緋色の研究 【新版】 (創元推理文庫) (詳細)
コナン・ドイル(著), 阿部 知二(翻訳)
「ホームズデビューに最適でしょう」「意外と複雑」「ホームズ初体験」
チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫 599) (詳細)
海堂 尊(著)
「一見軟らかいが、内容は硬派」「デビュー作とは思えない圧倒的な筆力」「強烈なインパクトのある作品」「とにかく面白い」「おもしろい」
チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫 (600)) (詳細)
海堂 尊(著)
「楽しみなシリーズの誕生」「『パラサイト・イブ』以来の衝撃」「現場のノウハウが見事に本作では炸裂している」「説得力ある構成」「一気に読めるおもしろさ!特に下巻はおもしろい!」
容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7) (詳細)
東野 圭吾(著)
「映画化に先駆け文庫化」「これを機会に」「献身という言葉では収まらない」「”最愛”の人の為に。」「観てから読むか読んでから観るか」
殺戮にいたる病 (講談社文庫) (詳細)
我孫子 武丸(著)
「我孫子武丸氏が見せた神技」「来るべき未来としての現在」「二度読まねばなりません」「巧妙な騙しのテクニック」「驚異の作品」
やえやまGUIDE BOOK (詳細)
南山舎
「八重山の島旅には必須です」
リング (角川ホラー文庫) (詳細)
鈴木 光司(著)
「斬新な概念の恐怖」「とにかく不安にさせる」「謎を解明していく過程がおもしろい」「最高に面白い」「映画を見て忘れた頃」
らせん (角川ホラー文庫) (詳細)
鈴木 光司(著)
「是非「ループ」まで」「最高の作品」「勘違いしてる方々へ」「だからホラーちゃうじゃん。」「リングに対する合理的な説明」
占星術殺人事件 (講談社文庫) (詳細)
島田 荘司(著)
「こんな小説があったとは。」「これから『占星術殺人事件』を読めるシアワセ」「あまりに濃厚なカタルシス」「正統派ミステリー」「まぎれもない傑作、近年まれに見る本格派」
ST警視庁科学特捜班 (講談社文庫) (詳細)
今野 敏(著)
「面白かった」「ST,だいすき!」「ありえない設定こそ面白い」「こういうスタイルもあっていいさ」「頑張れ百合根さん、ワタシは好きだ(^^;)。」
月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫) (詳細)
有栖川 有栖(著)
「クローズドサークル」「純粋な残酷」「青春小説」「折り重なる偶然と哀しみ」「Temptation of the Moonlight」
孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (詳細)
有栖川 有栖(著)
「中身も良いけれど」「地味!だがイイ!!」「『読者への挑戦状』」「パズルの完成図は」「雰囲気満点のちょっとせつない青春ミステリ」
名探偵の掟 (講談社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)
「まずはこの作品から」「ミステリー物のお約束をネタにした小説」「ミステリーを愛する人への贈り物」「座右の書です(恥ずかしながら)」「本格推理小説のあり方を問い直す東野圭吾的「講義録」がここに!」
名探偵の呪縛 (講談社文庫) (詳細)
東野 圭吾(著)
「WHO DONE IT ?」「名探偵の掟の次に読み、数年後に再読しましょう」「作者の思いが伝わってきますね。」「本格推理が存在しない世界」「原点に戻る」
テロリストのパラソル (講談社文庫) (詳細)
藤原 伊織(著)
「フィクションと様式美について愚考する」「絶対にお薦め出来る作品」「ハードボイルドの新時代」「素晴らしい」「純愛小説って言うと叱られる?」
ナポレオン狂 (講談社文庫) (詳細)
阿刀田 高(著)
「最後の一文を読むまでは」「阿刀田作品で最高傑作です」「日常の中のホラー」「最高傑作「ナポレオン狂」」
すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫) (詳細)
森 博嗣(著)
「Fのなかへ」「ユートピアと密室と」「斬新なトリック」「ダイナミック!」「何故に四季はSEを使っているのか?」
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>我孫子武丸
文学・評論>SF・ホラー・ファンタジー>日本の著者>さ行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>さ行の著者>島田荘司
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>か行の著者>今野敏
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>あ行の著者>有栖川有栖
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>は行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>日本の著者>ま行の著者>その他
文学・評論>ミステリー・サスペンス・ハードボイルド>外国の著者>タ行の著者
・「ホームズデビューに最適でしょう」
僕のホームズデビュー作です。おもしろいです。読みやすいです。この後のホームズ作品にも言えますが、歴史背景やストーリーの進み方がホームズよりも犯人側(犯人が主人公と言っていいです)に向いてます。ホームズが推理に至る課程はやはり外国の事なので理解しにくい点もありますが、全く違和感なく読み進められます。また犯人の立場を考える優しさもホームズの美点です。深く考えないでホームズの本格推理に浸る時間はとても楽しいと思いますよ。
・「意外と複雑」
当初この本を初めて読んだのは高校生のときで、その時はRACHEが示す「復讐」の意味と犯人の関連性がよくわからなかったが、現在(大学生)になってよく読んでみると、土地開発者ジェファソン・ホープが恩人ジョン・ファリアとルーシー・ファリアが死んでしまったことに対する恨みによる復讐の意味でRACHEという文字が血で書かれてあったことがわかった。血文字の意味からここまで推理するホームズには関心したが、こういう事は物語を深く読んでみないと本当にわからないので意外と複雑だったと思う。意外と難しい内容だったけどわかれば簡単だった。
・「ホームズ初体験」
有名なコナン・ドイルの、有名なシャーロック・ホームズ。初めて読んだ。面白かった。
●チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫 599)
・「一見軟らかいが、内容は硬派」
文章は軟らかいが、内容は新本格派真っ青。非常に面白く、ぐいぐいと小説世界に引き込まれていく。電車とかの空いた時間に読んでいるが、すぐに小説の世界に入っていける本ということでは、バッテリー以来。医療の専門用語なんかも気にせず読める。これらは、物語に余分なところはスパッと切り取っているからだろう。これから下巻だが、どうなるか楽しみである。今のところ、褒め言葉しか浮かんでこない。
・「デビュー作とは思えない圧倒的な筆力」
海堂尊のデビュー作にして第四回『このミステリーがすごい!』大賞を全会一致かつ数分で決定となった作品。作者はオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)の重要性と医療制度への導入を訴え続けている現役医で、外科医を経て病理専門医となった人だ。その現場のノウハウが見事に本作では炸裂している。
文体が非常に軽く読みやすい。まさに現代向きの文体。それでいてストーリーの骨格はデビュー作とは思えないほど精緻だ。そして最も大切なキャラクタの作り込みが実に良くできている。おそらく多くの人が『白鳥』というキャラクタの魅力に魅せられている。どこか京極夏彦の榎木津と似た魅力で読むものを圧倒する。
既に映像化されそれを記念しての文庫化で、映画では『田口』は女性になっている。8月のDVD化が楽しみだ。
・「強烈なインパクトのある作品」
強烈なインパクトのある作品で、一気に読んでしました。 キャラクター、ストーリー、そして、そこにある緊迫感、リアリティと、どれを取っても最上級の作品でした。おまけに、現代医療の抱えている闇の部分をも表面化してゆくというテーマの面でも素晴らしい作品でした。 この本を読む上で先ず印象に残るのが、探偵役の白鳥圭輔である。一見常識はずれな言動を見せながら、“ロジック・モンスター”ぶりを発揮して、緻密な推理を組み立てて行きます。その相棒であるワトソン役の田口公平との凸凹コンビの組み合わせも魅力的です。 内容的にも、度重なる術中死が事故なのか、故意なのかという、その真実を求めて隠されたベールを一枚一枚剥がして行く手際のよさが、読み手を一層虜にしてゆきます。「手術室」という「密室」に近い状況の中で起こる「死」の真実は、読み進むものの興奮を誘います。 今年読んだミステリーの最高傑作の一つです。
・「とにかく面白い」
映画が面白いと浜村淳が絶賛していたので、新幹線のお供に新大阪で購入。あまりに面白くて寝るのも忘れて、仕事が終わったら速く読みたいと思ってしまった。
医学関連の小説は読むと後味が悪い(医者が嫌いになる)ので積極的ではありませんでしたが、帯のセールストークや平積みになってるので外れはないだろうという軽い気持ちだった。
内容は他の方が書かれているので書きませんが、とにかく面白いの一言です。題材は病院や医者ですが不快感もなく万人に受け入れられる作品だと思います。
ひさしぶりに小説の醍醐味を充分堪能させてもらいました。作者はこれが初めての小説でおまけに本業は医者と聞いてあまりの才能にびっくりしました。
他の作品も早速読んでみようと思います。久しぶりに完全にノックアウトされた素晴らしい作品でした。
文句なく星五つです
・「おもしろい」
キャラが立っていて面白いです。冷静に考えるとトリックとしては単純極まりないので、ハラハラドキドキのミステリーというよりは、キャラとか雰囲気を楽しむ感じです。しかしこれって理屈っぽすぎて映画にできるのかなあと余計な心配をしてしまいました。
●チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫 (600))
・「楽しみなシリーズの誕生」
下巻も読みました。 前半の上巻も面白かったけれど、後半の下巻もかなり面白かったです。大満足。 食わず嫌いで読んでいなかったのを後悔する面白いエンターティナメント作品でした。前作では、病院側から愁訴外来の田口医師が探偵役として全員の聞き取り調査をしていましたが、目の前で手術中に患者が死亡、謎は解明できずという事態を受けやむなくギブアップ。厚生労働省からロジカルモンスターこと白鳥技官が派遣されてきます。 この白鳥技官という人物がキャリア組の公務員というイメージにまったくそぐわない、傍若無人・はた迷惑・トラブルメーカーといった感じの一見どうしようもない人物なのですが、そこはそれ、物語の牽引役として登場するわけですから、実はずば抜けた知性と行動力の持ち主で、バチスタ・チームの術中死の謎を明晰にズバズバッと快刀乱麻を断つがごとくに解決していきます。ただ、さきほどに書いたような人物ですので、尊敬と威厳を滲ませつつというよりは、助手に駆り出された田口医師も辟易するような捜査術でそれを行う訳ですが、それが破天荒で面白かったです。 医学ミステリというと堅苦しいイメージがつきものですが、そういう印象をばっさりと切り捨ててくれる一冊でした。続編も多々出ているようなので、文庫化を楽しみに待ちたい楽しみなシリーズとなりました。映画のキャストなんて吹き消すほどの出来でした。
・「『パラサイト・イブ』以来の衝撃」
緊迫した展開で終了した上巻のスピード感は白鳥の登場によって更に加速度を増す。チーム・バチスタの面々は白鳥の力づくともいえるヒアリングによって有無を言わさず容疑者となり、心の奥底をえぐられる。心の外科手術とはよくいったもので、白鳥のメスはチームのほころびを次々に明るみにしていく。
現役医師だからこそ描ける医療の実態、そして新たな技術。医者だって一人の人間でしかない、ということをこれでもかというくらい見せつけられる。桐生ブラザーズの苦悩が本策の山場であろう。その後の真犯人確立までの盛り上がりは白鳥の存在が薄い分、長いエピローグの感じさえする。しかし、それはマイナス評価ではない。読み手の気持ちをクールダウンさせてくれている気さえする。
文句なしに面白い。田口&白鳥コンビの探偵劇はすでに続編が刊行中。しばらくは海堂作品にはまってみるのも悪くない。
・「現場のノウハウが見事に本作では炸裂している」
海堂尊のデビュー作にして第四回『このミステリーがすごい!』大賞を全会一致かつ数分で決定となった作品。作者はオートプシー・イメージング Autopsy imaging(Ai=死亡時画像(病理)診断)の重要性と医療制度への導入を訴え続けている現役医で、外科医を経て病理専門医となった人だ。その現場のノウハウが見事に本作では炸裂している。
文体が非常に軽く読みやすい。まさに現代向きの文体。それでいてストーリーの骨格はデビュー作とは思えないほど精緻だ。そして最も大切なキャラクタの作り込みが実に良くできている。おそらく多くの人が『白鳥』というキャラクタの魅力に魅せられている。どこか京極夏彦の榎木津と似た魅力で読むものを圧倒する。
既に映像化されそれを記念しての文庫化で、映画では『田口』は女性になっている。8月のDVD化が楽しみだ。
・「説得力ある構成」
上巻ではわからぬ謎ときが、下巻で、徐々に、絞りこまれ、明かされていく。明かされた内容は、確かに上巻で、伏線がはられ、そう解釈できるヒントがちりばめられている。説得力のある構成だ。
・「一気に読めるおもしろさ!特に下巻はおもしろい!」
下巻は、主人公・田口に加え、白鳥が登場し、物語のおもしろさを倍加させてくれる!この2人の会話を読んでいるだけで実に楽しい気分になれる。
医療、病院をテーマにしながら、これほどまで実におもしろく、軽妙なタッチで描くミステリーは、もうおもしろくておもしろくて、一度読み始めたら先を読まずにはいられない。それでいて単なるエンタメ小説ではなく、いろんな現代的な医療問題のテーマも含んでいるからすごい。
ただ下巻の後半、事件が解決した後の話がちょっと長いかなという点だけが気に掛かったが、それでも実におもしろいおすすめ本であることに変わりない。
・「映画化に先駆け文庫化」
待望の文庫化ですね。単行本を持っているにもかかわらず、つい購入してしまいました。しかしそれも、これが名作だからでしょう。
東野圭吾さんの本は10冊以上読んできましたが、その中でもこの作品はとてもレベルが高いと思いました。
理系の天才二人による頭脳戦、とでも表現すればいいのでしょうか。とにかく石神という人物が印象的です。人によってそれぞれ全然違った、石神という人物の姿が浮かぶことでしょう。ですから、映画を見てしまうと、自分が読んでいて想像した石神のイメージと食い違う可能性が高いのです。
私も映画は非常に期待しています。決して映画を見ることを否定しているわけではありません。ですが確実に、映画を見た後にこの本を読むのはおすすめできません。映画と原作、両方これからという方は、原作を先に読むことを強くおすすめします。
それだけ、石神という人物は印象的です。
・「これを機会に」
東野圭吾は多作の作家で、青春ミステリでスタートを切って以来、社会派サスペンス、恋愛小説、メタフィクション、ユーモア小説などなど、幅広い作風で傑作を生み出してきた。直木賞、本格ミステリ大賞、このミステリーがすごい!第一位、週刊文春ミステリーベスト10第一位、本格ミステリ・ベスト10第一位、と数々の栄冠に輝いたこの作品は、これからもずっと彼の「代表作」として語られることになるだろう。
この小説は、完全犯罪を期する数学の天才石神に、物理学者湯川が挑む謎解きを軸とし、愛や友情など人間関係のドラマをからめた複合的なストーリーである。作者の実力が遺憾なく発揮され、それらの要素が全くばらつかず、一つに融けあっている。視点となる登場人物を入れ替えながら描写することで、謎が解かれるさまがわかりやすく、また登場人物の心情の揺れ動きなども明瞭になる。無駄なシーンはそぎ落とされ、次々と展開していくので、退屈することなくラストまで通読できる。
「代表作」と「最高傑作」が食い違う創作者は数知れない。確実に東野圭吾の「代表作」であるこの小説に、私は五つ星をつけるが、これを彼の「最高傑作」だと言う気はない。彼には他にも素晴らしい作品が多数ある。
存分な知名度を得たこの「代表作」に、「名探偵の掟」からの東野ファンである私が望むのは、これが彼の他の傑作群を世に知らしめるきっかけとなってくれることだ。東野圭吾作品をこれで初めて読むという人には、読後、他の作品にも手を伸ばしてみてほしい。もっとサスペンスを楽しみたい人なら「天空の蜂」、愛する人の為の犯罪が描かれる作品ならば「白夜行」、この作品が重すぎると感じる人には「怪笑小説」や「「あの頃ぼくらはアホでした」、といったように。
「代表作」を読んだだけで終わることなく、多くの人が他の東野作品を読み、自分なりの「最高傑作」を見つけてくれることを、一ファンとして祈ってやまない。
・「献身という言葉では収まらない」
ガリレオシリーズの中では異例で、湯川学の心理面での苦悶があり、且つ容疑者の行動が"献身"という言葉で表現するにはあまりにも軽すぎる。
自分は本書を読んで泣きました。
湯川側に自分を置いても、容疑者側に自分を置き換えても。
とても切なく、悲しい物語です。
・「”最愛”の人の為に。」
映画公開に合わせて再読。以前呼んだときよりも、号泣しました。
・「観てから読むか読んでから観るか」
観てから読むか読んでから観るか、悩んだ結果、やっぱりまず読んでみました。東野作品としてはまだ4冊目ですが、どれも他と似ていない、というか、毎回よく構想が尽きないなあ、と感心してしまいます。「容疑者X」も、トリックもストーリー展開も素晴らしく、とにかく楽しみました。ただ、天才的な頭脳を持つ容疑者Xの行動は、凡人の私には一人の人間として想像しがたい感もありまして、そこは堤真一さんの見せてくれる人物像に期待しつつ、明日映画を観に行きます。(堤さんのファンであります!映画の予告編CMの表情に既に惹きこまれています。)
・「我孫子武丸氏が見せた神技」
我孫子武丸氏の現時点での最高傑作であるとともに、戦後の日本推理小説史上の一傑作である。我孫子氏がこの作品で、極めて鋭くえぐったものは、巻末の笠井潔氏が指摘する通り、確かに現代日本の病理である。
犯人の狂気は、作品中にみなぎっている。しかしこの作品のテーマはその描写、だけではない。
「原因を、自分ではない誰かに、とにかく押し付けようとする」
という現代日本そのものの狂気が、かいま見られたような気がする。
・「来るべき未来としての現在」
我孫子武丸の代表作と名高い一冊。連続猟奇殺人を巡る、元刑事、犯人、母親の3者の視点で語られる。絞られた登場人物、張り巡らされた伏線。トリックを一つに抑え、一文も全体も引き締まった印象を与える良書。グロテスク描写に注意。
まず、初出が1992年であることに驚く。作中で言及される、幼女連続殺人事件が起こった時は、まだこのような話は非日常の異常事態として捉えられたはずなのだ。現在では、良くある話として捉えられてしまう。犯人視点での幼稚な思考、病的な心理、家族崩壊、見つからない手がかりと並べると、まるで2007年現在に書かれたように感じられる。
犯人の心理がよく引き合いに出されるが、母親の異常心理も相当にリアルである。探偵役(名探偵ではない)の元刑事側が、周囲の人間との関わりからやがて活力を取り戻すのと反比例するように、犯人側の家族は壊れていく。この小説のような状況が15年も前に予言されていた。そして、その状況が当たり前のように受け入れられる現在こそ、真のホラーであろう。
・「二度読まねばなりません」
惨殺シーンは気分が悪くなるほど残酷、少し悪趣味かなと思った。しかし、読み易く想像を膨らませる見事な表現力はすごいです。読み始めに、エピローグで死んだ人は誰なんだろうと考えました。読み進める内にその人の像は頻繁に変わっていくと思います。
登場人物が少ないので、結末は限られるんじゃないかと考えてました。しかしラストに近づくにつれ、胃がキリキリと痛むような緊張感を味わいます。先の展開が全く読めない、躍動感を感じる怒涛の展開。そしてラストのページを読んで唖然としました。はぁ?どういう事だ、と。少し考えて、俺は騙されていたと気付きました。また読み返さねばと思わせる衝撃のラストです。
こんな騙しが用意されてるとは…。途中で気付いた人は天才です。全部読んでも混乱しています。なので、もう一度しっかり読み直さねばという気持ちにさせられます。確かに不快な描写もありますが、最後に読んで良かったと思える作品です。
・「巧妙な騙しのテクニック」
作者は、綾辻行人氏の成功により「新本格」派が台頭する中、その内の一人として出てきた作家。デビュー作は「8の殺人」であるが、これは一読未熟な出来だった。そのせいで作者の作品からは遠ざかっていたのだが、久々に手に取ったのが本作。
・「驚異の作品」
ミステリなどというものは往々にして惨劇ばかりが 強調されていたり,凝りに凝ったトリックで 読者を頷かせたり,といった代物ばかりだと思っていた. しかし,この作品はそういった私の固定観念を 見事に破壊し尽くしてくれた.
サイコキラーの話であるから,確かにそれ相応に 血生臭い描写が散見される.そういった意味では 優良図書とはいいがたいのだが,
この作品の本質はそうした表面部分にあるわけではない. 作者一流の,哲学の要素をふんだんに取り込んだ 冷静な思想がなかなかにおもしろい。 そして何より,最後まで読んで始めておとずれる 超弩級の驚き.内容をここに書けないのは 非常に残念ではあるが,読んだ者だけが味わえる 格別の世界がある.
保証します.文学史上屈指の作品です.
・「八重山の島旅には必須です」
八重山諸島を石垣島からスタートする旅には絶対必須です。大手出版社のガイドブックは広告絡みでどうしても広告店舗が推薦されており、「なんでこんな店が?」という事が多々ありますが、この本に出てくる情報は全部納得できます。やはり地元出版社ならではの情報の濃さと細かさが出てます。これ1冊で十分です。ただ、毎年買う必要はないと思います。持ってない方でこれから八重山へ行く人はぜひ!
・「斬新な概念の恐怖」
見た人間の一週間後の死を予告する恐怖のビデオテープを見た浅川。テープの最後には死を回避するための方法が描かれていたはずなのだが、その部分は消されている。浅川は一週間という区切られた時間の中で、死を回避する方法を見つけることができるのか……。これだけでは単なるホラー小説として片付けられたかもしれない。しかし、本当の恐怖は物語の終盤に差し掛かるにつれて、増大していく。
どこまでも限りなく続く、逃れられない恐怖を描いたホラー小説である。四人の少年少女たちの謎の突然死に始まるこの作品で鈴木光司氏が見せてくれたのは、従来のオーソドックスなホラー小説にありがちな単なる戦慄・不安・緊張感・嫌悪といった感情だけではなく、斬新な概念の恐怖と、彼自身の才能の眩い輝きであったように思う。
・「とにかく不安にさせる」
映画を観てから原作を読んだ方多いんじゃないかと思いますが、違う点がかなりあります。
主人公は女性ではありません。終盤のあの有名な貞子が出てくる場面は原作にはありません。
本作はホラーですが、その象徴である貞子はほとんど出てきません。呪いのビデオテープを調べていくうちに少しづつ山村貞子という人間が浮かび上がってくる。それだけなのになんでこんなに怖いんでしょう?
読者を不安にさせるなにかがあります。
・「謎を解明していく過程がおもしろい」
一本のビデオテープを見た4人の少年・少女が、一週間後の同時刻に死亡してしまう。このビデオテープの謎を雑誌記者である浅川と、超心理学に造詣の深い大学の非常勤講師・高山が解明していく。この過程が非常におもしろい。高橋克典主演のテレビ版『リング』はともかく、映画版『リング』では視覚的恐怖に重点を置き、この謎解きの過程を疎かにしたので、『リング』本来の魅力が失せてしまったように思う。『らせん』、『ループ』と続く続編は、読まないことをお薦めします。
・「最高に面白い」
日本のホラーでは傑作と言われる一冊ではないでしょうか?ただ怖いだけではなくサスペンスの要素もあり、キャラもたっていて普段ホラーを読まない方にもお勧めできます。
ただ、続編は…。無駄に『リング』の世界観を壊してしまっただけな気が。一応辻褄合わせてはいますが、私としては『リング』のみで完結して欲しかった。
・「映画を見て忘れた頃」
自分の中では数年前に見た映画がそろそろ記憶から消えていった頃に、友達に紹介されて読んでみました。すると、私の記憶の映画の内容と結構違うかな?という印象が有りました。当時映画を見た時の印象と小説を見終わった時の感想を比べると凄まじいくらい違います。この本を見終わった後は、なんというか感動を越えた驚きっていうのでしょうか、こんなエンターテイメントは味わったことがない。そのくらい良い作品だと思いました。
ホラー小説っていうより、謎の部分を解いていくミステリー的な部分の方が多かったかもしれません。その謎解きの期間が一週間。その一週間の描き方が妙にリアルで、期限がしまっていくたびに私も飲み込まれそうになりました。次が次が次が、とどんどん読み進めたくなる作品です。
因みに私には竜次がとても格好良く見えました。もう惚れ惚れしちゃうくらいすごかった。
まだらせんと、ループは読んでないのですが、この作品だけみてもすごい秀作だと思います。ホラーが苦手という方にもおすすめできるかと。取りあえず一見の価値ありだと思わせる作品でした。
・「是非「ループ」まで」
一大ブームを巻き起こした話題作「リング」の続編。
他のレビューにも見えるように第一作の「リング」に比べホラー要素は減退し、遺伝子を操り、一週間で成長し、無限増殖する脅威の生命体の出てくるSFチックな作品へと変貌している。
確かにこれだけ読み終えた時点では中途半端に科学的な要素を突っ込んでおきながら見ただけで遺伝子を改変してウィルスを生み出す映像、文章や人間の卵子と受精するウィルスが登場するというのはどうかと思うこともあるかもしれない。
だが、この作品は「リング」さらには「ループ」も含めた三部作である。この「らせん」では「リング」の謎を解き明かしていくのだがそれでも本当の真実の部分については最終作「ループ」まで明らかにされない。「ループ」まで読み終わった時、初めて全てが一つに繋がりすっきり出来るだろう。
是非、ここで止まらずに三部作の最後まで読み通してほしい。
・「最高の作品」
これは、本当に最高の作品だと思う。「リング」「らせん」「ループ」の3部作の中でも、私は一番この「らせん」が好きだ。映画では、何とも分かりにくく、おもしろみの無いものになっていましたが、小説の「らせん」はもっと、人間の本性、愛、恐怖が描かれており、それでいて知的さに満ち溢れている。
ここまでリアリティ溢れる、理系的(デンパではない)な小説は初めて読みました。私は最後の海で高山の言う台詞が好きです。
・「勘違いしてる方々へ」
「リングは怖かったが、らせん以降は怖くないから面白くない」「らせん以降はただのSFに墜ちた」なんてほざいてる人が多々見受けられますが、そんなの当たり前じゃないですか。らせんやループが怖くないのは当然です。てか、どう読んだら以後二作をホラーと受け止めれるのでしょうか?ちなみに鈴木光司さん本人もエッセイである《家族の絆(角川文庫)》でこう話してます。
『僕は決して、ホラーを書こうとして「リング」を書いたのではない。そこで僕が書きたかったのは、家族の絆、そして社会のことである。また「ループ」は、主人公の少年の成長を通して、家庭における父の役割、自己犠牲、人間愛といったことを描いた、現代のビルドゥングスロマンー教愛小説ーだと思ってる」と。よって、らせん、ループがホラーとしての色を持たないのは、至極当然のことです。怖くないから、という見当違いな理由でこれらの本自体を蔑むのはやめましょう。自分たちの勉強が足りないのだから。
・「だからホラーちゃうじゃん。」
ホラーじゃないでしょ。俺はその手の作品がダメでダメで避けているけど、これは平気。読み物としては、ストーリは引きつけるものがあるし、文体はとても読みやすい。゜+.(・∀・)゜+.゜良書ー!
・「リングに対する合理的な説明」
大ヒット作「リング」の続編。こちらも大ヒットした。「リング」に対してある種の批判(今時呪いなんてetc.)があったのか、作者が意識的に作風が異なるものを書こうとしたのか、本作は「リング」の非科学的部分を合理的に説明しようとする意図が見える。冒頭は暗号小説そのものであり、その他の部分も整合性・合理性を重視している。
貞子が登場してから独自の世界が始まり、特に小田急線の駅に現れる姿は、同沿線に住む私にとって恐怖であった。次いで、貞子の増殖話が展開され、最後に貞子ワールドと呼ぶにふさわしい未来の展望が予告され、暗澹とする気持ちにさせられる。
そして、本作では「リング」に比べ更に「父性」が強調される。主人公が貞子のコピー作りに協力するのも、「息子」を復元できるためである(この結果、妻との関係を修復できるという目的もあるのだが)。「父と子の絆」、ここに作者の主張が隠されていると思う。
・「こんな小説があったとは。」
こんな面白い本、どうしていままで読まなかったんだろう。作者が有名なのも、この作品が有名なのも知っていたのに。と思うと同時に、御手洗潔という探偵に(本業は占星術師なのだけど)出会えてほんとによかったと、読んだあとになんだか幸せな気持ちになった。
梅沢平吉という画家の手記から始まるこの作品は、最初から最後まで読者を惹き付けて飽きさせない。これだけの長篇なのに。事件は40年間誰もその謎を解くことができなかったという難解なもの。梅沢平吉殺し(しかも密室)、長女一枝殺し、そして平吉の娘と姪の6人が殺されるという大量殺人。しかも、手記によると6人を殺す動機のある平吉は最初に死んでしまっている。残った関係者の中にも物理的にその殺人を成し遂げられるものはおらず。!。。途中に2度も読者への挑戦が挿入されているが、丁寧に読んだつもりなのに、まさかそんなトリックだったとは、と嬉しい驚き。
そしてこの小説の何といっても一番の魅力は探偵・御手洗潔でしょう。他人の目なんて気にしない、ちょっと風変わりでくせのある男。だけどどこか愛嬌のようなものがあって憎めない。始終振り回され、憎まれ口をたたかれながらも彼から離れることのできない石岡くんの気持ちが分かるような気がする。
推理小説が好きで、まだこの本を読んでいない人、読まないと損ですよ。読んでみればわかる、きっといままで読んだ本の中で1、2を争う作品になるはずです。
・「これから『占星術殺人事件』を読めるシアワセ」
~言わずとしれた島田荘司のデビュー作。昭和56年、横溝正史の死の2週間後、氏は『占星術殺人事件』を引っさげ、本格の騎士として登場する。~~最近作の『「異邦」の扉に還る時』の中で、このプロットを思いついた時の状況を説明されているところが出てきてとても興味深かった。西荻窪のアパートの高い自作の二段ベッドの上で氏の上に天啓は舞い降りたそうだ。氏はほぼ半分書き終えていた『異邦の騎士』をストップして本作の完成をスタートする。
~~閑話休題。なんら解説の必要もなく本作は史上稀に見るミステリーの傑作なことに疑問の余地は全くない。後のミステリー界だけでなく、『金田一少年の事件簿』等マンガの推理物にも多大の影響を及ぼしている。
これからこの本を手に取る読者のみなさん。『占星術殺人事件』をまだ読んでいないシアワセは格別です。~
・「あまりに濃厚なカタルシス」
本格推理小説と呼ばれる作品の中で、最も「おいしい」パートが、論理構築によって犯罪の真相が導き出される、謎解きのシーンであろう。本作品が傑出しているのは、その謎解きシーンの「おいしさ」が全編にわたって展開されるという、絶妙の構成にある。
もちろん、それを可能にしたのは猟期的、幻想的な設定と、それをうけとめるだけの見事なトリックがあればこそだ。
これだけの卓越した要素が奇跡的な出会いを果たした事で、この作品は現代本格推理小説のファンにとって最高の宝になったのだ。古今を問わず、私は、エンタテイメント性、謎解きの意外性において
この作品以上の推理小説に無グリ合った事はない、と断言する。
・「正統派ミステリー」
ミステリー史上に残るこの作品、さすがにすばらしいです。メインの「アゾート殺人」のトリックは見事です。 しかも我々読者の前には、謎を解く鍵がすべて示されており、謎解き前に示されるヒントも秀逸です。まさに「ピン1本」のヒントで、すべてが分かったときの快感! また、トリックだけでなく、文章も巧みで読み物としても秀逸です。
ミステリーファンはもちろん、「何か面白い本ないかなぁ」と思っている方すべてに、自信をもっておすすめできます。
・「まぎれもない傑作、近年まれに見る本格派」
これだけトリックで読ませる作品は少ない。読後、なんだかだまされたような気分にさせられる推理小説も少なくないが、本作は素直に、してやられた、参った、と思えた。読者への挑戦も、この上なくフェアで大胆。主人公のキャラクターも魅力的(独特?)で、一気に楽しみつつ読める。陰惨な設定なのに、そう思わせないのは軽妙な文体と主人公のキャラクターによるのだろう。 なお、文壇から、文章が粗い、という批判が本作に対してあったと聞いた。確かにそういうところもあるが、荒削りな勢いにも満ちていて、ミステリー好きの一読者としては、少しも星を減ずる気にはならない。
・「面白かった」
最初これを買ったときに、いままでと違う変わったものを感じました。まず、普通は中心となる人(ここでは多くいますが)は頭がよく、まじめだったりするのですが、この作品では皆が”とても”個性的で、よく思いついたなって感じです。事件の進展も面白く、まさか犯人がこの人(!?)だったなんて!って感じです
・「ST,だいすき!」
ありきたりの警察小説に食傷気味の方、断然お勧めです! 個性的すぎるST(科学特捜班)のメンバーが、それぞれ何に興味を持ち、どのような見解を示してゆくのか?そして事件解決へどう結びついてゆくのか?おどろきの展開で楽しませてくれます。 この本を読み終えたときにはだ、れ、か、のファンになっているかもしれません。
・「ありえない設定こそ面白い」
人間離れした特技を持つ気むずかしい専門職捜査官であるST達を、キャリアである線の細い百合根警部が四苦八苦しながら束ねていき、個性を丸出しに突っ走って事件解決に至る・・・(でもST達は百合根をキャップと慕っている)。ある意味決して読者を裏切らないし、とても読みやすく安心できるシリーズです。まじめな警察小説を読みたければ横山秀夫や同じ今野敏でも安積班シリーズを読めばいいのです。常に堅い本格警察小説ばかり読んで、肩が凝ったところにSTシリーズ。一服の清涼剤だと思いますよ。
・「こういうスタイルもあっていいさ」
今野敏の一連の作品がおもしろく、ずっと読み進めている。特に、「曙光の街 (文春文庫)」が秀逸で、大人のエンターテインメントとして高く評価した。
で、本作、一連のシリーズには、ST(Scientific Taskforceの略らしい)というすぐには意味のわからないアルファベットを冠していることから、何となく違和感があり、しばらく手に取らずにいた。で、読み始めたら。あぁ、これはなかなか、劇画調というか、コミック調でおもしろい。STと言うわからないアルファベットの略字と、その後に続く「警視庁科学特捜班」といういかにも堅い表題と、このコミック調(著者自身のノリは、ゴレンジャー的と言うことらしいけど)には確かに違和感がないではない。でも、何というかな、活劇の王道というか。得体の知れない、美女あり、武道家あり、各種一芸に秀でた、しかしかなり社会人としては首をかしげるような5人衆と、これまたお約束のような、気の弱いいい人(でもしっかり警察キャリアだから、偉いんだよね、ほんとは)がついている。いいよぉ、この、水戸黄門的王道。うれしくなっちゃうね。
厳しい人間関係と捜査、ドラマを描く今野の他の作品とはまた違って、このサービス精神旺盛なエンターテインメイント。いやはや、これはどんどん読んじゃいますねぇ。
・「頑張れ百合根さん、ワタシは好きだ(^^;)。」
変人集団、……悪い、でもそのまんまな気がする。それで駄目なら変人プロフェッショナル集団とか、室長・百合根だけが線が細い生真面目さんで可哀想だ(笑)。シリーズ一作目で、特殊な人物らの描写になんとなくアニメっぽいとでもいうような妙さは感じないでないが、多分その内慣れる。僕らは捜査官じゃないよ、という言い分には実はごもっともと思わされた。 科学によって捜査……あれ? いや、今まで警察から別の機関に調査を持ち込まなければならない特殊技能を直接操作に組み込もうとしたチームの話です。が、自分らの耳や鼻でわかるから機械に掛けるまでもない……、ちょっと現実離れしてたかな(読んでる時はその面は気にならなかったんだが。)。
水商売の中国系女性の強姦死体が発見されるところから話が始まります、続けて見つかるやはり同じように水商売のアルバイトをしていた中国留学生、ただし二体の死体から見つかる精液の血液型は別。同一犯の可能性は薄くても、裏社会の縄張り争いに巻き込まれた連続した事件ではないかという見方をされますが。
多少認知されかけてきた、犯人像の割り当て──プロファイリングの使い方がなかなか面白い、この本ではやはり青山青年(外見はまるで美少年(大笑)。)が楽しい。とにかく百合根さん頑張れ。
・「クローズドサークル」
面白かったです。設定は少し無理があると思いますがそれでも良いです。アリスや江神さんのキャラ設定がこの後の3作とは微妙に違う気がするのもまた味だと思います(私は双頭から読み始めました)。アリスの恋愛事情も楽しめました。
・「純粋な残酷」
作者初期の作品。大学生はこのころ今よりももっと、純粋で潔癖だった(というより世間がそうだった)ので、こうした動機が成り立つ。今ではクラシックにあたる。綾辻行人氏の「十角館」しかり。
でもそれを言ったら、90年代のバブル崩壊以前とあとでは、こうしたモラル・イシューはまったく様変わりしてしまった。肥大した「自己肯定」や「自己弁護」にくるまる若者が、共感できるかは疑わしい。しかし、どちらが「心地いいいき方」なのか。
山でキャンプを張る、英都大学推理小説研究会と他大学の面々。夏のキャンプとあって、ゲームをしたり、語り合ったりと楽しみは尽きない。夜うるさいこという親もおらへんし、何の危険もない。はずだったが…
臨場感あり、緊迫感あり。活字で手に汗握れるのがうれしい、感動した作品です。
作者の短編しか読んでない人は、ぜひこれから読んでください。トリックもGOODです。
・「青春小説」
有栖川有栖の作品はどこか青臭い雰囲気が魅力なのだが、大学の合宿を舞台にした本作は、その魅力を十分に堪能できる傑作である。本作の登場人物は大学生だけである。また舞台は、火山の爆発により孤立した山中のキャンプ場である。これらの設定は、青春時代の、仲間内だけが世界のすべてであるような、生ぬるい雰囲気をよく出している。また、そこで起こる事件は、青春の残酷さを、非常にうまく表現できてると思う。事件が解決した後に、ようやく他者の存在が意識されることになる。麗しくも残酷でもあった青春=事件の終わりと、社会=他者との必ずしも快適とはいえない出会いとを象徴しており、非常に印象的な結末である。推理小説としては、正統派の本格であり、「読者への挑戦」もついている。そして、本作は、本格密室推理小説が、青春を描く上で、すばらしい舞台を提供しうるということを、証明している。
・「折り重なる偶然と哀しみ」
こっちの学生シリーズは敬遠してたのです。だって人ですぎ。眠れない日々が続き、ふと手にとって読み始め...戦慄をおぼえた。もう、本当に読み終えるまで眠れなかった。否、読み終えてからも恐ろしくて、息を呑んだまま。ああ、この人はすごい。本物だって、そう思った。思い知らされた。閉ざされた空間、連続殺人事件。見事本格。けれど、この作品ほど「閉ざされた空間」を見事に描き出し、非現実的な中ここまで背筋をこおらせるものはないのではないかと。突然噴火する火山。自然の驚異。其処に更に人の恐ろしさが加わり、逃げ場は無い........こわくて、たまらない。それでも「本格」の雰囲気が、荘厳にすべてを包む。アリスがね、いいんだよ。やっぱいいんだよ。江神氏当然好きなんだよ(笑)。そしてやっぱり...哀しいミステリを書く人ですね、アリス先生。苦しかったし、切なかった。痛かったです。久しぶりに、いえ覚えている限り初めて「登場人物のように恐怖を同じくした」小説でした。厚いのは本そのものだけじゃありません。素晴らしい贈り物を、ありがとう。
・「Temptation of the Moonlight」
月夜にキャンプで知り合った3つのグループで楽しんだ「マーダーゲーム」が現実に・・・。 殺人、火山の噴火、閉ざされた空間=クローズドサークル、ダイイングメッセージ、読者への挑戦・・・。 ミステリの要素が贅沢すぎるくらいつまっています。 それに、学生アリスの切ない感情も。 読むたびに「月の光」に引きずり込まれます。
「月光浴」しながら読んでみてください。 きっと見えてくるはずです・・・・
・「中身も良いけれど」
小説の出来は素晴らしいです。読んでおいて損はありません。出来れば、学生のうちに読んで欲しいものです。
そしてこの本にはもうひとつ、注目すべき点があります。それは光原百合さんの解説です。かつてミステリの解説においてこんなものがあったでしょうか!ご本人も書かれていますが、まさしく「江神さんへのラブレター」なのです。光原さんの最大の魅力であろうあの優しい文章で、江神さんについて徹底的に語り尽くされています。他の作品で江神さんを気に入った方、単行本で読んでいる方は是非読んでみて下さい。多いに共感できるでしょう。私もそうです。
・「地味!だがイイ!!」
はっきりいって、地味です。でも面白いです。でも地味だってことはリアリティがあり感情移入もできるって事です。南の島に行ってみたい、ちょっとそんな事を思った作品でした。
・「『読者への挑戦状』」
初めて読んだ有栖川作品がこの本。ミステリ好きの私としてはまず本の題名に、それから著者の名前に惹かれました(笑)。主人公(?)有栖川有栖が語り手となって話は展開していきます。アリスの所属するサークルの部長である江神探偵がこれまたいいキャラしていて結構好きです。江神探偵シリーズでは本作が2作目なのですが、第一作目の『月光ゲーム』よりもこちらの方がよくできていると感じました。(『月光~』は設定が「ありえないだろ!」と突っ込みたくなるので・・・)そして何より、このシリーズに必ずくっついてくるオマケ(失礼?)が『読者への挑戦状』です。ちゃんと読めば多分犯人はわかりますので挑戦してみてはいかがでしょう?!
・「パズルの完成図は」
月光ゲーム」に続く作品。勿論各々読めます。今回は英都大学推理研は新たにマリアを向かえ、少々雰囲気が変わって登場。なんか空気が入れ替わった感じ...? 失礼、部長(笑)。今回はモチさんと信長さんのかけあいが見れなくて寂しいっス。孤島をおそう台風、島中にちりばめられた謎、まるで全てがパズルのピース。犯人の手の中でもてあそばれてるかのような錯覚さえ覚える、やはりここでも感じるのは、浮かぶのは「戦慄」という言葉。語彙貧困というよりは、そうとしか言いようないんでせう。自称物書きとしてはそこんとこ強調(爆)★最初はマリアを受け入れづらいんですが、気づくと大切。凶器がライフルというあたりも素晴らしく怖いし、絵描き殿も切ない。マリアは、かわいそうだ...。でもなにより苦しいのは、痛いのはやはり犯人。どうしてアリス先生の作品はこうなんだろうなぁ...なかなか哀しくなるミステリってなかろうに。そしてこのシリーズはどこまでも本格ですね。私は江神氏がアリスに向かって推理を語ってゆくところが好き。「俺をとめられなかったな...」江神氏の言葉が好き。アリスはいっつも苦しいね...あなたみたいな人がいたら、そばにいたいと思うよ。江神さんは憧れですもの。狙うはマリアの地位なようだ。
・「雰囲気満点のちょっとせつない青春ミステリ」
南の孤島の世界にどっぷり漬かれました! 雰囲気満点。アリスの語りも愛嬌があっていい。マリアと夜中にボート遊びする場面での中原中也の詩の引用はロマンティック(なんという作品なのかな)。ミステリマニアじゃないわたしは最後まで犯人がわかりませんでした。殺人は起こりますが気味の悪い描写がなかったのでさわやかな雰囲気がすべて吹き払われることはなくてよかったです。読んでよかったと心底思える作品です。 単行本の解説は北村薫氏によるものです。
・「まずはこの作品から」
私の東野圭吾デビューである。推理小説畑で有名な彼の著作を読むのはずっと逡巡していた。理由はご推察の通り、読みだしたら、他の作品も読みたくなるのが怖かったためである。けれども、宮部みゆきも、高村薫も、北村薫もひととおり読み終わった今では『そろそろ』と思った次第です。そして第一作目にこれを選んで私はラッキーだったと思っています。彼の推理小説に対する情熱が並々ならないものであることがひしひしと伝わってくるのが第1。そしてなおかつ、エンターテイメントとして作品を成立させていることが第2。このことにより私は彼の作品を次々と読み始めることを決意したのでした。
・「ミステリー物のお約束をネタにした小説」
ミステリ小説の犯人当てを、怪しくないからこの人は犯人じゃないなとか、アリバイがあるからこの人は怪しいとか、ミステリ小説的にはそうなんだけど、普通に考えたら、それはおかしいだろうという読み方をしていることを自覚している人向けの小説だと思う。読んでる時は笑えたのだけど、良く考えたらミステリ小説をちゃんと読んでない自分が見えてくる気がする。自戒の書。
・「ミステリーを愛する人への贈り物」
好きだからこそ意地悪したい。大好きだから茶化したい。作品を発表するごとに、ミステリーの枠を押し広げていく東野氏の、ある意味アブナイ連作短編集。ミステリーという分野を象徴する「密室」「フーダニット」「アリバイ崩し」などのトリックをひとつひとつあげつらい、徹底的にいじり、茶化し、笑いのめす。時代遅れで非現実的な密室殺人は、同じく笑える肩書きをもつ「名探偵」も推理するときは恥ずかしいんだなぁ。「それを言っちゃあおしまいよ」という、ミステリーのタブーに果敢に挑んだ東野氏の勇気と稚気とミステリーへの限りない愛情がひしひしと伝わってくる名作。ミステリーが大好きな人のための最高のプレゼントです。
・「座右の書です(恥ずかしながら)」
こういう本が「座右の書」だなんて、ミステリーファンに叱られそうだし、東野圭吾の熱烈なファンには呆れられそうだが、私はいつも手近に置いていて、頭を休めたい時、気分転換したい時に、拾い読みしている。短編集だから、その時の気分に合った話を読めるのも手頃だ。
密室、孤立した別荘、ダイイングメッセージ、アリバイトリック、などなど、いわゆる本格ミステリーの定番の設定をネタに、名探偵・天下一大五郎と、相棒の大河原警部が、事件を解決しつつ、時々、本筋から離れて、「ミステリーの楽屋裏」について、ぼやいたり「登場人物の本音」を言い合う。その「漫才」の部分がとにかく可笑しい。
パロディ精神とユーモアにあふれた、バカバカしい本だが、案外、東野圭吾の本領はこういう所にあるような気もしている。彼はシリアスな大作路線で売れてしまった感があるが、もう一度、本格でなおかつユーモアミステリー、というような作品にも挑戦してほしい。
・「本格推理小説のあり方を問い直す東野圭吾的「講義録」がここに!」
本書は、本格推理小説を飾る「密室」や「トリック」、「アリバイ宣言」、「ダイイングメッセージ」など、今では多くの読者にお決まりの「工夫」・「小細工」をめぐって、名探偵と称される天下一大五郎(彼が「密室アレルギー」という点で読者は失笑している)と(本当はそうでないが)脇役の大河原番三警部との軽快でユーモアに満ちたやり取りを踏まえてのある種の「講義録」のように私には思われた。
本書には、既存の推理小説のあり方を作者自身が「メッタ斬る」という姿勢が全面に押し出されるとともに、読者にも本書で扱われている内容を通じて(それらについて)再考してほしいという熱い願望が込められており、大いに読者の「食欲をそそる」内容だ。読者が「試されている」といっても過言ではない。巻末に付されたやや論文的な「解説」(脚注付き)も本書の位置づけや、東野圭吾の作風の変化についての有益な内容を含んでいる。目次をざっとみれば、プロローグからエピローグに至る全12章の内容は、推理小説のモチーフを類型化し、更にそれらについて名探偵と警部が辛辣な意見交換を繰り広げているというプロットそれ自体に読者は心を揺さぶられる。彼らの会話の多くに、私は「腑に落ちる」というか「教えられる」感覚だった。
第5章「アリバイ宣言」に登場する犯人の名前が「蟻場耕作」というのは滑稽で、しかも天下一はその彼が考案した完璧なアリバイトリック崩しを放棄し、犯人から「ちょっと待って下さいよ。ヒントを出しますから」という痛快な展開である。続く第6章で天下一が今度は美人OLに転じているのも面白い。特に本章は現代批評的な趣があった。「最後の選択」で読者は思わず唸るだろう。名探偵を「犯人」にしてしまうという残された唯一の選択肢の意味について。『名探偵の掟』というよりは、『名探偵の宿命』というところか。東野圭吾の「挑発的な」本書は怠惰な読者を覚醒させるに違いない。
・「WHO DONE IT ?」
〈天下一〉シリーズ2作目。
図書館を訪れた作家の「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵・天下一になっていた。しかもそこは、「本格推理」という概念が存在しない街だという…。
前作『名探偵の掟』は、その愛ゆえに、著者が「本格推理」のお約束をネタにした自虐的パロディ集でした。
(その実、「本格推理」初心者にとっては、 最もわかりやすい入門書でもある、 という側面も持っていましたが)
本作は、著者の「本格推理」に対する「信仰告白」ともいえるのではないでしょうか。
やや感傷的ではあるものの、その思い入れの深さに胸をつかれます。
また、作中で起こる個々の事件とは別の次元で、本作自体が〈フーダニット〉(=犯人探し)的趣向となっています。
察しのいい方は、あらすじを読むだけでわかってしまうかもしれませんが、誰が「犯人」で、「被害者」とは誰のことなのか、推理しながら読み進めてみてください。
本書は、「本格推理」という要素を除いても、〈喪失と再生〉の物語として読むことができ、一種の教養小説にもなっています。
人は、決して同じ場所にとどまることはできず、変化していかざるを得ない存在です。
しかし、失っていったものもまた、紛れもなく〈今の自分〉の一部であるのです。
・「名探偵の掟の次に読み、数年後に再読しましょう」
この作品単体で当たり・ハズレを評価するのは間違いだと思います。「名探偵の掟」で近年の本格推理への中傷と皮肉、そして本作品でその本格推理への熱い思いを書いているといってもいいのではないでしょうか?要するに、ミステリーファンといいながら、深く考えずに読み進み「やっぱりこいつが犯人だったか」と、実は当たってもいないくせに言い当てたつもりで読んでる読者に対する失望と叱咤激励が含まれてる気がします。この本を読む前に一通り東野圭吾作品に限らず色々な本格推理小説を読んでから読むと、東野圭吾の推理小説に対する熱さが伝わってくる作品だと思います。
・「作者の思いが伝わってきますね。」
かの迷作「名探偵の掟」の続編。この本単体で楽しめないことは無いのですが、先に「名探偵の掟」を読んでいる方が楽しめるつくりではあります。 内容的には本格推理をテーマとして、いろいろなトリックを紹介していくようなつくりですが、作者のテーマはまた別のところにあり、終盤近くの数ページは著者である東野さんの本音と思われる思いが綴られています。 これを読むと東野さんは、やっぱり推理小説を愛しているんだなあという感じを受けますね。最後の一行に込められた思いは心に残りました。
・「本格推理が存在しない世界」
ミステリー作家の「私」が図書館へ行くといつのまにか違う世界へ迷い込む。そこでは「私」は探偵の天下一なのである。そしてその世界の誕生の鍵をにぎる、記念館をめぐる争いに出会う。そして、様々な怪事件が起こる。それには必ず本格推理の要素が含まれている。
名探偵天下一はそれらの事件を次々と解決していく。そしてついにその世界の誕生の鍵をにぎる禁断の本を見つける。その作者とは……。 『名探偵の掟』(同作者)がおもしろかった人にはおすすめします。連続短編集だった『名探偵の掟』に登場する主人公がでてくるミステリーの中のミステリーです。
・「原点に戻る」
東野圭吾の著作を今年から読み始めた。これで10作目。どの作品も面白いのだが(だから読みつづけているのだが)いっこうに推理が当たらない。いいかげん自分の頭のワルさに愛想が尽きた私は原点に戻るためにこの本を選んだ。私の東野圭吾一作目は『名探偵の掟』である。『名探偵』シリーズのいいところは『本格推理』のいろはが学べるところにある。もっとも作者のほうはそんなに心情は気楽ではない。『もうここは僕には合わない世界だ』と最後には決別宣言とでもいうべき言葉を吐くのである。もっとも私達はその後も東野は形こそ工夫はするが、『本格推理』から離れていないことを知っている。彼の迷いはいったいどの辺りにあるのか、この推理はたぶん当たっているとは思うが、ここでは当然ことながら答えを控えさせて貰う。
・「フィクションと様式美について愚考する」
いろんな方々のレビューを読んでいて、なるほど、自分が感激した作品についても、人によって様々に意見が異なるんだなあと、今さらながら感心しています。今頃何言ってんだと言われれば、スミマセンと申し上げるほかありませんが。 ただ、娯楽ものとしてのフィクションに対し、リアリティがないだのご都合主義だのという批判は的外れではないのかなあ。SFだってミステリーだって、それを言い出したらそもそも娯楽ではなくなってしまうように思います。カッコよすぎる魅力的な登場人物が、スカしたキザなセリフを述べる。いいじゃないですか。歌舞伎だって、あの隈取り、衣装、セリフ回し、どれ一つとってもおよそリアリティとはかけ離れたものではありませんか。ファンは歌舞伎独特の様式美に酔いしれているのです。リアリティの追求なんて求めてはいないはず。 そう、様式美。藤原作品にも独特の様式美があって、一つの閉じた作品世界の中では、何もかもが美しい。登場人物の一人ひとりが、悪人も含めてすべて美しい。読んでいて気持ちがいい。ミステリーとしての完成度うんぬんについては批判があってしかるべきでしょうけれど、私などは少々の瑕疵などどうでもよろしい、この様式美のもたらしてくれる気持ちよさの前では何でも許しちゃう、という姿勢で楽しんでいます。 それにしても、あまりにも早く天に召されてしまいましたね。残念。残念です。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
・「絶対にお薦め出来る作品」
96年度版このミス6位1995年文春ミステリーベスト10 1位週刊文春二十世紀傑作ミステリーベスト10 19位第41回江戸川乱歩賞第114回直木賞受賞
この作品を読まずに、日本のハードボイルドを語ることはできないであろう傑作。作品のテンポ、主人公や登場人物の造型、そしてmysteryの要素等、発表から10年以上たっても色あせることのない作品である。作者の他の作品にもいえることだが、特に会話文の使い方がうまく、全編を通じ、よく練り込まれたストーリーに緊迫感を与えており、読書をあきさせない。絶対にお薦め出来る作品である。
・「ハードボイルドの新時代」
史上初の江戸川乱歩賞・直木賞のダブル受賞作品。輝かしい功績を残した作品だけに、さすがにすばらしい作品だと感じる。審査員の意見が全員一致で江戸川乱歩賞を受賞したことは、おおいにうなづける話である。
何よりもまず、文章センスのよさに驚かされる。読み出してすぐに作品の世界に引き込んでくる。本当に出だしの一行目は美しく魅力的だ。藤原伊織の文章は、本当にどの文を切り取っても名文だと思う。 藤原伊織の綺麗で流れるような文体を一度は体験してほしい。
ストーリーも魅力的である。詳しくは書けないが、新宿の街で起こった爆弾テロ事件が主人公の過去に上手く絡んでくる。伏線もなかなかよく働いている。また、登場人物がとても生き生きと描かれており、本当にそれぞれのキャラクターが作品の中で呼吸をしている。主人公以外の脇役にも手を抜かず、通行人一人ひとりが生きている。自分がまさに新宿の街に存在しているのではないかと思わされるほどだ。リアリティーとはこういうことなんだと感じさせられる。
全共闘時代を話題にしているため、拒否反応を示す読者も多いようだが、実際のところ全共闘は物語の芯や軸ではない。重要なのは『彼らが戦っていたものは結局何だったのか?』という一方的な問いである。もちろん、答えは提示されないままだが。
日本ハードボイルド界に新たな世界を拓いた作品だといえるだろう。
・「素晴らしい」
私はこの本を5回は読んでいる。何度読んでも、感銘がこみ上げてくる。派手さはないけれど、主人公とヤクザの友情、亡くなった女性への愛情など、男の生き様を見せてくれます。セリフも抜群に良い。ミステリーファンならば絶対に避けては通れない。必ず読むべし。
・「純愛小説って言うと叱られる?」
いくつかの賞をとった小説ですからその内容にはいくつかの側面があり、その理解は読み手によって違うのでしょうが、私は類いまれな恋愛小説と解釈しました。この小説の最終パラグラフにすべてが凝集されていると思います。
昔、愛し合っていた恋人(酔いどれ男)を“そっと見る事”或いは“一方的に会う事”ができる機会を偶然にも持てるなんて、陳腐な表現ですが、なんと嬉しく、そしてなんて悲しく切ない時間だったことでしょう(小説なんだから作家の自由、ともいえますが。それをいうのは無粋というものでしょう)。彼女のその楽しい時間はテロリストによって奪われ、しかもこの恋人達とテロリストは不思議な運命の糸(意図)で繋がっていた・・・・・。是非、じっくり堪能していただきたい小説のひとつです。
物語の終盤に来て、話しが発散してしまい収拾が困難になって、意味不明の大爆発にせざるを得ない作品、逆に、途中までは盛り上がっているのだが肝心の終盤で萎えてしまう作品はたくさんありますが、この作品は最初から最後まで抑制が利いており好ましく感じました。
いわゆる(純)文学の観点から、この種(ジャンル)の作品の弱点を挙げるのは簡単ですが、「それを言っちゃ・・・・・・」、と思います。
・「最後の一文を読むまでは」
珠玉の短編集.物語は最後の最後でどんでん返しを迎えることもあれば,淡々と終わるものもある.ブラックなものからミステリアス,ファンタスティックなもの等中身は様々.お試しあれ.
・「阿刀田作品で最高傑作です」
僕は短編集が嫌いで、殆どの短編が消化不良に終わるのですが、ナポレオン狂には思い切り良い方に裏切られました。ミステリーではあるんですが、殺人とか暴力的な怖さではなく、人間の本質的な怖さが表現されていて、まさにゾクゾクするような恐怖が読後に襲ってきます。レビューが少ないのが残念です。この一作だけのためにこの本を買っても損はしませんよ。
・「日常の中のホラー」
面白かったです!!阿刀田さんの著書は、ノンフィクション(聖書やギリシャ神話の解説エッセイ)しか読んだことがなかったのですが、小説でもまた、彼らしいオシャレさとエスプリが存分に生きています。
発想や着眼点は、始めは星新一さんに似ていると思ったのですが、何の変哲もない日常生活の中にさりげなく紛れ込んだ恐怖の描き方は阿刀田さんお得意のもの、という印象を受けました。とにかく彼のホラー小説の怖さは、決してグロテスクな化け物や殺人鬼が出てくるからではないんです。一見普通に見える人が、実は心の中で殺人計画を立てて笑っていたり・・・といった描写が、すごく怖い。そういう意味で、全く新しい感覚のホラー小説です。
・「最高傑作「ナポレオン狂」」
短編集。収録作品は以下の通り。「ナポレオン狂」、「来訪者」、「サン・ジェルマン伯爵考」、「恋は思案の外」、「裏側」、「甲虫の遁走曲」、「ゴルフ事始め」、「捩れた夜」、「透明魚」、「蒼空」、「白い歯」、「狂暴なライオン」、「縄」。
短編集全体としては、「冷蔵庫より愛をこめて」の方が、奇抜なアイディアの話が多く、粒がそろっているように思う。ただし、「ナポレオン狂」は著者の代表作で、おそらく最高傑作。実は私にとっては、この本とは別に読んだ、初めての阿刀田作品。ナポレオンのうんちく話かと思ったら、最後の最後の意外な、衝撃的なオチに、みぞおちを突かれたような気がした。「来訪者」はものすごく怖い話。読んでいる間は背筋がぞわぞわし、読み終わると心底からぞっとする。現実には絶対起こらないとは言えないのが、とても怖い。赤ちゃんを持つお母さんは、読まない方がいいかも…。
●すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)
・「Fのなかへ」
近年、一番クールなミステリ作家といえばこの人しかいない。中でもデビュー作「すべてがFになる」は最高。読んでいて、この本を手に取った偶然を何かに感謝。
何がどう面白いとかは読めば判るのだが、話の面白さとは別に、爆笑ポイントがあちこちにあって、それが隠してあるみたいなところがまた面白い。これは全ての森作品に言える。
とにかくFのなかへ、と未読の方に言いたい。言葉のひとつひとつに強く支配されます。謎解き的な意味の探り合いは不要。はじめから終わりまで、言葉は言葉通りの意味で、特に意味はなく、かつ重要で、回転が速い。この回転の速さが快感。高いテンションを保ったまま最後まで読ませてくれる。
・「ユートピアと密室と」
面白い。孤島の研究所という研究者にとってのユートピアで起こる殺人事件。夢やヴァーチャル・リアリティといったものが現実と見分けがつかなくなる境界の世界をうまく描ききっています。理系人間たちの書き分け方も見事。でもそれ以上にすごいと思うのは、これほどの小説を片手間に書いてみせる作者自身です。いったいどんな人なのやら・・・。
・「斬新なトリック」
森博嗣の作品はとても厚いので読み通すのが大変かと思っていたのですが、そんなことは全然なく、最後まで楽しく読めました。この人の作風は理系ミステリと呼ばれるのだそうで、確かに登場人物は理系の研究者ばかりだし、トリックもコンピュータの特性を少しは知らなくては面白みがわからないタイプのものです(私の妻はトリックの面白味がわからなかったとのこと)。
確かに『すべてがFになる』というタイトルの意味などは、コンピュータの仕組みについての基礎知識が全くない人には面白く感じられないかも知れません。しかし、私はそうした理系的な部分以上に、普通の本格推理として斬新なトリックが用いられていることに感銘を受けました。密室殺人に対してこういう解答を持ち出したのはおそらく今作が初めてだと思います。メタミステリとかに逃げなくても、まだまだ色んなトリックを思いつけるんですね。
・「ダイナミック!」
理系ミステリと銘打たれる著者だが、それだけではない。古典的なミステリにも通ずる、ダイナミックさが魅力。
舞台設定、登場人物、事件、すべてがダイナミック。それらが、システマティックに語られる模様は、ある意味残酷にも見える。だが、はまるとこれ以上の快楽はない。
文系だからといって、この作者に触れない手はない。おすすめの一冊。
・「何故に四季はSEを使っているのか?」
1996年リリース。S&Mシリーズの第一作にして森博嗣のデビュー作。『理系』という新しい分野を持ち込んだ氏の作風はなるほどなかなか斬新でプロットも良く出来ていて良いのだが、一点だけ気に入らないところがある。それはMacフリークからみると本作の設定にはたくさんの矛盾点があるということだ。まずリリースした1996年においては作中に出てくるSEやPlusは余りに古い。System7がアメリカで登場したのが1991年であるからしてこの段階でSEやPlusはSystem6.0.7までしか事実上受け付けられなかったはずで天才科学者四季のプログラミング技術を持ってしてもデスクトップに燦然と置かれているのは可笑しい、と思うのだが・・・如何だろう。次にウイルスで送信側だけ狙うスクリプトは難しいと出てくるが謎である。送信はSMPT、受信はPOP3とサーバ形態が別々であるからしてターゲットにするのは優しいのではないだろうか。また、ウイルスのターゲットに狙われるMacというのもかなり可笑しく、Disinfectantの時代から極めてウイルスがMacは少なく、その辺も謎だ。おそらく氏は僕と同じくMac好きで文中に登場させたかったのかもしれないがむしろそれが知っているものに物凄く『おかしいなこれ』という気持ちを与えてしまっている気がする。
『理系』を売りにするからには『理系』で突っ込まれないことが必須ではと思う。ゲーム化もされ、大ヒット作であるが故にそこが残念だ。
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