ゴールデンスランバー (詳細)
伊坂 幸太郎(著)
「伊坂ミステリーの妙を堪能しました」「過去を称えるやさしさにあふれている傑作」「新作は大作。伊坂幸太郎氏の作家人生における注目すべき一書!」「事実は角度が360度あるのです。」「あとからじわじわと」
「自転車ロードレースの物語」「評判どおり(私は自転車乗り派です)」「自転車ロードレースという新ジャンル」「エースの本質」「切なく、悲しい…」
「奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ」「飄々としていて痛快。楽しかったです。シリーズ第二部にも期待しましょう」「面白い」「誰にもまねできないモリミワールド」「ぷりぷりのけぽっ」
「本気の淋しさ」「悪人は本当に悪人だろうか」「クライムノベル」「非常に考えさせられた本でした・・・」「聞きたいのです。」
「正に映画愛に満たされた快作。心ある映画ファンは必読ものです!」「映画が観たくなる」「ここ何年かで一番泣けた本」「心に響く映画篇・・・ぜひ続編を!!」「いい小説を読みました」
「すべてを捨てても、だた一つ大切なものを守りたい強さ」「泣ける」「ラストが素敵!」「引き込まれました。」「子供が愛しい。」
「連なるもの」「語るべきことが無いのに共感してしまった」「鳥取言葉で書かれた大河小説」「戦後から未来へ貫く烈女の系譜」「長いのにちっとも厭きないとこがスゴイ」
「地理描写が正確で驚きました。」「万城目はいま、一番勢いのある作家であることが証明された作品」「とぼけた味の奇想天外エンターテイメント」「今年面白かった本暫定1位」「直木賞もんです」
「生理的には受け付けませんが。」「父と娘」「間違いなく万人向きではないが、紛れもない傑作!」「染み付いた匂い、絡み合う魂」「がんばらなくても手に入るもののために、誰も、がんばらないだろ」
カシオペアの丘で(上) (詳細)
重松 清(著)
「許し、成長そして浄化 澄んだ心を取り戻すために」「これは恋愛小説ですね。」「同世代の人達には特に薦めたい一冊」「自分を許せるか」「素晴らしい!」
カシオペアの丘で(下) (詳細)
重松 清(著)
「最後まで、泣かせます。」「幼き日の輝き」「木馬と観音と星々の紡ぐ物語」「下巻は一日で読了」「北海道の雪」
● 僕の本棚
● ちちんぷいぷい 本屋さんのコーナーで紹介された本 H19.10.4〜
● 読みたい本
● VISA Japanの雑誌2008年9月号から 大人味のスポーツ小説
● 自転車もの
● 自転車について
● 読書日記3
・「伊坂ミステリーの妙を堪能しました」
杜の都・仙台を舞台に、仕組まれた首相暗殺事件の犯人に仕立てられた男が、必死の逃亡者として逃げ切り、生き抜こうとするストーリー。
謀略者や警察、マスコミによって作り出された男のにせの姿が、男をよく知る親友たちと主人公が関わっていくなかで、真実の姿へと変わっていく。最初のうちは、虚像として映っていた絵をばらばらにして、あるべき場所にパズルのピースをはめこんでいくと、最初の像とは全く違う青柳雅春の実像が浮かび上がってくる、そんな感じ。ぱたり、ぱたりと、主人公・青柳雅春の虚像が引っくり返されていく展開が小気味よく、絶妙でしたね。
暗殺事件の真相は、事件当時のものとは違っていたことを明らかにした上で(事件から20年後の話を描いた後に)、黒い霧の中に葬られた事件を、カットバックを巧く使いながら描き出していく話の展開、伏線の生かし方も見事だったな。 殊に、青柳雅春の必死の逃避行を描いていく中に、彼と親友、恋人との思い出の光景が差し挟まれるところがよかった。容赦のない、冷酷無惨な謀略事件と比べると一層、彼らの脳裏に浮かぶ思い出の風景が、あたたかく輝いているように見えました。
久しぶりに読んだ伊坂ミステリー。これは面白かった!
・「過去を称えるやさしさにあふれている傑作」
伊坂幸太郎の小説のすごさは、構成力だと思う。点と点がいつしか線となり、大きなうねりを持って迫ってくる。そんな文章力が、一番の魅力だと思っていた。でも、今回の作品は、そんなことがちっぽけになるくらいに愛に満ちあふれていた。くだらない時間を一緒に過ごした学生時代の友人、そして一度別れてしまえば最も遠い存在になってしまう“元カノ”が登場するわけだが、時を経てもなお彼らの間に流れる“信頼感”は、目の前のとんでもない状況を凌駕するくらいに深い。自分の軸の所在をきちんとわかっているというか、自分の中の優先順位にきちんとケリをつけられているというか、そういう潔さに胸が熱くなる。変わっていっても、同じように大事なもの――その深さに胸を打たれた。話の軸は首相暗殺事件なのに、変わっていくことや、過ぎてしまった時間を称えるような優しさにあふれている大傑作です。
・「新作は大作。伊坂幸太郎氏の作家人生における注目すべき一書!」
伊坂幸太郎氏の最新作だ。帯には「伊坂的娯楽小説突抜頂点」と明記されているが、たしかに彼自身の持ち味が十分に活かされた読み応えある作品だった。個人的にジョン・F・ケネディ暗殺事件には関心があったので、それをモチーフにした本作品の展開構成には最初から惹かれるものがあった。さまざまなシーン・会話が見事に繋がり、立派なオーケストラの演奏を味わっているような感覚に浸ることができるのは伊坂氏の筆力である。タイトルも印象的だった。
首相暗殺の濡れ衣を着せられたある男と彼を偶発的に応援するかつての友人達らとの触れ合いに多くのことを考えさせられた。しかも500頁を超える大作であるため、読了するまでに意外と時間がかかった。一気に読み終えた読者もいるかもしれないが、私には大変だった。興味深い作風・内容であるとは思いつつも、途中で頓挫してしまうのではないかと幾度も危惧した。今こうしたレビューを書いているのは、きちんと最後まで読み終えたからである。当然のことではあるが、今回ばかりはそれが何より嬉しい。
「第四部:事件」がとにかく長い。自分が「逃亡者」にでもなったスリリングな気分になるが、関心事は「最終的にはどうなるんだ?」という一点だ。十二分に読者を引っ張っておいて、「第五部:事件から三ヵ月後」のコンパクトな締めくくりがかえって心地よかったりする。最後にもらった「たいへんよくできました」というスタンプは一体どんな意味を持っているのか。このエンディングに私は安堵した。そして伊坂氏の人間らしさを何となく垣間見たように思うのである。伊坂的娯楽小説の貫徹ともいうべき本書のメッセージとは何か。本書を通じて作者は読者に何を感じ取ってほしかったのか。「娯楽=エンターテイメント」という単純な話ではないだろう。「現時点の集大成」というから、今度も彼の作品は進化を遂げてゆくということだろう。私なりに注目していきたい。
・「事実は角度が360度あるのです。」
先ほど読み終えました。全米が興奮!首相殺害の無実の罪を被せられた男が、巨大な陰謀からいかにして逃げ切るか!!
・・・という見出しがたいていはつくのでしょう。帯もそんな感じでした(最悪・・・笑)
ですがこの作品が本当に警告している恐怖はそんな陳腐な言葉ではなく、人ではない、なにか大きな巨大な、個人をいとも簡単につぶす黒いものです。そして足下に忍び寄る監視社会と、報道によっていとも簡単に歪む事実、私たちが情報に踊らされている現状です。
自分の中の先入観とか、疑わない悪い意味での純粋さとか単純さを、明確に自覚させられる恐ろしい、でもものすごく面白い小説。もちろん娯楽物としても面白いですが、是非とも単なる娯楽に終らない読み方をしてください。
たまに、ニュースを鵜呑みにする単純な人に呆れる時があって、是非ともこの小説をぶつけてあげたいです笑。
今までの伊坂さんの作品と比べ、誰もおちゃらけてなくてちょっと異質。「魔王」が好きな方にはおすすめ。ホントどんな小説もかけるな〜伊坂さん!凄い!
・「あとからじわじわと」
伊坂氏の他の作品同様、ストーリー展開は抜群。あとは愛すべきサブキャラの多さも本作品の魅力。読み終えた直後は、他の作品のような爽快感や切ない感動が薄いように感じられたが、「おもしろかったなぁ」という感覚があとからじわじわとにじみ出てきた。
・「自転車ロードレースの物語」
他の方も書いているが、「ミステリー」だとか「サスペンス」を期待して読むのは間違いだろう。これはいわゆる殺人や犯人探しの物語ではないから。
しかし、そんなことは面白さとは関係ない。これは「サイクルロードレース」という、日本人にはまだ馴染みの薄いスポーツに人生をかけていこうとする若者の物語。ロードレースならではのルール、組織、葛藤、問題をこれほど見事に盛り込んだ「小説」が日本でやっと生まれた、記念すべき作品ではなかろうか。
主人公は自転車ロードレースのプロチームに所属する「アシスト」。アシストとは、リーダーたる一人の選手の為に走る、支える存在。でも、彼らがいるからこそ、リーダーは勝利への責任を負っているのだ。「サクリファイス(犠牲)」とは、はたして何なのか、そして誰なのか。最後まで気をゆるませない展開と、可能性に満ちたラストシーンに、読後は知らずに涙していた。
ロードレースのファンなら、読んで損なし。そして、これからロードレースを知る人にも。
・「評判どおり(私は自転車乗り派です)」
自転車ロードレースの世界が書かれているので読みました。 序章の出だしはこう始まります。「静かだと思った。日本語とフランス語の入り混じった怒号と、近づいてくるヘリコプターの音やオートバイのエンジン音、耳元で誰かがが成り立てているのに、なにも僕の心には響かない。んrつに出とけたアスファルトに、少し筒赤い血が広がっていく、、、、、、、、、、、、、、どこからやりなおせば、この結果が避けられるのだろう」 とあります。この序章は下手だなあと思ってましたが、うまく私は最後近くまでだまされてしまいました。(だまされたという意味では、タイトルのもつダブルの意味にも)というのも、思った何倍も自転車に対する描写が正確なんで、そちらに気を取られていました。いや完敗です。
・「自転車ロードレースという新ジャンル」
おおう。こんなに面白いなんて。ラジオのブックレビューで「今年のこのミスでは、必ずや上位にランクインする本です」と断言されて、思わず買っちゃいました。 自転車ロードレースという、日本にはなじみの薄いスポーツを素材に、とても魅力的な物語が完成しました。自転車ロードレースの特徴と魅力が、物語の根幹に深く食い込んで、素晴らしいと思います。 だって、’自転車ロードレースの期待の新人の成長物語‘と聞いたら、読書好きの皆さんなら、読みたくなるでしょ。ツール・ド・フランスって聞いたことあるけど、どうなの。日本人競技者にとってはどんな感じなの。んで、世界の常識としてはどうなの。 知的好奇心と、サムライ魂を満足させる、極上のサスペンス・ストーリーです。もちろん、掘り下げの浅い登場人物は出てきます。ボリュームからしてしかたないです。でも、こういう適当な厚さの良書っていうのは、私は断然支持します。
・「エースの本質」
この物語の真の主人公は、アシストのチカではなく、エースの石尾だ。
彼にとって、「勝利」とは何なのか。
アシストのチカは、単なる語り部にすぎない。
エースの石尾の生き方が、強烈で、そして爽やかだった。
「非情にアシストを使い捨て、彼らの思いや勝利への夢を喰らいながら、 俺たちは走っているんだ」
エースとしての勝利への執念。そしてその彼が、最後に選んだ行動とは。。。
エースの石尾を、もっともっと見ていたかったよ。
・「切なく、悲しい…」
サクリファイス=犠牲というタイトルに内容が、よくマッチしてました。自転車のロードレースのお話ね。全くこの分野って知識がなかったのだけれどもその面ではいろいろと知識を持つ事が出来て面白い!!
でも…。全体の内容としては、悲しすぎる…。一途に命をかける選手の姿。そして、互いに思いやるその気持ちが、あまりにも痛々しい。厳しい世界だからこそアスリート精神が、自己や他人を犠牲にしてまでも一とされる。ぜひ誰かにお勧めしたい作品でした。
・「奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ」
人間・天狗・狸が暮らす街・京都が舞台。京都という地の持つ奥ゆかしく味わいのある風景がこの3つの種族が共存する不思議さと見事にマッチしています。
はじめは相変わらずのモリミー節のバカバカしさに呆れつつも楽しく読んでいたのですが、父の死の真相がわかるにつれて怒涛の展開に!いちいち驚きの声をあげ、愛すべき毛玉たちに声援を送りながら熱い気持ちで読みました。
奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ、この3つの絶妙なバランス感。そして主人公がかわいい狸だっていう力の抜け具合。バカバカしさをしっかり保ちながらも感動させてくれるから凄い!
巻末では第二部の始動が大きく予告されてあり、今後も毛玉4兄弟の活躍から目が離せません。
・「飄々としていて痛快。楽しかったです。シリーズ第二部にも期待しましょう」
洛中を舞台に、天狗、人間、そして狸の眷属が三つ巴、縦横無尽の大活劇を魅せてくれる面白小説。
往年の天狗力、今いずこの赤玉先生。半人間、半天狗の美女・弁天。四匹よれば、時には百人力の狸魂を発揮する下鴨(しもがも)四兄弟。下鴨ファミリーとは宿命の抗争を繰り返す夷川(えびすがわ)ファミリーの金閣、銀閣の兄弟。などなど、登場するキャラクターたちの、のほほんとした言動と化かし合いが、なんとも飄々としていて痛快。楽しかったです。
また、『夜は短し歩けよ乙女』を彷彿させる、森見ワールドならではの歌い、踊り、流れるような筆致。ひょいひょいとつながって行くエピソード、その連係プレイがとってもイケてる話の展開。そういうところが、実にいいんだなあ。 終章の話の疾走感などは、遊園地で人気のアトラクションに乗ってるみたいな、スリリングな楽しさがいっぱい。帯の背表紙のところに書いてあるとおり、「面白きことは良きことなり!」であるなあと、存分に堪能させられました。
下鴨ファミリーを結ぶ強い家族愛にも、ぐっときました。そのほろりとさせられる味わいは、忘年会で鍋料理をはふはふ言いながら食すのにも似たあたたかさがあったなあ。
幻冬舎の「パピルス」、2005年10月号〜2007年2月号に掲載されたものに、書き下ろしを加えた作品。 この話につづく「有頂天家族」シリーズ第二部、第一話「二代目の帰朝」が、2007年10月27日発売の「パピルス」15号に掲載予定の由。待て、しばし。楽しみになってきました。
・「面白い」
狸と天狗と人間の話。
最初は登場人物(狸か)の紹介と状況説明が続く内容でこれは面白くないかも・・・なんて思いましたが、やはりそこはモリミーです。中盤から後半にかけて一気に読ませる面白さ。
もう、なんというか、阿呆さ爆発。出てくるキャラクターたちが非常に人間っぽくて、狸のくせに(笑)。周りにもこんな人、いや狸?、いるなぁ〜なんて。人間をキャラクターにして書いていたらありきたりな物語になってしまうところを狸や天狗を主役に持ってくることで、あっさりと面白い話に変えてしまう、そんなモリミーの筆力というか発想に感服。
狸たちがかわいくてしょうがありません。その化けっぷりも、叡山電車に化けて街中を走り回ったり、如意ヶ嶽に化けちゃったり、丸ごと蕎麦屋に化けちゃったり、どこまで妖力あるんじゃい!って突っ込みたくなるほどでした。そんな狸でもあっさり狸鍋になっちゃったり。ところどころ笑えるツボがしっかり抑えてあるし、また、親子兄弟の愛情考えさせられたり。ほろっとさせられたり。上手すぎです。
第2部も始まるようです。これから下鴨4兄弟や赤玉先生、弁天に何が起こるのか、楽しみですね。
・「誰にもまねできないモリミワールド」
森見作品はどれもおもしろいので今回も楽しみにしていましたが、期待を裏切らない作品でした。特に中盤以降はストーリーがどんどん展開して、あっという間に読みきってしまいました。風変わりな設定だけに頼らず、物語の中身や何気ない表現にも工夫があって、小説としての完成度は今までで一番な感じです。奇抜な設定と独特の文体を使い、頑固に京都という舞台にこだわり…他のどんな作家にも追随できない王国を築き上げているのが本当にすごいです。これからもこの作風を貫いて頑張ってほしいです。
・「ぷりぷりのけぽっ」
面白きことはよきことなり!!
ファンタジィである。しかしある意味謎ときミステリィであったりもする。
京の都には 人間と天狗と狸がいる。そしてそれぞれ三つ巴になりくんずほぐれつするのである。
糺の森に住む狸の4兄弟が 宿敵夷川親子と知力を尽くして戦い抜くのである。
と、言うとなんとも血なまぐさく聞こえるが(実際、兄を騙して狸汁にして人間に食わしちゃうくらい意外とノアールだったりする)そこはほれ、モリミーだからもう阿呆の血が騒ぎまくり七転八倒呉越同舟捲土重来樋口一葉なのである。
いやぁ もうなんとも面白いのなんのって読み出したら止まらないんだから。特に最終章のスピード感ったらジェットコースター並だから。
あちこちにちりばめられた森見的エッセンス健在。偽電気ブランやら怪しげ隠居やら腐れ大学生やら、キュートな擬態語やら…もうぷりぷり けぽっなのである。
あぁ 言葉にならないくらい 有頂天な小説なのだ
●悪人
・「本気の淋しさ」
吉田修一の集大成のようだと思いました。今までの小説のいろんな要素がいい具合に盛り込まれています。
嫌な役でも嫌な事でもなんでも引き受けてしまうのが当たり前になっている祐一の、底なしの優しさが切なかったです。自分が犠牲になることの苦痛なんかより、おいてきぼりにされることの恐怖がずっと大きい。祐一の優しさと淋しさが見事に表現されているラブシーンがとてもよかったです。祐一も光代も、ほんとうに淋しかったのです。
・「悪人は本当に悪人だろうか」
吉田修一作品が好きで、ミステリーも好きなら、これはちょっと興奮してしまう一冊です。
この作品を前半・中盤・後半と分けると、前半あたりですでに犯人が分かり、後に残ったこの大量のページにはいったい何が書かれているんだろうと、訝しく思いました。犯行までの詳細が、ちょっと退屈になるくらい丁寧に書き込まれているくらいかなと思いながら期待せず読んでいたのですが、逆にどんどん引き込まれていきました。
生きていると「知人」と呼ばれるひとが周りにたくさんできてくるけど、自分はそのひとたちをどれだけ知っているんだろう、とちょっと考えさせられました。また、メディアが一方的に発信する情報をただそのまま受け取る怖さにも改めて気づきました。多面的で複雑な要素で成り立っている人間性を果たして他人が断じることができるのか、断じていいものか、とても深いところが書かれていると思います。
おすすめです。
・「クライムノベル」
これまでの吉田修一とは、明らかに違う。峠。殺人。ハイウェイ。灯台。逃避行。驚くほど面白くて一気に読んだ。凡百のミステリーよりもドキドキさせられたのは、作者が「事件」ではなく「人間」を描き切っているからか。失意の中での勇気。殺された娘を憶う父親の台詞が哀しく、そして強い。読後、ガツンとくる傑作。
・「非常に考えさせられた本でした・・・」
朝日新聞を読んでいないため、新聞に連載されていた小説ということは本を手にとって初めて知ったのですが、作者が「ようやく代表作(?自信作?)といえるものが書けた」というだけあって、非常に楽しめました。
関係者の供述が其処此処に入るという組み立てられ方をしていることもあり、小気味よい展開と相俟って、あっというまに読んでしまいましたが、読み終わって、そのタイトルの意味するところ、非常に考えさせられました。読んだ方と内容について語りあいたくなる本です。
・「聞きたいのです。」
読書は自己完結するほうなので、他人の感想とか、あまり興味がない。なのに、この本を読んだ後、無性に誰かと、この本について話がしたい、と思った。
なぜ、この物語のタイトルが「悪人」なのか?途中まで浮遊したままだった、この「悪人」というタイトルが、最後にずっしりと、自分の中に沈澱してくる。
そして聞きたいのです。
この物語で締め括られる「?」のように、誰かに聞きたくなるんです。
●映画篇
・「正に映画愛に満たされた快作。心ある映画ファンは必読ものです!」
いい!すごくいい!金城一紀の新作は、何よりもまず一映画ファンとして喝采と賞賛を送りたくなる快作だ。小説の世界で、映画や音楽のタイトルで綴られた連作集というのは稀に見られる。その中にはその題名のみを借用して“映画”や“音楽”について殆ど語られない犯罪的なケースもあるのだが(笑)、今作はタイトルとして使われている5つの映画がその物語に密接に関わり、しかも最後にはメビウスの輪の如く連環していくのが嬉しい。しかも、ここで描かれているのは、友情であり、心優しさであり、純粋さであり、切なさであり、そしてもちろん愛である。これって、まるで“映画”そのものじゃないか!金城版「帰らざる日々」の様な、しかし、こちらのラストは、“リプリーが生き残るような”ハッピー・エンドな「太陽がいっぱい」のノスタルジックでセンチメンタルなムードに胸が熱くなり、「ドラゴン怒りの鉄拳」での映画マニアのビデオ店員の優しさに心打たれ、「フランキーとジェニー」の主人公ふたりの若さゆえの脆さと鬱屈感の先に見える切なさと痛みと男気に泣き、「ペイルライダー」の片親の子供の淋しさと健気さと黒いライダーの映画的HEROぶりに心ふるえ、「ローマの休日」の気恥ずかしくなるような一途さに思わず微笑んでしまう。全編映画への愛で貫かれた今作の中で、唯一コケにされ続けた映画が果たしてどんなジャンルのモノであったか、筆者への共感を感じつつ、映画ファンは必読の1冊と言っておきたい。
・「映画が観たくなる」
金城さんは映画をものすごく観ている、だけでなく、映画をものすごく愛しているんだってのを、深く感じさせる作品たちです。登場人物の一人が言う「映画を批評するようになってしまうのでなく、映画を楽しみたい」という思いは何より金城さんの本音なのかもしれません。登場する96本の映画をスタッフが片っ端から観てレビューを書くという企画が集英社の公式サイトで行われていますが、どの映画も是非とも自分で観たい欲求がわいてきます。
5つの中編はあちこちリンクしていますが、全体を通して一つの物語が浮かぶというよりは一つの出来事がそれぞれの人生のどんな1ページだったか、という多面的なものに感じられます。私は最後の話「愛の泉」が最も好きでした。これを読んでから改めて内表紙を見ると、じんわりと胸が熱くなります。
この夏一番読んでよかったと思った本でした。
・「ここ何年かで一番泣けた本」
本の扉に置かれた『ローマの休日 上映会』のポスターが、収録作品を読んでいくうちに、あたたかな光を帯びて輝いてくる、そんな連作短篇集。 面白い映画を通して心を通わせていく登場人物たちがいとおしくて、肩をぽんと叩いたり、ぎゅっと抱きしめたくなったりしました。
五つの話のなかでも、最初の「太陽がいっぱい」での主人公と龍一(リョンイル)の友情を描いた話と、おしまいの「愛の泉」での鳥越ファミリーの話がよかった! 何度も目頭が熱くなって、涙がこぼれました。ここ何年かで読んだ中では、たぶん、一番たくさん、涙を流した本だと思います。
登場人物たちにとって映画の存在がかけがえのないものになっていること、町内のある店やなんかが共通して出てくること、上記の8月31日(日)の上映会が話の中で大切な意味を持っていることなど、五つの話のそれぞれがどこかでつながっている辺りの趣向も、とても面白かったな。
映画好きの方で、まだこの本を読んでいない方には、「ぜひ読んでみて!」と、おすすめしたくなった一冊。めっちゃ感動して、あちこちで、胸がいっぱいになりました。
・「心に響く映画篇・・・ぜひ続編を!!」
発売後、書店にて手に取り、第1章をチラッと読んでみました。するとどんどん話に引き込まれていくので、「これは買わないともったいない!」と思い購入しました。その私を惹きつけた第1章は男友達の物語ですがとっても切なくて、切なくて久しぶりに読書で涙が流れました。すぐに感動したり熱くなったりした若い頃と違ってどんどん感動する機会が減っていっているなぁ、と思うのですが作者の物語はどれも心に響き、しばらくその余韻が続きます。心の中に暖かい力を湧き上がらせてくれるような物語を作り続ける作者には、これからも良い作品を作り続けて頂きたいです。今度は初のドラマ脚本だそうですが、これもまた楽しみです。
・「いい小説を読みました」
この作品に出てくる映画・・・どれも見たことないんだよね〜。唯一、『ローマの休日』だけは知ってるけど、ちゃんと見た記憶がない・・・。まぁ、それは抜きにしても楽しめる作品でした。
映画を知らないので物語と映画のどの部分がリンクし合ってるのか、ぜんぜん分からないんだけど、最後の物語以外はそれぞれある二人の人物を軸に物語が進んでいき、その二人の間に必ず『ローマの休日』が関係してくる。最後にようやく、この5篇の物語が連作短編のような作品集だったことに気付く。あ、あの少年はこの作品の中に出手来る少年だったのか、とか。うまいなぁ〜。
同じ時間同じ場所で全員が『ローマの休日』を観てる。それぞれがそれぞれの想いを胸に抱いて『ローマの休日』を観てる。それぞれの物語を読んでいるだけになんか妙に心が温かくなってくる。
どの作品も胸が熱くなるような、それでいて心穏やかになれるような、そんな作品たちでした。
・「すべてを捨てても、だた一つ大切なものを守りたい強さ」
不倫相手の赤ん坊を誘拐して逃げる女。どうしようもない男のために人生棒に振ってバカだな・・・と、どこか冷めた視点で読んでいたのですが。中盤、追い詰められて、迷うことなくなにもかも捨てて逃げ出そうとするところでなぜか、不意に泣けてきました。ほんと突然に、何かが私の中で弾けたように。その後も、ずっと、心を揺さぶられるというか。(陳腐な表現しかでない自分がもどかしい)
もしかしたら私が今現在、女で、小さな子供がいて、夫がいて、住むところがあって、平穏に暮らしていられるからかもしれません。そんな平凡な日常を、どんなに願っても手に入れることのできない主人公の、「ただこの子と一緒にいられるだけでいい」という強い思いと行動は、私に何かを訴えてくるのです。主人公は犯罪を犯し、身勝手な行動で周りを不幸に巻き込んでいるのだとしても、とりあえずそれは置いといて、今この瞬間の、二人の幸せが続いたらいいのに、と思わせます。
捨てられないものだらけなのに、持っているものの大切さも理解していない。そんな自分に気づかされた一冊です。
・「泣ける」
この本を読み終えた時、泣いていた。べつにどの登場人物に共感するわけでもないし同じような体験をした人もいない。妊娠もしていないし、堕胎もしていない。内容的には辛辣な部分が多くある。しかし何故だが、読み終えた時とても優しくせつない気持ちになるのだ。角田光代さんは、全作品通して言いたい事は同じような事に思える。女同士の友情、母親への懸念、めぐりくる立場の変化、家庭、主婦、そういったものだ。この作者の作品で「彼女のこんだて帖」という、ほぼ自分のエッセイも混じっているのかもしれないと思わしき母親への気持ちを、料理という題材を使って書いたものがある。それと同じように、この八日目の蝉でも、「家庭の味」「料理」といったものがリアルに描かれている。彼女の書く文章や人と人とのやりとりには温度があるのだ。じめっとした、女同士の閉ざされた世界で守る永遠の処女性のようなもの。それを尊く思う気持ちと毛嫌いする気持ちが混在するのは何も少女に限った事ではない。大人になってもなお、それをひきずったまま殻から出られない女性を書かせたらこの人の右に出る者はいない。この本はミステリー仕立て(謎はないのだが)になっていて、先が気になりどんどん読み進めていく事ができる。そして最後にはやりきれないせつなさとほっこりした優しさ暖かさ、そして失ってしまったものへの憧れなどを感じられるだろう。みんなが未来に向かって歩き出そうとしている終わり方もいい。
・「ラストが素敵!」
ようやく地上に出てきたと思ったらたった7日で命を終えてしまう蝉。 もし、自分だけが8日目も生きていたら・・・・。 他の仲間が見ることが出来なかったモノを見ることができたと喜ぶか、もしくは、自分だけ生き残ってしまったことを悲しむか・・・。 決して簡単に答えられることではないように思う。
両親の愛情をたっぷり受けて育つこと、 それってかけがえのない幸せだと思うけれど、 でも、血の繋がった両親がいないことが必ずしも不幸だとは 言い切れないとも思う・・・。
薫の両親には何だかイラつきばかりが残る。 確かに数年ぶりに我が子が戻ってきても戸惑うだろう。でも、もう少し愛情を注ぐことが出来たのではないかと思えてならない。もともとが夫の不倫から始まっているということがこの夫婦を私が受け入れることができなかった要因だと思う。夫の不倫相手に嫌がらせをする妻というのも何だか醜く見えてしまうし・・・・。
読了後、この本を読みながら、 私はずっと希和子を応援していたことに気づかされた。 彼女のしたことは犯罪以外の何物でもないけれど、 でも彼女と薫の幸せを願わずにはいられなかった。 幸せな時間をありがとう、という言葉は、 確かに的外れなものだけれど、 でも、あの時間がこれからも希和子を支えていくのだろうと思う。 「どうして私だったのか?」という薫の思いは最もだと思う。彼女は犠牲者・被害者以外の何物でもないのだから。ごく普通に生きることすらできなかった彼女・・・。でも、未来は明るいものであって欲しい。
爽やかで逞しさを感じさせるラストが素敵。
・「引き込まれました。」
最近では「薄闇シルエット」も良かったのですが、これはさらに良かったです。ぐいぐいと引き込まれ、つい最後まで読まされる本。一つひとつの事件の背景にあるそれぞれの事情や思いについても考えさせられます。誰が、何が正しいのかはわかりませんが、そんなもどかしさも丁寧に描かれていて満足しました。大変読みやすい構成で、テンポも良くオススメです。
・「子供が愛しい。」
ここに出てくる誘拐された子供は、私が忘れていた我が子と接した当時を思い出せるほど、丁寧な描写がたくさん出てきます。どうして、ここまで、小さな子供のしぐさまで描けるのだろう。読んでいて、わが子が小さかった頃を一つ一つ思い出して、懐かしくて涙が出てきました。ストーリー自体もはらはらどきどきでおもしろかったのですが、もう一人の主人公の誘拐された子供が愛しくて読んでいて胸が締め付けられる思いでした。
・「連なるもの」
や、やられた。ついしみじみと読んでしまっていました。まさか瞳子の時代になってこんな展開が待っているなんて。話の矛盾を探しましょう。
帰省して家族のあれやこれやを見たり聞いたりした後に読み始めましたので、祖父母や両親の生きてきた時代を思い浮かべながら余計にしみじみ読みました。三者三様の時代背景を持った女達の肖像、印象的なシーンの数々と三代に渡る謎。カタカタと流れるモノクロの映画からだんだんと現代の映画に近づいていくのを見ているようでした。そして過去から今、未来に連なり物語は終わりを迎えます。老若問わず、昔は良かった、と言う人は沢山いますが、昔は昔で大変で、今は今の面白いことがある。瞳子と同世代の人間としては、この生きていくことへの前向きさと不安は体の一部のように感じます。
最後に小説の筋も好きですが、文章全体の彩り豊かなところも好きです。赤朽葉や溶鉱炉の赤、髪や肌や製鉄所の煙の黒など、その色からするりと場面場面に入っていきました。これからの桜庭一樹先生の作品も楽しみです。
・「語るべきことが無いのに共感してしまった」
推理とかミステリーとかそういった先入観は不要。(というか厳密にはそういうジャンルじゃない気がする)勝手に登場人物や人間関係、時代背景が飛び込んでくる。それにそういったこと関係なく面白く読める。読んでいて圧倒されるというのはこういうことだと思った。 物語は現代に生きる赤朽葉瞳子による語りを中心に時系列順に進行。ただその時系列というのが瞳子の祖母、万葉の幼き頃からだというから壮大。祖母、母、そして娘と時代は変わる。戦後やバブル景気といったそれぞれの時代背景の細やかな描写が輪郭を持ち浮き上がる。様々な人が抱く、もしくは抱いてきた気持ちや思いを作者は言葉に直しきってしまったともいえる。時代の変化、人々の心の移り変わり。それらを丁寧に描いたからこそ最後のあの静かな問とその答えがすんなりと読者の心に落ちてきたのだろう。
祖母、母、わたしの三つの章に分かれているが、一番面白くないのはわたしの章だった。本当に語るべきこと無いのだろう。でも私自身が現代に生きる人間だからか一番共感できたのもわたしの章だった。
・「鳥取言葉で書かれた大河小説」
私は 1961年から 36年間鳥取県の田舎の研究所につとめた.この本で懐かしい鳥取言葉に出会って感無量である.鳥取言葉は知られざる大方言(中国四国方言)に属し,固有の語彙を持つ.この作品で語られる "..だが" がその例で,"..だよ" を意味する.さてこの作品は今の若い人達がどのように大人になるのかを文学的に固定するのに成功したもので,風俗的な意味に於いて画期的な意義があるし,なによりもまず途方もなく面白い傑作である.特に話し手の母 毛毬 の凄絶な生涯は比類を絶しているだろう.総てが終わってしまったようなこの時代に,これほどの凄まじい造形を目撃するのは歓びと言わずして何だろうか.著者の壮健を祈る.
・「戦後から未来へ貫く烈女の系譜」
女性にとっての自由とは何か。自由を手に入れることができたのか。三代を経て、ようやく好きな男と寄り添うことを許された。この小説は50年がかりの恋愛の歴史だと、私は感じた。近代から現代に移り変わる時代を、駆け足で著者は追う。そのスピードにいささかたじろいだ。自分にとってあっという間に感じるとしても、それ相応の年月を要して経験を積み重ねてきた。その時間が、限られた紙数の中に折り畳まれて、ほんの数行で片付けられていく。自分の生きている時代が、いつか未来において歴史として語られるときには、こんな風になると未来視させられたような体験だった。淡々と描く文章は、古めかしく堅苦しく見せておきながら、人を食ったような表現をさらりと含み、どきりとさせられたり、笑わせられたり。読み応えがあり、反省も込められつつ、けれども希望の残される、よい本だと思った。しばらく余韻をゆっくり噛み締めていたいと思う。
・「長いのにちっとも厭きないとこがスゴイ」
いやー、びっくり。凄く面白かったです。旧家の女3代ということでドロドロ系を想像してたのですが、大間違いのアッケラカン系でした。
・「地理描写が正確で驚きました。」
私は奈良在住なものでよくわかるんですが、この小説、奈良県現地の描写が生々しいほど正確です。違うっていったら、平城宮跡の隣りには女子校はないということぐらい。
私はドラマから入ったのですが、原作を読んだら、ドラマがいかに内容をはしょってるか、よくわかります。まぁ回数が限られてる分仕方ないことではあるけど…
何気ないような会話や場所のすべての場面が、物語終盤に向けての伏線になってて、最後の最後そのすべてを回収仕切ってるような、読んでる側を最後まで何度も驚かせる展開にはドキドキものでした。
読後、無性にきんなら(近鉄奈良)周辺と平城宮跡に繰り出したい衝動にかられました。「あー、ここを鹿ちゃんと先生が歩いたんだなぁー。」みたいな。
半ばのどんでん返し以降は、ノンストップでぐいぐい引き寄せられるように読める、非常に巧みで面白い小説でした。
ただ、日本の古代史や伝承について全く無知という方には、この物語の面白さというか基軸は馴れないものであるかもしれません。もしお読みになってから「設定がよくわからない。」と思われた方、または、読むのを途中で断念してしまった方は、一度奈良を訪れて、寺社仏閣、遺跡や古墳を実際フィールドワークした後にもう一度読まれることをおすすめします。物語を何倍にでも堪能できると思いますよ。
・「万城目はいま、一番勢いのある作家であることが証明された作品」
鴨川ホルモーでいちやく有名になった作者。ストーリーとしては相変わらずの妖怪系SF。もちろんコミカルな笑いあり、感動ありの王道を極めている。先が気になって眠れないほどの中毒性を、万城目作品は持っている。
・「とぼけた味の奇想天外エンターテイメント」
読んでいると、どこか憎めない著者の姿が透けて見えてくるような気がする。二分法で行けば、東大系と京大系なら(当然?)京大系。正統と異端であえて分類すれば異端。自宅派と下宿派ということなら下宿派。 そうしてみると、世代は大いに異なるが、庄司薫がその補色として連想されてくる。読ませる力があるのが両者の共通項というべきか。 カバーの絵もとぼけていて好感が持てる。前著「鴨川ホルモー」ではカバーの絵が結末を予測させるようでちょっと面白くない面もあったが、今回のものはそういうこともない。 最近始まったテレビドラマの方は、原作の奇妙な味がよく出ている。
・「今年面白かった本暫定1位」
この冬の同名ドラマの原作。
奈良の鹿がお辞儀するのはそういうことだったのかぁ〜(笑)(勿論作り話だけど)
ほんとによく作られた(練られた?)本だなって思いました。
本はよく買えど中途半端で別の本に移り、最後まで読めないのが多いけど、これは読めちゃったなぁ
道を歩きながら本を読むなんて人生初(笑)
著者の別の作品も読んでみたくなりました。
・「直木賞もんです」
とにかく面白い、本が好きな人にも面白い、歴史が好きな人にも面白い、そして何にも知らない人にも面白い。これは驚異のエンターテイメント小説である。 最近の傾向であるどうでもいい小さな自分の世界を描いていない小説である。これがデビュー2作目というのであるから恐るべし万城目学。 登場人物の名前が「藤原」「福原」「長岡」「大津」とかという昔都があった名前であるというユーモアもいいし、「坊ちゃん」のパロディ部分があるのもいい。
●私の男
・「生理的には受け付けませんが。」
まず、六つの章のタイトルがよかったです。だんだん過去にさかのぼっていくという、特殊な展開の本ですから、読んでいるうちに時代がわからなくなったとき、助かりました。そしてそれぞれの章で主人公が違い(うち三つは一緒ですが)、その人物の一人称で語られているところが良くできているなと思いました。
正直言って1・2章は全体がなんだかぼんやりした感じで、そんなに面白いとは思いませんでしたが、3・4章で急展開、ドーンと奈落の底に落とされた感じ。そして5・6章ではつらくなりました。それはあまりにもこの二人の孤独の癒し方が、普通の人とは違う方向に行ったからです。本文の中でも何度か出てきますが、やはり近親相姦というのは人の道に外れたことで、それを認めてしまったら、ホントに何でもありと言うことになってしまいますよね。物語としては面白く読めますが、この二人に同情したり、共感することは決してないです。ただ、「これはフィクション」としっかり割り切った上で、別の次元で読むと、新しい切り口の小説として高く評価できます。
・「父と娘」
読んで驚きました。嫌いな人もいるかもしれないですが、私は共感しました。これほど深い愛憎を生きる人間がこの世にどれだけいるか。どんなに苦しくても悲しくても浮かばれなくても、それだけで生まれてきた価値があると思いました。私としてはむせるほどの血の匂いを感じる小説でありながら、これは父と娘の物語ではないと思いました。
・「間違いなく万人向きではないが、紛れもない傑作!」
小説には、誰からも面白いと評価されるモノと好き嫌いがはっきり分かれるモノがある。最近ではさしずめ伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」辺りが前者にあたると言えるならば、今作は間違いなく後者の部類に入る。そして私は見事なまでに今作の潮流に呑み込まれ、打ちのめされてしまった。この小説は暗いし重い。遙か離れた遠く厳寒な北の港町から、大都会東京へひっそりと寄り添うように棲みついた「雨の匂いがする父親」と「奇妙なまでに印象が薄い娘」、ふたりの中にある禁断の愛、まるで沈潜した漆黒の闇に堕ちていくような衝動、危険で何とも強烈で濃厚なムードが充満しながらも、それでいて甘美で陶然とした夢心地に支配されたふたりの世界に引き込まれる。チャプターが進む毎に過去に遡り、ふたりの“過去”と“秘密”が明かされていく構成が実に巧い。仮に、時系列通りに書かれていたら、さすがにひいてしまうような描写たちがある種の美しさを以って妖しく輝いてくるから凄い。第4章で語られる16歳の主人公から何度も発せられる「おとうさん」との叫びの何と官能的で情念に溢れたものか。読みながら、かっての日活ロマンポルノ、とりわけ鬼才神代辰巳の映画的世界を思わせる。最終章を読み終えた後、彼らの極めてインモラルな行為の裏にある“業”と“痛み”と“純一さ”に暫し時間が止まった感覚に捉われた。
・「染み付いた匂い、絡み合う魂」
序盤は思っていたよりもあっさりとした印象を受けましたが、花と淳悟の関係が明らかになっていくにつれその意味が深くなっていくのを感じました。この小説は二人の別れから出会いへと遡るかたちで書かれていて、読み進むにつれ物語は濃さを増していきます。特に二人が東京へ引っ越すきっかけとなる第4章は圧巻です。流氷の鳴く音と花の叫び、親子の交わりと満たされない魂。とうの昔にひかれた人と獣の線が浮かび上がってきます。 第5章以降は出会いまで時を遡っていきます。第5章では淳悟の恋人、小町の視点で語られます。この描写がかなり生々しく、小町と同じく嫌悪感をもよおすような場面があります。しかし同時に花と淳悟のもつれ合う関係を妖しくも激しく描写されていて、第6章でそれが一気に昇華されます。第1章で朽ち堕ちていった二人を振り返り、根をはった土地から離れ、罪に汚れ、宿る相手すら失った色褪せた花を思い浮かべました。読み終わった後にもう一度、じっくりと読み返してみたくなる小説です。 話の構成やかなと漢字の使い方に、各場面にでてくる物や匂い、土地や海がそれぞれ結びついて意味を持ち、小説に濃密な雰囲気を与えています。赤朽葉家の伝説とは違った意味で力作だと思います。
・「がんばらなくても手に入るもののために、誰も、がんばらないだろ」
この小説に共感なんかこれっぽっちもできないけど、猛烈に惹かれる。 花と淳悟は、美郎の章に出てきたチェインギャングの絵そのもの (二つの鉢から生えた貧相な木が、 鉢を近くに置きすぎたせいで途中から絡まって、 一本の木みたいになって上にのびている状態) 惹かれる人間は菜穂子の立ち位置で、惹かれない人間は美郎の立ち位置。 どちらにせよ蚊帳の外で、これは花と淳悟の「血」の物語なのです。 依存が楽だとは良く思うけど、共依存よりもっと醜くて淫猥で、 かつ枯れている、この関係は突き放して見るしかない。好きだけど嫌いな作品。 赤朽葉家の伝説の方が万人向けだと思うし、最後の一文の衝撃も上。 でも、私の男における最後の一文は、全部をひとつの言葉で射抜いた気がする。
淳悟が実は頭が良くてかっこよくて、でも精神的に病んでて弱くて 笑うと人懐っこくて目のしたがくしゃーてなってるなんて好きすぎて、困る。共依存よりも濃い、血の依存を書き切った筆致にも脱帽。桜庭一樹はどんどん進化している。
・「許し、成長そして浄化 澄んだ心を取り戻すために」
真綿で包まれるよな、やさしい空気を持った文章で淡々と語られる。ある事件が元で故郷を離れてしまった男性。東京で出会ってしまい、ともに人生の何分の1かを共有した女性家族のすべてを失ってしまった男性。自分の不注意で間接的に人の人生を奪ってしまった女性。
大きな十字架を背負ってしまった人々が丘に集まり、許しと癒し、再生と成熟の日々を共有する。
重松氏の作品を手に取るとき、私は無意識のうちに癒しを求めていると思う。死を真正面から取り組み、人生の負の部分ともいえる背負ってしまった十字架を題材にした決して軽い作品ではないにもかかわらず、私は癒されている。
一人の男の死に向かう心の変化、死への準備ともいえる行動が登場人物の十字架を取り払ってゆき、癒しと成長を周りの人々にもたらす。
読む人がどの登場人物に感情移入するかによって、いろいろな感想が生まれると思う。しかしながら、どんな人もなぜか読後は、なにかを背中からおろしたような開放感を感じると思う。
涙が心を浄化してくれる。そんな作品です
・「これは恋愛小説ですね。」
一年の約半分は雪のせいで予定が狂いっぱなし。隣の町までは何キロもあって、交流の機会はほとんどない。幼稚園から高校までまわりのメンバーは同じ。友達のお父さんが担任の先生だし、その奥さんは音楽の先生だったり。これがごく普通の北海道の田舎町です。
・「同世代の人達には特に薦めたい一冊」
子供の頃仲のよかった男の子と女の子がやがて大人になり故郷を離れて今はそれぞれの人生を生きている。そして何かのきっかけで何十年ぶりに出会い、物語は過去と現在を行き来しながら主人公たちの新たなドラマが動き始める…。確かにこのパターンで最初から最後まで淡々と綴られるのですが、この物語は冒頭でいきなり主人公の一人に死が宣告されます。読み進むうちに病状はどんどん進行していきます。登場人物のいろんな過去の贖罪が明るみにでてくるのですが、私は40歳のシュンが妻と小学生の子供と再会した友達とともに必死で生きながら人生を終えていく姿に胸をうたれました。これは間違いなく映像化されるでしょうね。オーソドックスな物語ですが、特に同世代の人達には読んでみる価値があると思います。
・「自分を許せるか」
余命わずかとなった父親が、子供と、妻と、かつての恋人と、兄と、祖父と、どう対峙していくか、読む者の涙を誘いながら、描いている。相手を許せるか、自分を許せるか、その過程の葛藤は、共感を呼ぶ。これは、スパイダーマンシリーズのテーマと共通するものがある。
・「素晴らしい!」
いいですよ、簡単な内容は他のレビューを見ていただければわかるかと思います。テレビドラマ向きな感じがしますね、少年/少女時代−学生時代−40歳 と心の動きを重松さんらしく上手に表現して、読者のこころに触れ合います。許されること、許すこと…、人間は生きていくうえで皆色々なものを背負って、そして死んでいくんだな。
・「最後まで、泣かせます。」
あっという間に読んでしまいます。そして、いつの間にか自分も幼い頃カシオペアの丘で星を見つめていた幼馴染の一人になってしまいます。それぞれのもう帰れない場所とこれからの人生とそして一番きらめいていた時間を取り戻しながら、号泣します。
・「幼き日の輝き」
ずっと涙がとまらないまま読み終えました。単に病にかかった男の話だったら、こんなに泣けなかったと思う。主人公含め、幼なじみ4人が星空の下に約束を交わしてからその後の、それぞれの人生を丹念に描いているからこそ深みがあるんです。その中で倉田千太郎が関わった過去の炭鉱事件でのエピソードが最も重要な物語の核となり、運命はトシと母親の〈倉田〉との因縁、シュンとミッチョの秘められた過去、北都観音での過去への清算…とメリーゴーラウンドの如く回り続ける。私はそんな中で雄司の存在に一番癒された。おちゃらけているようで実は自分を道化にしながら周囲の暗くなりがちな雰囲気を和らげるユウちゃんの優しい思いやりが最高に胸に響いた。下巻の〈東京〉の章で“俺が語る。北都に帰ってきたアークトゥールスと、東京に帰ってきたスピカの物語を、俺が語る…”では、アポロ12号にまつわる話を含め彼特有のユーモラスな語り口に笑ったり泣かせられた。誰かを憎んだり、自らの罪を背負って過去と断絶してきた者たちの贖罪の物語を読んで、人の弱さや強さを愛おしく見つめる作者の優しい視点が伝わってくる。空から降る雪を、雪は星だよ、わたしたちの街に降りそそぐ白いものは星なんだよ、という言葉に心から涙が出ました。大人のための上質な夢物語ですね。絶対にハンカチをお忘れなく!
・「木馬と観音と星々の紡ぐ物語」
仲良し4人組がこっそり登る夜の丘からみた星空に始まる物語。
キーワードは「メリーゴーラウンド」ですが、700ページに及ぶ長編は読み始めるとジェットコースターのように一気に読めてしまいます、というか読まずにいられません。
特に下巻で様々なひとの思いが集約されていくに連れ、もう星が出ようが雪になろうが、目を離すことはできないでしょう。
そして読後……必ず身近にいる大切なひとのことを、もっともっと、いとおしく思うようになることでしょう。
章ごとに語り手がバトンタッチして進んでいく手法も見事です。まるで星の点つなぎをしながら、最後に一枚の絵ができあがるような…まあとにかく読んでみてください。悪いことはいわないから。
・「下巻は一日で読了」
久しぶりに、一日で読破できた本に巡りあえた。ハリーポッターの第1巻以来のことだ。55歳をまもなく迎える。この年になって音楽はHIP HOP系R&Bが好きになった。音楽が、今、一番の癒しだが、読書は、涙がたまって次の行に進むことができなくても、癒されるものなのかもしれない。作者は私よりも10歳も若い。なのに私よりも長く生きてきたひとにしか知りえないこの世界の癒しを知っているようだ。読んだほうがいい。どうにもならない、どうにもできない共感という癒しがある。
・「北海道の雪」
これまで発表された著者の作品では、許す許されるという関係が、度々テーマとされている。しかしながら、許す許されるという言葉自体は、ほとんど使われなかった様に思う。この作品では、言葉上も、ダイレクトにその事が、主要な骨格を形成している。
クライマックスは、第十六章「楽園」だ。許しを乞う数名は、北都観音のスロープを登る。この時に、本質的な意味で、皆が許されたのだろうか?
ここで垣間見える、雑多な宗教観には、宇宙的な広がりすら感じる。生命の輝きをもってして、宇宙までをも表現しようとしていると見ると、深読みし過ぎか?
北海道の雪は、東京のそれとは、随分異なるらしい。主人公一家が、それに触れる事が出来て、本当に良かった。
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