ちいさなちいさな王様 (詳細)
アクセル ハッケ(著), Axel Hacke(原著), Michael Sova(原著), 那須田 淳(翻訳), 木本 栄(翻訳)
「想像する事」「年を重ねることが大人になるということではない」「大切なモノを思い出させる」「童話の良いところ」「忘れかけていたことを思い出した」
クマの名前は日曜日 (詳細)
アクセル ハッケ(著), Axel Hacke(原著), Michael Sowa(原著), 丘沢 静也(翻訳)
「ハッケとゾーヴァの世界が堪能できます」「良い!」「ぜひ!」「本当にかわいらしい本」「ぬいぐるみより」
冷蔵庫との対話―アクセル・ハッケ傑作集 (詳細)
アクセル ハッケ(著), Axel Hacke(原著), 諏訪 功(翻訳)
「がんばれ冷蔵庫!」
プラリネク―あるクリスマスの物語 (詳細)
アクセル ハッケ(著), Axel Hacke(原著), Michael Sowa(原著), 三浦 美紀子(翻訳)
「一家に一冊おいておきたいハートフルなお話」
穴 (ユースセレクション) (詳細)
ルイス・サッカー(著), 幸田 敦子(著), Louis Sachar(著)
「「諦めない」ということ。」「それでも生きて行く力」「上から読んでも下から読んでも」「ニューベリー賞の価値を高めた作品」「友情と呪いと成長。」
道 (詳細)
ルイス・サッカー(著), 幸田 敦子(著), Louis Sachar(著)
「目からうろこ!」「大好き!」「面白い!」「「穴」を読んでからど~ぞ」「穴のサイドストーリー」
歩く (詳細)
ルイス・サッカー(著), 金原 瑞人; 西田 登(翻訳)
「「穴」続編!」「切なくも清々しい思春期小説」
鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫) (詳細)
ミヒャエル エンデ(著), Michael Ende(原著), 丘沢 静也(翻訳)
「夢十夜みたいなもの」「鏡の奥」「孤立し、つながる意識の迷宮」「もはや哲学書」「強烈なイメージ、硬質な世界、誰もいない迷宮」
はてしない物語 (詳細)
ミヒャエル・エンデ(著), 上田 真而子(著), 佐藤 真理子(著), Michael Ende(著)
「永遠の本」「いちばん好きな本」「素晴らしい!」「ストーリーはもちろん、本としても愛蔵版です」「大好きでたまりません!」
モモ (岩波少年文庫(127)) (詳細)
ミヒャエル・エンデ(著), 大島 かおり(翻訳)
「時間泥棒に追われている貴方に」「灰色に支配された世界」「子どもにも大人にもみんなに読んでほしい本」「大人向けの本」「モモがプレゼントしてくれた時間の秘密とは?」
ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで (詳細)
エドワード ゴーリー(著), Edward Gorey(原著), 柴田 元幸(翻訳)
「絵が素敵です。」「日本での単行本デビュー作!」「おかしな満足感」「怖い!けど巧い!!」「死神さんと一緒」
うろんな客 (詳細)
エドワード ゴーリー(著), Edward Gorey(原著), 柴田 元幸(翻訳)
「絵で楽しめる大人の絵本」「子育て中の人に読んで頂きたい!!」「"うろん"な魅力」「うけた」「うけました」
ウエスト・ウイング (詳細)
エドワード ゴーリー(著), Edward Gorey(原著)
「ウエスト・ウイングの迷路」「何が・・・」「せりあがる不安」「でも、おかしいんだよ…。」「どこの西棟なんだろう」
新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫) (詳細)
クラフト・エヴィング商會(著)
「ムーンシャイナーのお酒の味」「うれしい加筆修正.」「稲垣足穂を思い出します」「雲の集め方が解る本」「空想の旅に出たい時に」
シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス) (詳細)
アンソニー ドーア(著), Anthony Doerr(原著), 岩本 正恵(翻訳)
「大自然とそこに住まう者たちを描いた短篇集」「海辺の宝石」「呼吸の仕方がめちゃくちゃかっこいい」「水をモチーフとした物語」
怪物―アゴタ・クリストフ戯曲集 (詳細)
アゴタ クリストフ(著), AGota Kristof(原著), 堀 茂樹(翻訳)
「短くても、力量を感じさせる戯曲集」「美しさと汚さ」
悪童日記 (ハヤカワepi文庫) (詳細)
アゴタ クリストフ(著), Agota Kristof(原著), 堀 茂樹(翻訳)
「深く残る作品です。」「びっくりしました」「痛みを知り、忘れないこと」「読解力を試される傑作」「5★アンネより早熟でグリム童話なみに残酷」
ふたりの証拠 (Hayakawa Novels) (詳細)
アゴタ クリストフ(著), 堀 茂樹(翻訳), アゴタ・クリストフ(著)
「なんじゃこりゃあ」「謎が残る続編」「ええー!」「読み出すと止まらない」「哀しく、透明なアゴダの世界」
第三の嘘 (Hayakawa Novels) (詳細)
アゴタ クリストフ(著), Agota Kristof(原著), 堀 茂樹(翻訳)
「そうだったのか」「完結編?」「最後に「存在」することへの挑戦」「静かな」「将来の夢は?」
床下の小人たち (岩波少年文庫) (詳細)
メアリー ノートン(著), Mary Norton(原著), 林 容吉(翻訳)
「無くしたものは、借りられたもの」「チャーミングな物語」「ちいさなファンタジー」
弟の戦争 (詳細)
ロバート ウェストール(著), Robert Westall(原著), 原田 勝(翻訳)
「最高峰の児童書である。完璧だ。」「あまりに残酷な、素晴らしい傑作。」「切なくて、心に響く」「世界同時テロ9.11の5年目に思う」「心で感じてみてください」
不思議を売る男 (詳細)
ジェラルディン マコーリアン(著), Geraldine McCaughrean(原著), 金原 瑞人(翻訳)
「枠物語の快作」「MMC最高!!」「物語の魅力」「読むほどに引き込まれていく」「ほんとに不思議な物語」
猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353) (詳細)
カート・ヴォネガット・ジュニア(著), 伊藤 典夫(翻訳)
「ヴォネガット教の聖典」「一言で言うとヘンテコな小説」「もう一つの側面」「シンクロニシティー」「足の裏と裏を合わせてー」
クラバート (詳細)
オトフリート=プロイスラー, ヘルベルト=ホルツィング, 中村 浩三
「心に残る名作」「プロイスラーの名作」「死の空気を吹き払う、雪解け川の響きにも似た「自由」の響き」「魔法の有限性、生きることの難しさ。」「これは大人が読んでもいいと思う。」
● るんの本棚
● 読書記録2
● 家族で絵本☆
● マイベスト・絵本
● 読みたい本
● 兄弟&双子の小説
● 中学生はこれを読め!第3回本屋のオヤジのおせっかい - 18/20
● 空想の翼を広げて
● 読みたい本1
・「想像する事」
大人になれば想像する事を忘れてしまう。毎日社会の中で忙しなく生きることが当たり前となる。私はこの本を生きることに疲れてしまった人や後悔や悲しみに捕らわれている人に読んで欲しいと思う。「王様」の言葉にはっとするから、そしてそのうちそれが鍵となり暖かい笑いがこみ上げてくるから。
例えばこの本の中には竜が出てくる、その竜は会社に行く人を止めている竜だ。会社がイヤだな〜と思うと頭が痛くなったり足が動かなくなったりする、経験ある人いるんじゃないかな?それは竜の仕業なんだそうだ。でも私達の目には見えない。「王様」の目にはちゃんとそれが見える。なんだかおかしいでしょ?
大人になること子どもでいること生まれてくること死んでいくこと現実と非現実をユーモアな目で見ているこの本。忘れてしまいそうな繊細で懐かしい感覚がよみがえって来る一冊です。
ミヒャエルゾーヴァの挿絵もこの物語にぴったりマッチしてて絵・文共に☆5つだと思います。
・「年を重ねることが大人になるということではない」
成長するごとに体は小さくなり、多くのことを忘れていく王様の世界。そして最後は消えていなくなる。それは実際の私達の脳の世界に似ているような気がする。しかし王様の世界では小さくなることで想像力がより豊かになると記されている。実際に年配の方々が想像力が豊かになっているのかどうかはわからない。成長するということは単に年を重ねるだけではないと王様は言っているような気がする。
・「大切なモノを思い出させる」
我侭で尊大な王様だけど、なんだか憎めない。そんな彼の言葉には、いつの間にか失くしてしまった大切なモノを思い出させる何かがあります。
忙しい日々をおくる大人にこそ読んで欲しい一冊です。不思議で、シュールなストーリーが魅力的。
挿絵がとてもキレイで本自体も薄いので、さらっと気分転換に読める本です。
・「童話の良いところ」
私はこの本に出遭ったことが、童話に親しみを抱くきっかけになりました。
きっと、どの年齢のひとが読んでも、人生を肯定してくれるような感覚が味わえると思います。
ひとが生きていくのに大事なことは何か。それを、ちいさい ふとっちょの王様は「想像することだ」と語ります。
ふと疲れたと感じたときは、絵の挿まれた童話を読んでみてください。ひとの温もりや優しさを、言葉という見える音あるいは柔らかい絵で実感できることでしょうから。
・「忘れかけていたことを思い出した」
この本を購入した多くの人は、まず、この表紙の絵に強く心を引かれたはずです。尊大な雰囲気と表情を浮かべたこの小さな王様は、私に忘れかけていたことを思い出させてくれました。
物語の内容を取り上げると、それは童話のような子供向けのものに思われますが、その中にはユーモアを含めた哲学、それ以上のものが、忘れかけていたものが必ず見つかるはずです。しかしそれを見つけられるのは、昔の子供の感情を忘れてしまった「大人」だけでしょう。見つけられなかった人は、きっととても幸せな人なのです。
私はこの本を星5つと評価しましたが、それでは足りないくらいです。どんな人でも、決して年齢を問わない本です。誰にでもお勧めします。
・「ハッケとゾーヴァの世界が堪能できます」
薄い絵本で、子供が読んでも勿論楽しめると思うのですが、これは実は大人向けの本なんじゃないかと感じてしまうのは、アクセル・ハッケならではの独特な世界が広がっているからです。
ファンタジーであるけれど、カワイイだけでなく、どこかにちょっと「毒」のあるようなところが面白い。
そういうささやかな「毒」があるから「ぼく」の「日曜日」に対する愛がじーんと胸に迫ってくる気がします。
ゾーヴァの絵は、そんな物語の雰囲気にとても合っていて、物語の世界をより鮮やかなものにしています。
元気なときにも、ちょっと悲しいときにも読みたくなる、そんな本。
・「良い!」
ミヒャエル・ゾーヴァの絵を目的で買いました。絵は勿論の事とても良く、作者のアクセル・ハッケなる人物もとても良い作者だと思いました。いままで絵本は余り読んだ事がなかったけど、これは子供は勿論、大人が読んでも全然良い!むしろ読むべし!個人差はあれど、皆それぞれ何か思う事が有るはずだから。
・「ぜひ!」
先日とあるブログでこの本を知り、即購入。
これは大人が読むべき。優しくなろう。
・「本当にかわいらしい本」
アクセル・ハッケとミヒャエル・ゾーヴァのコンビはとっても大好きなので、購入しました。このコンビの他の作品のようなちょっと深い大人向け童話に比べて、大人が読むには少し物足りない?かもしれないけれど、子供の頃の気持ちを思い出すような温かな、ふんわりとした雰囲気があります。
ちゃんとクスッと笑える不思議な内容で、ゾーヴァの絵もとってもかわいくてユニークです。クマ好きには絶対にお勧めです。
・「ぬいぐるみより」
この本をプレゼントしたくなります。もちろん大人の方が読んでほんわかするのも良いと思います。(大人のための絵本ですから)星が4コなのはゾーヴァの挿し絵がもっと見たかったからです。p15の日曜日の可愛さといったら!ほ、ほしい…。
・「がんばれ冷蔵庫!」
『ちいさなちいさな王様』で知られるハッケが「南ドイツ新聞マガジン(Sueddeutsche Zeitung)」に連載しているコラムをまとめたもの。表紙はミヒャエル・ゾーヴァ(映画『アメリ』の美術を担当した人ですよ)。 とにかく、笑いたい人、笑顔になりたい人にオススメ。訳もテンポがよくて読みやすいです。
スーパーのレジに並ぶと、なぜか自分の列だけ進まない。医学辞典を読んでしまったが最後、自分が病気に思えてしかたがなくなってしまう。そんな日常生活のちょっとしたことが、ハッケの手にかかると爆笑エピソードに早変わり。
中でも冷蔵庫との対話シリーズはいい味出してます。古い型で、廃棄に怯えるちょっとトボけた冷蔵庫と、ビール片手に人生のあれこれを語り合う「おじさんのボヤキ」。パソコンだケータイだとせわしないこの世の中、古くたっていいじゃないか。
読んだあと、自分の家の冷蔵庫がブーンとうなっているのが聞こえると、「冷蔵庫もがんばってるなあ。よし、こっちもがんばるかあ」という気持ちになります。
・「一家に一冊おいておきたいハートフルなお話」
父親が息子に語る物語には、家族、友達、恋人を超えて、あらゆる人々に響く愛の真理がちりばめられている。「見えぬものでもあるんだね。」の一節に象徴される金子みすずの世界とだぶった。パッケージをつなぎあわせた主人公が語る言葉は、音読も楽しそう。子どもから大人まで年齢相応に味わえるこの本は、「クリスマスに贈る本」を探している人にオススメ!
・「「諦めない」ということ。」
ついてないのは先祖の所為、と何もかも諦めているスタンリー少年。その彼が無実の罪で施設に入れられ、毎日穴を掘り続ける事に。理不尽な目にばかり遭うけれど、その中で友人を作り、徐々に気持ちが変化してきて……。
最初、無気力な主人公にイライラしながら読み始めた。しかし後半驚くほど成長し、同時に過去と現在の伏線が生きてきて、一息に読んでしまった。過去の悲劇と現在の抑圧の後に迎えたラストには、爽快感さえ覚えた。
・「それでも生きて行く力」
本屋に「ティーンエイジャー向け」と銘打ってたくさん積んでありました。アメリカに越してきて英語の勉強と思って読み始めたのですが、これが謎に継ぐ謎、不思議に継ぐ不思議に引き込まれて、最後まで読み通してしまいました。 少年をとりまく驚くほどの周囲の混沌とした暗さと無理解の中に、きれいごとではない、純粋でもない、でも「それでも生きて行く力」のようなものが浮かび上がってくるように感ぜられました。この本の中の世界に限らず、大なり小なりもしかすると生きて行くってこういうことなのかもしれないと思いました。
過去と現在が交錯するので、最初は戸惑いましたが、昔も人は生きていて、いろいろな喜びや悲しみがあったこと、そしてそれは現在につながっていることが、色々な形で明らかになる課程が鮮やかで、ついには急きたてられるように読みました。そして読後は色々な”つながり”が頭の中に渦巻いて寝付けませんでした。
私は英語で読みましたが、他のレヴューアーの方が書いておられるように原語も比較的平易です。どうしても分からない単語を数語引いて、あとは英文の流れに任せて読み進むことができると思います。
この本に関して言えば、青少年向けというのは『大人向けでない』ということではなく、本にそっぽを向きがちな年齢でも夢中で読めるということではないかと思います。
・「上から読んでも下から読んでも」
むっちゃくちゃ面白かった!!あっという間に読み終えた。たっくさんのこまごましたアイテムが、綺麗にはまっていくのはワクワクして感動する。何て不思議な設定だろうか。どこからこんなんが出てくるんだろうか。いやはや面白かった。この面白さは読んでもらわないと伝わらない気がする。装丁もとても良く、プレゼントにも(大人にでも)良いと思います。
・「ニューベリー賞の価値を高めた作品」
2時間半で一気に読んでしまいました。読み進めるうち、話に対する疑問や謎が頭に浮かびます。しかし、続く話の中で、その疑問や謎たちが次々と明らかにされ、その後の話へと結びついていきます。夜に読み始め、寝よう寝ようと思いながら読んでいるうち、ついに面白くてやめられなくなりました。描写の一つ一つのうまさもさることながら、プロット(筋・構成)がとてもすばらしいのです。時間的、地理的に結びつきのすごさと次第に大きくなるスケールの大きさに感心させられるばかりでした。 ニューベリー賞受賞の作品は、まず期待を裏切らないものです。しかし、この作品は、ニューベリー賞の価値をさらに高めた作品だと思います。
・「友情と呪いと成長。」
大好きな作家・森絵都さんが絶賛してたので読みました。
●道
・「目からうろこ!」
「生きるってこういうこと」を教えられます。きれいごとでもなく、教訓じみてもいません。スタンリーが体をはって体験したサバイバル術はどんな場面にも応用できるもの。ところどころに現れるスタンリーからのクイズが楽しい。わたしは自分の頭の固さを認識しました。正解できなかったあなた、スタンリーがさっき教えてくれたでしょ?
「穴」の先でも後でも読めますよ。
・「大好き!」
原始人はじめ、Dテントの皆の成長振りが、私は本当に嬉しいです。ちょっとしたところで笑えました。人間って諦めないで進み続けていれば成長するのですね。すごく元気が出る本です。穴を読んだ方は必ず、そして大人の方も読んでください!
・「面白い!」
Holesを読んだ人はぜひ読んでほしい。面白いし、本も薄いので負担もない。一番難しいのはQuizかな。。。
・「「穴」を読んでからど~ぞ」
この本は「穴」の作品の追加記述といってもいいでしょう。穴を読まないと何のことやらわからない所も多いと思います。
スタンリーをはじめ、キャンプ・グリーン・レイクの少年や女所長達などのエピソードがここではふんだんに書き込まれているので穴を読んだ方にはぜひ読んでほしい作品です。
・「穴のサイドストーリー」
「穴」を読み終えて、ちょっと間してから読むと良いと思います。いろんなその後の話がちょこちょこ織り交ぜられてて面白い。が、一番面白いのはクイズ。あたりゃしない!!
●歩く
・「「穴」続編!」
といっても主人公はアームピット(脇の下!)とXレイだが。「穴」は最高に面白かったけど、その他の作品はなんだかテイストが違うなぁと思っていたのですが、コレは面白い。グリーン・レイク・キャンプその後、「まっとう」に生きるためにアームピットは自分に5つの課題を出す。高校を卒業する、仕事をみつける、貯金をする、けんかの引き金になりそうなことはしない、アームピットというあだ名とおさらばする…
それなのにXレイが現れて、貯金をちょっと一儲けに使わないかい?と甘い囁き。で、課題がどれもあやうくなってゆきます(笑)悪気はないのだけれど、ちょっとの企みがあれよあれよと大事に。そんなつもりじゃなかったのに!という少年の心理描写がルイス・サッカーはマッタクとっても上手です。こんなに酷い状況なのに、おかしくて、でもホロリとしちゃう。
主人公のアームピットと、隣の少女で脳性麻痺のジニーのお互いを思いやっている関係がすてき。親の描写もうまいです。なかなかうまくいかないところや、いやな所もね。
坂道を転がるように色んな出来事に巻き込まれて、で、アームピットはまたひとつ強く成長しますよ。そして後書きにもあるように、青春小説でもあるのです。とびきりキュートな女の子が登場しますが、そこは読んでのお楽しみ。
・「切なくも清々しい思春期小説」
『穴』ほどではないが、これもルイス・サッカーならではの物語だろう。『穴』では脇役だったアームピットが今回は主役。Xレイも非常に重要な役どころ。ラストはジーンときます。ルイス・サッカーらしいユーモアもばっちり。しかし、今回はちょっとユーモアが薄いような気もする。ただ、超有名なアイドルの少女とごく普通の少年が出会うという、下手をすれば陳腐になってしまいそうなネタを無理なく描きあげているのはさすが。『穴』を超える傑作ではないが、『穴』が気に入った人は絶対に読むべきだろう。できればスタンリーにも出てきてほしかったが。ちなみに、サッカーでいちばん泣けるのは『トイレまちがえちゃった』です。教育関係者もこれは必読。
・「夢十夜みたいなもの」
30の物語は、バッハのゴルドベルク変奏曲を連想させる。その場合、最初の物語と最後の物語はアリアと見るべきか。
「モモ」の世界を想像して、あるいは鏡という言葉から「鏡の国のアリス」を想像して読むと、ずっこける。とりとめのない不思議な世界のオムニバスという点では、漱石の「夢十夜」に近いと言える。
あるいは、ビートルズのホワイトアルバムの「レボリューション9」とか、エリオット・カーターの弦楽四重奏曲を聴いている気分になる、と言ってもよい。
ユング的な、夢の光景のような描写が続き、しかも、あまり楽しげな印象はなく、どちらかといえばうなされるような、解決感のない夢である。一体全体、エンデはこんな作品を書いて楽しかったのか、と最初は考え込んでしまう。
この!本は、一見サンにやさしくはない。
最初に「なあんだ、陰気な本だナ」と思われても仕方がない部分はあるが、先入観も何もなく、感覚だけ働かせて読んでいくと、実はいろいろな色彩、エネルギーに満ちている。その至福の瞬間が自分に訪れるまで我慢できるか、が勝負である。何年かかけて、じっくりと読み込んでいくようなつもりで。
感性の豊かな人にとっては、たまらなく魅力的な1冊となるであろう。同時に、好き嫌いが相当はっきり分かれそうでもある。この本にどうしても馴染めなくても、それも1つの見識だろう。
「モモ」が、交通標識的な教訓をもたらすとすれば、「鏡の中の鏡」は、理屈ではない、夜の闇にドキドキするような生命的な感覚を呼び覚ましてくれる。その意味で、本当のファンタジー!だ。人間がもっと感覚的な存在であることを、自覚させてくれる。だから、あえて意図的に物語の論理性を崩壊させているようにも感じる。
なお、できることならドイツ語でも味わってみたい。エンデの言葉遣いはやや独特な印象を受けるが、「鏡の中の鏡」は、ドイツ散文詩として読んでも十分に楽しい。
・「鏡の奥」
30の物語が連想でつながって1つの大きな迷宮を作り出している。絵からのインスピレーションに基づくが、根底にはエンデの哲学が配置されている。
1つの言葉で語れるようなものではないが、あえて挙げてみると「待つ」ということかもしれない。カフカの主人公のように待たされる。何を、
試験を、出番を、教師を、救いを、裁きを、破滅を、終わりを、帰還を、運命を古い屋敷に響く柱時計の音のように、物語のなかに「待つ」ことが刻まれてゆく。そして、断ち切られる。
・「孤立し、つながる意識の迷宮」
『モモ』や『果てしない物語』などのファンタジー作品で有名な作者が、これまでの作品よりさらに一歩進んだものを書こうと取り組んだ実験的な作品。30の短い物語からなる。が、決してそれらは直接的なストーリーの流れを持っているわけではなく、かといってまったく関係のない短編の羅列というわけでもない。前の物語の中のさりげないキーワードがその次の、あるいはもっと後の物語の主題へと変奏されていき、最後にはメビウスの輪のようにすべてがつながっていく。一見無関係に思える各々の話が、ストーリーの奥深いところを流れるテーマや視点の面でなめらかな流れをもって展開していき、全体として見ると一つの大きな抽象的点描画のように鮮やかにテーマとストーリーが浮かび上がるという見事な構築美。『鏡のなかの鏡』は意識の迷宮である、と作者は言う。30のファンタジー調の短編と全体の織り成す構造の中で描かれるテーマ。それは我々が普段意識していないこと、あるいは意識しないようにしていること。話の展開に翻弄されているうちにいつしか見えてくる自分の心の中の意識の迷宮。そこを覗いてみたいと思いませんか。
・「もはや哲学書」
このグロテスクでヘビーな世界観。甘さの微塵もないメルヘンが存在するなんて!凄すぎます。エンデの最高傑作といっても良いと思います。映画の「アンダーワールド」を観たときに同じような感覚を味わいました。とにかく非常にリアルな映像を想像せずにはいられないお化けのような作品です。出来れば10代のうちに読むことをお薦めします。大人のための寓話というカテゴリーのようですが、やはり想像力の豊かなうちに一度、読むことをお薦めします。私は20才の頃に初めて読みました。
・「強烈なイメージ、硬質な世界、誰もいない迷宮」
~父エドガー・エンデのシュールレアリズム調の線刻画を挟んで、そこから派生したイメージを追うように途切れ途切れのエピソードがちりばめられる。それは醒めてみる夢のように、あまりに鮮やかで印象深く、とりわけ荒野、白い壁、顔のない人々、寡黙な天使のような冷たく乾いた印象が全体を支配する。「モモ」の世界を期待して手に取るとその荒野に彷徨うこと~~にもなりかねない。決して不快ではない、むしろ感慨深いのだがこの上なく思い読後感、呉々も十分に心して読まれることをおすすめする。~
・「永遠の本」
原作であるこの本と、映画ネバーエンディングストーリーはどちらが、有名なんだろう
私は、映画を知るよりも先に原作に出会ったのでこちらを先に知った人です。
この本を手に持つと結構な重さと厚さで当時私にとって、こんな分厚い本は手に取ったことはない初めて読む長編物でした。
そんな子がこれを読んでどう思ったか
本に引き込まれるという事を始めて知り次へ次へと読み進みながら、これを読み終えるのは嫌だと思ったのを今でもはっきり憶えています。
映画とは、全くの別物です。漂う雰囲気が違います。
本が好きになるきっかけの本でした。
けれど、「はてしない物語」が基準になったためにしばらく私は、何を読んでも物足りませんでしたけど
本自体が、もう話の中のものなんですから、こんな計算されつくされた物語、そう本気で思わせるこの内容、また訳者の力量
文庫本もでているようですが、はじめそれを見たとき、なんてことを!と思いました。
この本は、この装丁なのでこの本なのです
・「いちばん好きな本」
わたしが中学一年生のときに読んだ本だ。いままで多くの本を読んできたが、この本がいちばん好きだ。この本には読書する楽しさがいっぱいつまっている。ぜひ文庫本のほうではなく、豪華装丁本で読むことをおすすめする。なぜなら、この本の装丁自体に秘密があるのだ。内容は、バスチアン少年が本の世界に入り込んでしまう冒険物語だ。読書をすすめるうちに、いつのまにか自分がバスチアン少年と一体化してしまう不思議な感じがあじわえる。とくに中盤は山場で、物語のとんでもない展開にくぎづけになってしまう。ジャンルとしてはファンタジーに入るのかもしれないが、たんなるファンタジーにとどまらない奥深い内容になっている。著者のミヒャエルエンデ氏の書く話は、現実の問題をファンタジーのかたちで指摘している場合が多い。かといってお説教くさいわけでもないのだ。しかも本のなかに謎がちりばめられているので、読み返すたびに新たな発見がある。バスチアンとともに冒険したあの時間は、十五年たった今でもわたしのたいせつな思い出である。この本は大人が読んでもおもしろいし、子供が読めば読書好きになることうけあいである。ぜひ皆さんに読んでいただきたい本である。
・「素晴らしい!」
今まで読んだ中で一番心に残るすばらしい作品です。主人公のバスチアンが、読んでいる本の世界に入り込み、 いろいろな体験をし、大切なものを取り戻す。極上のファンタジー。それでいて数々の重いテーマがちりばめられている。ぜひ読んでみて下さい。読まないともったいない。それほどまでの傑作です。
「ネバーエンディングストーリー」という映画を見た人は多いと思いますが、本のほうがお勧めです。面白いです。
また、文庫本も出ていますが、文庫本よりも、ずっしりと厚いこの本をぜひお勧め。絵もきれいだし、この本自体が作品とリンクしてますからね。引き込まれること間違いなし。
・「ストーリーはもちろん、本としても愛蔵版です」
この本には物語の魅力以外に、「書籍という物」としての魅力があふれている。痛まないように折り返しのあるサック、クロス張りで型押しの施された装丁の分厚いハードカバー、ストーリーに合わせて色分けされた印字、各ページの飾り模様、章の扉絵。
ストーリーは、安っぽいハリウッド映画とは比べ物にならない重厚な内容。それでいて子供でも退屈しないし、子供心にいろいろと考えるような問いかけのある文章。どの年齢でもその時々で、考え、気付かされることがあると思う。
私は本自体に、そのテキスト内容以外に希少価値や付加価値をつけること自体はあまり好きではない。しかしこの本の装丁はストーリーと切り離せないのである。小さな読者でも、なるべく単行本で読んで貰いたい。きっと本が好きになるし、大きくなっても心に残ると思う。
・「大好きでたまりません!」
小学生のころに図書館から借りて読んで以来、一番好きな作品です。何度も読み返していますが、読む側の環境や心境が変わるたびに新しい発見や感動があります。本の中の世界への憧れと同時に、バスチアンの成長していく姿がそれぞれのエピソードを通して伝わってきます。とても頁数が多いのに読み終えてしまうのが寂しい、でも読まずにはいられません。登場人物の心理描写やその世界観は、ファンタジーでありながら信じられないほどにリアルです。「モモ」も含め、エンデは素晴らしい作家です。
・「時間泥棒に追われている貴方に」
一般的には子供向けの本なのでしょうが、世の中の仕組みが概ね分かった30歳以降の人が読んでみると、その奥深さに感心すると思います。
ストーリーは良く出来ています。日々を気ぜわしく生きている我々にとって、その理由を問い詰める事はほとんど無いと思いますが、それを暗に陽に指摘しています。そして、一度、気ぜわしく生きる習慣が身についてしまうと、そこから抜け出す事が非常に難しい事も指摘しています。
忙しい生活で失いがちな希望。希望を失うと落ち込む事になりかねません。それに対し掃除夫は言います。「希望なんて無くてもいい。目の前にある仕事をコツコツと成し遂げていくと、だんだんと面白くなるんだ。気づくとすごい距離の清掃が終わっているんだ」せかせかしない人生を送りたいと思ったら、読んでみるといいです。
・「灰色に支配された世界」
慌しい毎日。仕事の誇りをも捨て、不正が横行する社会。生気を失う人々。小さな大人と化し夢を失う子供たち。灰色の男たちに支配されてしまった生活は、今の日本に似ていると感じました。「時間はいのち」というフレーズにこの物語のすべてが集約されていると感じました。 20年ほど前に映画化されたこともあるようですが、もう一度、アニメーションなどで見てみたい作品だと感じました。
・「子どもにも大人にもみんなに読んでほしい本」
子ども向けの童話なのに深い、深いストーリー。主人公のモモは子どもだけど、一番自立している人間。今の社会と類似した、時間のない大人たち。何のために時間を節約し、忙しい思いをしているのか。
節約された時間は自分の元にはもどらず、永遠に消えうせる。けっしてとりもどすことはできない。なんでも早くすればいいってもんじゃないのよね。
昨今のスローライフ、ロハスの考え方も現在社会のゆがみを訂正しようとする動きなんじゃないかな。エンデが生きていたらまたいいアイデアを私たちにくれてると思う。
時の花は1人1人違う形をしている。だからあせることもない。できることからはじめよう、そう思わせてくれます。疲れた大人たちにもぜひ読んでほしい。
・「大人向けの本」
久しぶりに「モモ」を読んで、初めて上京した頃のことを思い出した。
夜、電車の中で、生気のない目をして、疲れきった人たちを見た。ゾンビの集団のようで、怖くなった。初めてみた光景だった。朝、通勤電車の内。死傷者を伴う接触事故が起こり、電車が遅れると、周りの人たちがは、イライラしながら腕時計に目をやっていた。自分はそんな大人になりたくない、と思った。
そして、この街に住んで20年が経った。いつしか自分も、そんな大人の1人になっていた。「毎日忙しくて…」というのが、今では挨拶代わりになっている。まるで、忙しいことが良いことみたいに。
漢字で「忙」は心が亡くなると書くが、それは、気持ちの余裕がなくなって、感動したり同情したりする感覚が、薄れていくからなのだろうか…
いろいろと考えさせられた。
・「モモがプレゼントしてくれた時間の秘密とは?」
『モモ』は、子供のための童話でもありますが、実は無垢な子供の感覚を忘れつつある大人のための童話でもあるのです。
子供の頃、どこかに遊びに出かけて、あまりに夢中になってしまったために、家に帰るのが遅くなって叱られた経験はありませんか?
子供たちは、大人のように、グレゴリオ暦(私たちが日常で使っているカレンダー)や時計には全く支配されていないのです!
子供のハートの中にはもちろんのこと、実は、私たち大人のハートの中にも、内なる子供インナーチャイルドが潜んでいます。
インナーチャイルドは、ハートからのお楽しみや心ゆくまで遊びに没頭することが大好きです。
もし自分自身の中にいるインナーチャイルドに、子供らしさをもう1度味わせてあげたかったならば、エンデの『モモ』は自分自身の内なる子供のための最高の贈り物となるでしょう!
『モモ』の表紙にはこんなタイトルが載っています。
〜時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語〜
あわただしい日常から1歩、離れて、時間を忘れて遊ぶようなあのすばらしい感覚をもう1度、自分自身にプレゼントしてみませんか?
『モモ』は、星の王子様と共に、私の大好きな童話の中の1冊です。
・「絵が素敵です。」
大人のための絵本って近年とてもはやっていますが、泣ける話や、心温まる内容の物が多いようなきがして、なかなか好きになれませんでした。
これは子供達が次々に不運な死を迎えるという、とてもブラックな内容で、衝撃をうけました。しかし、まさに求めていたもの!という感じです。
本当なら、笑い事ではない内容なのに、韻を踏んだ訳のおかげで笑ってしまいます。
絵も暗いのですが、流石にうまいです。表紙は、沢山の子供達の後ろに死神が立っている絵ですが、裏表紙はその子供達の墓石が描かれているなんて、よくできています。
・「日本での単行本デビュー作!」
本国アメリカでは非常に有名なイラストレーターの、日本版の単行本第1作。A~Zの頭文字を持つ子供達の、様々な「死」の場面が描かれ続ける。暗い?陰惨?でも、どことなく人を惹きつけて離さない不思議な魅力を持つ「大人の絵本」。
・「おかしな満足感」
「まぁ、よくこれだけ悲惨な事を思いついたもんだ」と思いました。かわいいようなそれでいて少し不気味感を漂わせているたくさんの子供達。薄い本なのにまるで辞書を読み終えたときのような充実感がありました。
・「怖い!けど巧い!!」
最初のページで、度肝を抜かれました。「いきなり子ども死んじゃうのーッッ?!」
AからZの頭文字の子ども達が、実にさまざまなパターンで死んでいく様を、ただひたすら描いているのですが・・・
その見せ方が恐ろしく巧いです。
死ぬ直前のシーンの方が、直接的な死の描写よりも怖さが倍増!と実感させられます。さらにレトロチックで可愛らしい絵柄が、子ども達の不幸を一層際立たせて、読み手に心の休まる暇を与えません。
この本は好みが分かれる本だと思いますが、私はかなりお気に入りです。ブラックな内容なんですが、不思議と色々な読み方ができるんですよ。ある時は大真面目に読んでみたり、はたまた、文と絵の巧妙さを楽しんでみたり。
ただ、読んでいつも思うのは、「子どもはうっかり目を離した隙に、あっけなく居なくなってしまうんだな・・」ということ。ニュース等で子どもが事故や事件に巻き込まれた事を知るたびに思っていた事を、この本でも感じてしまいました。
とりあえず、子どもが一人でぽつんといたら「おっ!」と目を配らなきゃ、と思うようになる・・かも?!
・「死神さんと一緒」
これぞゴーリーの代表作!真っ黒な服装に不気味な笑みを浮かべゆらりと立つ死神(?)の傘の下、皆白く無表情に立つ子供たち。すでに死神との遠出の後なのでしょうか・・・。子供がなにか酷い目にあうお話は、たいてい子供たちに向けて悪いことを戒める目的もあると思われますが、ゴーリーに全くそのような意図があるとは感じられません。説教めいた絵本ばかりが増える中、本物の芸術としての絵本と言えるかもしれません。今時の絵本はどうも・・・と思っている方には是非お勧めしたい絵本です。
・「絵で楽しめる大人の絵本」
ある家族の下にやってきた「うろんな客」のお話。突然やってきたこの「うろんな客」は、家族の困惑と迷惑をかえりみずに好き放題。自由に生きているようで、実は丸い瞳で家族の様子をちらっと伺っている。家族も困惑しつつもこれを受け入れて…。
「うろんな客」自体のキャラクターもさることながら、それを見守る家族の顔がいいです。どんなに困らせられてもやっぱりこいつは憎みきれない、という愛情を感じる作品。
筋の通らないことをする同居人に振り回されて「困ったものよ」といいながら目を細めて笑っている人間の姿に感銘を受けます。(同居人は人や動物、何でもあてはまるのではないでしょうか)*本体は高さ13センチ幅16センチで 文庫本を一回り大きくしたくらいのサイズです。
・「子育て中の人に読んで頂きたい!!」
数あるゴーリーの作品の中で一番楽しく、微笑ましく感じられ、多くのファンに愛されている本だと思います。私も大好きな本です!楽しく、微笑ましく…とは言っても、そこはゴーリーですからもちろんその中身はシュール。「うろんな客」とは何者か・・そこに軽妙な風刺も感じられます。
子育て中の人なら、このような不可思議な行動に思い当たる節は多い筈。思わずそうそうと頷き、ゴーリーの子供というものへの直感的観念がいかに核心をついた鋭いものかが理解できるような気がします。是非、子育て中の人に読んで頂きたいと思う本です。子供の、大人にとっては迷惑だと感じる行動にも、この本を読めば少しはおおらかな気持ちで接することができるようになるのではないでしょうか。
柴田元幸さんの訳にはいつも素晴らしいと感心しますが、この本では「短歌形式」という意表をついた訳となっています。これがなんともリズム感や味わいのある文になっていて、本当に素晴らしいと思います。文字数の制限がある中で、これだけの表現ができるなんて「日本語って凄い!!」とあらためて思いました。完全訳とはもちろんいきませんが、原文(英文)も合わせて載せてありますし、訳者あとがきの中にはご丁寧にも散文バージョンの訳も書かれていますので、いろいろな形で存分に味わえる内容になっていると思います。
・「"うろん"な魅力」
「うろん」なんて、今やあんまり耳にしない言葉。こんなにツボを得た言葉をよくも当てはめてくれたものです。本当に「うろん」な雰囲気が良く出ている。もし、「うろん」の意味がピンとこない人は読んでみて下さい、了解できます。 なぜかこのお客どこかで出会っている気がしてたら、実はこんな客が世の中にいっぱいいたってことが解説で明かされます。
それにしてもゴーリーって人は只者じゃない。何だか気味の悪い作品も多いけど、どれもどこかで覚えのある気味悪さ。きっと、誰もの心の中にある何かを物語に映してくれているんだと思います。
・「うけた」
やることはめちゃくちゃだし話は通用しないしできれば関わり合いになりたくなかったけど、いないとなんだか人生つまらん。という相手。誰にでもうろんな客は存在するのでしょう。それが、恋人だったり友達だったり親だったり子だったり、人によっていろいろですが。
こいつ、うろん。と思って接すれば、なんとかなるものです。その極意を学べます。是非、読んでください。
・「うけました」
やることはめちゃくちゃだし話も通用しないしできれば関わり合いになりたくなかった、だけどいないとなんだか人生つまらんぞ。という相手。それは恋人だったり友達だったり親だったり子だったり、人によっていろいろなのでしょう。
誰にでもきっとうろんな客は存在します。こいつ、うろん。と思いながら接すると、なんとかなるものです。是非、読んでみてください。
・「ウエスト・ウイングの迷路」
子どもの頃、とても恐かったもの。夜のトイレ、無口な隣のおじさん、祖母の死、暗い階段を登る夢、人の顔に見える天井のシミ。この本のページをめくりながら忘れ去っていたはずの幼い記憶をずいぶん思い出した。恐いけれど見ずにはいられない。このモノクロームの絵だけの世界は記憶のひだを刺激するのみならず、読む人の想像力が許す限りどこまでも深くさまよえる。大人のための魅力的で恐い本です。
・「何が・・・」
この絵本を見て、何が想像できるでしょうか。夜一人で部屋にいる時、ふと顔を上げるとこの本が目につきます。そして手にとってしまう。何故か読んでしまう。本が呼んでいるのか、私が求めているのか。ゴーリーの本は依存性の高い本ばかりですが、この本はその中でも最高の物だと思います。
・「せりあがる不安」
何度も読み返すうちに、ああ誰かお願いこの状況を説明して!!!と叫び出しそうになる。
ドアの向こう側のドアの向こう側のドア…何かあるのでは…と勘繰ってしまう模様の絨毯・絵画・ツボ。倒れている男は、死んでいるのか生きているのか…水が半分まで溜まった部屋のようにも見えるし、からっぽの部屋にも見える部屋。何でここにコレがあってアレがないのか。
暗がりが、すきまが、男が、女が、子供が、ドアが、部屋が、建物が、全てが意味を持つようで、まったく意味を持たないようで。
とにかく怖いです。言いようのない不安は、見れば分るはず。
・「でも、おかしいんだよ…。」
私のお気に入りは2Pめ。比較的まともそうに見えるこの人。でも彼女おかしいんだよ。早足のような前傾姿勢、でも手もスカートの襞も静止してるんだ。まるでドアの境から忽然と出現し、廊下の暗がりへすべっていくように見えるんだ! 私にはいっそ12Pめのおっさんの方がまともに見える!いやしかしおっさんは…何を見てるんだ?
この手すり…落ちるのを防いでいるのか。でも向こう側は壁じゃないのか? 必要ないはずの手すり、必要なはずのおっさんの…? ん? でも足元は…。
どのページも見れば見るほど味が出る。微妙なニュアンスが想像力を掻き立てる。
ゴーリーの思う壺に心地よくはまりました!
・「どこの西棟なんだろう」
『敬虔な幼子』からわずか2ヶ月のうれしい新刊です。嫌いな人は大嫌いだと思いますが、私は彼の作品に惹かれてやみません。『うろんな客』に代表される柴田元幸氏の名翻訳は今回ありません。言葉は一つもないのです。与えられるのはタイトルである“ウエスト・ウイング”のみ。いったいどこなのか? 何が描かれているのか? 全ては見るものの想像力にゆだねられてしまう、ある意味途方もなく怖い作品です。
・「ムーンシャイナーのお酒の味」
いやあ、面白かったー。ファンタジックで、不思議な幻想の味が良くて、素敵な素敵な、雲をつかむような話でした。
クラフト・エヴィング商会の三代目店主が、祖父・傳次郎が残した手帖に記された世界を旅し、その世界の秘密を読み解いて行く話です。全部で21のエリアがある「アゾット」という世界。祖父が旅した不思議の世界。
なんとも言えないファンタジックな魔法に酔わされました。茫洋とした果てしない話の雰囲気に浸り、わくわくしながら頁をめくっていきました。
・「うれしい加筆修正.」
ハードカヴァーを持っている人でも一度手にとって確かめてください.きっと買いたくなります.
一番目立つ変更は,写真をなくして,そのかわりに数々のラベル,ポスター,チラシのデザイン画が載っています.立体物の写真とは違い,平面に戻ったデザインにも,また別の美しさがあります.
本文のインクの色も,地の文は黒で,手帳の文は青です.そんじょそこらの文庫では味わえない高級感とでもいいましょうか.内容もいろいろ加筆しているので,改めて読んでも退屈しないです.
ファン必携の一冊かと思います.
・「稲垣足穂を思い出します」
何の気なしに買い求めました。稲垣足穂の「一千一秒物語」をほうふつとさせる、上品なユーモアと重いような軽やかなような感触の物語が素敵です。
異世界「アゾット」を訪れた筆者のおじいさん、吉田傳次郎氏の見聞録を筆者が編集したという設定の本です。本文中、傳次郎氏の覚え書きの部分がかすかにブルーっぽいグレーで刷られており、文庫本ながらとても丁寧に作られた本なんだ・・・としみじみと感じます。
広告文章の時代設定をもう少し詰めて欲しかった、と重箱の隅をつつくような感想も浮かびましたが、21種類のお酒がおいしそうなので不問にしようと思います(笑)。
・「雲の集め方が解る本」
この本は、「忘却」をテーマに物語が構成されています。人間はなぜ何かを忘れていくのか?その構造を文学的に解釈し、ユーモアあるアイディアで21の物語にまとめています。読後はきっと「忘却の儚い美しさ」に感動し、クラウドコレクターとなって遠い空に浮かぶ雲に思いを馳せることでしょう。
・「空想の旅に出たい時に」
帰省の新幹線の中で、時間を忘れるくらいあっという間に読んでしまった。今度はゆっくり読みたいと思う。文章が二色刷りなのはエンデの”はてしなき物語”を思いだした。また挿絵も不思議な世界観を反映していて面白い。一ページ一ページを味わうように楽しめる一冊だと思う。
・「大自然とそこに住まう者たちを描いた短篇集」
圧倒的な自然の叡智、静けさや気配を確かな描写力でものしながら、深い深い人間ドラマが紡ぎ出される珠玉の短篇集。主人公たちは性別、年齢と多彩である。人里離れたところで暮らす盲目の老海洋学者、海がある町に引っ越してきたティーンエイジのちょっぴり不安な娘、妻に対して秘密を抱え込んだ不惑の男性、内戦から逃れてきた黒人青年の数奇なその後の人生・・・。どの作品にも共通しているのが、ほろ苦く、でも最後に一縷の希望を垣間見せてくれる、喪失とささやかな再生の物語であるということ。彗星のごとく現れた来年、三十路を迎える若い米国男性作家の筆致とはとても思えないような、ある種の貫禄、技量の豊かさを感じさせるすごい処女作品集です。ぜひご一読あれ。
・「海辺の宝石」
あたりをサンゴ礁で囲まれたアフリカのとある静かな砂浜で、愛犬のシェパードと共にじっと貝を見つめる1人の老人。アメリカからやってきたこの貝類学者は、幼い頃に視力を失ってしまったけれど、足の裏から手の指先まで、全身で自然を感じることができる。波の音を聴きながら、のんびりと海岸を散策し貝を拾うという彼のささやかな日常。しかし、老人の側で起きた、たった一つの「奇跡」によって、彼の人生は思わぬ方向へと進んでいってしまう・・・。危険なほどに美しい幻想的な大自然を背景に、シンプルな文章で綴られた表題作『貝を集める人』をはじめ、O・ヘンリ賞を受賞した『ハンターの妻』など、8編を収録したとびきりの短編集。ある作家の言葉を借りるなら、この作品には短編小説というよりも㡊??“短い神話”という表現がピッタリ。「最近、短編小説を読んでないなぁ」っていうあなた。ぜひこの本を読んでみてください。そこでは優しくまばゆい光を放った宝石たちが、息を潜めて読者たちを待っています。
・「呼吸の仕方がめちゃくちゃかっこいい」
この短篇集に収められた一つ一つの物語すべてが愛しく、切なく、そしてあまりにも衝撃的です。それらの物語は、それぞれ異なった呼吸の仕方で静かに、時に大きく息づきます。それが美しい。そのそれぞれの呼吸の仕方がめちゃくちゃかっこいいんです。
本のタイトルにも繋がる『貝を集める人』や『ハンターの妻』、『ムコンド』が特に一般的評価の高い物語ですが、僕が一番気に入り、一番感動し、一番衝撃を受けたのは、『長いあいだ、これはグリセルダの物語だった』でした。そのタイトルの通り、ある姉妹の姉グリセルダについて物語は展開していきます。背が高く、成熟した身体を持つグリセルダはあるきっかけで金物喰いをする芸人に惚れ、家を出て行ってしまいます。あとに残された冴えない妹ローズマリーは、姉のいない家で母とひっそりと日々をすごします。しかし、決して楽しい生活ではなく、息苦しい生活を強いられることもありました。そんな中、一躍、金物喰い芸人として有名になった姉グリセルダが町で凱旋公演をすることになったのです。姉妹の久しぶりの再会。この再会の席で、妹ローズマリーの感情が爆発します。このシーンが鳥肌が立つほど凄まじく、そして衝撃的なのです。それでいて切ない。町の人々は常に噂をしていたのは派手に生きる姉グリセルダ。その一方で、ひっそりと懸命に毎日を生きてきた妹ローズマリー。
ぜひ、この物語の素晴らしさを堪能してください。
・「水をモチーフとした物語」
8編からなる短編集です。
詩的で美しい文章が特徴としてあげられると思います。各短編とも水が重要な小道具になっています。水と言っても、それは打ち寄せる波であったり、小川の流れであったり、カーペットの上で溶けて染みのように広がる雪であったりするのですが、いずれも面々と受け継がれていく生命の神秘を暗示、あるいは象徴しているように思いました。また、男性が女性に感じる畏怖や畏敬の念なども良く表されていると思いました。詩がお好きな方には嬉しい短編集ではないでしょうか。
・「短くても、力量を感じさせる戯曲集」
悪童三部作に衝撃を受けて、戯曲集も読んでみました。
5作品全てに、アゴタ節はうまく効いてます。短い話ですが深い。もうこの作者にはやられっぱなし。
個人的に気に入ったのは、わかりやすい「贖い」と「怪物」。
「贖い」の衝撃的な展開は短編ながらもゾクッとして後を残します。
「怪物」の中の、“怪物”は読む人にとって捉え方が変わると思いますが、私は戦後日本とアメリカ資本主義を想起してしまいました。
怪物も、扱い方次第なのかもしれません。
・「美しさと汚さ」
人間の汚らしさを淡々と語る美しい文章。
戯曲が5編入っているが、やはり印象が強いのがタイトルにもなっている怪物。村に突然現れた怪物。最初は恐怖に怯えたが、怪物の魔力にとりつかれていく村人たち。やがて青年は怪物に近づこうとする村人を殺すようになる。
何が正気なのか。何が狂気なのか。
・「深く残る作品です。」
私が『悪童日記』を初めて読んだのは小6の時。あまりの衝撃に、2晩ほどずっとこの本の事を考えていました。戦争の中、淡々と語る何のモザイクのない「ぼくら」が見た世界。その中で生き延びるための術。読み終わったとき、何かが心に残りました。今でも読み返す事が度々あります。読んで良かったと思うと同時に、この本を買ってきた姉には本当に感謝してます。読まなきゃ損。といっても個人的には過言ではありません。
・「びっくりしました」
簡潔な文体。簡潔な章立。衝撃的な結末。本書読了後の正直な感想は「びっくりした」です。主人公の双子の少年達は大人たちの行動を冷静な目で見つめている。その冷静な目は怒り、悲しみ、憎しみ、異常さ、死を問わず、いつも変わることのない目線である。自分達を鍛え上げ、自分達で生きる術を身に付け、成長していく。そして衝撃のラスト。気分を害する読者もいるかもしれませんが、現実とはこんなものなんですね。美化したり、言葉で誤魔化したりする場面が、生きていると一杯ありますが、事実を書き連ねると本書のようになってしまうんですね。そして我々はその現実を見つめる「練習」をしないと、ちょっと気を許すと「お花畑の住人」になってしまう危機があることを理解しなければなりません。本書はその練習にもってこいです。現実から目を離してはいけないことを、我々に強烈に教えてくれます。
・「痛みを知り、忘れないこと」
「ぼくらはどんなことも絶対に忘れないよ」(本文より)
彼らは自分たちのことを「ぼくら」と呼び、二人が別のことをする時は「ぼくらのうちの一人ともう一人」という言い方をする。お互いを分けるための名前は必要ないのだと思うと、なんとも不思議で、そして少し不気味でもある。
彼らの環境に慣れるための「練習」には、物言わぬ批判を感じる。おそらく戦争下では、痛みや悲しみや、略奪や殺しといったことに対して、心を麻痺させないとやっていけない。人々は知らずのうちに、心に麻酔を打ち込み、忘れようとする。それは、忘れたほうが楽だからに他ならない。
対して、「ぼくら」は「絶対に忘れない」という。痛みを知り、そして忘れない。それは、麻痺したことを認識せずに、何もかもを忘れようとすることよりも、ずっとシビアな選択だと思う。
人の欺瞞や忘却、人間の持つ闇に対して、目をそらさない子供たち。20世紀、多くの人々は傷ついたのに、すでに私たちは多くのことを忘れてしまっている。いろいろなことを、はっと思い出させられる一冊。
・「読解力を試される傑作」
第二次世界大戦のさなか、都市から田舎の小村に疎開した双子の男の子が、祖母である老婆と暮らすことになる。そして老婆と子供の心の交流が始まる、などというありがちな展開は全くなく、双子は性悪の老婆に奴隷のようにこき使われ、村人達からも冷たい扱いを受ける。生き延びるために強くなることを強いられる生活の中で、二人は自分たちに起きたことをノートにつづることにした。そのノートがこの本である、という設定になっています。文章をつづる際、双子は自分たちに一つのルールを課します。それは、主観や感情を排して事実のみを記載すること。だから、この本の中で人々の思いは一切説明されません。なぜ彼らはそんな行動をとったのか、なにが起きたのか、どう思ったのか、それは書かれている事実をもとに、読み手が想像していくしかありません。読解力を試される小説です。ある人にとってはただのエログロ、ある人にとっては痛切な反戦の書と、読者の感性によっても印象が違うと思います。簡潔な文章なのに、いや簡潔だからこそ、想像力が刺激され情景が強烈にイメージされる。魔力のような文章に圧倒されました。本書には続編の「ふたりの証拠」と「第三の嘘」があり、それらを読むと違う世界が現れてくる仕掛けになっています。そちらはそちらでお勧めなのですが、この1冊だけ独立した小説として心の中に取っておきたいとも思ってしまいます。あえて続編を読まないという手も・・・などと言ったら作者のファンに叱られそうですが。ラストの衝撃がいつまでも胸に残りました。
・「5★アンネより早熟でグリム童話なみに残酷」
主人公は近代のヘンデルとグレーテル。戦災のため両親と別れ、祖母のもとへ疎開してきた双子少年の話。この祖母がまた魔女みたいで、宝石が大好物で毒使いでケチ。ベタです三拍子そろってます。
舞台はナチスを連想させる東欧。文章は少年の日記形式で非常に読み易い。平易な語彙で語られるシリアスな展開、このギャップが良い感じです。物語はグリム童話なみに残酷で、日記をつづる主人公もアンネ・フランク以上の早熟さと行動力を兼ね備える。大人でも充分に読み応えアリでしょう。日記は簡潔で乾いた文章が淡々と続く。どんな悲劇が少年たちを襲うおうが、少年たちは決して冷静さを失わない。タフですね。痛快です。
この作品三部作の最初の一冊で、第一部は衝撃のラストで。読み終え直ぐにでも続きが気になる。が、しかし!第二部以降、ガラリと作風が変わり。物語も複雑化していく。次巻以降、第一部の独特な日記のトーンは期待しない方が良い。PS●第一部はたった一日で読破、直ぐに3冊揃えたが、第三部完結までは一ヶ月たってもページが進まず…
・「なんじゃこりゃあ」
前作、悪童日記の続編。前作では固有名詞は一切出てこなかったのだが、話は一転、(一見すると)かなり普通の小説になっていく。 だが、前作の無駄な修飾や感性を一切排除した文体は続く。すごいことに、この話一切感情を地の文で書いてないんです。悲しいとか、嬉しいとか、誰々がどのように感じたかがまったく書いていない。それなのい、行動や言葉の端々から感情と残酷さが溢れ出てきて、ある意味とても刹那的なその感情に惹かれたりする。 まぎれもない傑作。前作で衝撃のラストだったが、今作でのラストもさらに衝撃的。感情を押し殺した文体にこのラストはもはや神業としか言いようがない。 前作で双子のアイデンティティは揺らぐことはなかった。それは世界が双子の内部だけで完結していたからにほかならないから、明らかに同意の上で分離したふたり。その片割れ、リュカの生き方を是非見てください。 続きもすぐ読まねば。
・「謎が残る続編」
「悪童日記」の続編。前作の最後で別れた双子の「ぼくら」。その片割れであるリュカが主人公となって、話は進められる。 今作は前作のような日記形式ではなく、普通の、いささか普通すぎるような文章構造です。しかし、文体は前作のように無駄を省いた簡潔なもの。慣れないうちは読みにくいかもしれませんが、リズムをつかむとスラスラ読めます。内容は前作よりも重層的になっていて、読み応えもあります。 気になるのが、リュカ(LUCAS)とクラウス(CLAUS)という双子の名前。アナグラムになっています。そして、主要な登場人物が全員、何かを失っている、あるいは失うということです。続編への物語の伏線であると思います。 そして、最後の報告書の体裁をとったエピローグ。今まで語られてきたことと明らかな矛盾点があります。 これは続編を読まなければ分かりません。完結編に期待です。
・「ええー!」
「悪童日記」の衝撃的なラスト。その後、どうなっていくのかと思っていたら、前作を凌ぐ世界観に圧倒された。先を知りたいと思う欲求が、読むスピードを超えて広がっていった。その先で、待ち受ける更に更に、衝撃的な結末。
「悪童日記」を読んだら、読まずにはいられない。というよりも、読まない人はいないだろうと思う一冊。 驚愕の結末は期待を裏切らない。
・「読み出すと止まらない」
三部作の2作目。前作ラストで衝撃の別れを見せた双子のその後。相変わらず、主人公の感情は皆無に等しい。そして、またしても衝撃のラスト。今までのストーリーが180度変わる構成に度肝を抜かれると共に、心臓はドキドキした。この三部作は読み出すと止まらない。すぐに3作目へと入り込んでいく。
・「哀しく、透明なアゴダの世界」
1作目の「悪童日記」を読んだ衝撃も消えぬまま、新たな罠をしかけられ、最初は困惑するはず。この本に流れているものは、色で言うなら透明なブルー。どこまでも清く、そして、どこまでも救いようのない。。。嗚咽をがまんしているような、喪失感のなかで、「おばあちゃん」のいた明るさはもうどこにもない。3部作のなかで、一番すきな本。
そして、最後にまっているものは。。。「ふたりの証拠」この本のタイトルがすべてを語っている。
・「そうだったのか」
ずっと待っていた’悪童日記’’ふたりの証拠’に続く完結編の文庫版。これまでの話では、話の展開に疑問がたくさんありましたが、この作品で納得しました。そういうことだったのか・・と。戦争や国家やイデオロギーが人間の運命をいかに翻弄してしまうのか考えてしまいました。そんな時代にこうしてしか生きていくことができなかった主人公の姿は、そのまま残酷な時代を象徴しているかのようにも映りました。
・「完結編?」
「悪童日記」の襲撃的なラストから、「ふたりの証拠」の驚愕の結末を経て、辿り着いてしまった三部作の完結編。 「悪童日記」「ふたりの証拠」の背景をたどっていくこの物語は、やはり期待を裏切らない。 何が真実で、何が嘘なのか。全てが真実で、全てが嘘かもしれない。物語の世界観に引き込まれ、道を見失う。簡潔に、言葉少なに語られたこの世界に、自ら進んで迷い込んで欲しい。
・「最後に「存在」することへの挑戦」
時は流れる。天使のようにうつくしかった主人公も年老いていく。戦争のなかを生き抜いた自分自身の存在をかけて、最後の戦いをいどんでいるようにも見える。私が私であることのあやうさ。そして唯一存在したことの証しでもある「名前」さえもが、真実味を失ってゆく。。。
〔人間の存在〕を根本からくつがえさせるような衝撃をのこし、3部作は幕をとじていく。
・「静かな」
悪童日記、ふたりの証拠から続く一連の三部作も今作で終了です。 途中で挫折した人にも、ここまで読まなければ本当の衝撃は味わえません、と言っておきますか。
作品の根底で静かに渦巻く奔流に、びりびりとしました。
細かい事は言いません、これを読まないで一生を終えるというのはあまりに勿体無い。
・「将来の夢は?」
三部作のラスト。次々と判明していく真実。「将来の夢は?」と問われ「したい事は別にないです。どうして、絶対に何かをしなくちゃならないんですか?」と答える現実。悲しき兄弟の物語。ラストは途方もない虚無感に襲われる。また読みたいと思った小説は始めての事だった。
・「無くしたものは、借りられたもの」
かりぐらしとは、人間の持ち物を借りて(持っていって)暮らしている小人たちのことです。この本は、かりぐらしたちのお話の最初の本。私は、これを読んで以来、何かを無くしたときは、小人たちが借りていったのかもしれないと思うようになりました。自分の家の床下に、こんなに楽しい小人たちが居たら、とても素敵なことだと思います。大人も、子供も、かりぐらしと友達になりたいはず。シリーズで数冊ありますが、この本が一番、かりぐらしたちの楽しい生活を間近で見ているような気分になります。ほんとに、おすすめ。
・「チャーミングな物語」
日本では「床下の小人たち」として訳されているこの本。生活必需品をなんでも床上の人間から借りてきてしまうからこのタイトルがついています。人間にみられないように物を借りてくる生活というのはさぞかしスリリングでしょう。Borrowersのために人間がいるのよ!という彼らの考え方も面白い。daだから、生活は借り暮らしで、盗んではいないと。もしそうなら、なぜ見られてはいけないのかな??子供の頃に読んだこのシリーズ、続きも読んでみたいですね。
・「ちいさなファンタジー」
この本は、ファンタジーに分類してもよいと思いますが、魔法が出てきたり壮大な話だったりするわけでもありません。床下なんかに、とっても小さな人たちが住んでいて、人間の持ちもの 安全ピンなどを「借りて」暮らしている、という物語です。小人達は、人間に「見られる」ことを最大の恐怖として生きているので、その
生き様はなかなかスリリング。本当に、家にいるような、そんな身近な感覚をおこさせてくれる本です。「(床下の)小人がいないなら、なぜ工場は安全ピンを作り続けるのか」というのはある意味名言ですね。
●弟の戦争
・「最高峰の児童書である。完璧だ。」
主人公の男の子が3歳になったときに生まれた弟には、離れたところにいる人物になってしまうという超能力的な力があった。最終的に湾岸戦争の少年兵になり、主人公は弟と一緒にそれを経験すると言う話である。
作られた生々しさではなく、本当に自然な、フラットな目で見た生々しさである。
最後のまとめ方も、問題意識を持ったのは医師と主人公だけであり、この立場はこの本を読んだ人と同じ状況であることが共感を持ちやすい。何かの考えを押し付けようとはせず、ただありのままに語られているだけだ。この効果がすべて意図して書かれたものだとしたら、この作家はすごい。
児童書と言うこともあり、言葉がやさしく理解しやすい。
小学校中高学年からとあるが、この年で出会っていたらマジでやばい。人生に残る1冊と確実になるだろう。その年で出会いたかった。
自分の表現能力のつたなさが本当に悔やまれる。この本の良さをこのような言葉でしか表現することができない。そんな気持ちにさせるほどよいのです。
翻訳者もがんばった。いい仕事をしている。
・「あまりに残酷な、素晴らしい傑作。」
あまりに、あまりに残酷な本だ。しかし機会あるごとに書いているように、本書は紛れもない傑作だ。
テーマとして本書に存在するのは、戦争の残酷さ。現代戦の嚆矢としての湾岸戦争をプロットに利用している。しかしウェストールの書く「残酷さ」は、たとえば「悲惨な戦争」という一語に集約できるものではない。主人公(兄だろうか、弟だろうか?)の家族の中に、コミュニティの中に、世界中の人々の中に存在する「残酷さ」を冷徹に描き出しているのが本書だ。
もちろん、残酷さのみを描くのではなく、そこはウェストールらしく細部にも手を抜かない。例えば本書に登場するラグビーの話は秀逸だ。大のラグビーファンの目から見ても、「ラグビー」というものをここまで正確に描き出した文書を見つけるのが
・「切なくて、心に響く」
中学生の頃、選択授業の時間に本を読まなければいけないのに持ってくるのを忘れた私は急いで図書室に行ってこの本を借りてきました。表紙もキレイだし、あらすじを読んでとてもおもしろそうだと思ったからです。でも、私には家に忘れてきた読んでいる途中の本があるし、この本はもうこの時間が終われば返しに行こう、と思っていました。しかし、読み始めたら授業が終わっても、休み時間になっても、次の時間になっても、家に帰っても…気付いたら一日中本に食いついてました。小学生向けで読みやすかった、というのもあるかもしれませんが、本当に面白くて心に響く素晴らしい作品だと思います。それがきっかけで、私はもうすっかり作者のファンですまだ他に同じく図書室に置いてあった『海辺の王国』と表紙がキレイだったので買った『禁じられた約束』しか読んでいませんが、これからこの作者さんの本はたくさん読んでいきたいと思います
・「世界同時テロ9.11の5年目に思う」
■ある新聞のコラムを見たのがきっかけで手にした一冊。子どもの視点から戦争を描き続けた英国の児童文学者ロバ-ト・ウェスト-ル(1929‾93)の作。もちろん私にとっては初めての出会いとなります。児童向けとはいえ、ずっしり重いというのが感想です。
■戦争の話だけでなく、精神病院や人種差別まで飛び出す場面は、感受性の強い子どもにはいささか抵抗感があるかも知れませんが、<他者への共感能力>の大切さを訴え、<すべての戦争を憎む>作者の強い決意を表す作品といえましょう。
「弟の戦争」をキ−ワ−ドにしてHP検索してみると、これを原作に脚本化され、すでに演劇としても上演されているようです。それほど強烈なインパクトのある書といえます。
■ 訳者のあとがきによれば、原題の“Gulf”という英語には、ペルシャ湾という意味の「湾」とともに、象徴的に「へだたり」や「断絶」という意味があるそうです。
「アッサラ−ム アライクム」(挨拶) 「ワ アライクムッサラ−ム」(返事)
いつか、こんな挨拶が私たちの身近でも飛び交う日が来るのでしょうか・・・。
・「心で感じてみてください」
朝日新聞の天声人語で紹介されていた本です。。弟の戦争というタイトルですが、舞台は戦場ではなく、平和なイギリスです。イラク軍少年兵として湾岸戦争を戦った少年に、精神的にシンクロしてしまったイギリス人の少年を通じて、湾岸戦争を描いています。湾岸戦争は「悪者イラクを、正義の米軍がたたきのめした正義の戦い」という一般的理解に対して「イラク人だって人間なんだよ」いうことを判りやすく訴えています。爆撃で橋や建物が吹っ飛ぶのをTVで見て「米軍てすっごーい!」などと感心してしまっている人に「建物と一緒に吹っ飛ばされて、ちぎれて、焼かれている人間は、イラク人という悪魔ではなく、自分たちと同じ人間だという事実をそのまま伝えてくれています。戦争を美化するでもなく、戦争を批判するのでもなく、アンチアメリカでも、アンチアラブでもなく、政治的立場や宗教的立場からではなく、人として普通の感覚で描いています。「人間を殺しているんだよ。どう思う?」と問いかけられているようにも思えます。「戦争反対!」と叫ぶ理詰めの主張を頭で理解するのとは違い、「人を殺すなんて嫌だ」と心で理解させてくれる本書の語り口は、心に響きます。
飢餓に苦しむエチオピアの少年とシンクロしてしまうエピソードもあります。スペインのビーチで夏休みを楽しんでいる最中に、エチオピアの子供とシンクロしてしまうという設定は、「今も大勢の人が苦しんでるんだけど、そんなの無視しておもしろおかしく生活していて楽しい?」という問いかけです。声高に平和や人道支援を叫ぶのではなく、今も人が飢死していることを、子供の純粋な視線で教えられると心にしみます。餓死しているアフリカの人のことは、知らんぷりをして、何事もないかのように暮らしていてはいけないのではないかと思えてきます。
一度読んで、心で感じて見てください。
・「枠物語の快作」
クリケット選手の服装をした風来坊"MMC"。彼は普段、売り物のベッドに横たわって本を読んでいますが、お客に古道具にまつわる奇妙な話を聞かせると、不思議な出来事がおこります。
枠の部分も凝った構造になっていて面白いんですが、中身の物語がまたすばらしい。古道具にまつわる話ということで、因縁話めいたものが多いけれど、どれもスパイスが効いて楽しめます。中でも「戦争ゲーム」の話は最高。
また、版画調の挿絵が物語にぴったりあっています。子供用の甘い絵ではなく、洋画のシーンを絵にしたような感じで感心しました。
・「MMC最高!!」
突然エイルサ母娘の前に現れたMMCという謎の男性。彼は本ばかり読んでいるけれども 古道具にまつわる話をしだすと。。。とたんに雄弁になって、お客をぐいぐい引き込むんです。もちろん、読者の私達も。。
11の古道具にまつわる話の中で私が一番ぞくっとしたのは『寄せ木細工の文具箱』。。。でもね。どの話もすごく辛口でシニカル。子ども向けの本とは思えません。イソップのように教訓めいている話、ちょっとロマンティックな話、恐い?話、、、1冊で幾通りも楽しめる ファンタジーだと思います。
・「物語の魅力」
児童書コーナーを見ていて、表紙に描かれたそれこそ不思議な男の絵が目に入った。それで本書を手にした。思えば、このときすでに、この本の「不思議」を売られたのかもしれない。ページをめくるにつれ物語の魅力に取り付かれる。次々に語られる古道具の物語は、どれも本当かうそかよくわからない。でも、本当か否かはどうでもいい。久しぶりによい物語に触れることができた。大人にも十分に読み応えがある。
・「読むほどに引き込まれていく」
何と言っても、この男の人の話の面白さです。 お店にある品物についての物語を、あるときは恋の物語にからめて、あるときは自分しか考えられなくなった人とからめて、など、その品物はどういう人間の中で存在してきたのかを語ってゆきます。お客はこうして、品物に引かれてゆきますが、私は客以上に引き込まれた行きました。 この男の人の性格も惹かれるところがあります。 何度も何度も何度も読んでいる本です。
・「ほんとに不思議な物語」
エイルサが図書館で出会った不思議な男は、「リーディング(本の国)」から来たという。うさんくさい目で見るエイルサだが、母親の営む古道具屋に居候した彼が語る物語は、多岐に渡り、非常に興味深い。そして、とても不思議なのだ。
彼が語る物語がひとつの短編となっており、一編一編が十分楽しく読めるのだが、最初から通して読むことをお薦めする。最後の章を読み終えたとき、理由が納得出来るだろう。
・「ヴォネガット教の聖典」
約四半世紀ぶりに再読したが、エセ宗教であると教祖ポコノン自らが述べているポコノン教の聖書(「ポコノンの書」)の一節(カリプソ)のようにナイス、ナイス、ヴェリ・ナイスと評価したい。作者の本の中で一番奇妙奇天烈度が高いが、明確な輪郭を与えられた個性的な登場人物達が宿命的にサン・ロレンゾ島に集結し、ドタバタ劇のあげくに世界を滅亡させ、ごく少数が生き残るまでを描くストーリー・テリングの技はヴォネガットの長編の中でも一、二を争う出来。その裏には科学の進歩の成果の管理を誤ることの恐ろしさ、家族のあり方、救いようのない貧しい国の存在といった重いテーマを抱えている。
「わたしをジョーナと呼んでいただこう。」から本文が始まるように、本書は旧約聖書を意識させる。旧約聖書ではノアの洪水で世界が滅んだ後、箱舟からまた世界中に生命が拡がるが、本書では世界滅亡後、残った人間は子孫を残すことに関心のない者ばかり。彼等が「スイスのロビンソン一家」のような生活を送った後には、荒涼とした世界しか残らないだろうことを暗示させる本書終末部に人間の無力さ・愚かしさ・無常を痛烈に感じずにはいられない。
そして、本書を決定的に面白くしているのはポコノン教。人々の目を現実からそらし、見かけのよい嘘を人々に与えるべく作り出され、人々に生きるはりをつくるために信者である権力者に自身と宗教の迫害を教祖が依頼する、とんでもないニセ宗教であるにも拘らず、島民全部が、そして主人公までが惹きつけられる、人間世界の真実をカリプソで語る名言の数々と奇妙な儀式。人間と宗教の関係について考えさせられる。ポコノンの書以外にも登場人物の言葉には名セリフが多い。嘘から真実に迫る戯作者ヴォネガットの面目躍如の、ヴォネガット教の聖典と言える一冊である。
・「一言で言うとヘンテコな小説」
原爆を発明した科学者に関する本を書こうとしていた主人公ジョーナは、その科学者の関係者を訪ねるうちにカリブ海に浮かぶ架空の島国サン・ロレンゾを赴くことになり、なぜかそこの大統領に任命され、最後には科学者の子供たちが隠し持っていた水を凍らせてしまう物質アイス・ナインによって人類が滅亡してしまうというヘンテコな話。裏に隠されたテーマを考えると深遠な小説なのでしょうが、変人ばかりの登場人物たちの言動に笑わされたり戸惑わされたりするうちにあっという間に読み終わってしまいます。
サン・ロレンゾに伝わるボコノン教というインチキ宗教が、全ての宗教をあざ笑っているようでとてもユニークです。キリスト教徒が多数を占めるアメリカでよくこんな本の発売が許されたものだと感心してしまいます。結局この本が言いたかったのは、全ての既成概念が無価値であること、そして人生あるいは世界というものも無価値であるということなのでしょうね。
・「もう一つの側面」
アイス・ナインというクールなアイテム、形而上学やそれに支えられた近代的社会へのまさに妙薬であるボコノン教。このような独特な場面設定が、この作品にカルト的な魅力を与えていることはまちがいないだろう。しかし、敢えてもう一つこの作品の核を挙げるならば、それは「孤独」である。アンジェラ、フランク、ニュートそれぞれの孤独。巨大な破壊力が孤独な人の手に渡ったとき、何かが起こるのはもはや必然ではないだろうか。
ありふれた孤独を前に、理性は、あまりにも頼りない。
・「シンクロニシティー」
この本は友達から知りました。この本に出てくるアイス9、要するに水を凍りに変えてしまう水?シェルドレイクをご存知の方ならあっさりこの作品の要は理解できます。ヴォネガットの非凡なところは人物設定。読んでいない人に悪いですがモナという女性の描写が魅力的。もちろん主人公の性格なども面白いです、けれどあっさりモナにいかれてしまう、この辺は現実ではこうならない場合が多いと思う私としては安直過ぎる展開かとも思いますが、文章がコンパクトで読みやすくSFに興味のない方にもお勧め。とにかく大傑作だと思います。再読にも耐えますよ、とことん!
・「足の裏と裏を合わせてー」
全体を見るとシリアスな社会派小説なんだろうけれども、ボコノンの教えが、その堅苦しさを良い具合に中和している。何を訴えているのかということが明確な作品で、ボコノンの教えは、生物がどこに救いを求めるのかを私に考えさせてくれました。
・「心に残る名作」
表向きは水車小屋の見習い職人、実際は水車小屋を営む魔法使いの弟子になるという秘密めいた設定のため、魔法を覚えていくファンタジックなストーリーに"死"の禍禍しさと緊迫感が終始つきまといます。一見便利で何不自由の無い暮らしは命と引き換えの極限とも言えるものでもあったのです。
主人公は友情や愛を見い出すことにより、自分にとって本当に必要なものが何であるのか見極めて、決断を下せる強さを手に入れるのです。
この本を手にしたのは15年以上も前になりますが、今でも時々読み返したくなる貴重な作品です。
・「プロイスラーの名作」
「大泥棒ホッツェンプロッツ」や「小さいお化け」などどちらかというとほのぼの、わくわくするようなイメージのプロイスラー作品。しかし、「クラバート」は少しばかり趣向を異にしています。もちろんホッツェンプロッツなども児童文学の珠玉の名作ですが、「クラバート」もプロイスラーの1つの頂点を示していると言えるでしょう。 あらすじを追うと”身寄りのない少年が魔法の学校に入って…”とまるで『ハリー・ポッターシリーズみたいな感じ?』と思われる方もいるかもしれませんが、舞台はドイツの鬱蒼とした沼地。この設定が最大限に生かされており、物語のテイストは180度違います。 ”魔法”という力を手にすることはどのような意味を持つのか、その対価として失われて行くものはなんなのか。この物語では、魔法はただ夢にあふれた素敵な力として描かれてはいません。人の弱さを象徴するものであり、また、因果によって人を縛るものでもあります。クラバートをはじめ、魔法に関わった(しまった)人々の宿命から目が離せません。
巻末の解説によればもともとこの話はドイツ・ラウディッツ地方の伝説として伝わっていたものだったとか。プロイスラーは少年のころこの話を読み強烈な印象を受けたそうですが、もとの伝説とプロイスラー版「クラバート」ではストーリー(とくにラストにかけて)が違います。そのあたりはどうしてなのかを考えるのも面白いかも?
・「死の空気を吹き払う、雪解け川の響きにも似た「自由」の響き」
チェコ、ドイツ、ポーランドの国境沿いにあるラウジッツ地方。本書は、ボヘミア地方の北に位置するラウジッツ地方の伝説を下敷きにして、作者が描き上げた「魔法使いの弟子」クラバートの物語です。
今回再読して、とりわけ心に残ったのは、クラバートが魔法使いの親方の弟子になって三年目、それまでの閉ざされたものから開かれたものへと物語の空気が変わる、その鮮やかさでした。黒々とした闇の中に、一条の光がすっと差し込んだかと思うと、劇的に変化していく物語の色合い。雪解けとともに、長い冬がついに終わり、みるみる春の彩りを増していくような物語の風合い。初めはかすかだった雪解けの川の流れが、「三年目」の章に至って、ぐんぐんと力強く、終盤へと駆け下っていくところ。そこに、とても感銘を受けました。
ご存知の方も多いでしょうが、この「クラバート」の物語、宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」の印象的なエピソードとしても使われているんですよね。映画を見た方なら、きっと、「ああ、この場面がそうなんだね」と気づくことでしょう。
原題は、KRABAT 1971年の作品。
著者の作品では、『大どろぼうホッツェンプロッツ』シリーズ、『小さい魔女』などを、子供の頃、とても面白く読みましたけれど、一番感銘を受けた作品といえば、大人になってから読んだこの『クラバート』です。今回再読して、あらためて、物語の魔法の力に打たれました。中村浩三氏の訳文も、こなれていて読みやすいものでした。
・「魔法の有限性、生きることの難しさ。」
宮崎駿が影響を受けたと言われる一冊ですが、それだけの実力のある素晴らしい一冊であったと思います。その世界観は、宮崎駿氏の作品にも影響がやはり色濃く見え、宮崎アニメの大ファンであるならば、必読の書の一つであると言えます。
私は本書の上手さ、素晴らしさは「人間」と「魔法」の描き方のうまさにあると思います。何よりも、近年「魔法」的なものが横行し、夢や希望、果てには欲望さえも魔法の力で解決できてしまうアニメなどとは違い、「魔法」という非現実的なものを、現実の世界とうまく調和させながら描いている事です。現実の世界は魔法のように素晴らしい力が溢れてはいますが、それは無限のものでないことは、子どもを読者の対象とした時にも夢や希望といった可能性の広がりのあるものとは別に、伝えるべき事柄であると思います。 また、人間(登場人物)の描き方も、良い面ばかりを強調して描くのではなく、人の短所や欠点までも描きつつ、主人公(クラバート)に、それを一人の人間として認めさせている人間観を持たせていることも一つの上手さであると思います。単純に勧善懲悪なヒューマニスッティックな物語に留まらないすごみ、迫力が本書にはありました。
様々な賞に輝くだけの実力をもった一読の価値のある本です。口承によって伝わった物語をここまでに発展させたプロイスラーの筆力は、手放しで賞賛できるだけのものがありました。
・「これは大人が読んでもいいと思う。」
これねぇ、いいっすよ実に。ネタバレしない程度に言えば、筋は少年が働いていく中で、様々な出来事を通して大人になっていくという物語なんですけど、主人公は勿論のこと、少年の周囲の人物(水車小屋で働く同僚達)が、あまり細かく人物描写されている訳でもないのになんかすごく人間味があって魅力的なんですよ。またセリフの一つ一つに無駄が無い!実のある言葉が、飾り気はないが美しい響きをもって心に迫ります。そして最後のクライマックスが…すごい。 …魔法物、とかそういうジャンルを超えて、小学生の頃、こんなに『納得した』物語は始めてだと思いました。大人になった今もたまに取り出して読みます。ここに出てくる『親方』が何故恐いのか?それは自分の中にある闇を見ることだとか色々思ったりします。 ドイツの古い民話ベースなんで、最初は暗い雰囲気なのですが、最初さえ乗り切れば、あとはぐいぐい読めると思います。最初を乗り切って、読まれることをオススメします。めったにない1冊だと思うからです。