガラスが突き刺さる」「思春期の子を持つ親に読んでほしい」「過酷な人生にも救いはある,と感じさせてくれる好著」「運命」「過酷すぎる」


チーム・バチスタの栄光チーム・バチスタの栄光 (詳細)
海堂 尊(著)

「シリーズ化、映像化!」「栄光の陰に潜む・・・最先端技術の医療現場」「続編期待!」「医師のテンション」「痛快医療ミステリー」


L change the WorLdL change the WorLd (詳細)
M(著)

「L.感動を得る」「最高です☆」「Lファンの方はきっと楽しめます!」「エル、ニア、ミロ」「原作Lと重ねちゃダメ」


アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫) (詳細)
古川 日出男(著)

「壮大なファンタジーです。」「壮大なる「物語」」「世界級の物語作家」「女は妖しく、男は...」「ブランデー片手に読めばあ〜ら不思議」


コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫) (詳細)
村上 龍(著)

「私のいちばん本です」「うねり、燃える原色の匂い」「衝撃でした。」「感覚を刺激される」「あまりに強い個性」


半島を出よ 上 (1) (幻冬舎文庫 む 1-25)半島を出よ 上 (1) (幻冬舎文庫 む 1-25) (詳細)
村上 龍(著)

「イシハラとノブエ」「すごい!」「怖い怖い、これは怖い」「本当に読みにくいけれど、とにかく読んで!」「読みにくいけど星4つ」


深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) (詳細)
沢木 耕太郎(著)

「私もこれで会社を辞めました」「1巻から2巻のテンションは、読み人を旅人にさせる熱気を放ちます」「あなたもきっと乗車したくなる」「紀行文の最高峰」「大学時代、夢中で読んだ」


竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫) (詳細)
司馬 遼太郎(著)

「日本中を元気にした「坂本竜馬」」「時代を超え、力をくれる魅力的快男児」「今の世の中に物足りなさを感じている君へ」「志」「大人になる前に志を学ぶための必読書」


アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) (詳細)
ダニエル キイス(著), Daniel Keyes(原著), 小尾 芙佐(翻訳)

「忘れられない作品です」「理屈ぬきで、おもしろい!」「心優しき男の物語…」「マジ泣きした(微ネタバレ」「Ignorance is bliss?」


永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫) (詳細)
天童 荒太(著)

「大長編ながら長さを感じさせない傑作」「「力」がみなぎった作品」「待望の文庫版、今後はどうなる?」「今問い直す生きることの意味」「仔」


血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫)血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫) (詳細)
梁 石日(著)

「読む者を圧倒する骨太の骨と、熱い血」「悪漢小説に震撼」「おもしろくないけど、止まらない!」「暴力とカネのみを信じた男の末路」「こんな時代があったことを忘れないでおきたい」


▼クチコミ情報

ラッシュライフ (新潮文庫)

・「誰かは誰かと端っこでつながっている
いくつもの人生が、ちょっとずつ端っこでつながっていき、それが誰かの人生を作り上げていく。

群像小説と読んでしまえば簡単。ただし「群れ」と呼ぶには個性がありすぎるキャラたちが、文字の舞台を縦横無人に駆け巡る物語は、オールスター戦に近く、それでいて最後には群像小説としてのまとまりを持たせているのは圧巻。

この作家の上手いところは、ふとしたポイントで自分の現実世界を振り返らせることで、

誰かの人生が僕の人生の端っこでつながって、結果的に僕の人生を作り上げている、ということを気づかせてくれる。

世界では誰もが主人公で、誰もが脇役なのだろう。

そうやってできた世界の一部がこの小説なのかもしれない。

・「楽しめる
よかったなー。1回目読んだ時には意識してなかった出来事が、2回目読んだ時に関連性というか繋がりがわかる。話に無駄がなく、起こりうる出来事全てが何らかの繋がりをもっている。だから読みなおしたときにまた面白さがやってきた。

・「無限ループからの脱出
仙台の街を舞台に、5人の男女の物語が進行する。エッシャーのだまし絵(ハードカバーの表紙はこれですが、なぜ文庫本は変えてしまったのでしょうか?物語に非常に影響を与えている絵なのに残念)、老いた野良犬、好きな日本語を尋ねる白人女性、未来が見える男「高橋」など、共通の背景を織り交ぜながらそれぞれの物語は交わることなく並行的に進行していきます。

死体は自らバラバラになった後、再びくっつく。轢かれた猫が生き返る。「あれ、これってミステリーでなくて、オカルト本?」と思み進めていくと、最後にとんでもない種明かしが!これは、まぎれもないミステリー小説です。

だまされた後の爽快感がたまりません。2回目も読まずにはいられない、しかも2回目も楽しめる、一冊で2度おいしい素晴らしい作品です。また、登場人物も非常に魅力的。特に泥棒・黒澤にはしびれました。

・「個人的、伊坂作品NO.1お勧め。
 伊坂幸太郎さんの面白さを知りたいなら、私はまずこの「ラッシュライフ」をお勧めします。 キャラクターの造形の面白さ。台詞回しの切れ味と面白さ。そしてなんといってもバラバラのストーリーがやがいひとつに結集されたとき。表紙の絵柄にまさに各人物の物語が収まったときの爽快感はもう格別。 あとに続く伊坂テイストの集結する物語の原型をわずか発表作2作目で完成しているスタイルはもう絶品。読後の爽快感もいままでの日本人作家にはなかったような、さわやかさ、があります。 しかし、内容的には結構辛辣で現実面の冷たさを描いている点もただの娯楽作にとどめてないところがみそ。御伽噺と現実を融合した傑作ミステリーと言ったところでしょうか。 またこの作品には伊坂ファンの中でも人気の高い「黒澤」が登場するお話です。このときからすでになかなか魅力のあふれるキャラクターに仕上がっています。 それにしても最後にあのキャラクターが物語の締めを飾るとは思いませんでした。そうですあのキャラクターがこの物語のとりを飾るとはまさか思いませんでした。まさに傑作。伊坂テイストを知りたいならまずこの一冊です。

・「あまりにも見事
2003年度版このミス11位

作者の2作目。今の知名度でこの作品を出せば、もっと注目された作品だと思う。そのくらい完成度が高い。

自分に楯突く者を絶対に許さない、傲慢で拝金主義者の画商独特のこだわりをもつ泥棒の黒澤リストラに遭い、野良犬と仙台の町をさまよう豊田お互いの配偶者の殺人を画策するサッカー選手の青山とカウンセラーの京子(彼女だけ姓がないのが一つのヒント)新興宗教の教祖の解体に立ち会わされる河原崎

これらの5組にまつわる話が時間軸を上手に操られ、微妙にリンクしながら最後に騙し絵のピースのようにぴたりとはまる。初読の際にはこの見事さに感動すら覚え、各章に隠された時間についてヒントをメモしながら再読し、再度感動した次第である。未読の方は、是非、この「時間」ということに注意しながら読んで頂きたい。最後の驚きが倍増(は大げさかもしれないが)するはずである。

作品中の「展望台」や「好きな日本語を書かせる外国人女性」など、一見意味の無いようなエピソードの使い方もうまく、また作者独特の鮮烈で暖かみのある文体が完成度を高めていることは言うまでもない。是非おすすめの一冊である。

ラッシュライフ (新潮文庫) (詳細)

重力ピエロ (新潮文庫)

・「シンプル
在り来たり、と言ってしまえば其れまでなのですが、シンプルで読みやすいです。でも、決して単調な訳ではないですよ。

文章も非常に推敲されている気がするし、読んで得した気分に成ります。伊坂 幸太郎の本を読むのは初めてだったのですが、其れでも十分楽しめました。

是非、他の作品も読んでみたいと思わせる一冊です。

・「自分の中の正義を信じるのなら
小説だから許されるラストなのだろうとは思います。これを是とするか、否とするかは人によって異なると思いますが、私は大変すがすがしいラストだと感じました。現実社会の理不尽な犯罪について憤りを感じている人も多いのではないでしょうか?それが法治国家だといわれても、「罪を憎んで人を憎まず…なんてキレイごといってられるかぁ!!」と思ってしまうことはありませんか?そんなときに、この小説は救いになると思います。私は大好きな1冊になりました。

ちょっと芝居がかった登場人物の台詞や行動も魅力的です。

・「最後の父のせりふが効いた
最後のほうの父のせりふが効きました。文体自体は軽く設定は重苦しいのでともすると物語自体がとても悲愴なものになりがちですが、それを感じさせない口調で語っているので、最後はさわやかな感動を味わうことができました。

・「放火と落書き、それから家族の話、でもレベルがすごく高いぞ!
ジョーダンバット、遺伝子、DNA、TTAGGG。全くなんのことやら、という話が続く。でもこれがちゃんと最後の最後には、他とつながって大きな一枚の絵になる。その最後のできあがりを楽しむために、一行たりとも気が抜けない。気を抜いたら、楽しみが半減してしまう・・・。すごく高いステージで繰り広げられる会話。シュールなジョーク。よーく読まないとわからない。でもよーく読まなくても楽しめる。きっと、私たちの日常でも同じ体験をした仲間で話をしている内容っておそらくこんな感じで、そこだけ切り取ったら何の話かわからないんだろうな。小説の中では、お節介にならないくらいさりげなく解説してくれている。一気に読む、そしてあとから噛みしめる本だ。

・「伊坂さんらしい作品
伊坂さんは一般的にミステリー作家ということになっているようですが、一口にミステリーと言っていいものかいつも迷います。なにか必ず人間臭さや救いがあり、あったかいものが読後に残ります。「重力ピエロ」もまた然り。この作品は自分のルーツについての問いがテーマなのですが、重い内容にも関わらず淡々と、時には格言を用いて冗談交じりに話が進みます。格言や哲学、映画好きには面白いのではないでしょうか。自分の中で葛藤がある人にもお薦めします。好きか嫌いかの真っ二つに意見が分かれるとは思いますが、私は今のところ伊坂氏の作品の中で一番の傑作だと思います。

重力ピエロ (新潮文庫) (詳細)

疾走 上 (角川文庫)

・「心にたくさんのガラスが突き刺さる
ものすごい小説だった。内容の全てを受け入れきれてない自分がいる。

・「思春期の子を持つ親に読んでほしい
なぜおまえは疾走しなければならないのか?なぜ、そんなに生き急がなければならないのか?じわじわと壊れていく家庭に、何もできず、目をそむけるだけの無責任な親。壊れていく家庭のアリ地獄の中でなんとか生き延びようと、もろい砂にしがみつく主人公のシュウジ。正直言って、悲しくて、どうしようもなくつらい作品だった。けれど、ページをめくる手を止められず、一気に読んだ。「誰か、いっしょに生きてくれませんか?」これは、思春期の子供たちの悲鳴のように聞こえた。誰か、堕ちてゆくシュウジを救ってやれなかったのか?まわりの大人は手を差し伸べてやれなかったのか?(特に、「おまえ」と呼びかけ続ける神父の無力さが私には歯がゆくてたまらなかった)未成年の悲しい事件が頻発する現代社会において、本作はフィクションでありながら、フィクションとして見過ごすことのできない、胸に迫る切実なものがあった。私は、読みながら、白夜行のリョウジとユキホをふと思い出したが、彼らの内面は(小説の中では)よく見えなかったのに対し、シュウジの思いは手に取るようにわかる。それだけに、よけい悲しい。

主人公は中学生だが、中学生に読んでほしいかどうかは微妙。むしろ、中学生を持つ親には、ぜひぜひ読んでもらいたいと私は思った。彼らの鬱々とした思い、苦しみ、葛藤、あたりまえの性衝動を少しでも理解してもらえるように。重松清はスゴイと唸らせる作品だった。

・「過酷な人生にも救いはある,と感じさせてくれる好著
 主人公シュウジを「おまえ」と呼ぶ語り口に違和感を感じて,感情移入にちょっと時間がかかったが,読み出してみると本当に止まらない。上下とも,休む時間すら惜しくて,あっという間に読み終えてしまった。 シュウジを取り巻く状況は,本当にシビアだ。家庭崩壊,自殺一歩手前まで追い込まれるイジメ,暴力的セックス(読んでいて,これほど辛い性描写は初めてだった)と殺人,孤独。 本当に救いのない状況だし,その救いのない状況を本当に誰も救ってはくれないのだけど,ラストで,「シュウジ」と語りかけられる部分ではボロボロと泣かされ,ああ,「おまえ」という語り口はそういうことだったのか,とも納得させられた。 読んでいて居ても立ってもいられないほどの辛さと,一転しての心地よい涙と……やっぱり,重松清はうまいなぁと思う。

・「運命
こんなに本の世界に入り込んだことは無い、というぐらい、夢中になって読みました。『誰か一緒に生きてください』私と同じ中学生の少年が疾走した15年の生涯。凄くリアルな表現もしてあって、読むのに抵抗がある部分もあったけど、共感できる部分もたくさんありました。ラストの部分は思わず泣いてしまうほど感動しました。物語が大きく動くまで、『普通の少年の話だなぁ〜』と思いながら読んでいましたが、主人公の兄の犯した行動から、周りの環境も変わっていき、自分の人生まで狂ってしまう。同世代の読者として、ここまで共感できた作品は過去にありません。是非、読んでください。読んでみる価値はあります。

・「過酷すぎる
どこからどう歯車が違ってしまって、こんな過酷な人生を送らなくてはならなくなったのか。物語の間中どんどん落ちていく「シュウジ」をなんとかしてあげたい!という思いで読みました。「これはフィクションなんだから、」と時に思い返さないと、どんどん引き込まれていつか「シュウジ」の人生を背負い込んでいる自分がいました。「ひとり」「言葉」「つながり」、人生を支えるいろいろなキーワードが出てきます。作者は私達が通常はそこまで降りていくことのない深いところにまで引き摺り下ろし、絶望の中になにかを伝えようとしているようです。上下巻で800ページ近いボリュームですが、私は2日で読み終えました。読み終わった後、かなり引きずります。忘れられない1冊になりました。

疾走 上 (角川文庫) (詳細)

チーム・バチスタの栄光

・「シリーズ化、映像化!
作者は人間が好きなんだろうな・・と思う。現役の医師だそうですが、こういう人がいるということは、私達の希望です。(たぶん本当はそういうお医者さんはたくさんいるのでしょうね。お医者の皆さん、もっといろんなことを世の中に発信してほしいですよ・・。)

キャラクター設定も、情景描写(そう多くないけど無駄なく上手い)も良くできていて、それぞれに愛情が感じられるので、たぶん読んでいる人は「院長室の窓から見下ろした景色」とか「田口先生の診察室とサイホン式のコーヒーメーカー」とか「天才外科医がメスを見つめる目」とか「変人役人?白鳥氏が食堂のうどんメニューを選ぶ様子」を自然に想像できると思う。だから、おもしろい。

ミステリーな要素は、犯人探しよりむしろ、人間はみんなミステリーを抱えている・・というところにある感じですが、私はそれもミステリーの重要な要素だと思います。すごく凝った種明かしというのではないですが、ちゃちなところはまったくありません。(バックグラウンドがしっかりしているからだとは思いますが、このあたりは新人とは思えないクールさ。)

最近の話題作ということだと、東野圭吾の「容疑者Xの献身」より、私はこちらの方が良かったです。(私は東野圭吾も好きです、ちゃんと読破してます!湯川さんも好きです・・ですけど。)

・「栄光の陰に潜む・・・最先端技術の医療現場
 東城大学医学部病院の誇る心臓手術「左心室縮小形成術」通称創始者R.バスチタ博士の冠した俗称「バスチタ手術」。アメリカの心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生を臓器制御外科助教授として招聘し構築された「チーム・バスチタ」。桐生助教授率いる7名の心臓移植の代替手術は100%の成功率で栄光に輝く中、立て続けに3例の術中死が起こってしまう。この内部調査を院長が依頼する不定愁訴外来の「田口公平」。田口にとっては何故自分が調査の依頼を引き受けなければならないのか困惑の色を隠し切れない中、院長の言葉が続く。

「術死には3つの可能性がる。たまたま連続した不運。医療事故。悪意によって事態が引き起こされた可能性。・・・」

調査開始からチーム全員の聞き取り調査。この会話がまたさらに田口らしく愉快にも思える。鋭い洞察力をもち備えながら個々の言葉の深層心理まで読み取る力量は素晴らしい。しかし調査は難航。

国境なき医師団から日本に来日した南アフリカ国籍のアガピ君7歳。手術室の臨場感溢れる描写は素晴らしく繊細に鮮に手際よくまるで音楽の無駄のない旋律に奏でられるように手術は進んでいき成功。メスさばきに魅了されるほど桐生助教授の手腕は輝かしい。

院長に報告書を上げるや否や院長が未然に内密に調査を依頼しておいた厚生労働省大臣官房秘書課付技「白鳥啓輔」が調査に加わる。この田口と白鳥の何ともいえないコンビの愉快さに重々しい医療術死の中本書はユーモラス性を含みまた個々のキャラを細部に渡る描写で際立たせ語りの巧妙さが読者の脳幹を妙に最期までくすぐり最終場面まで一気に読み上げさせてしう。専門知識を駆使した細部の確かさ リアリティなどがしっかり織り込まれている。その点でも医学ミステリーとしては評価したい。

主人公の田口と白鳥のコンビ物はシリーズ化を懇願したい。著者の才能を評価し今後の作品に注目! 

 

 

・「続編期待!
時間の無い中、こそこそと読み進めていましたが、本当に逸脱した面白さ。医療ミステリーという枠組みの中でも堅苦しさが無く、読み易い。また登場人物の個性が一人一人際立つ。中でも白鳥は強烈で、田口との2トップで聞き込み調査を進めて行く場面は見所満載。また筆者であられる海堂氏が現役医師なのが強く起因すると思われるが、手術描写がリアルで且つ繊細さを持っている。面白い場面では徹底的にコミカル。シリアスな場面はキュッと締めるというメリハリが利いている。ここ最近では滅多に御目に掛かれない素晴らしいミステリー作品。オススメです。読んで損なし!

・「医師のテンション
本書は病院内のあまり外部に知られたくない内幕を次々に暴露しているので、著者と同じく勤務医である私はハラハラとさせられた。多くの医師は概してテンションが高い。救急車が到着するのを腕まくりをして待っているという具合だ。必然的に勉強もよくするので学業成績などは良い。しかしテンションの低い医師も時にいる。桐生医師が前者の代表だとすると、田口医師は後者の代表だ。一方、白鳥医師の様な個性派も多い。

本書はバチスタという難手術の失敗例の原因を暴くうちに、恣意的な関与が明らかになってくるという面白い物語だ。ところで外科手術に限らず、病院でのすべての治療はチーム医療であり、和を非常に重んじる。特に外科手術などは大勢のスタッフで行うので、けっして主執刀医一人がテンションを高めて暴走してはならない。スタッフ全員の個性や疲労度などにも配慮しながらペースを調節する。本書ではそういう事情もうまく描かれている。

病院に限らず、和を重んじない職場は無い。私は本書を読み進んで、この事を強く反芻した。

・「痛快医療ミステリー
ついに出ました。毎年楽しみな『このミス』大賞受賞作です。本作は医療界を舞台にしたサスペンスで、作者が現役の医者というだけあって、さすがリアリティがすごい。単なる空想ものに留まらない真実味があり、引き込まれます。また、出世街道からはみ出した主人公や天才外科医、得体の知れない強烈キャラの厚生労働省の役人といい、登場人物もなんと魅力的なことか。立続けに起きた心臓手術の失敗の謎を探る物語に読む手が止りませんよ。このミス史上の最高傑作との評価もうなずける作品です。

チーム・バチスタの栄光 (詳細)

L change the WorLd

・「L.感動を得る
事件の解決には手段を選ばない探偵。その素顔は、感情の表れない無機質な人物として描かれました。彼は「世界最後の切り札」とされながらも、人間としての背景が喪失している、まるで虚構のような人物で演じられています。抑揚の無い声。機械的な動作。示される驚異的な頭脳。確かな存在感。けれど、彼は「生きた人間」だったのだろうか?今回の小説版Lは、そんな人物像がフィーチャーされた作品といえるでしょう。一人の少女との出会い。起きた事件に怯える子。起こる事件に怯える子。その時、手を取り握ってあげる事が出来るでしょうか?「感動」という不完全で受動的な感情は無かったと語るL。星空の下、彼はそれを得ることが出来ました。足早にその「時」を逝く彼へ、私からも満天の星を贈りたいと思います。

P.S.鏡文字発見!SQ2008.2月号の(1月発売)ポストカード。鏡に映すとLと目が合います!(怖っ)

・「最高です☆
原作のLのイメージとは違いますが…あくまでも映画版のLだし、私は違和感なく読めました☆Lに焦点を当てているだけあって、Lの天才ぶりがよく分かりました。それにプラスして女の子と一緒にいることでLの人間ぽい部分も見れて、すごく素敵だと思います。思わず笑ってしまうシーンもあり、感動で泣いてしまうシーンもあり…何度も読み返したくなる作品です。

・「Lファンの方はきっと楽しめます!
原作(漫画)のLが好きな方は、『ちょっと違わない??』って思うかもしれませんが、LのセリフをアニメのLの声優さんの声とてらし合わせて読むと、ただ読むだけの時と変わってきます。あの感情の無いLに見えてくるはずです。ちょっと想像力がいりますが・・・映画の松L(松山ケンイチ)が好きな方は文句なしだと思います(>V<)でも、どっちのLも大スキな私は楽しめますが、ライトやDEATHNOTEファンの方はおすすめできないかもです。Lの名台詞は心に響きますよ。かっこいいです。最後のところは切なくって・・・でもよかったねって気持ちにさせられました・・・。Mさんの書き方、私は好きです!これは映画の続編であり、原作の続編ではないので、表紙を松Lにしたほうがいいんじゃないかな?と思いますが。でもL大スキな方!読んでみる価値ありだと思います。

・「エル、ニア、ミロ
デスノートの外伝のようなお話だという理解でよいでしょうか。

デスノートの本編ではエル(L)のファンでした。この話はかなり期待していました。エルのファンであるだけでなく、ニア(N)とミロ(M)のファンでもあります。

コミックのデスノートで感動した点は、ニアがミロの犠牲の意味を知っていたことでした。デスノートのL,M,Nのすごいところは、Lの次にくるNとMが無言のうちに協力して、Lを超えるところにあると感じました。すばらしい後輩を持てるLがすごいと思いました。

L change the worLd はLの話です。本編で見せてくれたLのすごいところがどこまで表現できているかが興味の対象です。ニアがすごいのは、ミロの犠牲を知っていたことであって、エルの意志をついだことだけではないと思います。コミックでのデスノートの感動が、この作品でどのように展開されているのでしょうかに興味があります。

人に対する感動があるから、デスノートは殺人の話で終わっていないことがうまく伝わっているでしょうか。Kは、NやMのような感動をどれだけ与えてくれるでしょうか。

ps.ニアが解いた問題は、MKです。KはいてもMがいないのは残念かもしれません。なんらかの形でメロを出せなかったのでしょうか。

・「原作Lと重ねちゃダメ
デスノート本編でも言われていたことですが、原作と映画のLは違う。映画の方が人間に近いし、感情も豊かではないでしょうか。なので、もしこれを原作L目線で読んでしまうと「ありえない!」って声が聞こえてきそうですね・・・(私も原作を読破しているんで気持ちはわかります)

この小説はあくまでも“映画版のLの話”と捉えましょう。前から思っていたことですが、もう映画版のLは完全に原作から離れて一人歩きしています。原作Lと実写Lは別物と考えてもいいくらいです。ただ、“キラ抹殺”という目的と“甘党”という嗜好は一緒でした。もし、原作Lに感情を持たせることができたなら実写Lのようになっていたのではないでしょうか?なので実写Lは原作Lの代弁者とでも言ったらいいのか・・・でも結局は映画は映画、原作は原作、と割り切って読んでみるのが一番楽しめますよ。随所に笑いアリ切なさアリ、そして、ちょっと考えさせられます。まだ最後まで読んでないので☆は4つですが、今のところ楽しんで読めてます。ちなみに今読んでいる時点でLの寿命はあと2日・・・

実写Lが好きで、原作とも切り離して読めるのなら楽しめますよ♪

L change the WorLd (詳細)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

・「壮大なファンタジーです。
壮大なファンタジーです。歴史、ミステリーも絡んでますが、この二つの要素は中途半端です。

語り口調がユーモラスで、語彙を駆使してます。表現がいちいち大仰で、雄大です。古川日出男さんの経歴読んだら、劇の台本書かれていたということで納得しました。印象に残ってる言葉が「その書は惑乱が拾い、錯乱が買い入れ、癲乱 が陳列したのです」「書物はそれ自身の意思で出会うべき人物の 所へ現れる」

言葉遊び嫌いな人には、しんどいかもしれません。ファンタジー、童話好きの人にお勧めです。シニカルな大人の童話です。

・「壮大なる「物語」
迫りくるナポレオンの侵攻、それに対する読むものを破滅へと導くと言われる「災いの書」。そして夜毎語られるあまりにも壮大な「物語」。著者古川日出男の力量を見せ付ける長編傑作だ。夜の種族によって語られる「物語」が本作品の大半を占め、その間になすすべもなくナポレオンの侵攻をゆるすエジプトの姿が描かれる。したがってこれをミステリーとするか、歴史SFものとするかは、人によってそれぞれだと思うが、とりあえずそんなことは考えず、この語り部の「物語」を堪能してほしい。登場する3人の個性的なキャラクターとその数奇な運命とストーリーにぐいぐい引き込まれ、すらすら読めてしまう。そしてどんでん返しが待つラストシーン。これがあったから日本推理作家協会賞だと頷ける。

・「世界級の物語作家
文庫が出てたのですね。それはお目出度い。この著者は物語を紡ぐ力があり、ジョン・アーヴィングやガルシア・マルケスの長編を想起させるものがあります。日本人作家は、わりと小さな世界を膨らませたり(宮部みゆき)、独自の世界での展開(村上春樹)で一級のものを出す例が多い気がしますが、これや「ベルカ、吠えないのか?」などのように大きな物語を展開できる方は稀に思います。ジャンルを超えて世界級の書き手でしょう。

・「女は妖しく、男は...
満足するかどうかは、この物語をアラビアンナイトに連なる読み物だと思えるかどうか...深く考えずに、ただただ、その時々の異国の世界を想像して読んでみると、この虚実入り混じった文章をたっぷりと楽しむことができると思われる。

読了後に現実に戻れば、男は結局は単純な生き物だと実感させられるのは、この作者の作品らしい。最後になにやら勝つというか操っていたのは女...そんな風に読み終えたのは私だけ?(笑)

これまで読んだ同じ作者の作品では、妙な軽さがある現代コトバの一人語りに食傷気味だった。しかし、歴史モノということもあり、少しそのあたりは抑え気味。たまに意外なところに出てくるが、適度に緊張感が抜けて良い♪

ちなみに、長さに対してのコメントもあるかと思うが、本家本元のアラビアンナイト(東洋文庫)の、あの冗長さと比べれば、短い短い(笑)最近の角川文庫のセオリー(?)通りの三分冊だったが、上巻としてはちょうど良い部分で終わった気がする。分冊を見据えて書いたか??と思うくらい(笑)

そして、フレデリック(レイトン)卿が描く清麗な女性たちが表紙となっており、3冊分も楽しめるのは嬉しい♪

・「ブランデー片手に読めばあ〜ら不思議
文庫で3分冊、1000ページ超と聞くとビビルかもしれないけど心配無用、一気に読めます。(私はビビッて先ずは一冊だけ買ったが、直ぐ二冊目三冊目を買いに走るハメに)ただし必ず夜読むこと。浮世の悩みとかはいったん忘れて、ブランデー片手に読めばあ〜ら不思議、幻想的な語彙の渦に巻き込まれて、貴方はいつの間にかアラビアの夜。あと、寝不足に注意。ナポレオン侵攻時代の話の方が尻切れの感あり、その分★ひとつ減。

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫) (詳細)

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)

・「私のいちばん本です
この本は語り尽くせない思い入れがあります。私が読書に目覚めるきっかけとなった唯一の本です。村上龍の作品では後にも先にもこれ以上のものはありませんでした。何度読み返しても、また感動してしまうんです。この感情はなんだろう??感動させようとしている話ではないと思うけど、感動してしまうんだ。見事に。

最も「ガツーーーン!!」ときたのは、キクという主人公が走ることに目覚めるシーン。私自身運動の喜びを知らない人間だったのに、まるで自分の体が目覚めたように、ビリビリと伝わってきました。その描写がすばらしかったです。他にも運動の描写がたくさん出てきます。どれもこれも体が震えるほどの感情を呼びました。ほんっとにこれ以上の本はないと思うんだけどなあ・・・。

でも、友人に貸したり、プレゼントしたりしたけれど、ちょっとキツイっていう人も多かったです。設定が、なさそうで、でもリアルだし、におってきそうな描写が多いです。テーマも重いです。村上龍独特の文ですよね。匂ってくる感じです。重油の匂い、新宿の公園の匂い、ワニの匂い、アネモネの匂い、ハシの匂い・・・それぞれ匂いを感じます。

・「うねり、燃える原色の匂い
「全力だ!」村上龍のエネルギー溢れた作品を読むと、そんな気分になる。途方もなく広がる想像力と、ゴーギャンの絵が更に激しくなったような、原色の生物の息吹と色と匂いが立ち上り、句読点すらもどかしいように疾走する文体は洗練という形とは遠い。無論、それが村上龍の最大の武器である彼の生理であり、力強い才能のコアだと思う。

10年以上前、初めて「コインロッカーベイビーズ」を読んだとき、僕は細胞が叫びだすような興奮を感じた。コインロッカーへの置き去りの子供、崩壊した東京、破滅へと向かうストーリー。現実化すると単なる破滅的なテロリズムだろう。でも、閉塞から抜け出せない今の日本に少しでも元気を出すためならば、

この飛び切り危険でパワフルな虚構に引き込まれてもいいと思う。元気を出すためも、鬼才村上龍が若干30歳で描いた本作が多くの人に読まれることを望みたい。

・「衝撃でした。
衝撃的な作品でした。解りやすいエンターテイメントを好んで読んでいた僕には、最初の100ページを読むのに三日費やすほど体力の要る小説で、上巻はほとんど意地で読みきりました。ただ、下巻に差し掛かってからはどういうことか休まず一気に読まされました。マシンガンさながらのディティールの乱射が、この一貫した危うい感じのリアリティーとなっているのか、受け入れてみるとどんどん読み進められました。(疲れることには変わりありませんが)80年代から物語はスタートしていますが設定はどこか近未来的にも写り、「破壊と自閉」のイメージは僕の想像力の限界を超えたところに刷り込まれ、大袈裟かもしれませんが、ラストでは軽く眩暈がするような感覚でした。貴重な読書でした。

・「感覚を刺激される
冒頭からトップギアで走りだす、文芸的近未来小説。村上さんの小説作品は半分弱くらい読んでいますが、これを越える作品は知りませんし、私が読んだ日本文学の中では、間違いなくトップクラスの刺激的作品です。

精神的にギリギリのところに所在する登場人物の独白のような言葉と、精緻な性的・肉体的・感覚的描写の連続に、読者の感覚が犯されていくような錯覚があります。決して、感情移入するのではなく、感情浸食されていくような、そんな小説です。

できればもう少し長い小説にして欲しかったという思いはありますが、クライマックスを過ぎても、ひたすらダラダラ続いてしまう作品よりは遙かにまし。少し足りない位で止められた作者のセンスにも、敬意を表したいと思います。

・「あまりに強い個性
凄く面白く、エネルギーに満ち溢れた小説です。そのテーマを一言でいえば「破壊」ということになると思いますが、単なる負の力から絶対的な肯定へと昇華していく疾走感はすさまじいものがあります。その眩しすぎて目をつぶってしまいたくなるほどの強烈さは、人によっては、生理的にまったく受け付けることができないこともあるでしょう。が、一度、手にとって目をとおす価値は充分ある小説だと思います。ちなみに、「アキラ」よりも前に出版されていますので、「アキラ風に処理した」小説ではありません。村上龍の完全なオリジナルであり、村上龍の思想・世界観が最も忠実にわかりやすく表現された小説だと個人的には思っています。

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫) (詳細)

半島を出よ 上 (1) (幻冬舎文庫 む 1-25)

・「イシハラとノブエ
について、一言。彼らは村上の小説「昭和歌謡大全集」の登場人物。村上は以前から、日本の一般大衆が自覚なき被支配階級に属する(滑稽なことに被支配階級には政治家・国会議員なども含まれている)、という思想を持っていて、この小説にもそのような思想が色濃く出ている。この本では、支配階級でも被支配階級でもない自由人(かつマイノリティー)として、イシハラたちが描かれている。わかりやすく言えば、自由人とは、社会常識に縛られず自ら思考・行動する人、というような意味だ(村上がはっきりこういっているわけではないが・・・)。北朝鮮の軍人も当然ながら、被支配階級に属する人々で、村上の思想からすれば、自らの判断で行動するイシハラたちに勝利するはずもない。村上は、被支配階級に属する我ら一般大衆をある意味軽蔑しているように見える。しかし、一方で「いつまでも自分で考えず、行動しないと本当に世の中こうなっちゃうぜ」とアフェクションを伴う警告をしているのである。

・「すごい!
時代背景がすでに勉強になると思う、住基ネットや、物流、中央集権、官僚支配など。アメリカに見放され、逆に反アメリカの日本、さらに大国となった中国に怯える日本。核武装に走ろうとしている姿は、何気にアメリカ追随すぎるの現代日本を警告しているのかな?それは、経済や時代に精通している村上龍だからこそかける。

占領軍に立ち向かおうとするのが、いわゆる社会不適合な危ない少年達。

とても凝っていて、壮大なストーリーだと読みながら何度も感心した。特に福岡が舞台なので、福岡人には描かれている風景が普通に浮かび、現実感が溢れる。

この小説を通して、思想が注入されるようだ。同時に知識量、考え方に圧倒された。

面白い。

・「怖い怖い、これは怖い
実はまだ上巻を読んだところです。でも、まずここまでのところでも感想を書いておかないと。

経済、政治様々な分野で疲弊してしまった近未来(と言っても時代的にはもう今になっているが)の、仮想日本国はが舞台です。何もこういうだらしない、国際的に孤立してしまった仮想の我が国ではなくとも、十分に私達はこの国の政治を筆頭とする、社会の仕組みにいい加減うんざりしているのではないだろうか。その、うんざりかげんが特級に進んでしまった、その日本に、対局ともいえる北朝鮮と言う国の、徹底的に訓練を受け、また彼らの思いの中で大きな希望を持っている兵士達が、この国(福岡)に侵略し、これを統治してしまう。国の実務的に機能しないシステムを突いて、あっと言ううちに、ごく少数の兵士達に、ものの見事に侵略される。この為す術もない状況。そして、そうだろうなぁ、と実感できる自分。

いやぁ、怖い。実に怖い。いつあってもおかしくないと思える現実があります。いったいこの状況はどうなって行くのか。この打開の鍵が、どうやら世の中のはみ出者の若者たち。国民皆番号制からもはじかれてしまった(「正常」な世の中からは)どうしようもないと思われた若者たち。ここにキーがあるらしい予感を抱かせつつ、後半に入っていった。

ううう、これは読まずにはおれない。でも、怖い。ほんと怖いなぁ、これは。どこか、「希望の国のエクソダス」にも通じる、自分の立つこの国と言うものの危うさを感じる怖い小説です。

・「本当に読みにくいけれど、とにかく読んで!
特に、物語最初のホームレスの件は、この物語の中で、これらの人がどういう位置づけになるのかが全く見えず、本当に退屈。

・「読みにくいけど星4つ
とにかく読みにくい。どのページを見ても文字がびっしり。内容は面白いのだが、改行が少なく、投げ出したくなる。それでも我慢して読み続けると、今度は睡魔が。この連続で、何とか上巻を読み終えた。村上龍を読むのは、「限りなく透明に近いブルー」以来20数年ぶりだが、こんなに読みにくい作家だったかな。



この本、銀行預金凍結っていうことが出てきて以来、ずっとひっかかってることがあるのだが、住宅ローンなんかはどうなっているんでしょう。それと、給与はほとんどが銀行振り込みだと思うんだけど、そういう人の生活ってどうなってるんだろう。本書のように庶民は平穏に暮らしていけるんだろうか。それらのことが引っ掛かり、なかなか集中できなかった。その分減点。

ストーリー的には、ほぼ先が読めるのだが、どういうだまし方をしてくれるか楽しみである反面、改行のない文字地獄がまだ続くかと思うと・・・。

半島を出よ 上 (1) (幻冬舎文庫 む 1-25) (詳細)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

・「私もこれで会社を辞めました
この本ははっきりいって「麻薬」である。一度読んでみればわかるが、この本を読んだら、今の自分の立場を何もかも投げ捨ててすぐにでも旅に出たいと思うだろう。いわゆる「海外旅行」ではなく「放浪の旅」。普通の短期間の旅行にはない旅のおもしろさが存分に描かれている。特にそれが作り話ではなく実際の話であるということが、圧倒的なリアリティーを持って読者に迫ってくる。それが旅への衝動を強烈に駆り立てるのだ。

私もこの本で、会社を辞めてアジア放浪に出かけました。

・「1巻から2巻のテンションは、読み人を旅人にさせる熱気を放ちます
 私も、この文庫本を読んで熱気に当てられ、香港→マカオ直行した者です。ご承知のように、ここにかかれている時代から驚くほどの変貌を遂げているので、「全然違うじゃないか!」と思う人もいるでしょう。

でも、ちょっとまって!。「深夜特急」はガイドブックでは無いのです。ある青年が放浪のなかで感じた熱気をそのまま文章に刻みつけたモノなのです。だからこそガイドブックとは違う魅力を放つのでしょうし、いまだに読み継がれているのでしょう。

ちなみに、本人が後日書いているように、文庫本では6冊(単行本では3冊)のうち、一番魅力を放ち面白いのは1巻目の部分です(文庫では1-2巻)、シルクロードに入ってからは内省的な要素が増え、ヨーロッパに入ってからは、発刊時期も初期から離れたせいもあってか、やや記録的部分が多くなっています。

ということで、最初の勢いで6冊読み切っても、印象に残るのは香港と、しいていうなら途中出てくるイスタンブールなのかなと個人的に感じます。

・・・それでも、「深夜特急」ほど、読人を旅人にしてしまう本は少ないでしょう。願わくば、この本は「地球の歩き方」的利用ではなく、自分で旅を紡ぎ上げるため起爆剤として使われることをお薦めします。

・「あなたもきっと乗車したくなる
『深夜特急』ã‚'読ã‚"で、もっといろいろな本ã‚'読もうと思った。『深夜特急』ã‚'読ã‚"で、海å¤-に行きたいと思った。『深夜特急』ã‚'読ã‚"で、æ'»å­-の持つ本å½"の力ã‚'知りå¾-たように思った。ã"の書に出会ったのは25歳の夏。それまで読書経é¨"の乏ã-かった私に、ã"の本は強烈な印象ã‚'与えた。あたかも自分が沢木耕太郎になったかのように、マカオのカジノでギャンãƒ-ルã‚'ã-たり、東å-アジアの国ã€...ã‚'縦æ-­ã™ã‚‹åˆ-車にä¹-り込ã‚"だりã-たかのような錯覚に陥ったのだ。ã"のæ-...に沢木氏はカメラã‚'携帯ã-た。æ-...のスナッãƒ-ã‚'おさめるためではなく、経済的に困ったときにおé‡'に換えるã"とができるように。友人からもらったそのカメラã‚'彼は売ろうとはã-なかった。彼はちゃã‚"と写真ã‚'とって帰国ã-たのだ。それでもあえて彼は同è'-で写ç!œŸã‚'使おうとはã-なかった。そのå¿...要はない。彼の発するæ-‡å­-の力はãƒ"ジュアルã‚'å¿...要とã-ないほどに、深夜特急のçª"から見えたあのå...‰æ™¯ã‚'浮かび上がらせるからだ。

・「紀行文の最高峰
中学時代に国語の演習問題として出題されたのがこの「深夜特急」で、先生の強い薦めに従って読んでみました。それ以来私の中の「世界」という概念は、この本の中に広がる風景や人々の生活をもって構成されることとなりました。

現代の日本に生きる人たちの中で、仕事を捨てて2年以上も当てのない旅を続けられる人がどれほどいるでしょうか。これから先、この本の価値は「旅の参考書」から「私たちの願望の代行者」へと変容していくと思います。私自身も日本を飛び出す機会を失ってしまいましたが、私の視界の遥か先にこんな生活をして生きている人たちがいるんだ、と教えてくれるこの本は私にとっての宝物です。

・「大学時代、夢中で読んだ
大学時代、いっぱしのバックパッカ―をきどっていた私は、アジア方面への旅行を繰り返していた。そのとき、バックパックに入っていたのは、この本である。同じく、この本に影響を受けた者たちと、バンコクの安宿で、上海の屋台で、カルカッタの路地でこの本について語り合った。沢木が旅していた頃との風景の違いに戸惑いながら・・・

そう、彼がその地を旅して20年後のことであった。

今では、背広を着て、休みもろくに取れない身。だから一層、あの頃の思い出がこの本とだぶって見える。きっと息子にも読ませるであろう、「お父さんもこんなに輝いていた時があったんだよ」って。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) (詳細)

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)

・「日本中を元気にした「坂本竜馬」
この本が初めて出たとき、日本中が元気になったといわれた本である。小生の先輩などは、自分の経営する店に入れ替わり立ち替わり来るバイトの子に未だに読ませているほどである。

司馬遼太郎自身が、この小説の中で「書いているうちに竜馬が好きになってしまった」といっているが、本当にここに描かれる竜馬は、魅力に満ちあふれている。

「寺の鐘みたいだ、大きく打てば大きく鳴り、小さく打てば小さく鳴る」と、竜馬がその人物を評して勝海舟を喜ばせた、西郷隆盛。

幕末、その西郷隆盛が竜馬に維新後の閣僚名簿の作成を依頼したが、竜馬が完成させた名簿には彼自身の名前がなく、西郷が「おはんの名前がごわせんな」という場面は有名だ。西郷に答えた竜馬のセリフが素晴らしい。「おれは世界の海援隊をやるぜよ」

明治維新の悲劇は、一流の人材が維新までに死去してしまったところにある。そのあたりに、維新後の西郷の不思議な行動の原因があるのかもしれないと常々考えている。

日本も世界も行き詰まった。今こそ、坂本竜馬のような人材が求められている時代はない。

・「時代を超え、力をくれる魅力的快男児
私は活字中毒で、年中何らかの小説を片手に抱えています。年間何十冊と本を読んでいると、読んだことすら忘れてしまう作品もあります。その中で、強烈に心に残っている小説のひとつがこの”竜馬がゆく”です。

文句なしの名作で、よの男子はすべて読んで欲しいくらい熱くポジティブな作品であります。幕末と言う、価値観がひっくり返る時代に生きながら、常に前を見、時代を変えてゆくパワ−には、100年以上を超え、文章から力をもらえます。バブル以前の常識がひっくり返った今、このころに世情が似ているのかもしれません。そんな今だからこそ、竜馬の純粋でパワフルな生き方が必要なのでは?

竜馬が暗殺されるシ−ンでは、作者すら描くのをためらっているようで、その魅力は読んでいる間中魅せられ続けます。

息子もコレを読む日がやってくるでしょう!そのときは二人で竜馬談義に話を咲かせてみたいものです。

・「今の世の中に物足りなさを感じている君へ
今の世の中なんでこんななんだろう・・・

生きててもしょうがねーや・・・

だったらこのまま気楽にいこっかなぁ・・・

まぁ、待てや

10代〜20代、命をかけて駆け抜けた男達がいたことを

知らないまま突っ走るな

丁度、君と同世代の男達がこの日本を世界を

いかに良くするか、真剣に生きた時代があったってことを

見逃してはいけない

彼らあってこその今の時代を感じて欲しい

たまには人の言うことに騙されて欲しい

嘲笑されても結構

でも、非常に近い過去に熱き男達がいたことを

忘れないでほしい

読むか読まないか

あとは君次第だ

・「
 「竜馬がゆく」を読んでから、世界が広がりました。 坂本竜馬へのあこがれ、司馬さんへの尊敬、歴史への興味・・・。 司馬史観ともいわれる著者独特の歴史観に人生観が織り込まれ、この「竜馬がゆく」があなたの世界をどんどん広げていくと思います。 個人的には、この歴史小説の主題は、「志を持つことの重要性」にあると思っています。

・「大人になる前に志を学ぶための必読書
大人(社会人)になる前にこの本を読んでおくことを強く奨める。幕末の動乱期。坂本龍馬の偉業を一言でいえば、尊皇攘夷派と開国派、ポスト政権をねらう薩摩、長州の対立を収束させた陰の立役者。現政権の敵・味方、正義や生硬な理念を振りかざすのでなく、動物的感覚で時流を判断して、世の中の流れに関わっていく志には文句なしに引きつけられる。

彼の判断の価値基準はいったい何だったろうか。文章の表層には現れていないが、それは、教義、イデオロギーではなく、資本主義の経済の論理と感じる。理屈で押し通す長州、薩摩を説き伏せたのも最後は現実的な損得のロジックだった。清河八郎に集められた浪人が行き場をなくしたとき,北海道開拓をその行き先として提案したり、亀岡社中という貿易会社を興して軍事力ならぬ経済力で組織の力をアピールした事から、彼は資本主義が日本の富国だけでなく、社会として国民の利になることを実践した最初の日本人のように思える。

彼が生きていた時代、人を動かす動機づけは、封建制に基づく立場の利害は当然の事として、自分が属する組織との一体感、献身の美徳であった。ゆえに幕末の騒動時に水戸学派のような狂信的な国粋主義が跋扈していたわけで、竜馬がその異様な盛り上がりを冷静に傍観していたのは評価すべきことだ。

思想の異なる藩、国家が連係するには、あくまでも現実的な(経済的な)交渉こそが意味を持つことを竜馬はみぬいていた。

「竜馬がゆく」のあちこちに影のように登場する岩崎弥太郎は、その後、後藤象二郎の庇護のもと、生きながらえて、日本の資本主義経済社会を築いていく。ある意味では竜馬が光だとすると、彼は影のような存在である。歴史の皮肉なところは、光が先に消え、影だけが残ったことだ。

現在の社会もみると、資本主義は世界を譴責し、多くの課題を我々に提示している。これは竜馬が我々に残した課題かもしれない。本書を読んだ若人がその課題を解きほどく志を抱いてほしいと願ってやまない。

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫) (詳細)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

・「忘れられない作品です
 この「アルジャーノンに花束を」は、大学の先生に薦められて読んだ本なのですが、初めて読んだときは、報告文の部分の読みにくさに挫折しそうになりましたが、あきらめずに読み続けて本当によかったと思いました。

 私は本を読んで感動することはあっても涙を流したことはありませんでした。この本も終盤に差し掛かっても淡々と読み続けていましたが、最後の2行を読んだ瞬間に、心の中で何かがいっぱいにあふれてくる感じで、涙が次から次にあふれて流れました。それは単純に感動して泣いたというよりも、複雑な感情で心がいっぱいになって自然と涙があふれたのだと思います。 私は社会福祉学科の学生であり、様々なことについて勉強中なのですが、とても多くのことを考えさせられる作品ですし、ち?れからも考えさせられ、また忘れられない作品です。

・「理屈ぬきで、おもしろい!
知的障害の主人公が知能増強手術を受け、天才になってしまうというSF小説。一応SF小説と銘打たれてはいるが、単にそんな枠ではとらえきれない深いものを含んでいる。

IQとEQの重要性の比較や知的障害をめぐるさまざまな問題などがストーリーの中で浮き彫りになってくる。

知能が高く、自己中心的で孤立した天才と、協調性があり親しみやすい白痴と、果たしてどちらが幸せなのか。人間は知(知識)・情(感情)・意(意思)の3要素がバランスよく備わっていてこそ人間らしいといえるのであり、知能だけが突出した天才が社会でうまくやっていけるとは限らない。高すぎる知能は、かえって弊害を招くおそれがある。数年前からEQの重要性が主張されるようになったが、この本ではそのはるか以前に似たような問題提起をしており、その先見性には驚かされる。

主人公に対する家族の対応の描写からは、障害者をありのままに受け入れることができない家族の葛藤や愛憎が伝わってきて心が痛む。

文句なしの名作。絶対、一読する価値はある。原作も読んでみたが、そちらのほうが感動した。高校卒業ぐらいの英語力があれば読めるので、ぜひ原作も読んでほしい。

・「心優しき男の物語…
このお話が人々を感動させるのは、知能が上がり、再び下がるという経験をしてもなお、この主人公の本質がとても『優しい』からだろう。

しかし、知能レベルの変化はその「表現」を変えてしまう。そして人は「表現」を見て相手を判断する。彼が再び知能を失った時、どれほどのものを失わなくてはいけないのか…。彼の本質が変わっていない事を理解している読者は、そこに涙する。

SFの至宝の一つだ。

・「マジ泣きした(微ネタバレ
「チャーリイの純心さ」「知的障害者への社会の偏見」「人の醜さが見え始め苦悩する様」などの描き方が非常に巧いです。フィクションとは思えないほど、のめり込んでしまいました。知能が高まる過程で、その彼に対する虐めに気付き回想するシーンなど、ダウン症の兄を持つ私には読むのが辛いシーンでした。でも、その描写のリアルさが、より一層この作品を面白くしているのだと思います。

なんか、うまく言葉がまとまりませんが是非読んでもらいたい作品です。この作品を通じて、少しでも障害者の方達への理解が深まるなら嬉しい限りです。

・「Ignorance is bliss?
「知らぬが仏」。本当にそうでしょか?

 作者であるダニエル・キイス自身が「思いやりなき知性は無意味だ」と語っているように、心を置き去りにした現代文明への批判がメインであることは勿論なんですが、それだけではないんじゃないかと思います。まして「勉強なんて何の意味があるの?」と考えるのは、実にナンセンス。 何も知らなければ確かにお気楽である意味「幸せ」だけど、それは本当の「幸せ」ではないし、一人前の人間とは言えないんじゃないでしょうか。知ることによる苦しみを引き受けてこそ人間なんだと思います。  単にバカだった頃の方が幸せだったと言いたいわけじゃなくて、白痴に戻ったチャーリーが現実の醜さを知った上で、それでも勉強しよう、成長し続けようとする姿を描きたかったのだと私は思っています。 チャーリーの向上心、努力する様子に注目すべきです。

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) (詳細)

永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)

・「大長編ながら長さを感じさせない傑作
文庫版で全5巻。最初は気が遠くなるほどの長さ、と思っていたんですが、読み始めたらそのテンポのいい展開にすぐに読めてしまった。

ストーリーは一人の少女と二人の少年を主人公に、過去と現在が交互に進められていくというもの。幼児期に受けた虐待からある事件を起こした彼らが、一度は別々の道を歩んだにもかかわらず、運命の糸に手繰り寄せられるかのごとく再び出会い、止まったままだった時間が動き出す。

二転三転する展開と心の葛藤を描く描写力、飽きさせないスピード感はなかなかのもの。リアルさに欠ける部分は多々あれど、この作品はあくまでミステリー小説、散りばめられた伏線は後半収束し、そして見事に着地する。長さを感じさせない傑作だと思う。

・「「力」がみなぎった作品
2000年度版このミス10 1位。 1999年文春ミステリーベスト10 2位。 2000年 第53回日本推理作家協会賞長篇部門第121回直木賞候補作品

作者の代表作品。直木賞の選考では、選考委員の大先生方に「作品が長すぎる」「子供同志の会話が子供らしくない」等々の評価を受けたようであり、実際読んでみると、なるほどその通りである。しかし、その不器用さゆえ、読者に強いメッセージが伝わっているように思う。作品自体は過去と現在に起きた殺人事件を軸に展開するミステリーとなっているが、まず作者が作品を通して伝えたいメッセージがあり、その表現方法としてミステリーを選択したように感じた。とにかく「力」がみなぎった作品である。

・「待望の文庫版、今後はどうなる?
 待望の文庫版。「家族狩り」が文庫書き下ろしで今年刊行されたように天童荒太イヤーかも知れない。自分は文庫で初めて読むのでまだ続きを知らない。これだけ読んだ感想を書くと取りあえず「家族狩り」の文庫版と同じように今後が楽しみだ。

 12歳の頃を偶然出会い共に過ごした3人の男女が、18年の歳月を経て再会する。「会ってしまったのか?」と誰もが疑う。これからの展開を示唆しているようにも見えるセリフ。現在と過去の物語が交互に語られる。一巻は再会でもあるし初めての出会いもある。

 冒頭の導入部分が印象的だ。今後これがどのようなイメージで浮かび上がって来るかが楽しみだ。しっかり現場に足を運び緻密に計算されているあたりは作家らしさ。とにかく最初から読者を惹きつけて放さない、と言う感じだし実際離れない。

 人は変わっていない。変わるようで変わらない生き物である。とでも作家は言いたいのだろうか。実際そのようにも思うし過去と現在で結びつく物はある。更に言えば意外な事実は変えてしまう要因にもなる。出会ってしまった3人は、それぞれがそれぞれの思いを抱き、葛藤する。

 逆に幼い頃の出会いはどうだろう。と思うのだがまだそこまでは語られていない。大人になった少年少女。少女の頃の優希は、今後どのように大きくなるのだろうか。何を経験するか。興味は尽きない。

・「今問い直す生きることの意味
読み終えた後、呆然とし、しばらく動けなかった。ミステリー要素がありながらも深く、深く、生きることの意義を問い直す作品。

海辺の病院の児童精神科に入院する3人の子供たち。お互いを奇妙なあだ名で呼び合い、人には明かせない暗い過去を背負う彼らは、「神の山」石槌山に救いを求める。神の山で何が起こったか。そして18年後、彼らは再び出会った。再会はさらなる悲劇の始まりか、それともようやく訪れた救いの時なのか。

過去と現在を往復しながら進展していく物語。3人の再会が引き金になって起きる事件の数々。全ての始まりであった過去の悲劇が次第に明らかになっていく。

児童虐待、老人医療・・・僕たちが直面するこれらの重大な社会問題を背景にしつつ、「家族」のあり方や「生きることの意義」を読者に問いかけてきます。

主人公3人がたどり着いたのは絶望なのか、救いなのか。是非本作品を読んだうえでご自分でも判断してください。

・「
 親はいつまでたっても親であり、仔はいつまでたっても仔である。  親の方からはある程度子供を選択できるのに対し、子供にその選択肢はない。またその気になれば親が仔を捨てることは可能だが、仔にそれは不可能だ。そして如何に親が気に入らなくても、子供はそれを受け入れるしかない。対等な関係なんて存在しない。選択肢など最初からありはしない。 多くの人は親と子の関係を意識するにせよ、しないにせよ、受け入れている。そして多くの場合それで問題はない。しかし・・・ この本の内容は他の人のレビューを読めばわかると思うのでここでは触れない。代わりに次の一節を載せておきたい  <「お父さん、教えてください。どうして僕はお父さんを愛さなければならないのですか?お父さん、なぜ愛さなければならないのか、証明してください。」> そして、もし父親がちゃんと答え証明することができるなら、それは神秘的な偏見だけの上にではなく、理性的、自覚的な、厳密に人道的な基礎の上に確立された、正常な真の家庭なのです。反対に、もし父親が証明できない場合には、その家庭はとたんにおしまいです。彼は父親ではなく、息子はそれ以後、自分の父親を赤の他人と、さらには敵とさえみなす自由と権利を得るのです。 ~カラマーゾフの兄弟より~

 この本は分量は多いかもしれないが、無駄なことは少しも書いてはいない。都合の良い展開など起きはしない。だが大切なことが、とても大切なことが詰まっている。

永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫) (詳細)

血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫)

・「読む者を圧倒する骨太の骨と、熱い血
こんな人が家族にいたら絶対に嫌だよね。近所にいるだけでも嫌だ。でも、その生き方には何故か引き付けられるものがある。そんな主人公、金俊平の一生を書いた作品。

作者の実父がモデルとされているだけあって、小説として誇張されている部分もあるのだろうが、その存在感、リアリティーには圧倒される。

物語は1930年頃の大阪から始まる。力で自分の好きなように生きる金俊平。何故か無理やり妻にされてしまった英姫。金俊平に振り回される親友の高信義。

金俊平の野放図な生き様と共に、貧しいながらも、互いに助け合いながら生きる在日朝鮮人の生活が書かれる。その助け合いの精神は殺伐とした現代では考えられません。

小説の技術としては、視点が定まっていない部分があります。だけど、そんな欠点も気にならない位、この作品には読む者を圧倒する骨太の骨と、熱い血が流れています。凄い作品です。

・「悪漢小説に震撼
映画「月はどっちにでている」の原作者、梁 石日が満を持して、書き下ろした悪漢大衆小説。読者のストーリー展開を次から次へと突き放す暴力と破壊を繰り返す主人公。著者の父がモデルとされているが、これまで聖域だった在日文学がこの悪漢小説で解き放たれた感がある。戦後の在日の人々の無法地帯での苦渋とそこを行きぬくための生=欲望。

・「おもしろくないけど、止まらない!
 第11回山本周五郎賞受賞作品。 第119回直木賞候補作品(この時の受賞作品は車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』)。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1999年版 13位

 私は本書を読んでいる時、常に重低音のおどろおどろしい音楽が自分の周りで流れているかのような錯覚を覚えました。本書の内容は本当におどろおどろしいです。

 そして、おどろおどろしいかつ重い内容なので、本書を読んでおもしろかったり、感動したりすることはまずないと思います。 しかし、私は本書に綴られていることに対して興味が尽きず、一気に読破してしまいました。 一見矛盾しているようですが、このようなことが成立するのは偏に著者の力量によるものだと思います。 おもしろくはないけど、読み始めると止まらない本書独特の世界へ是非足を踏み入れてみてください。

 上巻である本書では世界大恐慌の影響から空前の不景気に見舞われる日本が戦争という泥沼に足を踏み入れる頃から太平洋戦争の終結までが綴られています。 全ての人が時代の波に翻弄される中、金俊平は身一つで我が道を行きます。 極道も警察も恐れる鬼神のごとき金俊平。 彼の生き様には興味が尽きません。

 下巻の方にもレビューを載せようと思っていますので、参考にしていただけると幸いです。

 ソレデハ…

・「暴力とカネのみを信じた男の末路
「人間死ぬまで生きるだけだ」主人公の父親は、暴力とカネだけを信じて、周りの人を全員不幸のどん底へと突き落としながら生きていきます。その超人的な暴力ぶりは非現実的であるものの、著者の迫力の描写によって、非常なリアリティーを帯び、読みながら恐怖のどん底へと突き落とされていく気分になります。まるで恐怖映画を見るように、次はどんな恐ろしいシーンが待ち構えているのかと貪るように読んでしまいました。しかし、無敵の暴力を誇る父親も年齢と病気には勝てず、自らもどん底へと落ち込んでいきます。いい気味だと言うのもあまりにも哀れな末路。チカラとカネの無力さを実感させる名著であります。

・「こんな時代があったことを忘れないでおきたい
 騒乱の時代、昭和初期から中期にかけて、ある一人の、鬼をも凌駕する男、金俊平の血塗られた行き様を主体に、その時代に生きた朝鮮人社会の人間像絵巻。 凄まじいまでの暴力と、騒乱の時代にとても言葉では言い表せないような衝撃を受けるのは間違い無いでしょう。淡々と描かれる修羅のごとく進む物語りに、現代の社会がいかに腑抜けて平和かがわかります。 著者の父がモデルという事もあり、限り無いリアリティを感じ、ページを捲る手はとまる事の無い吸引力があり、読み終わった後の疲労感は、その時代に生きたかのような錯覚感を覚えます。 表現的に少々惨い描写(乱闘シーンは圧巻。英姫逃避行のシーンは只々呆然)が多いのですが、そこを我慢して、沢山の人々に読んでもらいたい小説です。その時代は確かにあったのだから。現代に欠けている何かを感じ取れる小説だと思います。

血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫) (詳細)
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